3章・旅は道連れ先駆け編 -ミッション失敗…?-

3章・旅は道連れ先駆け編

ミッション失敗…?



ポケモンワールドトーナメントが終わっても、参加した3人はまだ興奮気味で

あの時あーすれば良かったとか、こーしたのが良かったとか言ってる。

ジム戦とは違ってギャラリーがいっぱいだったし無理もないよねー。



「それにしてもメイ達はすっかり見違えたよね。

ヒオウギで勝負した時とは雲泥の違いだよ。ポケモンと一緒の旅は

皆を成長させ…「今のっ?!」…ヒュウ?」



チェレン君の話をブッタ切って叫んだヒュウ君の視線の先を見れば

プラズマ団が数人、どこかへ向かっている所だった。



「追いかけるぞっ!メイ、キョウヘイ、オマエ達も来てくれっ!!」



「およしなさい」



今にもプラズマ団を追いかけるのに走り出そうとしてた3人を

会場から出てきたばかりのアクロマさんが呼び止めた。



「態々危険な事に首を突っ込む必要などありません!」



「探してるポケモンが!妹のチョロネコがいるかもしれないんだっ!!」



「ぼくも行きます。彼を守らないと!」



アクロマさんの制止を振り切ってヒュウ君は連中を追いかけてっちゃって

そのヒュウ君の後を追ってチェレン君も行っちゃった。取り残されたうちら…

メイちゃんとキョウヘイ君は困った感じでお互いの顔を見ている中で

アクロマさんは溜息をついて肩を竦める。



「理解できません。勇気ではなく愚かです!

ポケモンがいればトレーナーはどんな事でも出来るのですか?…有り得ませんよ

全てのトレーナーとポケモンはモンスターボールで結ばれている。

と、いう事はトレーナーがポケモンを信じれば不可能など…無くなる?」



自分で言ってる途中で内容に疑問を感じちゃったのかな?

そのままアクロマさんは腕組みして、考え込んで自分の世界に入っちゃったよ。



「ヒュウを放っては置けないよね。メイちゃん、ぼく達も行こう!」



「うん、わたし達にはポケモン達がついてるから…信じてるから大丈夫だもん。」



二人は後を追いかける事を決めたみたいで頷きあった。

それを見てアクロマさんは顎に手を当てて二人の顔を見た後で溜息をついた。



「信じる…不確定要素すぎますよ。ですがポケモンを信じる事でプラズマ団と

向き合う危険も乗り越えられるというなら!お友達を助けるなら!

……彼等を追いかけ、南にある波止場に向かいなさいっ!」



その言葉に二人は駆け出し、残ったのは私とアクロマさんだけになった。



「まさかも行こうというのですか?」



「いつのまに名前呼び?ってのは置いといてー。当たり前だっつーの。

子供に任せて良い事じゃないよ、ここで黙ってる様じゃ大人の恥!

んで、元々私は黙ってられる様な性格でもないんでっす!」



出遅れたら話になんないからね、ここはガン無視させてもらうよ!

後ろでまだ何か言ってるアクロマさんを放置して、私も駆け出した。



アクロマさんに言われて着いた(勿論ラルトスのナビ付きだけどねっ!)波止場に

ひっそりと停泊してた例の船の中に全員で入ったのは良いんだけど寒い!



「この船……なんで冷たいんだよ?」



「それに……古い船に見せかけているけれど、そんな訳ないよね……」



パッと見はチェレン君の言う通り古い帆船みたいなんだけど、中身は違う。

見た事のない機械、計器がたくさんある船内はむしろハイテク満載だぞー



後ろから大勢の足音が聞こえて、私とチェレン君は他の子を背にして振り返ると

そこには大勢のプラズマ団がいて、こっちに向かって歩いてきた。



「どうでもいいだろ、コテンパンにされるお前らには!」



「……オマエ等プラズマ団のアジトかよ」



そーなんだよ、そんな場所に君達は堂々と乗り込んじゃったんだよ?

あー、これからどーしよう…バトルになるのは目に見えてるけど手を出す??



「せいかーい!だからこの通り!」



「こんなにいるんだぜ!」



プラズマ団とにらみ合いをしてたら後ろからもプラズマ団がやってきた。

拙いな…これは囲まれちゃったかもしんない。



「……これで全員か?もっと出てきても良いんだぜ。」



「ははは!強がるな!よーし!こいつらをボコボコにするぞ!」



「「「プラーズマー!」」」



ぎゃー!ヒュウ君の挑発にプラズマ団全員がのっちゃったよ!

チェレン君があー、やっちゃったって顔してるけど私も同じ顔してると思う。

だけどヒュウ君自身は大勢のプラズマ団を前に不敵な笑みを浮かべてた



「……いっておく、オレはこれからいかるぜっ!!」



「まずはお前だ!」



うわーい、乱戦開始?しょっぱなにメイちゃんが捕まっちゃったよ!

プラズマ団の下っ端とバトル開始、まぁポケモンバトルなのが救いだけどねー。

こっちはジムリーダーもいて、他の3人もジム巡りする様なトレーナーだから

その勝敗ははっきりしてるわけで、プラズマ団がちょっと怯んだ。



「おまえ……!ポケモンを信じて戦うトレーナーか!」



「次だ次!もう、どんどんいっちゃって!!」



「おれの出番だー!違う!ヤブクロンの出番だー!」



ちぎっては投げって表現がピッタリする様なバトルは勿論うちらの圧勝で

あれだけ大勢いたプラズマ団の連中が慌て始める。

私はポケモンをもってなさそうな団員が皆に下手な手出しをしない様に

先手必勝でぶっ飛ばす事に専念させてもらってますが?だって出番ないもん!

その連中を全員叩きのめしたら、本当にやる事がなくなって暇になったぞー



「…っ!」



不意にボールホルダーであの子のボールが揺れる。

気がついたんだけど、異常なまでの寒さが更に強くなってるかもしれない。

あぁ、これは凄く怒ってるんだ。あなたはこんな情景を一番見たくないもんね


乱戦状態の場所から抜けて、船の中を走り出す。

場所なんて知らないけど、一番寒い場所を探せば、そこあの子がいる。

この前思ってからずっと考えてた、やっぱりあの子をこれ以上苦しませたくない

それが私のミッションでもあるんだ。ストーリーなんて無視しても良いよね?

これであなたが救われるなら、私は…私はその為にここにいるんだから!



「ここが一番寒い…かな?」



大きな扉の前にたどり着いた。周囲の寒さは吐く息が白くなる位凄くて

指先も感覚がなくなる位冷たくなってる。間違いない、ここにあの子がいる。

怒り、人間に絶望してるかもしれない。私の手を拒否するかもしれない

だけど、私はミッションをクリアしてここに残りたいっていう以外にも

あなたを助けたい。あなたの孤独、悲しみ、怒りを全部受け止めて解放したい。

待ってて、今…今助けてあげるから。その後の事はそれが終わってからだ。



「……!!!」



ドアを開けようと手をかけた瞬間、後ろから凄い殺気がして飛び避ける。

いつの間にいたんだろう、今までのプラズマ団とは全然違う

殺気を隠そうともしない人影が3つ、いつの間にかすっかり囲まれていた。



「そこをどいて、私はこの中に用事があるんだけど…って無理だよね…っ!!」



うわーい、話す間も与えないってか?確実に急所を狙ってくるとか勘弁して!

蹴りを流して、拳を受け止めて投げ飛ばすんだけど効果があまりない?

つーか、この人達…ダークトリニティだよね?会いたくなかったぞー



「何も話す事は無い…ってか……っ!!」



ホルダーのボールからうちの子達が出せと一斉に騒いでるんだけど

人間相手にそんな事はさせられない…ってか無傷じゃすまないから出さないよ

そんな事をしたら私もプラズマ団と変わらないでしょう。


こっちもマジで反撃してそれなりにダメージは与えてるはずなんだけどなー

ってか、リアルバトルを指南してくれたに感謝だね

そーじゃなきゃ、こんな風にやり合う前にやられちゃってるもん。

とりあえず1人は床とお友達になってもらったから残りは2人だ、頑張れー!


殴りかかってきた相手の腕をとって投げ飛ばした後に、立ち上がり際に膝蹴りを

鳩尾に決めるけど入りが甘かったから落ちてくんない。

もう1人がその隙に後ろに回り込んで覆いかぶさってきたけど、しゃがんでから

足払いをかけてバランスを崩させて踵落としを…うん、これは決まったね!

残りは1人!こっちも結構ダメージ受けてるから急がなきゃ拙いな…

大技だと隙ができるから小ワザを連発して体制を崩してから急所を狙うけど

相手もプロ?紙一重で避けられて決まらない。でも波状攻撃をかけ続けて

壁の隅に追い込んだ、相手も結構ダメージが大きいみたいでふらついてる

これが最後だ!と膝蹴りを鳩尾に決めようとした時に後ろに気配が…拙い!



─── ガツンッ!! ───



後頭部に凄い衝撃を受けて体が揺らぐ、さっき倒した相手が復活しちゃった?

続けざまに鳩尾に衝撃が伝わって倒れそうになるけど、踏ん張って膝をつく

せり上がってくる吐き気を必死に堪えて立ち上がろうとするんだけど

更に後頭部に衝撃…これは蹴られたんだろうな…を受けた後、視界が暗くなる

それでも、確実に狙われてる急所を庇いながら必死に反撃の機会を待つけど…

そんな事を許してくれる様な人達じゃない。


あぁ……もう無理かもしんない。


やっぱり今の段階じゃ無理だったのかな?

反省はしてるけど後悔はしてない。悔しい…あの子を救えなかった

ゴメン、ゴメンね…あなたを助けたいけど…どうやら私はここで終わりみたい。


抵抗をやめた私への攻撃がとまり、いきなり担ぎ挙げられた。

とどめをさされるかと思ったんだけど、そうじゃなくてどこかへ連れて行かれる

その足が止まったと同時に、メイちゃん達が私を呼ぶ声がした。

って事は最初にいた場所に連れてこられたって事なのかな?



「ダークトリニティ!こいつらを連れてゆくのだ!」



「言っておくが、わたし達はおまえの……」



「わかっておる!とにかく早くつまみ出すのだ!!」



文字通りって言葉がぴったりな位、うちらはあっという間に船の外に出された。

心配そうに駆け寄ってきたチェレン君に大丈夫だと言って、なんとか立ち上がる



「ダークトリニティ?アイツら何だよっ!あーもうっ!プラズマ団どこ消えたっ!」



ヒュウ君はイライラした様子でそう叫ぶとどこかへ走って行っちゃった。

その後をメイちゃんとキョウヘイ君が追いかける。チェレン君はここに残って

なんだか難しそうな顔をして考え込んでいた。



「チェレン君、どうしたの?何か気になる事でもあるの?」



声をかけると、目を閉じたままチェレン君はゆっくりと頷いた。



さんがいない時に、あの連中が言ってたんです。

我々は今一度伝説のドラゴンポケモンを従えイッシュを支配する……って…

伝説のドラゴンポケモンのゼクロムは行方不明でレシラムもトウヤを待ってる

そう簡単に連中に捕まる様な場所にはいないと思うんです。それなのに?って」



そう言ってから、今度は何か決心した様な顔つきになって私を見る。

あぁ、いよいよ始まっちゃう。本当はこうなる前になんとかしたかった。

あのこがこれ以上苦しむ前に終わらせたかった…



「ぼくは調べる事があるので6番道路に行きます。

さんもジム戦巡り頑張ってください。目指せ殿堂入り!ですよ?」



「あははー、チャンピオンに挑戦はするけど殿堂入りは辞退するよ。

肩書きって、増えると色々身動き取れなくなってめんどくさいからねー。

チェレン君、何をするかは聞かないけど…無理をしないで、気をつけてね。」



はい!って元気な返事をしてチェレン君は6番道路の方に向かっていった。

これでまたストーリーが進み始める。結局私のした事は無駄骨だったんだ。



「…あきらめるもんか、今回はダメだったけど次は絶対にやってみせる。」



流石に決められてるストーリーを変えれないってか?

フライングしたから今回はミッションクリアできなかったんだ…と思いたい。

生きてるだけでラッキーと思っておこう…

後は皆にバレなくて良かった、それもラッキーだと思っておこう…うん。


ポケモンセンターへ戻るのに歩いていると、結構ダメージが大きかったんだな

体中が痛い、特に首と鳩尾!顔は死守したから痣も腫れてもいないけど体の方は

脱いだらきっと凄い事になってそうだなー。畜生…借りは絶対返す!

とりあえず、戻ったらに鍛え直してもらおう。

ダークトリニティめ…次にあったときは全員キッチリ仕留めてやるからな!!