3章・旅は道連れ先駆け編 -ライモンは ポケモン以外も 強いもん!-

3章・旅は道連れ先駆け編

ライモンは ポケモン以外も 強いもん!



目の前で繰り広げられてる、先程バトルをした子達とプラズマ団とのバトル

あの連中から彼等を守るために、私とクダリが走り出したその時に



「ノボリ、ストップ!どーやら決着がついたかもしんない?」



建物の影に入り、様子を見ればプラズマ団の出したと思われるポケモンが

倒れてるそばで今度は何やら言い争いになってる様でした。



「まじかよ!あれから2年間、鍛える為にかなりいじめ抜いたってのによ!」



「これでは同じ失敗をくりかえしちゃう!」



ポケモンをいじめ抜いた?同じ失敗を繰り返す?怒りを通り越し呆れます!

連中は何度同じことを繰り返せば気が済むのでしょう!



「まいったね!お子様二人にやられるとは…

その強さに免じて教えてやるとするか。

我々プラズマ団はあるモノを探している。

それさえあればアイツは真の力を発揮できる……さらばだ!」



言い捨てて、彼等から逃げ出そうとする連中を取り押さえるべく通路に出た時



「そんな寝言は寝てから言いやがれ!ってんですよ…っと!」



私達の横を通り過ぎて、現場に到着したが彼等に足払いをかけました。



「「!」」



「「さんっ?!」」



突然の事で対応しきれなかった連中は滑稽なまでに地面に倒れ込みましたが

すぐに起き上がるとの前にポケモン達を出します。



「ちょっと待って!この子達さっきのバトルで戦闘不能になってる!

もう瀕死状態で何にもできるわけがない!」



「そんな事見ればわかるだろ!別に知った事じゃない!

いいか、おれ達が逃げるまでこいつらを足止めしろ!死ぬ気でやれ!!」



「貴方達はまだそんな事をやっておられるのですかっ!!」



「うるさいわね、所詮は消耗品でしょ!」



あぁ、ポケモンはこの様なトレーナーの指示にも従わねばならないのです

自分が瀕死になろうとそれは絶対なのです。彼等のポケモンはそれを聞いて

悲しげな表情を浮かべながらも懸命にの前に立ちはだかります。



「やめて!キミ達もうそんな力残ってない!このままじゃ死んじゃう!!」



、彼等を止めてくださいまし!助けてあげてくださいましっ!!」



連中の出したヤブクロンとミルホッグがに襲い掛かります。

それと同時に連中が走り出しの横を通り過ぎようとしましたが



「……私があんた達を見逃すわけないでしょうがっ!!」



襲いかかってきた2匹はの目の前で動きを止め、身体が浮かんでます。

のそばにいるリグレーとネイティの身体が光っているのを見ると

どうやらテレキネシスで動きを封じた様でございます。

その間には男のみぞおちに膝蹴りをした後で女を投げ飛ばします。

再び無様に地面に倒れた連中を私とクダリで腕を捻りあげて押さえ込んでも

連中の悪あがきは尚も続きました。



「畜生!こんな事をして、ただで済むと思ってるのかっ!」



「私達の同志がお前達をやっつけるんだからっ!」



「うるさい、黙って、ポケモン達に酷い事をするような連中は許さない!」



「えぇ、私達のいるライモンシティを貴方達の好きにはさせませんともっ!」



そのまま地面に押さえつけているとメインストリートからサイレンの音がして

と警察の方々がやってまいりました。



「ノボリ、クダリ!助かったぜ!!やっぱりもいたか!

プラズマ団があちこちで暴れるとか、追いかける身にもなれっつーの!」



、プラズマ団の居場所を教えてくれてありがと!

の事だから、追いかければ会えるかもって思ったらホントに会えた!」



「あぁ?……まぁ、一番遠い場所にいた連中をどーにかしてもらいたくて

二人に頼んだってのもあるんだけど、マジで助かったぜ!」



警察の方が連中を連れて行くのを見ていたら、が地面に落ちていた

未だテレキネシスで拘束しているポケモン達のボールと思われるのを拾い



「もうあなた達が悲しくなる事を言う人はいなくなったよ。

苦しいよね、今すぐに楽にしてあげるからちょっと我慢してね?」



そう言うと鞄から…あれは回復の薬でしょうかを取り出して使います。

拘束を解かれたポケモン達はその場に座り込んだまま動きません。

そんな彼等の前にボールを見せて、は優しく言いました。



「ねぇ、あの人達は戻ってこない。ここにあなた達のボールがある。

どうしたい?まだあの人達をマスターと思っているのなら戻れば良い。」



「ちょっと待って!そんな事絶対に駄目!!」



の言葉にクダリだけではなく全員が驚いてしまいました。

普段あれほどポケモン達を思い遣る彼女は何故その様な事を言うのでしょう?



「クダリさん、選ぶのはこの子達です。それが間違っているとしても

この子達が望むなら、私達がどうこう言える事じゃないでしょう?

…それでどうするの?このボールを壊して自由になっても誰も責めない。

今あなた達は本当に自由だから、自分の思う様にして良いんだよ?」



全てはポケモン達の意思のままに…そういう事なのですね。

私達から見れば最悪な関係でも、この子達が違うと思うならそうなります。

だからこそ、あの連中がいなくなった今彼等に選択させるべき…なのですね。



「ちょっと待ってくれよ!さん、それ絶対におかしい!変だろ!!」



「ヒュウ君?」



「ヒュウ、落ち着こうよ。どうしたんだよ?」



今迄黙って私達のやる事を見ていた子供のうちの一人が怒りを隠しもせずに

に詰め寄り意義を唱え始めました。



「あいつらは泥棒で悪い奴だ!そんな奴等のポケモン達をそのままにするのか?

人間を襲う様に訓練されたコイツ等もあいつらと変わんないだろ!!」



「それは違います!この子達の心根は…「黙ってノボリさん。」…ですがっ!」



ポケモンへの偏見を許す事ができず反論した私をは押しとどめて

彼の前に自分のボールを持って泣いているヤブクロンを差し出します。



「ちゃんと見てよ、ホントにこの子達も悪いの?

ヒュウ君、貴方がプラズマ団を憎んでるって、それは前から思ってたけど

あんな連中だってこの子にしたらマスターなんだよ

その繋がりを私達が良いとか悪いとか簡単に言っちゃいけない。」



「だけどプラズマ団は悪い奴らで泥棒だっ!」



「あの連中…人間は悪い人だけど、私達の善悪はポケモンには通じない。

彼等には彼等の決まりがある。性質があるんだから押し付けちゃ駄目。

そんな事をしたらプラズマ団と同じになっちゃうよ?」



「だけど…っ、それでもっ!!」



目の前のヤブクロンを一度見て、彼は顔をそらしてから固く目を閉じました。

意固地になってるとしか思えないのですが、彼なりの理由があるのでしょうか?



「…ヒュウ君、今すぐじゃなくても良い。旅をしてる間にもっと考えて。

人とポケモンの繋がり、ポケモンの気持ち…そういうのを感じて欲しいな。」



そう言うとはヤブクロンをおろして、少年の頭を優しく撫でました。

その手を彼は振り払う事なくそのままに俯いたままでおります。



── パキンッ ──



金属音がして、見ればポケモン達が泣きながらボールを壊していました。

あぁ、マスターである彼等に裏切られ、必要ないと捨てられた彼等の気持ちは

どれほど辛く悲しいのでしょう!この様な事、許されるべきではないのに!

それを見ている子供達も一様にやりきれない表情をしております。

これは人である私達の罪、彼等に落ち度はないのです。それならば私は



「ヤブクロン、辛いですね。ですが良く決断されました。

あなたがどれだけ慕っても、あなたのマスターが同じ気持ちだとは思えません。

今は辛いでしょう、悲しいでしょう。ですがどうかわかってくださいまし。

あなた達のマスターの様な人が全てではございません。

あなたを愛し、必要だと思ってくださる方がきっとどこかにおられるはずです。

どうか人を憎まないでくださいまし、嫌わないでください。」


彼等に人を嫌いになって欲しくないのです。

その傷ついた心を少しでも良いから癒してあげたい。ヤブクロンを抱き上げ

未だそのつぶらな瞳から涙を流し震えて泣いてる背を優しく撫でます。

クダリもミルホッグを抱き上げその腕の中に包み込むようにしております。



「ミルホッグ、泣かないで…っていっても悲しいよね。

痛い思いも辛い思いも沢山したから、凄く嫌な気持ちでいっぱいだよね。

でもね、嫌な事の後には必ずハッピーが待ってる。だから立ち止まらないで。

キミのスマイルなれる場所が必ずあるから、それを探して欲しい。」



この思いがあなた達に伝わりますように、その傷が少しでも癒えるように

私がヤブクロン、クダリがミルホッグを強く抱きしめます。

しばらくして、泣き止んだ彼等は私達に一度擦り寄ると行ってしまいました。

彼等が少しでも心穏やかに過ごせる様な場所を早く見つけて欲しいです。



「……っち、あの子達も罪に問われるの?」



「ん?オレは何も見てねーよ。プラズマ団のポケモン達は奴らが捕まったら

喜んでどこかへ逃げて行ったんじゃねーのか?ま、それが一番良いだろ。

しょーじき言うと皆から事情を聞かなきゃなんねーんだけど、めんどくせーし?

あるがまんま、見たまんまなんだろ?こっちで調書書いて出しとくかんな!」



「ふふっ、ありがと。」



とハイタッチを交わし、私達を見てウィンクをすると

は警察官達のいる方へと戻って行かれました。

面倒な取り調べを受けずに済んだ事は非常に助かりますね。

残された私達、特に子供達はこれからどうすれば良いのかわからない

その様な表情でが歩いて行った方を見つめておりました。



「さーて、すっかり遅くなっちゃったけど、気を取り直してご飯行こう!

勿論私が奢るからね、んでノボリさんとクダリさんは?一緒に行きませんか?」



この騒動はもう終わったと言わんばかりに

子供達に笑いかけた後、私達にも食事を誘っていただけたのは嬉しいのですが…



「行く!って言いたいところだけど、帰ってからやる事いっぱい!」



「えぇ、溜まったシャツを洗濯せねば!明日着るものが無いのでございます。」



仕事が定時で終わる事が多いにもかかわらず、家事全般が疎かになっており

今の私達の部屋の状況はとても人に見せられるものではございません。



「うわーい、男所帯にヤブクロンが湧くって言うやつですか?

帰ったらすぐにやってください、それとも私がパンツ洗いますか?」



「やめて!ボク達これでもれっきとした成人男子!」



「貴女はっ、子供達の前で言う事ではございませんでしょうっ!」」



ひとしきり笑った後、は子供達を連れて行きました。

その姿が見えなくなった後で、私達はお互いの拳を突き合わせました。



「…取り敢えず、には勘付かれてないみたいで良かった!」



「えぇ、心配する様な危険な真似もされておりませんので安心でございます。」



明日からはライモンシティに平和な日常が戻る事でございましょう。

その手伝いをほんの少々ではございますが出来て嬉しいですね。

ライモンのトレーナーなめんなよ!で、ございます!