三章・指差確認準備中
事実確認とあれやこれ
ノボリがインゴにライブチャットの招待を出すとすぐにつながった。
自宅のリビングなんだろうが、その後ろにエメットがいて俺は驚いた。
「私達がこうする事は予想通り…とでも言いたそうでございますね。
まずはサブウェイマスターとして言わせていただきます
の出向中、滞在先を提供していただきありがとうございました。」
ノボリがいきなりの低姿勢に出たんで俺達だけじゃねぇ
インゴ達も驚いている様だったが、向こうの方が海千山千どんと来いだった。
『オマエが低姿勢なのは気味が悪いデスネ。
同じくサブウェイボスとして言いマスガ、当然の事をしたまでデス。
今回の出向を許可していただき、こちらこそ感謝してオリマス。
Now…サテ、オマエ達はワタクシ達に聞きたい事があるのデハ?』
エメットからマグカップを受け取り、それを一口飲んでから上目遣いで
本題に入れと促すのはこいつらしいが、なんだか雰囲気が違うんじゃね?
「…あのね、教えて欲しい。がこっちに戻ってきた時泣いてた。
二人は何をしたの?何を言ったの?
後ね、雰囲気が自然体っていうのかな?変わってるんだけど?」
『Ahー…二人はかカラ何も聞いて無いのカナ?』
ノボリとクダリが一斉に俺の方を振り返ったんで横から割り込む。
俺がいるのがなのか、俺達が何も言ってないのがなのか知らねぇが
そんなに驚く事じゃねぇと思うぜ?
「それは俺の口から言うべき事じゃねぇだろう?
ちなみにからも大丈夫だからとしか聞いてねぇからな。」
『オマエ逹らしい…そう言えば良いのでしょうネ。
ワタクシが説明致しマス。事の始まりはワタクシ逹の父親との関係ガ…』
そこに自分の感情を交えねぇで淡々と話すのが逆にインゴの傷の深さ
葛藤の凄まじさを余計に強調している。
そして意外な人物が絡んでたのにも驚いたが
が自分の口からこいつらに過去を暴露したのが一番驚いた。
『……ソノ家の所有権をワタクシとエメットの共有名義に変更シテ
エメットが管理する形で住む事になりマシタ。
出向中にが変わった原因は奇しくもワタクシ逹の問題が発端デ
似た様な境遇カラの連帯感なのだと思いマス。
…オマエ逹泣き過ぎでショウ?いい年をシテ見苦しいデスネ。』
一通り話終わってインゴは画面の前で呆れていた。
そりゃそうだろう、そっちの画面にはしゃくり上げる位泣いちまってる
こっちの従兄弟の顔が映ってんだからな。
「だって…だって二人共そんな事全然言わなかったじゃない!
父様と母様への手紙にだって書いてなかったじゃない!!
そんな思いをしてるんだったら、帰ってくれば良かったのに…っ!
ボク達はそれでも全然良かったのに…そうして欲しかったのに!」
『あのサ、の言葉を借りるナラ…親は親ナンダヨ。
アノ人…お父サンはボク逹が思ってた様ナ人じゃ無かったケドネ。』
「が今も苦労している事の原因全てに、母親が絡むのですね…
親は親ですって?どこまで彼女を縛り付ければ良いのですかっ!
貴方逹もでございますっ!だから私達と距離を置いたのですか?
私達が…どれだけ戸惑ったか、悲しかったか…寂しかったか…っ」
『……父さんが死んだ後に、イッシュに戻ったとシテモ
ワタクシは変わったママ、オマエ逹やおじ様逹も全て切り捨て
遠ざけていたと思いマス。過ぎた事で悔やんでも意味がアリマセン。』
「ですが、私達はそんな事を知らずに…」
『知らない方が良い事ダッタ…そう思いなサイ。
過去は変えられないデショウ?大事なノハ今と未来でゴザイマス。』
こりゃあ本当にあの短期間で例の問題を乗り越えたんだな。
それだけじゃねぇ、人間的にも器がデカくなったんじゃねぇか?
『昔の様にッテサ、それは無理だと思うケド
前とはボクもインゴも違うカラネ?この事はモウ大丈夫
、キッカケを作ってクレテ感謝スル、キミとのおかげダヨ!』
エメットも色々気持ちにケリがついて、吹っ切れた顔をしてる。
まぁ、俺のやった事なんざぁたかが知れてるんだが?
「乗り越えたのはてめぇらだろ?感謝するようなモンじゃねぇぞ。
さて、そっちの話が終わったなら俺達の話を聞いてもらおうか?
てめぇらには黙秘するって言ったがな、そうも言ってられねぇ…
この話を聞けば、否応なしに巻き込まれるからな?覚悟はできてるのか?」
『勿論ダヨ!いつまでも立ち止まっていられないデショ?』
『当然でゴザイマス。手遅れになる前に話しなサイ。』
根本的な性分ってのはこっちの双子逹と似てるんだろうが
正反対に近い性質になったのは環境の違いってか?
相変わらずの偉そうな物言いに思わず笑っちまった。
「まずはのミッションだが…伝説のポケモンの解放らしいぞ?
そのポケモンはてめぇらが調べてたので合ってる。
のがそいつで、俺がレシラム、がゼクロムを持ってる。」
『Unbelievable!』
『Ah, just as I suspected…やはりそうデシタネ。
ソレデ?オマエ逹はどの様にMissionと関わるのデスカ?』
「それは…よくわからねぇんだよ。ただ最終的な場所には同行する。
その後どうすれば良いのか?それはしか知らねぇ…。」
俺の言葉に四人が首を傾げた、そりゃそうだろうな
もっと色々介入する、そしてそれを手伝いたいと思ってたんだろうし?
「そういう意味で言えば、俺達もてめぇらと同じで手探り状態なんだよ。
手札が少ねぇ状態で動かにゃならんってのは七面倒臭いぜ?」
ノボリがくれたビール缶を開けてグイっと飲んでから
さっきから何も言わねぇを見れば腕組みしながらの思案顔だ。
今は何もいう事がねぇってか?まぁ、ぶっちゃけそうなんだがよ。
『オマエ逹の役割は理解シマシタ。
疑問があるノデ答えなサイ、Missionに関係するのはポケモンだけデスカ?』
「どういう意味だ?」
『他に何か…例えば組織的な何かが絡んだのナラ
ワタクシ逹が介入すべき事があるのデハ?それもわからないのデスカ?』
「あぁ…どうだったかなぁ…、前にも言ったがこっちの世界に来るまでは
未プレイだったこれからの事も調べてたから、全部わかってたんだが
こっちに来てからはそういう部分が淘汰されてんのか、抜けてるんだよ。」
ったく、これにはイライラしちまう。
俺もも全て知っていて、何をすべきか頭に入れてたはずなのに
それがどうしても思い出せねぇんだ。
「…プラズマ団だ。」
「「はぁ?!」」
の言葉に、異様にノボリ逹が反応する。
その顔は初めて見るような、敵意しかないもので驚いた。
「あの連中ってば、まだそんな事やろうとしてるの?!」
「そうであるならば私達が何をするかは決まっております。
上等でございます!完膚なきまでにぶっ潰してさしあげましょうとも!!」
『Ahー…ノボリ逹は凄い被害を受けたカラネ。』
『アノ地下鉄ジャックは見ていても正気の沙汰ではゴザイマセンデシタ。
アレ以降、テロ対策強化をする様にと本部の指示でManualも配布されマシタ。
おかげで業務変更諸々に奔走させられ、ワタクシは踊らされマシタ…
ヨロシイ…面白いデスネ、身の程を思い知らせてあげまショウ。』
『本部にもインゴにも翻弄されたボクの苦労は凄かったんダヨ?
倍にしてお礼をしなくちゃデショ?フフッ、楽しみダネ!』
四人とも色々とプラズマ団とは因縁があるって事か…
まぁ、職場愛がハンパじゃねぇこいつらに全面的に喧嘩を売ったと同じだし
あぁいった連中にこいつらは容赦なんてしねぇだろうしな。
「、よく覚えてたな。俺はすっかり忘れてたんだが
てめぇの記憶は淘汰されてねぇのか?」
「俺の記憶力はお前が一番知ってるだろう?
それでもかなりあやふやになってきてるってのは事実だ。
だから覚えているうちに、言える事は誰かに言いたかったんだ。」
こいつは一度覚えた事は絶対に忘れねぇってバケモンみてぇな特技がある。
仕事で必要に駆られてなんて言ってるが、誰でも真似出来ねぇんだよ。
ビールを飲み干して、目を閉じながらこめかみに手をあてて
こいつでも一生懸命に思い出そうとしてるんだから厄介だ。
「プラズマ団は以前の団体とは違う。どう違うかは少し前まで覚えてたが
今はもうその記憶がなくなっちまってるんだ。
後は…なんだったかなぁ…なにか重要なモンをゲットする必要があって
それはジム巡りってか旅を続けていけば良かった…だったかな?
すまん、もうちょっと覚えておければ良かったんだがこれが限界だ。」
「いえ、それだけでも十分でございます。
これは早急にウィルスの件を解決しなくてはなりませんね…
あの連中が復活しているのなら、いつどうなるかわからなくなりました。」
「うん、色々と問題が見つかってそっちの改善を優先してる。
皆頑張ってるけど、安全の為には用心はいくらしたって良い。」
『何か協力が必要な時はいつでも受け付けマショウ。
不安要素は早急に摘み取ってしまいなサイ、基本でゴザイマス。』
『ボク達も近い内にソッチに行くカラ。』
お互いに明日も仕事なんで、切り上げて落ちた。
俺達も帰ろうと席を立ったんだが、泊まっていけと何度も言われて観念した。
その後少しポケモン達の話をしてから、用意されたベッドに潜り込む。
これで足並み揃えてとなりゃあ良いんだが
現実問題はそんな甘いモンじゃねぇし?手探り状態は変わらねぇんだ。
それでも、前に進むしかねぇ…後悔なんざしてたまるかってんだ。