三章・旅は道連れ先駆け編
新人同士の邂逅
準備万端でヒオウギジムに向かうと、そこはスクールも併設してあって
子供達が自分達のポケモンと一緒に過ごしている。
黒板に書かれた文字を一生懸命ノートに写してる子、教科書かな?を
ポケモンと一緒に真剣に読んでいる子、皆の目がキラキラしてて
こういうのを見ると自分が年をとったんだなぁって嫌でも感じちゃう。
隣のを見れば、すっごく優しい顔をして子供達を見ていた。
「、なんだかお父さんみたいな顔してるよ?」
「何気に失礼な事を言うな…と言いたいところなんだがな
俺等の実年齢でいけば、この位の子供がいてもおかしくないんだぞ?」
あー、それは言わないでよね、一気に老けた気がするよ!
私はどっちかって言うと、こういう時期がうちらにもありましたなんだけど?
二人で年寄り目線で子供達を微笑ましく見てたら後ろから声をかけられた。
「どうも!自分はポケモンジムに挑戦するトレーナーをガイドする
ガイドーといいます。ジムに挑戦ありがとうございます。
記念にこれを差し上げるっす!」
振り返り際にいきなり渡されたのはおいしい水で
どこの地方でもガイドーさん達はテンション高いねぇ、なんて思ってたら
マニュアル通りなんだろうけど、一気に口上をまくし立てられた。
「ポケモンジムはポケモントレーナーの腕前が如何程か
試す施設なんですよね!わかりやすく言えばジムリーダーに勝てば
中々のトレーナーとして認められるっす!
ポケモン勝負は戦えるポケモンがいなくなれば負けですので
沢山のポケモンを連れていると有利かもですね!」
大抵のトレーナーが少年少女な中、うちらみたいな成人のチャレンジャーが
最初にくるのは殆ど無いんだろうな、ガイドーさんが珍しそうに見てる。
「…最初のチャレンジャーが来たと思ったらお二人だったんですね。
ガイドーさん、この二人は新米トレーナーじゃないですから。
むしろ目指すべき目標となるトレーナーって言ったほうが良いかな?
ようこそヒオウギシティのポケモンジムへ!お待ちしてました。」
授業に使ってた教科書かな?を小脇に抱えてチェレンくんが苦笑いしてる。
ネクタイをカッチリしめてるのが初々しさを倍増させてるかもね。
「トレーナーは新米じゃないけど、うちの子達は新米だからね?」
「先生の格好が似合ってるな、チェレン君。」
お互いに握手を交わして挨拶をすると、チェレン君は咳払いをひとつして
ちょっと照れた様な感じでうちらを見て笑った。
「一応自己紹介をしますね。ぼくはチェレン、ジムリーダーをしてます。
してるというよりは、なりましたというべきかな?
ジムの最初のトレーナーがおふたりで光栄です。全力でお迎えします。
規則ですので持ち場へ移動して、あの二人に勝てたならボクがお相手します。」
そう言うとチェレン君はフィールドからちょっと離れると
すでに待機してる、たんぱんこぞう君とミニスカートちゃんを指さした。
「ぼくと勝負したいなら、あの二人に勝ってくださいね。」
うんうん、ジム戦はこうでなくちゃ!
私の気持ちに合わせるように揺れるベルトのボールをひとなでしてたら
がフィールドの定位置に向かう。
「には悪いが一番最初は俺がやらせてもらうぞ。」
「まぁそれは良いけどさ、幼気な少年少女にトラウマを植え付けないでよ?
って、開始早々エアスラッシュとかタマゴ技使わないの!」
問答無用ってこー言う事って感じで笑顔で撃破とか可哀想だよ。
あー、二人共すっかり涙目になっちゃってるし…
チェレン君が慌てて駆け寄って慰めてるし、情け容赦無さすぎ!
「キミ達、この人たちはイッシュではジム戦が初めてなだけで
各地方でリーグ戦を制覇してるマスターランクのトレーナーなんだよ。
悔しい気持ちはわかるけど、それだけじゃない事を感じて欲しいな。」
チェレン君に頭を撫でられた二人は大きく頷いて持ち場に戻った。
その目が負けたくないって、頑張るぞって言ってる。
負けてもこうやって前を向いて何度でも立ち上がる事が出来るなら
きっとこの子達は良いトレーナーになると思う。
のジムリーダー戦も気になるけど、まずは私もそっちに行かないとねー
私も負ける気はないわけだから、キッチリ勝利させてもらうよ!
「ポカブ、一緒に頑張ろうね!」
「カブっ!」
フィールドに立ったポカブはやる気満々。色違いが珍しいみたいで
たんぱんこぞう君がうわーとか言ってるけど、そんなの関係なく強いんだよ?
レベルもきっちり上げて挑んでるから余裕で相手のミネズミとヨーテリー撃破!
んで、ポカブがまだ暴れたいって言ってるのをなだめて(連戦は疲れちゃうもん)
今度はキバゴを出してミニスカートちゃんと対戦だ!
「キバゴ、張り切って行くよ!」
「キバー!!」
色違いのキバゴを見て、私も欲しいとか言ってるけど
大切なのは見た目じゃない、中身だって事を忘れないで欲しいな。
そんな事を考えてジムリーダーのフィールドを見れば、バトルが終わってる!
は満面の笑顔で握手してるけど、チェレン君の笑顔がひきつってる。
こりゃあ私も頑張って良い所見せなきゃだね!
りゅうのはどう(私もの事言えないかもしんない…)で一気に撃破して
そのまんまの勢いでジムリーダー戦に突入したうちの子達が負けるわけが無い!
ボールにポケモンを戻しながら、チェレン君に困った顔して笑われた。
「手加減なしが愛だってさんとのバトルで思い知らされましたけど
かなり愛が痛すぎますよ!でもはじめてのバトルがお二人で良かった。
ぼくはぼくのやり方で、このジムでチャレンジャーさん達にとって
ジムリーダーとして、壁でありたいです。」
「私にとってイッシュでの初ジム戦、チェレン君が相手で良かったよ。
未来のポケモンマスターを育てるこの場所で、素敵なバトルを子供達に
たくさん見せてあげて欲しい、ポケモンとトレーナーの絆を見せて欲しいな。」
私の差し出した手を握って、チェレン君は大きく頷いた。
「ジムリーダーとして、最初のチャレンジャーがおふたりで良かったです。」
「いや、うちらはカウントしちゃダメだよ。手持ちも技もチートだし?」
「あはは、でも素直にそう思える、素晴らしい戦いでした。」
私達はイレギュラーな存在だから、このバトルはノーカウントなんだよ。
何よりそのセリフは次に来るあの子達に言ってあげるべきだしね。
最初のバトルで連敗させるのは申し訳ないかなって思ったんだけど
そんな事を気にもせず、純粋にバトルとポケモン達との絆を見てくれて
こうやって言えるのは流石は教師でジムリーダーだと思う。
チェレン君は私とに最初のバッジ…ベーシックバッジと一緒に
わざマシンも渡してくれた。えっと確か…ふるいたてるだったかな?
二人でありがたく受け取ってから、お礼を言ってうちらはジムを後にした。
「うし、まずは最初のバッジゲットだぜ!だな。」
「まぁ目指すはチャンピオンだからここで躓いてらんないんだけどね。
うちの子達もバトルは楽しいって思ってくれたみたいで良かったよ。」
「あぁ、チェレン君は良いジムリーダーになるだろうな。」
そんな事を話しながらポケモンセンターに向かう途中、
急に飛び出してきた人影とがぶつかりそうになる。
私だったら確実にぶつかってる勢いのその人を難なく交わすだけじゃなく
転びそうになった相手の腕を掴んで支えたは凄いよ!
「うわわっ!す、すみません、ちょっと急いでたんで…。」
「君は…さっきも前を見て走ろうって言われたと思うんだがなぁ…。」
「え?あ…さっきの!うわー本当にすみません!」
「キョウヘイ君、そんなに走ったらまた誰かとぶつかっちゃうよ!
あ、あなた達はさっきの…。もう、だから言ってるのに!」
なんていうエンカウント率!でも本音を言わせてもらえるなら
出会うのは私一人の時にして欲しいんだけどなー。
「ゴメン、メイちゃん。えっと本当にすみませんでした。
ぼく、キョウヘイって言います。お兄さんとお姉さんもジム戦…ですか?」
「俺は、あぁ、今終わってきた所だよ。」
「あ、わたしはメイです。終わったって事はバッジをもらったんですか?」
「うん、これが最初のバッジ、ベーシックバッジだよ。
私は、二人共ジム戦をするんでしょ?頑張ってね!」
と二人でバッジを見せたら、うわー!って目をキラキラさせてるし。
初々しさっての?が可愛らしくて思わず二人で笑っちゃった。
「ありがとうございます!メイちゃん、ぼく達も頑張ろうね。」
「うん、絶対バッジゲットしようね!
えっと、さんとさん?すみませんでした。それでは!」
キョウヘイ君の後を追いかける様にメイちゃんもジムに走っていった。
あれは気をつけなきゃまた誰かとぶつかっちゃうんじゃないかな?
「元気な子達だ。やっぱり主人公だからなのかトウヤ君達と似てるな。
メイン主人公は男の子…キョウヘイ君だったか?なのか?」
「んー、流石にそこまではわかんないけどさ頑張って欲しいよ。
そうすれば私が動く必要が減るし?そっちの方が絶対良いはずだから。」
主人公はどうしたってあの二人のうちのどっちかなんだしねー
本当ならそのまま話が流れるのを、ミッションがあるから私が介入しちゃう
それはあの二人にとって良い事なわけがないんだ。
「まぁな…だが取り敢えず顔と名前は覚えてもらって損はないからな。
これからあの二人に何が起きるのか俺は知らないが、それでも心配だ。
俺は目の前であの子達に何か起きたら手助けするつもりでいるからな。」
「主人公のあの子達の出番をとっちゃ駄目でしょ?」
「そんな事を心配するのは神様とかそういう奴等に任せれば良いんだよ。
そもそも子供に世界を背負わせるのが間違いだと思うんだがな。」
「その発言しちゃうと全世界を否定しちゃうよ?」
「構うもんか、くだらない争い事に子供が巻き込まれる。
そっちの方が不自然で、全否定しなくちゃならないと思わないのか?」
その考え方って、こっちの世界の人間としての発言だよね。
ゲームのシナリオがそうなんだからその通りに進んで当然でしょ?って
そんな風にずっと考えてたんだけど、私の方が間違ってるんだろうな。
の質問にそうだねと言ってから、私は改めて考えた。
こういう風に違いが出る理由は私以外の皆が、もうこの世界の住人だからだ。
これがミッションをクリアしたかしないか、そういう違いなのかもしれない。
私も早くそういう風に考えられるようになりたいよ。
そして皆でいつも通りの日々を送りたい、今ならはっきりとそう言えるよ。