三章・指差確認準備中!編
英雄の決断とあれやこれ
「何故だ?なぜ向こうのポケモン達は、げきりん後に混乱しない?!」
「おんがえしの威力が最大値なのは有り得ない!
彼等のトレーナーは不在なのに、何故この威力を維持できるんだ?!」
後ろの方でさっきから学者だか博士だか研究者だか?が色々言ってるけど
誰もオレ達を見ていない、オレ達のポケモン達を見ていない。
アデクさんもシロナさんも、すっごく辛そうに指示をだしてるのに
指示を受けたポケモン達が戸惑ってて、辛そうにしてるのに
こんなのバトルじゃねーよっ!
オレの知ってるバトルはいつだってワクワクしてた、楽しかった
凄いバトルはハッピーでスマイルになれるんだってクダリさんは言うけど
このバトルは凄いけど、ハッピーにもスマイルにもなれない。
絶対おかしいだろ、間違ってるって誰が見たって思うだろ?
なんでオレはこんな所に立って、こんな事をしなきゃなんないんだ?
『小さき主よ!何故、何故こんな茶番をせねばならぬっ!!
主は何が真実か理解してるであろう?何故止めぬっ?!』
いきなりボールから伝説のポケモンレシラムが出てきたから
フィールドにいる神様ポケモン達が一斉にこっちを見た。
そしてそれぞれが雄叫び?をあげて敵意をむき出しにしてる。
プレッシャーだったっけ?それが半端ねーよ!
オレを神様ポケモン達から庇う様に立ったレシラムは
向こうの雄叫び?にこっちもって感じで雄叫びをあげたんだけど
なんだか話をしてる様に聞こえたから聞いてみる
「なぁ、神様ポケモンは何て言ってるんだ?」
『彼等を見てわからぬか?この戦いは無意味だと告げておる。
彼等は真実あの異端の者達を好いておる、それを邪魔する事など
誰もできぬであろう?許される事ではないであろう!!』
「そっかー、そうだよなぁ…オレもお前を取り上げられたりしたら
絶対そいつらを許さないし、勝ち負けなんて関係なく戦うし!」
ダイケンキにみがわりの指示を出しながらレシラムを撫でれば
目を細めてオレに擦り寄ってくる。
オレ達の絆だってさん達に負けてないと思う。
だけど同じ事をされたら、さん達みたいにできるだろうか?
「あのさ、技とか能力とか色々信じられない事が起きてるのはなんでだ?」
『…我々は、ばとる…では人間に合わせておるだけだ。
実際の戦いで、その様な規則など無意味であろう?
主達のやっておる事など、我等に言わせれば余興にしか過ぎぬ。』
あー、ポケモン達がオレ達を選んでるってノボリさんの考えは
正解だったんだなー、やっぱり凄いよな、憧れちゃうよなー。
真実は見えてわかっているけど現実はどうだ?
真実が見えたら、理想に向かってそれを重ねるようにすれば良いはずだよな?
そうやって、理想と真実を繰り返して行けば良いんだよな?
だけど、オレは…今のまんまじゃ真実すら捻じ曲げてしまう。
そんなのレシラムのトレーナーの資格ないだろ。
「レシラム、オレさーこのままだとお前が好きだって言ってくれた
オレの本質?そんなのまでダメにしちゃいそうなんだよなー。
でもそんなの絶対に嫌だし?色々考えるのも面倒だし?」
『小さき主の思うままに。世界中の皆が主を認めぬとも我の主は
小さき主ただ一人、それが真実である。』
レシラムに抱きついて、目を閉じればゲットした時を思い出した。
あの時は必死で、なりふり構わないで突っ走ってたんだ。
色んな人があの時もグダグダ言ってたけど、そうじゃないだろうって
今と同じ様に思ってた。そしてこれじゃダメだって体が動いてた。
フィールドにいるポケモン達が倒れて、オレ達はボールに戻した。
残りはオレのポケモンだけ、レシラムだけ
「トウヤ、何か考えてるのだろう?
今のお前の顔はあの時と同じだ。もう良い、十分だ。
こんなくだらん事にお前を巻き込んですまなんだな。」
「大人だから皆が立派じゃないって、今のあなたならわかるわよね?
こんな大人は見習わなくて良いわよ、思うまま自由におやりなさい。」
やっぱりチャンピオンをする人ってのはこういう人達なんだろうな。
ポケモンが好き、バトルが好き、そしてパートナーが大好きなんだ。
だけどこれだけ凄い人達でも、自由に動けないなんてさー
「マジで大人ってめんどくせぇえええ!」
好きにしろって言われたからさせてもらう!それでヤバくなっても
自分で選んだんだから後悔なんかしない。
そのままフィールドの中央に進んで、神様ポケモンと直接対峙?してみた。
うわー、でかいってだけじゃなく存在感ハンパねぇ!
オレの行動に一瞬警戒して、臨戦態勢取られたときはヤバイと思ったけど
レシラムが何とかしてくれるって信じてる!
「えーっと、初めまして?じゃないよなー。
オレ達の事はボール越しに見てるし?改めまして?まぁどっちでも良いや!
オレはトウヤ、イッシュの伝説ポケモンの1体レシラムのパートナーでっす!」
周りが何をやってるんだって、呆れてるのがわかったけど挨拶って基本だろ?
それは相手がポケモンでも最低の礼儀だと思うんだけどな。
神様ポケモン達もなんだか警戒を解いてくれたみたいで
オレになんだか話しかけてるみたいなんだけどさー
「レシラム、オレには神様ポケモンの言葉がわかんねーから通訳頼む!」
『小さき姿なれど、彼等も彼等の主達も主を認めておるそうだ。
我が認めた主なれば、当然であろうにな。』
「オレって結構前途有望?だったら尚更こんな所でウダウダしてらんねー
皆はちょっと待っててくれな、オレは一応向こうと話し合い?してみる。」
すっかりバトルの雰囲気じゃなくなったフィールドの中で
オレは協会の人達に向かって叫んだ。
「この状態でオレが勝つなんて思ってないですよね?
今までのバトルを見てもわかってたでしょう?俺達の完全な敗北でっす!」
「君はトレーナーだろう?バトルをしないで負けを認めるのか!」
その他にも子供に任せるのは無理だとか色々言ってるけどさ
言わなきゃなんないのはソコじゃないだろう!
「ハッキリ言うけど、こんなのバトルじゃないです!
ポケモン達は戦いたくないって言ってんだよ、それを無理矢理させるなんて
トレーナーの資格すら疑われる様な事をすげー人達にさせてさ
結果負けそうだから…つーか負けだよな。それも認めらんないとか
おかしくないですか?誰もそう思わないんですかっ?!」
「…戦闘不能ではないポケモンがフィールドに存在する以上
バトルは終わったとは認められない。それがルールだろう?」
…これだから子供はとかまた言いやがって、マジでムカつく!
大人になるとアンタ達みたくなるってんなら、オレは子供のままで良いよ!!
『小さき主よ、人はいつまで同じ事を繰り返すのであろうか!
彼等の目には真実が見えぬ!我の存在すら否定されてしまう!!
いっその事、再びこの地を焼き尽くしてくれようかっ!!』
「ちょーっと待ったぁあああ!そんな事させられるわけないだろう?!
って、ゴメンな…せっかく人間を信じてくれたのにさ、こんな場面見たら
そう思うのも仕方がないよなー。」
協会の人達がレシラムがオレの手持ちにいるのも問題だって言ってる。
ふざけんな、そんな事をなんで勝手に決められなくちゃなんないんだ?
ダメだ、このままじゃオレとレシラムも引き離される。
そうしたらレシラムはマジでイッシュをまた焼け野原にするかもしんない。
それは絶対させたくない。こいつをまた悲しませたくなんてない。
「…なぁ、オレがレシラムを大好きだって気持ちは伝わってるよな?
だけどオレはまだ子供なんだよなー、不甲斐ないマスターでゴメンな…」
オレはホルダーの6番目のボールを取り出して
それから…
「でも…でも、オレは間違った事をやりたくないんだっ!!」
それからさん達がやった様にそれを真っ二つにぶっ壊した。
「トウヤ!?」
「ちょっと、トウヤ君!貴方、自分が何をしたのかわかってるの?!」
わかってますよシロナさん、だけど他の方法が思い浮かばない。
反対側のフィールドをみれば泣き続けているさんが見える。
さんとさんが凄く辛そうな顔してこっちを見てる。
そんな顔しないでください、これはオレが自分で考えて決めた事。
大人達がオレとレシラムを引き離すんだったら
オレ自身の手であいつを自由にしなくちゃって思ったんだ。
それがあいつのトレーナーとしての責任だと思ったんだ。
「これでオレはレシラムのトレーナーじゃない!バトルは終わりです!
レシラムはバトルをする必要がなくなった…嫌がる事をさせるなんて
おれはポケモントレーナーとして絶対にそんな事はさせられない。」
レシラムがオレに擦り寄った…ボールから解放された今でも
オレが大好きだって言ってくれてる。
オレ達の絆はボールなんかで縛りつけられる様なもんじゃない
そう思って良いんだよな?
「レシラム、子供は大人のいう事を聞けって言われるんだ。
こんな間違った事でもだぜ?でも大人になれば聞く必要もなくなる。
だからさ…オレが大人になったらまたお前の所に行くから、迎えに行くから
それまで待っててくれるか?また、オレのパートナーになってくれるか?」
オレの言葉を黙って聞いてからレシラムはオレに頬擦りをした。
これって待っててくれるって事だよな?そう思って良いんだよな?
オレはお前が伝説のポケモンだからパートナーにしたんじゃない。
お前の事が本当に大好きで一緒に居たいって思ったから
パートナーになりたくてバトルを挑んでゲットしたんた。
「きっと、レシラムのトレーナーにふさわしい大人になってみせる
今迄オレのパートナーでいてくれてありがとうな…さようなら、またな!」
力いっぱい抱きしめて1歩離れたオレに、レシラムは一度擦り寄ると
雄叫びをあげてから羽ばたいて、あっという間に飛び去った。
周りじゃすげー騒ぎになってるんだけど、もう遅いんだよ。
「神様ポケモンがパートナーを持っちゃダメなんですか?
大好きなトレーナーのそばにいたいって思っちゃダメなんですか?
ポケモンの気持ちなんてどうだって良いんですか?!
違うだろ!ポケモンも人間も気持ちに違いなんてないだろっ!
アンタ達は大人で、すげー人達ばかりだよな?
なぁ、オレが納得できるような答えを聞かせてくれ、教えてくれよっ!!」
さっきまで色々と言っていた大人達はあれからずっと黙ったままで
バトルの終わったフィールドにはオレの声だけがやけに響いてた。