3章・旅は道連れ先駆け編 -そして笑顔の花開く-

3章・旅は道連れ先駆け編

そして笑顔の花開く



ダブルバトルを終わらせて執務室に戻ったら、ノボリがすっごく不機嫌!

制帽とコートを壁にかけて、恐る恐る近づいてみれば

ノボリは書類をみて怖い顔をしてた。

なんでそんなに不機嫌なのか不思議に思ったから横から覗いてみたら



「…からも聞いてたけど、またあの連中は何かやる気なの?」



「おや戻られてたのですか。えぇ、何かはわかりませんがロクな事じゃない

それだけははっきりしておりますので、はた迷惑な話でございます!」



書類は警察からライモンシティの各施設に届けられたみたいで

その中身は、プラズマ団の連中がライモンシティに潜伏してるらしいって

それで各施設で十分に警戒態勢を取るようにって書いてある。



「もう前みたいな真似は絶対させない、地下鉄の安全は絶対守ってみせる!」



「えぇ、それが私達サブウェイマスターの使命でございますっ!

それにしても、連中は今度は何をやらかそうとしているのでしょうね?」



「あんな連中の考えてる事なんて、ボクにわかるわけがない!

でもね、これってのミッションに連動してるのかもしんない?」



「あぁ…次のジムはここライモンシティでございましたね。

では今度もは彼等と対峙するつもりなのでございましょうか?」



「あのねノボリ、を心配する気持ちはボクもおんなじだけどし過ぎ!

ミッションクリアにも影響がでちゃうかもしんないから気をつけて?」



「………わかっております。」



の名前を出したらノボリがふうって溜息をついた。

の暴走なんて今に始まった事じゃない、ポケモンとか仕事が絡んだら尚更

ノボリはどーせ危ない事をさせたくないって思ってるんだろうけど

は普通の女の人と違う。大人しく守られる子じゃないのは知ってるのにね


各部署にそれぞれ警戒態勢を取る様に指示をして、今日の仕事は終わった。

最近はホントに残業する事がなくて嬉しい!

着替え終わってから、屋上へ行って温室の扉を開ける。

暖かな空気と一緒に花の香りがボク達を包み込んでホッとさせてくれる。



「ダンゴロお待たせしました!」



「ドッコラーどこー?」



ボク達の声を聞いて、遠くの茂みが揺れてドッコラーとダンゴロが飛び出した。

ホドモエで見つけたタマゴから孵化したこの子達は生まれるのを拒んでたけど

今じゃ元気いっぱいに毎日が楽しいって感じで過ごしてる。



「うわわっ、あはは!ドッコラーってばホント甘えん坊!」



「ふふっ、ダンゴロその様に慌てなくてもバトルは逃げませんよ?」



ボク達を急かすように前を歩いている2匹の後を笑いながらついて行く

道順を覚えちゃうくらいきてる場所は職員専用のバトルフィールドで

終業時間を過ぎたのに、そこには沢山の職員さんとそのポケモン達がいた。



「ボス達お疲れ様です!ダンゴロとドッコラーにお願いがあるんですが

ボクの育成中のディグダとバトルしてもらえませんか?」



「オレモ!ワシボンガ リベンジシタイッテ!!」



「ダンゴロもドッコラーも凄く強くなってて、流石はボス達だな。」



「ボス達ー、てつどういんの子達ばかりじゃなくオレ達ともお願いします!」



「私達とも是非手合わせしてくださいっ!」



この子達はバトルが凄く好き、楽しいってのが見てても凄く伝わってくる。

そんなバトルだから対戦してるポケモン達もいつも楽しそうだったりする。

そして、終わった後は勝っても負けても、どっちもすっごく良い顔してる!

ポケモン達もだけど、ボク達も対戦した皆もすっごいハッピーでスマイル!

そのバトルひとつひとつが確かにこの子達に何かを教えてる気がする。

すっごく時間がかかるけど、こういう育て方も大事だなって思い出した。



「うわーい、皆さん勢揃いとか流石廃人…ゲフンゲフン…仕事熱心ですね!

こりゃーうちらも負けてはいられないぞー。」



、俺の子とバトルしようぜ!ちょっと技構成変えたから

今度は前みたいな負け方はしない、絶対勝ってやるからな!!」



「トトメス、次のジム戦に向けてゼブライカの対策を考えたいんだ。

すまないがちょっと協力してくれないか?」



「了解、ミジュマルだと苦戦しそうだからな。」



、ちょっとムーランドの毛艶が良くないんだけど見てくれよ!」



「どれどれ…あぁ、これはブラッシングの仕方が悪いんだ。

ムーランドみたいに毛足の長い子はブラシを使い分けなきゃ駄目だよ。」



達がやってきて皆を見てすっごくいい顔をして笑ってる。

チャオブーとフタチマルもバトルがしたくてたまんない!って顔してる。

ジム巡りをしてるのは全員が知ってるから、皆二人とバトルをしようと集まる。

それぞれに笑いながら何かを言うを見てノボリが笑った。



達の子達は相変わらずモテモテでございますねぇ。」



「ボク達も負けてらんない。ドッコラーすっごい本気のバトルしよう!」



何戦したのかわかんなくなる位バトルをして、時間も遅くなったから

職員の皆はそれぞれ帰って、残ったのはボク達と達だけになった。

フィールドの整備も終わったから皆で帰ってご飯食べようかって思ったら



「ダンゴロどうしました?今日はもうバトルは終わりでございますよ?」



ノボリのダンゴロがフィールドの定位置について嫌々ってしてる。

その反対側にはボクのドッコラーがいて、準備オッケーになってた。



「ドッコラー、今日はいっぱいバトルしたから疲れてる。

だからもう帰ってご飯食べて休まなくちゃ駄目。また明日にしようね?」



サブウェイで使う子達ならまだまだバトルもさせるけど

この子達にはそういう急いだ育成をしたくない。ボクとノボリで説得するけど

2匹はそれでもバトルをしたいって言ってきかない。



「ボス達、あと1戦くらいバトルをしてあげても良いと思うよ。」



「だな、これだけやる気になってるんだからその方が良いと思うぞ。」



「うんうん、きっと2匹には何か理由があるのかもですよ?」



達に言われてボクもノボリも考え込んじゃった。

確かにバトルは好きだけど、こんな風にわがままをいう子じゃない。



「クダリ、ラスト1戦よろしいですか?」



「オッケー、この子達がここまでバトルしたいって気持ちを大切にしなきゃ!」



ボクとノボリがトレーナーの定位置につけば、が審判役をしてくれるみたい

それぞれに定位置についてバトルを開始した。



「ダンゴロ、相手は格闘タイプですがいつも通りでございます。どろかけ!」



「ドッコラー相性は良くても油断できない。めざましビンタ!」



レベルアップして覚えてる格闘技はめざましビンタとけたぐりだけ。

相手が最終進化のギガイアスならけたぐりも有効だけどダンゴロは重くない。

普通はそうなんだけど、ボクのドッコラーにはタマゴ技がある!



「ドッコラー頑張って、ドレインパンチ!」



「タマゴ技にはタマゴ技。ダンゴロ、マグニチュードでございます!」



うわー、初手のどろかけが影響してドッコラーの攻撃が外れて

ダンゴロのマグニチュードのダメージが最高でドッコラーは倒されちゃった。



「ドッコラー戦闘不能!この勝負サブウェイマスター、ノボリの勝利!」



シングルではどーしてもノボリに勝てない、ダブルなら負けないけどね!

定位置についてありがとうございましたって言おうとしたら

ドッコラーとダンゴロの様子が変で、ボク達は急いでフィールドに入った。



「ドッコラー、大丈夫?って、これってもしかして…」



「ダンゴロ?大丈夫で…まさかこれは…!」



ドッコラーとダンゴロの身体が光り出して、瞬間目が開けてられなくなった。

光が消えて目を開ければ、そこにはダンゴロもドッコラーもいなくって



「うわー、ドテッコツ!凄い…凄い凄い!進化した!やった!!」



「ブラボー!スーパーブラボー!!あぁ、ガントル…貴方の頑張りが

この様に進化となって現れたのですよ。本当によく頑張りました!」



嬉しくってギュッと抱きしめる。すっかり大きくなっても甘えん坊で

ちょっと恥ずかしそうにしてからドテッコツも抱きしめ返してくれた。

勝っても負けてもどんなバトルでもこの子達の経験になる。

それが積み重なってこうやって進化する様子は何回見ても感動する。


2匹の進化を見て、もおめでとうって喜んでくれたけど

だけはなんだか黙り込んで下を向いたまんまだった。



、どーしたの?ボク達の子の進化を喜んでくれないの?」



ボクの言葉に顔を上げたはなんだか泣きそうで

ゆっくりと首を横に振ってから顔を歪めてまた下を向いちゃった。



「……私にはそんな資格ないです。

だって、私はこの子達は生まれてこない方が良いって言っちゃいました。

多分この子達はタマゴの中で聞いてたはずだから、そんな奴からの言葉なんて…」



はこの子達が親に捨てられて産まれたくないって言った時に

産まれないって選択をさせても良いって言ったのを気にしてるんだ。

でもね、それが本心じゃないってのはここにいる皆がわかってる。

はこの子達の境遇が自分とダブっちゃったんだってボク達はわかってる。

だけど…ううん、だからこそにはおめでとうって言って欲しい。



「あのね、一番最初にタマゴを助けようとしたのは

それはこの子達にもちゃーんと伝わってる。どーして産まれない方が良いかって

あんな事を言っちゃったのかはボク達がちゃーんとわかってる。」



ボクがの肩をポンポンって小さい子にするみたいに叩いて言えば

ノボリもやってきて、をギュって抱きしめてから頭を撫でて



「過去は変えられないけど、大切なのは今だといつも貴女は言ってるでしょう?

貴女は今でも彼等が産まれてこなければと思ってらっしゃるのでございますか?

違うでしょう?今の貴女の気持ちを素直に言葉にすれば良いのですよ。さぁ…」



ボク達をまるで迷子の子供みたいな顔をして交互に見ていた

ガントルとドテッコツの方を向かせて、ノボリはゆっくり背中を押した。

思いは伝わってるけど、言葉にしてもらった方がもっと嬉しい時だってある。

どんな言葉でも良いから、の言葉をこの子達に聞かせて欲しい。


瞬き3回分位後にはしゃがみこんでゆっくりと口を開いた。



「ガントル、ドテッコツ、私は…貴方達が産まれてきたくないって思った時

そうしてあげなよって言った。親に捨てられるって辛いから…

生きてる意味がないって思ったからあの時は言ったんだけど違ったね。

貴方達は乗り越えたんだね、凄いよ…よく頑張ったね。」



そう言いながら、は2匹を優しく撫でた。

2匹は気持ちよさそうに暫く目をつぶってたんだけど、急に目を明けて

に擦り寄ってからまるで子供をあやすみたいにその背を撫で始めた。



「ふふっ、応援ありがとう。私も頑張るよ。

貴方達に出会えて良かった。産まれてきてくれて良かった!」



その言葉を聞いてガントルとドテッコツがニッコリと笑った。

それを見て、が綺麗な顔で笑う。その笑顔がボクはすっごく好き。

もっともっとその顔を見たいって思う。させてあげたいなって思う。



「今日はお祝いをしなくてはですね!夕食は私が用意させていただきます

皆で2匹の進化を共に祝ってくださいまし。」



「そういう事なら俺も手伝うぜ。腕によりをかけてご馳走作ってやるからな。」



「それじゃあ、私はポケモン達にお菓子をどーんとふるまっちゃいますよー!」



「オレはとっておきの酒を用意させてもらうぞ。」



「あはは、すっごいお祝いなりそうだね!」



最初は不思議そうにガントルとドッコラーはボク達も見てたけど

皆が笑ってるからかな?2匹もなんだかすごく楽しそうに笑いだした。