三章・指差確認準備中!編
出向初日であれやこれ
※注意※
現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。
ランチタイム前に、保全管理課のベロア主任が書類を持ってきた。
それぞれに目を通して、ボクは思わず笑っちゃったよ。
『白ボス、何か問題点がありますか?』
『あぁ、違うよ。うん、確かに見やすくなってる。
それに君の所の部下たちの表記も統一されてて良いよ。』
書類を軽く弾いて、ご苦労様と言えば花の様な笑顔が溢れる。
以前のボクだったら、即食事にでも誘うんだけどな。人妻?関係無いね!
全部の書類に目を通して、確認して欲しい部分にメモ付きの付箋をつけてから
インゴに手渡せば、それを見ながら付箋に書かれた部分のチェックをしてる
以前の書類を取り出して、見比べた後に満足そうに頷いた。
『成程、書類の問題は解決に向かってる様ですね。
作業に関しても、彼女なら近いうちに何らかの行動を起こすでしょう。』
『こう言っちゃなんだけど、あそこの部下たちって全員が問題児でしょ?
何人かはそんな事全然感じさせないで、むしろ良い仕事をしてるけど
一部の連中は正直言って、そんな簡単には行かないと思うな。』
『飾りの頭で考えるだけ時間の無駄です、この書類を持って行きなさい。
書式はこのまま、表示形式もこれで通す様に伝えるのを忘れずに。』
受け取った書類にサインをした後処理済みのボックスに入れて
インゴはタバコに火をつけながら、相変わらずの上から発言だし。
『はいはい、わかったよ。ホント、上に立つって面倒事が多いね。
君に扱き使われるのは凄く不本意だけど、まだマシだと思えてくるよ。
ついでに食堂でランチしてくるけどインゴはどうする?』
『私はこの決済を終わらせるまで動くつもりはありません。』
つまりは何か買ってこいって事だね、全く世話のかかる兄を持つと苦労するよ!
書類を受け取って保全管理課へ向かえば、とが部屋から出てきた。
『二人共、早速色々始めてるみたいだね。
この書類、そのまま通ったよ。書式も表記もこれで通してくれってさ。
ゲンナイは中にいる?直接渡して話しておきたいんだけど。』
『えぇ、食事にするって中にいますよ。』
『了解、二人共食堂に行くんだよね?ボクもだから場所取っておいてよ
一緒にランチしよう、勿論誘ったボクが奢らせてもらうよ?』
『ふふっ、その誘いに乗らせてもらうかな?それでは先に行ってます。』
事務スペースのドアを開ければ、ゲンナイの周囲に何人か職員が集まってた
ボクに気がつかないみたいで、色々と話してるんだけどさ
『そんなに言いなりになってちゃ、こっちがなめられちまうだろう!』
『そうだ、オレ達はアンタの部下なんだぜ?
ハッキリ言わせてもらう、金輪際あの女の指示はきかねぇからな。』
『オマエ逹、本当にそれしか思うことがないのか?
さんのやり方を見てそれだけなのか?何も感じないのか?
あの人の言ってる事は筋が通ってるだろう、それに気がつかないのか?
どれだけ自分達がいい加減な事をしてるか、まだわからないのか?』
デスクに頬杖をついてゲンナイは、連中を見渡して言葉を続けてる。
その顔つきも態度も昨日までとは別人みたいだ。
うん、ボク達と最初に会った時にやっと戻ったね、良い傾向だ。
『オレはオマエ逹に一番最初に言ったはずだ。
まっとうな道を歩きたいなら、それ相応の覚悟と努力が必要だって。
最初は誰も相手になんてしてくれない、それが当然なんだ
そこから信用を得るのにどれだけ努力がいると思ってる?
気持ちだけじゃ無理なんだ、結果を出さなきゃ態度で表さなきゃ駄目だ。
その努力が出来ないなら…さっさと元の生活に戻って闇の中を歩けば良い。』
『若造がいきがるなよ?』
『その若造に言われっぱなしな下っ端の脅しなんざ怖かぁねぇよ。
さんは女性だけど、師匠ですら仕事には口出し出来ない人なんだ。
そんな凄い人を上辺で判断して、認められないって言うなら
オマエ逹、この仕事向いてないよ。職人の世界でもハンパ者だ。』
…これ以上言い合いになると、腕力でどうこうってなりそうだ。
流石に、今それをやられると色々面倒だからね。
ついでに、たちの援護っていうかゲンナイの助っ人でもするかな?
『失礼するよ、ゲンナイ課長…あぁ戻ってきたみたいだね。
インゴから書類を預かってきたよ。この書式と表記は良いね。
これからもこの状態で統一する様にってさ。』
『あ、白ボス…態々すみません。
そうですか、何か改善が必要な部分はありませんでしたか?』
『インゴも納得の出来だよ。流石はなんだろうけど
ゲンナイも頼りっぱなしじゃなくて、もっと頑張らないとだね。
後は作業の方だけど、どうなのかな?順調に進まないと後はないよ。』
後ろで騒いでた連中に聞こえるように言えば、顔色が変わるけど
そんな事は関係ないね。現状を見て事実を受け入れて欲しいよ。
『そっちの方は順調とは言えないっすね。ですが、俺も姐さんのやり方に
全面的に賛成です。筋が通ってて尚且つ無駄な動きも無く効率的だし
時間配分や、仕事の段取り、全てに置いて未だに敵わないっす。』
『目指す人が近くにいるってのは良いんじゃないの?
真似はするな自分のやり方に変えろって言うと思うけどね!
彼女、そういう所が結構放任っていうかシビアだよねー』
『姐さんはアニキより仕事のやり方とかには容赦無いっすよ?』
わかる!って言って二人で笑い合ってるのを、部下達が見てる。
今言った事は全部キミ達に向けて言ってるんだけど、理解できたかな?
それじゃあ、頑張れって言ってから食堂に行けば
厨房にがいて、ジョージと何か話してた。
テーブル席でが手招きしてたから、料理を受け取って隣に座る。
『白ボス、あいつらが何か言ってたでしょう?』
『んー?まぁ、レベルの低い内容で記憶にすら残ってないけどね。
どーせ、二人共そんな事は予想してたんでしょ?』
フィッシュ&チップスに好みの味付けをしてから口に入れる。
普通のレストランよりはマシだけど、やっぱり美味しくは無いんだよね。
あー、今日はが夕食作るって言ってたっけ。またお邪魔したいなー。
『当然でしょう?まぁ、初日で飛ばし過ぎな気もするんだけれどね。
それでも無反応よりはマシ…そんな感じかな?』
そんな話をしてたらが厨房から戻ってきた。
『いやー、気になってた場所も問題ないみたいで良かった!
エメットボスお疲れ様でっす!これ、ジョージさんから差し入れです
皆で食べましょう!って、インゴボスはまだ仕事ですか?』
普段ジョージはこんな事しないんだけど、これが人徳ってやつなのかな?
インゴは仕事をしてるって説明したら、すっごいいたずらっ子の顔をした
『そんな事してると身体壊しますってば!これは出前しなきゃですよねー。
うし!ジョージさんに聞いて売上ワースト123をもらってこよう!』
うわー、インゴにそんな事できるのはだけだよ!
渡し口にいって色々受け取ったら、すっごい笑顔で出て行ったし…
『ねぇ、ってイッシュでもあんな感じなの?』
『…そうだね、大体が自虐ネタを仕込んで周囲の反応みて
それから馴染んでいって仕事をする感じだよ。協調性は無いわけじゃない。
プライドで飯は食えないが持論だしな、誇りとプライドは違うらしい。』
人間関係でトラブル抱えてたって聞いてたけど、そうは見えないね。
食事を終えて執務室に戻れば、途中の保全管理課の部屋から笑い声がして
なんだろうと思って立ち止まったら、がインゴの差し入れの話をしてた。
『ジョージさんがさ、マジでお勧めしないとか言うんだよ?
メニューに載せてるじゃん!って、思わずツッコミ入れちゃったよ!』
『そんな怖い事、オレ達には考えもつかなかいよなぁ!』
『姐さんって、相変わらずそういう所が勇者っすよねー!』
『おうよ!私はこっちの食事ってわからないからバレないと思ってさー
満面の笑顔で差し入れどーぞ!って…そしたら一緒に食べましょうだと!
引くに引けなくて食べたけどさ、マジでジョージさんを恨んだよ!!』
ふーん…こういう風に雰囲気を和らげてから、仕事を始めるんだ。
出向前より雰囲気は良くなってる。問題の連中も笑ってるし、良いね。
執務室に戻れば、インゴが絶対零度の視線をよこすし…
これはの差し入れが原因でしょ?ボクは関係無いってば!
部屋を出てからの経緯と、戻る途中の保全管理課の部屋での話をすれば
インゴは書類をデスクに置いて、頬杖をついた。
『成程、要は私へのイタズラも今後の布石だったのですね。
それにしても、随分と性急に事を進めていますね。』
『その辺もには考えがあるんじゃないの?
あの子の仕事の進め方は到底ボク達じゃ真似できないからね。
君の言うとおり口出ししないで、このまま見守るしかないと思うよ。』
まだ初日だけど、色々と考えながら行動してるんだと思う。
その辺先読みが出来ないってか、させてもらえないのが癪だけど認めるよ。
就業時間が終わって、がインゴと夕食を作ると行って先に帰る。
ボクは残ってる書類をやりながら、を待って今日は徒歩で帰る。
途中、状況を聞いたんだけどフラグは立てまくりましたよ?ってさ!
それじゃあボク達は高みの見物、事後報告を待つ事にするか。
頭の上のネイティと、肩に乗ったリグレーがに擦り寄りながら
周囲を見渡して道順を覚えようと必死になってるのがなんだか可愛い。
何にせよ、今日もボクは美味しい食事にありつけるから良かったよ!