3章・旅は道連れ先駆け編 -平社員の危険予知?-

3章・旅は道連れ先駆け編

平社員の危険予知?



リザードンで空を飛んでいる最中に、ライブキャスターを起動させる。

主人公ちゃん達の位置が海上になってるから、まだ船にのってるんだろうな。

本当ならうちらだって正規のチャレンジならそうするはずなんだけど

チートだし?ってか、仕事をしながらジム巡りなんて普通の人なら

到底出来るわけがない!流石はバトルサブウェイ、廃人施設だよ!


先を飛んでるカイリューがゆっくりと高度を下げるのに気がついて下を見れば

高層ビルが放射状に並んだ大都市が眼下に広がっていた。

港には大小様々な船が停泊してて、これはゲームの画像とはちょっと違う。

普通に生活してる場所としては当たり前なのに、それが珍しいって思うのは

やっぱり私がこっちの人間になってない証拠なんだろうな。


中心部に広がる円形広場にある緑地帯に降り立ってリザードンをボールに戻して

同じようにカイリューをボールに戻したと一緒にマップを確認する。



「これだけ広いと色んなイベントが発生するんだろう?

ジム以外に行く場所があるなら俺も一緒に行く…つーか、付き合うぞ?」



…正直いってここから先は単独行動したんだよ!とは流石に言えない。

ぶっちゃけは私を監視してるんだと思う。

私が無茶をしないように、馬鹿な真似をしないように…

それは今迄皆のミッションに首を突っ込みまくった前科持ちな私が悪いんだけど

いざ自分のミッションの時になると、そーいうのはすっごくやりにくいんだって痛感

うわーい、過去に戻ってぶん殴ってでも全力で自分を止めたくなったぞー。



「…うちらはイベントに参加する必要はないよ。

ここでは自転車をもらえるイベントもあるけど、うちらには必要ないし?

アイテムをもらえるイベントだって必要ないからねー。

あ、でもヒウンアイスは食べたい!売るなんてしないで絶対食べるもんね!!」



確か1個買うか12個のまとめ買いが選択できるはずだったよね。

ここは社会人として大人買いの12個まとめ買い一択しかないでしょう!



「ギアステでも食えるのに、わざわざここで食う必要があるのか?

まぁ、そういう事ならまずはポケセンにいってカイリュー達の回復をして

それからジムに直行、その後ポケセンに戻る途中でヒウンアイスを買うっていう

ルートにすれば良いんじゃないか?ほら、この途中に…そうだ。」



がマップを指差しながらルートを説明してくれる。

マップを見ながら、私はヒウン下水道の場所をもう一度確認する。


別に私が首を突っ込まなくても、何度も皆に言われるように主人公のあの子達は

ジムに挑戦するだけの実力を持ったトレーナーなんだ。それはわかってる。

だけど、連中がポケモンを使わないで実力行使しようとした時はどうするの?

あの子達が自分の身を守るだけの術を持ってるとはとうてい思えない。

ポケモンがあの子達を守りきれる?とっさの行動で判断が遅れた時は?


ストーリーはちゃんと進むはずだから大丈夫ってわかってるんだけどねぇ…

前にが言ってたけど、子供を見守る親の心境ってやつなのかな?

私にはそれがよくわかんないけどね…世間一般ではそうなんでしょうよ。



「…、やっぱりどこか行きたいんじゃないのか?」



「あぁゴメン違うんだ。すっごい広いから、迷いそうだなーって。」



駄目だ、勘の良いだからこれ以上考え込んじゃうとバレちゃう。

今だって私の顔を見ながら何か企んでるんじゃないかって疑いかけてるし。

ポケセンに到着して、ボールを預けてからジムに向かう間もの視線が

ずっと私に降り注いでいて、これには私も苦笑いするしかなかった。



「実はね、モーモーミルクをもらえるイベントはやりたいなって…

バトルするわけじゃなくて、話をするだけだから一人で行こうと思ってるんだ。」



「お前なぁ…、どんな小さな街でも必ず迷うくせに何を言ってるんだ?

こんな広い場所で迷われたら回収するのが大変なんだからやめてくれ。

俺も一緒に行くから場所を教えろ。…スリムストリートのカフェ?名前は?」



「…いこいのしらべ、でもラルトスがついてるし大丈夫だよ!

たまにはのんびりブラブラ一人で知らない場所を探検したいなって思うし

どうしてもダメだったらライブキャスターで連絡入れるから!駄目…かな?」



今じゃこうやって一緒に色々してるけど、うちらは元々個人プレー主義だし

そういう一人になる時間が必要だっていうのもわかってるから

私がこう言えばは疑っててもそれ以上深入りはしてこない…はずだ。

案の定、困った様な顔をして溜息をついてから私の頭を軽く小突いた。



「まぁ、お前ものんびり1人になりたいって思う気持ちもわかるからな。

そういう事なら俺はもうなにも言わないが、何かあったら必ず連絡しろよ?」



「了解、まずはバッジゲットに集中しなくちゃだよね。うし、頑張るぞー!」



ジムについて受付を済ませてから先へ進む。

今回もが最初にやるって言うから、どうぞと譲ってバトルを見る事にした。

……相変わらず押せ押せでもポケモン達も張り切ってるね!

途中でライブキャスターであの子達の位置を見れば、どうやら到着したみたい。

今は…おそらく自転車をもらったと思うからあちこち動き回ってるのかな?



「…ダメですってば!…あぁ、もうどうするんですかっ!」



受付の方でなんだか大きな声がしたからそっちをみたら

あれは…確かジムリーダーのアーティさんだったよね?その人がジムを出て行って

それを追いかけてたのかな?ジムの人達が困った様に立ち尽くしてた。



「…はじまったみたいだね。」



これはストーリーイベント、これから現チャンピオンのアイリスちゃんと

あの子達はヒウン下水道でプラズマ団と対峙する事になるはずだ。

を見れば、まだバトル中。動くなら…今しかないね。

受付の人にどうしたんですか?って聞くと



「あぁ、ジムにチャレンジ中の所申し訳ありません!

ジムリーダーのアーティさんはちょっと急用で席を外してしまったんですよ。

戻り次第すぐ挑戦できる様にいたしますので、そのままトレーナーとのバトルを

どうぞ続行なさってください。本当に申し訳ありません…」



「いえいえー、ジムリーダーさんも色々お忙しそうだし大変ですよねー。

んで、どちらに行かれたんですか?え、わからない?…そうですかー……」



さーて、バトル中のを放置する時点で怒られるのは確定だけど

ここはやっぱりお節介焼いた方が良いのかな?

なんだかわかんないけど今回は別に大丈夫って気もしないわけじゃないし

色々怒られるなら大人しくここにいるべきなんだろうか…迷うなー。

ジムを出て、ラルトスを出したは良いけど行くべきか迷っていた私の後ろで



「アーティってば、急にどうしちゃったんだろ…って、うわわ、?!」



なんだろ、すっごく聞いた事のある声がしたぞー。

それもここでは絶対に聞く事のないはずの、普段なら聞きまくりの声なんだけど?

嫌な予感しかしないけど、そっちを見て確認しなきゃ話が進まないよねー。

うりゃっ!と振り返ればよく知った顔が3つとか…うわーい、動かなくて正解?



「ここにいるはずのない顔が揃って3つとか…私は夢を見てるのかな?」



「…現実逃避は駄目、ボク達はちゃんとここにいる!って驚かそうと思ったのに

こんな所でバレちゃったら意味がないのに!」



「アーティ様がどこかに行かれなければいたずらも成功でしたのに…

まぁ、今更それをどうこういっても仕方がございませんが?ねぇ、?」



「ったく、何がいきなり 事件!かもしれないだぁ?芸術家の考える事ってのは

俺達には理解不能で困っちまうぜ。」



あー、そう言えば今日は皆仕事が休みだったもんね。

だったら堂々と一緒についてくれば良かったのに!私の動きを勘付いてる?

それなら今度からはもっと気を引き締めて動かなきゃならないんだけどな。



「後をつける様な真似をして申し訳ありませんでした。

私もクダリもがシングルバトルをしてるのを見た事がなかったので…」



「うん、アーティに頼んで控え室から見せてもらえる事になってた!

んで、終わった後におめでとう!って出て行って驚かせようと思ってたのに!!」



「俺も暇だし?スイーツ巡りでもしようと思ってな。

ヒウンシティはでかいから有名なショップが結構揃ってるしどこも美味いんだよ。」



今、私の眉間にはきっとすっごい皺ができてるんだと思う。

目の前の三人が視線をそらして企んでる事を暴露してくれたんだけど

それってどこのいたずらっ子ですか?と説教したいぞー!



「つまり、うちらのジム戦を覗こうとしてたと?

んで、その後で出てきて驚かせてやろうとしてた…そーいう事なんですか?」



三人揃って同時に頷きやがったし!

すっかり忘れてたけど、ノボリさんもクダリさんもこういういたずらに関して

大いにノリノリになる人達だったよ!初日にもいたずら企んでたの忘れてたよ!

あの時も途中でにバレてすっごい怒られたっけ…

でもそういう事だったら、今回は私の動きがバレてたってわけじゃないみたい。

それはそれで良かったかもしんないな。



、ジムリーダーがちょっと席を外したらしくってな…

…って、お前等がなんでここにいるんだ?」



トレーナーさんとのバトルを終わらせたが3人を見て凄く驚いてるから

これは本当に悪戯っていうか、サプライズを仕掛けただけみたいだね。



「受付の人に聞いた。んで、戻り次第チャレンジ再開できるってさ。

こっちの三人はうちらのジムバトルを覗こうとして、お友達のジムリーダーに

頼み込んでお邪魔してたらしいよ?…そういう事なんですよね?三人さん達。」



「えぇ、大変子供じみた真似でお恥ずかしいのですがその通りでございます。」



「だってのシングルバトルも、の本気のバトルも見た事ない!

どんなバトルをするのかすっごく見たかった、だからアーティに頼んだ。」



「俺はこいつらの計画を知って便乗しただけだ。

スイーツ巡りははずせねぇがな。ったく、バレちまっちゃつまらねぇだろう!」



私の説明と、三人の言い訳?を聞いても呆れた顔をしちゃったよ。

でもいい歳ぶっこいた大人がやる事じゃないって考えれば仕方ないよねー。

ここで待ってるのもなんだしって事で、場所を移動したんだけど

そこは行きたいって言ってたカフェで、全員がモーモーミルクをゲットしたよ。

マスターすっごく太っ腹!ノボリさんなんかこれでプリンを作ります!とか

宣言しちゃったし?それはそれでおこぼれにありつけるから嬉しいんだけどね。



「ところで、てめぇはあの時どこかへ行こうとしてたみてぇだったよな?

ジムリーダーがいきなり出かけるなんざ前代未聞だし、イベント絡みか?」



カフェ特性のモーモーミルクセーキを飲んでた私に声をかけたんだけど

もうちょっとで鼻から牛乳になりそうだったし。

いやー、ホント動かなくて正解だったかもしんないよね。



「まぁね、でも流れで行けば問題ないってのもわかってるんだけど?

だから今回は動こうかどうしようかちょっと悩んで躊躇してたんだ。

そこに三人が出てきたでしょ?ノボリさんとのダブルの正座説教とか

絶対嫌だったから、これは首を突っ込まなくて大正解だったと思うよ。」



「…何度も申し上げておりますが、年齢で言えば子供であっても

ジムに挑戦できるトレーナーなのですよ?それほど心配する必要はないのです。

がそうやって彼等と接触をしなければならない理由があるのですか?」



「ノボリ、それはないと思う。ってばホントに心配性?

貧乏くじを自分から引くって自覚してても結局はこうだし?ホント仕方ない!

でもね?そんな事してたら自身にも色々危険がせまっちゃうんだよ?

そんなのは絶対駄目!だからもっと自分を大事にして欲しい。ね?」



カフェオレを飲んでたノボリさんが眉間に皺状態でこっちを睨んでるし

んで、クダリさんもノボリさん?って感じで同じ顔をしちゃってる。



「…確かに、私が動いたからストーリーがどうこうなるってわけじゃないし

これからはちょっと自分の行動を考えてみますね。…これでオッケー?」



あれもこれも欲張るのは良くない。

あの人もこの人も、あのポケモンもこのポケモンも…全部を助けたいなんて

それは絶対がつく位に無理な事なんだから考えなくちゃいけない。

私の言葉に満足そうに頷いてくれる皆の顔を見てるとこっちまで幸せになる。

なんの気負いも必要ないこんな時間がとても大切で愛おしい。


欲張っちゃいけない。この時間をいつまでもなんて望んじゃいけない。

だからこそ、今この瞬間を大切にしなくちゃいけないね。

皆の顔を見て笑う私の顔を見て、なぜだかノボリさんが一層綺麗に笑った。