3章・旅は道連れ先駆け編 -平社員、解説者になる-

3章・旅は道連れ先駆け編

平社員、解説者になる



「全国のポケモンバトルファンの皆様こんにちは!

こちら、新しく出来たポケモンワールドトーナメント会場は凄い熱気に包まれてます

栄えある第1回目の大会、解説者に元シンオウリーグチャンピオン代理の

さんにお越しいただきました。さん、よろしくお願いしますっ!」



あー、なにか言わなきゃなんないって事だよね?

受けちゃった事に後からグダグダ言うのは大人のやる事じゃないからね

チョロネコとレパルダス総動員してでもきっちりとやり遂げてやんよ!



「はじめまして、元シンオウチャンピオン代理のと申します。

私の様な者がこの様な素晴らしい大会の解説者に選ばれるなんて驚きました。

色々とお聞き苦しい所もあると思いますが、よろしくお願いいたします。

うわぁ…会場はもうお客様の興奮と熱気で盛り上がってますね!」



「えぇ、今回の大会ではヒオウギシティのジムリーダーが参戦してます。

その他にも新人トレーナーの方や、科学者として有名な方まで老若男女

職種も様々な人達によるバトルが行われる予定になってます。」



「そういうトレーナーの肩書きを超えたバトルが醍醐味なんですもの。

ポケモンバトルはトレーナーの腕の見せどころですし

今回の出場者の皆様がどんなバトルを見せてくれるのか楽しみですねっ!」



うわーい、これ誰?こんなトーンの高い声なんて出した事ないよ!

テレビでも放送するってんで、エキシビジョンマッチで着てた衣装だし

バッチリフルメイクで皮膚呼吸がやばい事になってそうなんだけど!

あ、こっちにカメラが向いてるからスマイルだ、頑張れ私。



「ホドモエトーナメント、今回エントリーしたポケモントレーナー達はこちらっ!」



会場の大型スクリーンに、登場するトレーナーさん達の顔が映し出される。

実況の人のセリフなんて覚えてないぞー。んで、解説者なんていなかったよね?

ストーリーと違う事が起きちゃってるんだけど大丈夫かな…ちょっと心配。



「いよいよ開幕!ホドモエトーナメント!!初挑戦、メイ入場!」



フィールドの司会者が1回戦の出場者を呼び出した。

歓声に包まれて入ってきたメイちゃんはかなり緊張してるっぽいなー



「対戦者はこちら!大切なポケモンを探すため!己を鍛える ヒュウ!!」



んでヒュウ君は無茶苦茶気合が入ってるよねー。

あ、実況の人がこっち見てるって事は何かしゃべれって事だよね。



「この二人と、もうひとりエントリーしてるキョウヘイ選手とは

ジム巡りをしてる時よく一緒になるんですよ。新人トレーナーとしては

皆、前途有望なので今回のバトルでも何かを学んで欲しいですね。」



審判員が合図をしてバトルが始まった、やっぱりヒュウ君が推してるなー。

でもメイちゃんのポケモン達も負けてない、凄く頑張ってる。


他の対戦もそれぞれ見て解説をするんだけど

キョウヘイ君は気持ちが空回りしてるなー、こりゃちょっと難しいかも…

チェレン君はまぁジムリーダーだし?余裕のバトルだよね。

んで、驚いたのがアクロマさんのバトルだった。この人こんなに強かった?

相手に付け入る隙すら与えないで一方的に攻めまくってるんだけど。


第1回戦の他のバトルは終わって、残ってるのはヒュウ君達のバトルだけ

手持ちも今バトルフィールドに出してる子だけになってる。



「このバトル、どうやらヒュウ選手が推してますね!」



「でもメイ選手のポケモンは楽しそうにバトルをしていますね!

こういう絆のコンビは土壇場に強いですから、この勝負まだわかりませんよ?」



ポケモン達がメイちゃんと一緒に勝つんだって気持ちがこっちにまで伝わる。

指示出しの遅れが気になるけど、それもポケモン達を傷つけたくないからで

そんな優しい気持ちをあの子達もちゃんとわかってるんだ。

だから段々と形勢が変わって、とうとうメイちゃんが勝った。



「第1回戦、勝ったのはメイだーッ!!他の対戦結果はどうなっているでしょうか

それでは皆様!ビジョンをご覧下さいッ!」



会場の大型ビジョンに勝利したトレーナー達の顔が映る。

そして第2回戦の組み合わせも発表されて、会場は更に歓声に包まれた。



「それでは次の勝負にまいりましょう!

理想を求め戦い続ける若きポケモントレーナー チェレン!」



チェレン君の登場に会場が沸き立つ、おー女の子の黄色い声援が飛んでるね。

んで、対戦するメイちゃんが見てても可哀想になる位緊張してるよ。



「チェレン選手は新しくできたヒオウギジムのジムリーダーですが

さんは彼とすでにバトルをされてるんですよね?」



「はい、スクールも併設されててチェレンさんは先生としても立派でしたよ。

これからポケモン達と関わる子供達にとって、彼は最良のお手本ですね!

でもいい年した大人が挑戦するのが珍しかったんでしょうね、子供達には

なんでこの人ここに来たんだろうって顔されちゃいました。」



「そう言えばお仕事をされてるんですよね?」



「ライモンシティでバトルサブウェイの委託業者として作業員をしてます。

バトル施設ですからジムバッジの獲得にはとても協力的で助かってますね。

ポケモン達の育成についても、職員の皆さんが色々教えてくださるだけじゃなく

バトルもしてくださるので、参考にさせてもらってるんです。」



そうそう、せっかくなんだからバトルサブウェイの宣伝もしちゃうよー!

ギアステ良いとこ何度でもおいで、サブウェイマスターは強いしイケメンだよー!!



「先日のエキシビジョンマッチではサブウェイマスター達とのバトルで

惜しくも敗退されましたが、やはり上司とのバトルはやりにくかったですか?」



「そんな事を気にしたバトルはポケモン達に失礼でしょう?全力でしたよ。」



「以前の大会優勝者ですからねっ、こちらにも是非参加して欲しいですっ!」



「それは難しいでしょう。サブウェイマスターのホームはやはり地下鉄です。

あの狭くて視界も悪く、足元も揺れて不安定な電車内はこことは違って

よりポケモン達との距離が近く感じられるバトルを楽しむ事ができますからね。

バトル好きなトレーナーなら、きっと楽しめると思いますよ。」



よーし、結構宣伝できたかもしんない?

でもそればっかりしてたらヤーコンさんに怒られそうだから解説もしなきゃ!



「チェレン選手とメイ選手は良いバトルをしてますね!

お互いにポケモン達との絆も強い、どちらが勝ってもおかしくないですよ。」



「もう一方のキョウカ VS アクロマのバトルは…彼は何者なのでしょうかっ!

一方的にアクロマ選手が推してます。この分では勝利は時間の問題でしょう!」



「最良の技構成、能力の上げ方、どれをとっても凄いと思います。

でも、それだけが全てではありません。今後の動向が気になりますねっ!」



まぁ誰が勝つかなんて決まってるんだけど?ってメタ発言はやめとこう。

メイちゃんとチェレン君のバトルもやっとメイちゃんの勝利で終わったみたい。

観客席がどよめいてる。そりゃージムリーダーが新米トレーナーに負けたんだから

皆が驚くのも無理はないかもしんないよねー。



「それでは対戦結果をビジョンにてご確認下さい!

第2回戦!キョウカ VS アクロマ、試合は一方的!勝ったのはアクロマ!!

第2回戦!チェレン VS メイ、これが頂上決戦か?!勝ったメイは何者っ?!

ホドモエトーナメントを征するのはどちらかっ!!非常に楽しみですねっ!」



「えぇ、科学者の肩書きを持つアクロマ選手と新人トレーナーのメイ選手

この二人が決勝に残るなんて、誰も想像してなかったんじゃないでしょうか?」



「まさに第1回の大会に相応しい内容と言えましょう!」



「この戦いに勝てばポケモンワールドトーナメント、初めての優勝!

メイの入場だッ!!」



フィールドをみれば司会者がメイちゃんと呼び出す。



「ホドモエトーナメント決勝戦!対戦相手の入場ッ!アクロマ登場!

願いはポケモンの力を引き出す事!」



緊張でガチガチのメイちゃんとは正反対で落ち着きまくってるアクロマさんは

こっちを見てるんだけど無視だ無視、こんな人知りませんよー

この分だと大会は大成功で幕を閉じそうだよね。ヤーコンさんも喜ぶだろーなー



「わたくしが研究者として求める理想、真実…

それがポケモンがもつ本来の力…それをどうすれば引き出せるのか?

出来得るなら、これまで通りトレーナーとポケモンの信頼関係であって欲しい!

あなたはそれが正しいと教えてくれるのか楽しみです!」



フィールドではそれぞれのポケモン達が一生懸命に闘ってる。

メイちゃんの子達は、大変なはずなのに相変わらず凄く楽しそうだ。

大好きなパートナーと一緒に強い相手と戦えるのが嬉しいって気持ちが伝わる。

だからなんだろうか、急所への命中率、相手の技の回避が凄く高くなってる。

そんなポケモン達の気持ちを受けて、メイちゃんの顔つきも変わり始めた。



「これは意外です、メイ選手、アクロマ選手の攻撃についていっております!

さん、この状況についてどう思われますか?」



「それこそ、先程アクロマ選手が言った通りポケモンがもつ本来の力を

彼等…メイ選手のポケモン達は発揮しているのではないでしょうか?

旅をして、朝も昼も夜も、起きてる時でも寝ている時でも一緒にいるんです

バトルだけじゃなく、色んな事を一緒に経験して乗り越えて来てるでしょう?

そんなポケモンとトレーナーの絆が今のバトルに現れてると思います。」



最後に残ってたアクロマさんのギアルがフィールドの中央で倒れ込んだ。

審判員がメイちゃんの勝利を告げると、会場が大歓声に包まれる。



「優勝は……!メイだーッ!!」



「貴女の傍にいるポケモン達は幸せでしょうねっ!自分達の力を発揮できて!」



どんなバトルでも真剣勝負ならハッピーもスマイルもついてくる。

クダリさんが良く言う言葉だけど、本当にそうだよね。

堅物っぽいアクロマさんまで満足そうに笑ってメイちゃんと握手してるもん。



「いやー、本当に素晴らしい戦いでしたね!」



「えぇ、ポケモン達の繰り広げる世界に会場はすっかり魅了されちゃいました。

この場に居合わす機会をくださった事に感謝します。」



さん、解説ありがとうございました。

ホドモエトーナメント!これにて終了ゥ!!次の大会もヨロシクゥ!!

次の大会でまたお会いしましょう、皆さんさようならっ!!」



はー、なんとか無事に終わった?頑張ったよ私、自分で自分を褒めちゃうよ!

マイクを外して、実況のアナウンサーさんにお辞儀をして席を立つ。

関係者にも挨拶をしながら歩けば、あの子達の他にヤーコンさんやチェレン君が

受付前に集まってなんだか話をしていた。その後ろには…アクロマさんもいるし

うわーい、回れ右して帰りてぇえええ!でもそーいうわけにもいかないよね…



「あ、さん!私、優勝しちゃいましたー!!」



メイちゃんが私を見つけて駆け寄ってきたのを抱きしめちゃったよ。

可愛いなぁ、なんだか興奮してっていうか嬉しくて涙目になってる?

その顔、私が男なら一発で堕ちるぞー。



「実況席で見てたよ。ポケモン達も一生懸命だったね、お疲れ様!」



「開会式ん時にさん見て驚いたぜ!」



「ぼくも!解説者なんて凄いですよねっ!!」



「あははー、まぁそこにいるヤーコンさんに頼まれてね。

ヤーコンさん、大会は大成功でしたね。おめでとうございます!」



「フン、さっきもジムリーダーのホミカが来てエントリーするとか言ってたしな。

各地の強豪が集い、盛り上がっていけばポケモントレーナーの力量も高まる……

ウォッホン!……ではなく、ホドモエは更に発展して金も儲かる!

じゃあな!お前等もどんどん参加して盛り上げてくれよ!!」



いつもしかめっ面をしてるヤーコンさんには珍しく、満面の笑顔だったけど

しまった!って感じで言いかけてた事を咳払いで誤魔化してから

そのまま一気にまくし立てる様にしゃべってどこかに行っちゃった。



「…ヤーコンさんってば、金儲け云々って方が建前の癖にさー

うっかり本音を言っちゃったもんだから照れちゃって、帰っちゃったよ。

あーいうのをツンデレって言うのかなー?ってかデレるヤーコンさんを

ちょっと見てみたいかもしんない…どーやったらデレるかなー?」



さんって、勇者だよね…」



「想像するだけで、キモいぜ!」



「うん…」



いい年したおっさんがデレるなんて貴重だよ?萌えるでしょー!!

え、若い子は思わないの?うわーい、ちょっと自分の年を痛感したぞー!