3章・旅は道連れ先駆け編 -現実に目を向ける子供達-

3章・旅は道連れ先駆け編

現実に目を向ける子供達



キョウヘイ君とメイちゃんはやっぱりここでもプラズマ団とやりあった。

ホントは私が手助けしようと思ったんだけど、今回は先客がいたし…

喫煙ルームを飛び出したからノボリさんは心配して探してくれてたんだろうな。

っちにプラズマ団がいそうな場所を聞く位心配かけちゃったから

これはお礼に掃除か料理でもしちゃおうかな?

さっきの話を聞いてたら、忙しくて家の事が出来てなさそうだもんねー。


シーフードが評判のレストランに入ってメニューを受け取ってから

メニューを真剣に見てる皆に声をかける



「皆大変だったね、お疲れ様!なんでも好きな物を頼んでね!」



「やった!えーっとぼくは…あ、エビが好きなんでこのカクテルを!

それと…パスタよりはもっとお腹にたまる物が食べたいなぁ…」



「キョウヘイ君、ちょっとは遠慮しようよ。

私はアサリのクリームパスタとクラムチャウダーを頼んでも良いですか?」



「ほいほーい、遠慮なんてしないでね。こー見えてお給料もらってるし?

皆のお小遣いよりも手持ちは持ってるから気にしない事!

……ヒュウ君は?もしかしてシーフード駄目だった?」



「あ、別に好き嫌いはないぜ。えーっとソフトシェルクラブのグリルと…

あー、メニューの品数も多いんだけど、どれも美味そうで迷うぜ!」



3人の、特にヒュウ君の事が心配だったけど、この調子なら大丈夫かな?

どうしてプラズマ団を憎んでいるかは知ってるんだけどさー

私は向こうの世界にいた時からちょっと引っかかってるんだよね。


頼んだ料理がテーブルに勢ぞろいして、皆で楽しく食事を始める。

そーいえば、イッシュに来てからは誰かとこうやってご飯を食べてる。

以前の私がこの状況を見たらきっと信じられないって驚くだろうな…



「そう言えば、さんはサブウェイマスターと仲が良いんですね。

ぼく、3人の話を聞いて思わず笑っちゃいました。」



「もしかして、どちらかがさんの恋人だったり?

あ、ごめんなさい!そんな立ち入った事聞いちゃ失礼ですよね。」



「ちょーっと待って、メイちゃん勘違いしないでね。

私とサブウェイマスターの二人…ノボリさんとクダリさんは友達だから!

絡みで知り合って、一緒に仕事もしてるし仲良くなったんだよね。」



メイちゃんが恋バナを聞きたそうにしてるけど、そんなんじゃないし!

ツナのカルパッチョを食べながら、苦笑いしてたらヒュウ君が



さん…サブウェイマスターって凄くポケモンを大事にしてるよな。

バトルサブウェイって廃人の巣窟って聞いてるし、厳選育成もすんだろ?」



「それぼくも思った!瀕死状態でもポケモンはボク達よりも強いはずなのに

さんよりもポケモン達の心配をしてましたよね?

それはちょっと友達なら酷いんじゃないかなっても思うんだけど…」



「うちの子達がそばにいて、私が危険な目にあうわけないって知ってるからね

バトルサブウェイは廃人って呼ばれる人達が集まる場所だけど、皆の思ってる

廃人ってイメージとサブウェイマスターとギアステの職員さん達は違うよ。」



「それ、私も感じました。ギアステーションに案内されて入った時に

出会った職員さん達皆さん、すごくポケモン達と仲が良さそうだったもん。」



「そうそう、皆ねバトルが好きなのもあるけどポケモンが大好きなの。

いっつもポケモン達の事を考えてあげてる人ばかりなんだよ。」



「へぇ、よく聞く噂とは全然違うんだな。」



やっぱりイメージって簡単に変えられないよね。

でも、こうやって少しずつでも良いから皆がどれだけポケモンを大事にしてるか

そういう部分も知ってほしい、バトルだけじゃないんだって知ってほしいな。



「後、聞いても良いのかな…さんの手持ちのネイティ…さっき見たけど

すっごい傷だらけですよね?それってバトルで付いた傷なんですか?

片目も…見えてないですよね?でも凄く強そうだなって、ぼく思ったんです。」



あぁそうだよね、あの子を始めて見る人は皆その姿に驚くもんね。

ちょっと皆には難しいかもしれないけど、話しておこうかな。



「生物兵器って知ってる?ポケモンを戦争に使うために色々変えちゃうんだけど

この子はある組織…プラズマ団みたいな所でその目的で作られたんだ。」



私の言葉に全員息を呑むのがわかった。確かに食事時にする話じゃないけどさ

今じゃないと話す機会がないから許してもらおうかな。

ペリエを一口飲んで皆を見れば、信じられないって顔してる。



「…この子は沢山のポケモン達を犠牲にして改良されて生まれ育ってきた。

それだけじゃない、この子自身もポケモン達の命を奪う行為をさせられてた。

組織が壊滅して、この子は組織の研究員でもあったマスターから捨てられた。

保護しようとしたけど、人間不信になったこの子はそんな人達も傷つけた…」



「マジ…なのか?そんな事許される訳無いだろう!」



「酷い!ポケモンにそんな事するなんて酷すぎる…」



「仕事場にお邪魔した時もさんの頭に乗ってずっとそばにいて可愛いな

きっと凄く大切に育てられたんだろうなって…ぼく、思ってたんだけど…」



うちの子マジ天使だもん、大切にしてるよ?だって家族だもんね。

だけどそれは私のパートナーになってからであって、その前は違ったはずだ。

前にネイティの研究資料を見せてもらったけど、全力で破り捨てたくなった。

その位組織の連中はネイティに酷い事をしてたし、させてたんだ。



「ねぇ、さっきのポケモン達じゃないけどこの子も悪いって思う?

悪い人に育てられたポケモンは同じ様に悪いんだって言えるかな?

私は言えない。だってこの子はマスターが好きで一緒にいたくてやった事だもん

ポケモン達は私達を好きなんだよね。それが悪い人でもどんな人でもなんだ。」



ヒュウ君を見れば、すごく戸惑ってる様な顔をしてる。

さっき君はあの子達も悪いって言った、それが本当ならうちの子も悪くなる。

それからどう考えるのか、それはヒュウ君の自由だけど決め付けないで欲しい。



「この子は未だに人間不信が治ってない。でも月日がゆっくりとだけど

この子を変えてってくれてる…それは人もポケモンも同じだよ。」



「時間がポケモンを変える…」



ヒュウ君がそうつぶやいて下を向いちゃった。

そうだね、君が今からやろうとしてる事にこの問題は関係してくる。

良くも悪くも時間は色々なものを変えてしまうんだ。



「ポケモン達は悪くない。サブウェイマスターさんもそう言ってたっけ…

それじゃあ悪いのは悲しいけど人間…って事なのかな?」



「うーん…ポケモンに悪い事とか良い事ってわかんないのかな?

でもそうだとしたら、トレーナーの責任って凄く重大だよ!」



「だよな、ポケモンは凄い力を持ってる。それを悪用しようとするってのは

人間が考えてる…って事だよな?そんな事オレは許さない!」



子供って凄く真っ直ぐだよね。

自分が感じた事を吸収して成長するんだけど、もしそれが悪意だったら

そう考えると凄く怖くなる。大人…親次第で変わっちゃうんだ。

周囲の大人の責任て、そう考えると凄く大きいんだって改めて思っちゃった。



「ポケモンと一緒にいるのが楽しいってだけじゃ駄目なのかな?

私は沢山のポケモン達と知り合って、皆と仲良くしたいって思うんですけど…」



「ぼくはバトルが好きだから、ポケモン達と強くなりたいな。」



「…オレは強くなりたい…いや強くなるんだ。

ポケモン達と強くなってプラズマ団をぶっ潰してやるんだ。

さんはシンオウのチャンピオン代理だったろ?どうやったら強くなれる?

ポケモンの育て方、技構成、どんなタイプにも勝てるパーティの作り方

色々あると思うから、教えてくれよ。」



「えー、それを言っちゃ旅の意味なんてなくなるよ?

ポケモン達はバトルで勝っても負けても経験した事を無駄にしない。

それにどんな優秀なポケモンでも、トレーナーが未熟だったり信用できなきゃ

その子の力を発揮できないんだからね。私も日々勉強中なんだよ?」



「ぼく、勉強って苦手なんだけど…。」



「私も…」



「なんだよ情けないな…って、オレもだけどな!」



「あはは、実は私もだよ?」



そう言って皆で笑い合って話がまとまっちゃった。

普段は忘れてても良いから、何かの拍子にこの事を思い出してくれれば良い

他人の言葉に惑わされないで、その目で見て、その心で感じて欲しい。









「「「ごちそうさまでしたっ!!」」」



食事が終わってレストランを出ると皆が私にお礼を言ってくれるんだけどさー

年上なんだし奢って当然だと思うんだけど?



「いえいえ、皆はポケモンセンターに泊まるんでしょ?ゆっくり休んでね。

その後はすぐにホドモエに行ってジムに挑戦するのかな?」



私が聞けば3人ともなんだか考え込んじゃった。

これはしばらくはジムに挑戦しないのかな?その方が私としても助かるなー。



「んー、多分ポケモン達をもうちょっと育ててからになると思います。」



「うん、私もちゃんと育ててから挑戦したいなって思ってます。」



「オレももっと強くなってから挑戦するぜ。

なんだかポケモンの事とか色々と考えたいとも思ってるんだ。

あのな…あの……皆にもさんにも聞いて欲しい事があるんだ…。」



ヒュウ君がなんだか凄く真剣な顔をして私達を見てる。

キョウヘイ君とメイちゃんもその雰囲気が伝わってるんだろうな

二人共真面目な顔をしてヒュウ君を見た。



「……5年前オレの妹さ

プレゼントされたチョロネコをプラズマ団に奪われたんだ……」



「ヒュウ君…」



「…だからヒュウはプラズマ団を憎んでるんだ。」



キョウヘイ君とメイちゃんはヒュウ君がどうしてプラズマ団を憎むのかが

わかってなんだか納得したって顔をしてる。



「昔はオレもただのガキだし

何もできなくて…だから……だからもっと強くっ…!!」



その当時を思い出してるんだろうな、凄く悔しそうな顔をして俯いちゃった。

そういう無力感って子供の時には結構あったりするよね、わかるよ。



「ヒュウくんは悔しかったんだね。だから今、凄く頑張ってるんだ。

でも、さっきも言ったけど時間ってのは人やポケモンを変えてしまう。

そのチョロネコがどうなってるのかは誰にもわからないんだ。

それをヒュウ君はちゃんと受け止める事ができる?」



「……さっきから考えてたんだけど、わかんねぇよ。

でも、わかんねぇからって何もしないのはもっと嫌だ。オレは動くぜ!」



そっか、それなりの覚悟はしてるのかな?それなら私が言う事なんてない。

自分の思った通りやってくれれば良いんじゃないかな。

そういう意味も含めて頑張れって頭を撫でてたら子供じゃない!って怒られた。

いやいや、私から見れば十分に子供だよ!


その後も色々話しながら、一緒に歩いてポケモンセンターまで送る。

確かに優秀なトレーナーさん達だけど子供は子供、ここは大人が送らなきゃ!

入口前で、それじゃあ次はホドモエジムで会えたら良いね!って言って別れる

ぶっちゃけ会えたらも何も、会うんだけどね。ここはとぼけちゃうよー。


あの子達はポケモンを育ててからホドモエジムに挑戦するって言ってたな

その方がポケモン達との絆も強められるし良い事だらけだよね。

私は仕事があるから、そんな事が出来ないのがわかってはいるけど羨ましいなー

社会人は仕方がないってか?大人も色々辛いよね!