三章・指差確認準備中!編 -弁解と暴露とあれやこれ-

三章・指差確認準備中!編

弁解と暴露とあれやこれ



帰宅途中で姿を消したを追いかけてみれば

知らない男と一緒におりました。

どういう事かとそのまま様子を見ていればどうやら顔見知りの様…

ですが、彼女の言葉はとても辛辣でございました。


その後男に手を掴まれて見知らぬバーに入った後

二人は暫く出てきませんでした。

途中で合流したインゴと共に店先で待つことしばし…

慌てたように店を飛び出して来たと男が何か話した後で

その男は通りの向こうへ歩いて行ってしまいました。


今、私達の姿を見つけたは困った様に視線を彷徨わせておりますが



、何か言いたい事があるのナラ許可しマス。」



「むしろ是非とも今の状況を説明してくださいまし。」



私もインゴも言い逃れを許す様な性格ではございません。

それを知ってるは溜息をつきながら口を開きました。



「彼とはエキシビジョンマッチが終わってギアステに帰ろうとしてる時に

声をかけられたんですよ。私のポケモンを見せて欲しいって…」



「彼のお名前は?」



「……あー、そう言えば聞いてないかもしんない。

科学者だって言ってましたね、ポケモンの力を引き出すものを調べてるって

それがトレーナーとの繋がりなのか、それ以外なのかを研究しているって…」



その時の事を思い出しながら話しているのでしょう。

時々上を見ながら、あーとかうーと考え込んでおりました。

その表情を見る限りでは嘘偽りでは無いようでございますね。



「今回の事ハ?」



「えっと、私達と神様ポケモン達の繋がりについて色々と聞かれました。

バトルを必要しない繋がりについてや、そういう信頼関係があれば

モンスターボールなんて必要ないのでは?ってその辺の意見を求められて

後は普段のポケモン達への接し方とか、そーいうのを聞かれましたねー…」



話の内容は研究者が質問する当然なものばかりなのですが…



…貴女はそれら全てにお答えしたのですか?」



「へ?そうですけど…あ、頭でっかちに考えるばかりじゃなくて

トレーナーとしてポケモンと対峙してみろとも言いましたね。

それから色々と物を言いやがれって言いましたけど…拙かったです?」



これには私もインゴも溜息をつくしかないでしょう。



…オマエは馬鹿デス。一方的な質問に答える義務等無いデショウ?」



「インゴの言う通りでございます!その為にこれ程の時間を費やす意味が

どこに存在するのですか?!皆が心配してるのがわからないのですか!」



「…すみません。ちょっとカチンときちゃって…」



「交渉デハ感情的になった方が負けでゴザイマス。」



「貴女の事でございます、ポケモン達への扱いが我慢できなかった…

そういう理由でございましょう?それは相手には効果はございません。」



1対2、まして相手が私とインゴでございますからに勝ち目は皆無、

それがわかっているのでしょう、余り言い返す事も無く謝られます。

ライブキャスターの着信メールを見れば



〈 さっさと帰って来い! 



確かに帰ってから皆の前で話させた方が良い内容ではございますね。



「…さぁ、帰りましょう。皆様も大変心配しておられたのですよ?

この様な真似はもうおやめくださいましね?」



「アチラでもキチンと説明できますネ?」



「…はい…。」



すっかりしょげかえってしまったの肩を叩き家に帰れば

案の定、他の皆様からも怒られております。

流石に可哀想になったので、私もインゴも彼女のフォローにまわる程で

それでもが尚もしつこく聞いてきたのには気になりました。

もしや、あの男性はミッションに関係する人物なのでしょうか?

隣のインゴを見れば、彼も同じ事を考えている様に見えますね。



「シロナ、その科学者っていうのに心当たりはあるか?」



「特徴的な前髪で科学者…それも割と若いっていうか私達位の年よね?

もしかしたら、アクロマって人じゃないかしら…。」



に聞かれてシロナ様がビールを飲みながら口にした名前、アクロマ…

その人物について同じ様にウィスキーを飲まれていたアララギ博士が



「彼の研究は面白い物が多いわ。以前なつき度の論文を発表したのだけど

生活環境やバトル、ポケモンの性格って多方面からのアプローチをして

それをまとめ上げてたわねぇ…」



「それって私も読んだけど面白かったわね。

かなりの実験例の資料を上げて、尚且つ科学的にアプローチしてたし?

私みたいな過去を調べて検証する学者とは真逆の立場にいるのよね。」



シロナ様とアララギ博士はその後色々なポケモンに関する論文について

教えてくださいました。中には非人道的な物もありましたが

そのアクロマと言う科学者はその様な事をされていないようですね。



「研究者って名前がつくだけで、私は嫌いなんですよ。

それも科学者でしょう?ポケモン達の犠牲に成り立つ行為ってのが

例え新薬や病気の究明、治療方法の発見に貢献しても好きになれません。」



「オレも…必要な事なのかもしんないですけど、じゃあその実験体って

どうやって選ばれるんです?それって勝手に決めて良いのかなぁ…」



「難しい事はわかんないですけど、私もトウヤとさんと同じかなー

どんなに小さくても命は命だし?その辺を割り切るのはできません。」



とトウヤ様、トウコ様の意見ももっともでございますね。

ですがこれはどちらが正しいと結論を出せるものでもないでしょう。



「確かにこの問題は賛否両論であろうな。

しかし、はそんな相手にトレーナーになれと言ったのであろう?」



「言いましたよー。頭でっかちの研究バカには言っても理解できないし?

そんならいっそ自分でトレーナーになってやってみやがれって。

その前にあの人は体力をつけた方が良いよ。

私を追いかけて来て、話す事も出来ない位息切れしてるんですよ?

運動不足にも程があります、思わずオッサンって言っちゃいましたよ。」



「ちょっと、彼って私達とそんなに年が変わらないはずよ?!

それを…フフッ、オッサンなんて言われて彼もビックリしたでしょうね。」



「でも私やシロナみたいにフィールドワークが余りないでしょうしね。

運動不足っていうのは仕方がないかもしれないわ。

でも…あはは、その時の彼の顔を見てみたかったわ!」



シロナ様もアララギ博士も何気に容赦ございませんね…

その様な事を言われたら、私なら立ち直れないかもしれません。



「あのね、ちょっと教えて欲しいんだけど、ボールを壊されたら

トレーナーとポケモンはパートナー終了になるんだよね?

どーして達はあんな無茶苦茶な事をやろうと思ったの?」



「それはボクも聞きたかったヨ!彼等が逃げちゃっタラどうスル気だったノ?」



「あぁ?そんなもんそれで終わりに決まってるだろうが。」



「だな、元々俺等はあいつらが自由になっても構わなかったしな。

それはあいつ等の意思で、俺等がどうこう言える筋じゃないだろう?」



「元々いつかは私達から解放するつもりでしたからね。

あの連中に捕まるような子達じゃないですし?それでも良いかなぁって…」



三人の言葉に全員が驚いてしまいました。

あれ程の絆を持ってるポケモン達に対して、それは余りにも冷淡では?



「でも、神様達は皆が好きで離れたくなかったんですね。

オレ、最初のターンでそれぞれの固有技ですか?見たときに

あー、これはオレ達に勝ち目は絶対ないって確信しました。」



「確かにな、だがどっちに転んでもお前さん達は自由になれる。

その腹積もりだったのであろう?」



アデク様の言葉にはニヤリと笑って頷き

それを見たが溜息をついて首を横に振っております。



「今迄何度も同じ事をやられてたもんだから

とうとうブチ切れちゃったんですよねぇ…この二人相手に喧嘩を売るとか

私なら怖くて絶対にそんな事できませんよ。」



「あそこで一番罵詈雑言かました張本人が何言ってやがる。」



「おまけに協会内部の監査の要請だろう?

名誉毀損で訴えられても文句は言えなかったのがわかってるのか?」



「うっ、ご飯が不味くなる話はやめて…スミマセン、何でもないです。」



三人のやり取りに笑い声があがります。

それにしても、どんな状況でも常に自分達が優位に立つやり方…

これは私には考えもつきませんね。



「今回の事ってやっぱりさんが計画したんですよね?」



「そうだけど、トウコちゃんは何か他に方法があったって思うかい?」



「…いいえ、トウヤがもし先に同じ様な事をされてたらって考えちゃって

そうなったら私はなんにもできないんだなぁって、皆さんは凄いなって…」



そう言ってサイコソーダの入ったグラスを手に俯いてしまったトウコ様へ

は柔らかく笑いながらその頭を撫でました。



「え?えぇ??さんっ?!」



「ふふっ、トウコちゃんは本当にトウヤ君が大好きなんだね。

確かに君達子供は大人に逆らえない時がある。それは仕方がないんだけどね

そういう時は逃げるのも有りなんだよ?君達は素直だからなんでも真正面から

ぶつかろうとするけれど、そう言う事が必要な時もあるんだ。

全部から逃げるのは駄目だけど、頭の隅っこででも覚えておくと良い。」



「逃げるかぁ…そういう風に考えた事ってなかったなー。」



トウヤ様がミックスオレの入ったコップをに手渡しながら

呟いておりますが、確かに彼の性格なら考えないでしょうね。



「だよねー、そっか…それが大人の狡さなんですね?」



「うわー、すげー納得したくないけどしなくちゃなんねーかも?」



「二人には体当たりが一番似合ってるけど、仕方が無い時もあるんだぞ?」



苦笑いをしているに大人の皆様が同じ様な表情で頷きました。


言い訳にしか聞こえないかもしれませんが

大人になるという事は、この様に狡さを覚える事なのかもしれませんね。