三章・指差確認準備中!編 -変化と驚愕とあれやこれ-

三章・指差確認準備中!編

変化と驚愕とあれやこれ



出向期間を終わらせて、が帰ってきたんだが

その顔を見て、俺とは顔を見合わせて驚いた。



「ただいまーっ、今日のご飯何?」



「…てめぇは開口一番がそれってのはどういうつもりだ?」



「お疲れだったな、風呂が沸いてるからまずはゆっくりしてこい。」



目元が少し赤いのは泣いた後なのか?向こうで何かあったのか?

いや、何かあったのならノボリ逹が黙ってないだろう。



「これは案外うまくいったのかもしれねぇな。」



「似た者同士、傷の舐め合いにならなかっただけマシなんだろうがな。」



ワカメとネギの味噌汁を温め直してる途中でノボリ逹もやってきた。

夕食はこっちで準備すると言っていたのに、デザートのプリンだけじゃなく

が好きそうなチキンのサラダも持ってきていた。



「あんまり甘やかすんじゃねぇ、その気になっちまうぞ?」



「その気が何かは知りませんが、頑張ったご褒美を差し上げたかったのです。」



「すっごく頑張ったみたいだから、ご褒美はあってもいいと思う。」



冷蔵庫にプリンを入れて、テーブルにはサラダを置いて

取り皿なんかを用意していたら、が風呂から上がってきた。



「はーっ、生き返ったかもしんない。やっぱりうちが一番かも?」



その言葉に俺とはまた顔を見合わせた。

こいつにとって自分の家ってのは寝る為だけの場所であって

今迄こんなふうに言った事なんて一度も無い。

これは、本当にあいつらがに良い影響を与えたのか?

それを聞いたノボリが嬉しそうに笑う。



「ふふっ、貴女はエキシビジョンマッチ終了後ギアステの屋上でも

言っていたではありませんか。帰ってきたのだ、安心したのだと…

にとって、ここは無意識のうちに自分の居場所になってるのですよ?」



「あー、そういえばあの時とおんなじ感覚ですね。

でも、ユノーヴァでお別れの挨拶をした時は、帰りたくないかもって

ちょっとだけ思っちゃったんです。ふふっ、おかしいですよね。」



さり気なく俺等の知らない事だったりするんだが

エキシビジョンマッチ後から少しずつの心境が変化してるのか?

そして今なんて言った?それはノボリ逹には爆弾発言になるだろう。



「あのね、聞いても良い?一体向こうで何があったの?

なんだかの雰囲気がすっごく柔らかいっていうか、変わった。

ってか、帰りたくないとかそんなのは駄目!」



「……クダリ、よろしいではありませんか。

がそういう風に思える場所、人、世界が出来た事を喜びましょう?」



サラダを取り分けながら、ノボリが言ってるがその言葉に嘘はなさそうだ。

出向前あれだけ行かせたくないと言っていたのにどうしたんだ?

これは色々と事情を聞かないとマズイかもしれない

俺等の知らない情報が増えてて、今後の動きに影響がでそうだ。

そう思ってを見れば、眉間にしわを寄せてなんだか考え込んでいる。


食事をとりながら向こうでの出来事を話すは楽しそうで

あいつらの意外な一面を暴露したり、仕事のやり方に感心したり

賑やかな時間になった。



「あはは!インゴ相手に激マズ料理差し入れとか信じらんない。」



「GJ!でございます!!ですがあの性格なら報復があったのでは?」



笑いすぎて涙目になってる二人にが食後のビールを渡しながら

ピッピの様に指を振って笑う。



「事実されましたよ?一緒に食べようってすっごい良い笑顔付きで!」



「何気にインゴもノリが良いんだな。

それと全部署への対応を統一?それはかなり難しい事だろう。」



「ボク、そんなの初めて聞いた。あの二人は使えない人間はいらないって

だから、即切り捨ててるんだって思ってた。」



「それは違いますよ、むしろ上司としては理想的かもしれません。

最初に全部任せられるっていうのは実力アピールのチャンスですからね。

それに応えれば、あの二人なら正当に評価してくれます。

事実ゲンナイ君はギリギリの崖っぷち状態で大逆転しましたし。」



「それは貴女の機転のおかげでしょう?

それにしてもあの期間内でよくそれだけの事をしましたね。」



「正直私も自分を褒めたくなりましたよ!

マジで期間延長の申請をお二人にしなくちゃ駄目かもって思いましたからねー。

でも、出発前のノボリさんの鬼のような形相を思い出して踏ん張りました!」



「…貴女にはまだまだ言いたい事も沢山あるのですけど

お疲れの様だからと遠慮していましたが、失念しておりました。

貴女に遠慮など必要無かったですね、ちょっとここにお座りなさい!」



ぎゃー!という叫びをあげて逃げようとするをノボリが捕まえて

正座させる光景はもう日常になりつつあるな…


出向から戻ったばかりで疲れているからと、早目に俺等は部屋を出た。

まだ飲み足りないなとが言って

それならとノボリが自宅を提供して家飲みをする事が決まる

この流れなら、に怪しまれる事もないだろう。







「さて…てめぇら、俺達が知らない事を全部吐きやがれ。」



ノボリの部屋についた途端、開口一番にがこう言っても仕方が無いだろう

悪タイプすら逃げ出しそうな満面の笑みが怖すぎるぞ!



「情報提供って、それなりの見返りがなきゃ成立しない。

ボク達の知らない事だって二人は知ってるでしょ?それを教えて。」



「二人共、そろそろ共同戦線を張りませんか?

貴方逹も私達も望む事は同じなのでございますから、そうすべきでしょう?」



成程な、二人がのミッションに向けて水面下で動いていたのは

俺もも知っていたが、敢えて黙認していた。

だが、こいつらも色々手詰まり感があるんだろう。

どうする?とを見れば、俺を見てから目を閉じて思案顔をしてる。



「ボク達はこれからライブチャットでインゴを呼び出す。

二人がボク達と手を組めないっていうのなら、話は聞かせられない。」



「それは脅しか?インゴ達にも言ったがあいつのミッションに関する事は

俺達は黙秘を貫くぞ、これは簡単に話して良い事じゃねぇんだ。」



、それは危険を伴う事だからなのではないですか?

ですがハッキリ言わせていただきます。少数で危険に立ち向かうよりも

人数を増やせばその負担は軽減できる、危険も少なくなるのではないですか?

貴方逹が黙秘をしていても、私達は動き続けます。

例え危険な事であろうと首をつっこみます、そうするつもりでございます。」



ノボリの言葉にクダリも頷く。二人…いや、インゴ達もだから四人か

そこまで覚悟ができてるのなら、俺等も腹を括るしかないだろう。

俺は黙ってボールホルダーから6番目のボールを取り出した。

がそれを見て驚いてるが、俺等も覚悟を決めて腹を括るべきだろう?



「こいつの正体を知りたかったんだろう?ボール越しだが見て欲しい。

これから先、色々と問題があるんで話を先延ばしにしていた原因だ。」



「ったく!老婆心から言ってやってるのにぶっ飛びすぎるんだよ。

いいか、てめぇらも覚悟し直せよ?マジで色々やばくなるからな!」



観念したようにもボールを取り出し、二人の前にかざす。

顔を寄せ合うようにして二つのボールを見ていた表情が変わる様は

全くのシンメトリーで、俺もも笑わせてもらった。



「ちょ、笑ってる場合?これってどういう事?!」



「お待ちくださいまし!これは…これでは同じ伝説のポケモンが…

レシラムとゼクロムがそれぞれに2体存在するという事でございますか?!」



後ろに一歩下がった状態で、俺等を見る表情は驚きよりも畏怖?

やはりこいつらでもこの事実は受け入れられないか…



「忘れてねぇか?俺達はトウヤ君がした事迄を違う世界でプレイしてる。

その時の手持ちもこっちの世界に来てるって言ったはずだぜ?」



「あ…ゴメンネ、すっかり忘れてた。それじゃこの子達って…」



「成程、そう言えばそうでございましたね、失念しておりました!

あちらの世界でお二人が所持していたポケモンなのですね?

つまりは、こちらの世界のポケモンと融合する前の…」



どうやら俺等の境遇をまるっと忘れてたらしいってか

それもどうかと思うんだが、こいつらにとってはその程度なのか?

二人で溜息をついてから、改めて俺等のボールに近づくと中を見つめる



「あぁ、だから同じ存在があるって事は色々まずいからな。

ボックスに預ける事も出来ないんで、手持ちにしてるんだ。」



「それだけじゃねぇ、トウヤ君と初対面の時は焦ったぜ?

向こうのポケモンは自分のテリトリーを侵害されたって怒るしな。」



あの時は俺もマジで焦ったぞ!

あの場で出てきてこっちに攻撃されたら命の保証はなかったしな

結局はの気合をおくって、俺等に敵対の意思がないのを伝えて

納得してもらって、なんとか無事に済んだんだからな。



「それ、ノボリが見てて気がついてた。

だから三人のうちの手持ちがその二体ってのも予想してた。」



「やはりの手持ちが抜け殻になったポケモンだったのですね。

そのポケモン絡みで、現在イッシュでは色々異変や動きが起きている…。

それが今回のミッションの内容になるのでしょう?

そのポケモンの名は…キュレム……そうでございますね?」



「へぇ…」



が片眉をあげてニヤリと笑う。

俺も思ったがそこまで調べ上げていたとはな、それなら話が早いだろう

四人が何をしようとしているのか、俺等のすべき事とどう重なるのか

俺等はボールをホルダーに戻してから二人に向き合う。



「ここから先の話は二人だけに話して良いものではないだろう?

それで?俺等はインゴ達とのライブチャットに同席しても良いのか?」



「うん、むしろいてもらわないと困る。」



「そこまで調べあげてるなら、俺達が言える事はないかもしれねぇぞ?」



「いえ、お互いに違う情報を所持しているはずでございます。

はイッシュに来るまでの事、私達はエキシビジョンマッチでの事

インゴ達は出向期間中の事…これらの情報は個別に所持した状態なので

一度それらを全て統合する必要がありますし、その後の話も必要でしょう。」



ノボリがリビングでノートパソコンの電源を入れる。

俺とはその横でソファーに座って、これからの事を考えて目を閉じた。


それぞれに同じ気持ちでいるのなら、覚悟を決めているのなら

もうウダウダ言っても仕方が無いし、立ち止まってなんていられないんだ。