三章・指差確認準備中!編
顔合わせとあれやこれ
※注意※
現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。
俺とがユノーヴァへ出向する日になったんだが
黒ボスが神経質になってるこの光景、前もあったんじゃねぇか?
「よろしいですか?不用意に共有スペースにいてはいけません。
残業するにしても、夜遅くまでとかは駄目でございますよ?
貴女は大らかといいますか、無自覚といいますか無神経といいますか…
ともかく、エメットは勿論インゴにも気をつけてくださいまし。
あぁ、やはりこの出向を許可するべきではございませんでした。」
「えっとですね…そのセリフ前にも聞いたんですけど?
つーか、黒ボスは私をなんだと思ってるんですか?」
「グラエナの群れに放り出されるメリープ…でございますか?」
「うわーい、可愛い!じゃなくて、放電と雷で蹴散らしますってば!
ともかく主任は3日、私は予定は2週間?こちらを不在にしちゃうんで
業務に支障が出ないように課長に頑張ってもらってください。」
私服のまま、大きめのキャリーケースを持ったは
俺に助けを求めるような顔してるんだが、構いたくもねぇよ。
「黒ボスは心配しすぎです。だけど、そうだな…
俺はあっちでナニかがあって、が妊娠しても別に構わない
そうすれば、嫌でもこっちに根を降ろさなきゃならなくなるだろう?」
「課長、セクハラで訴えて全財産根こそぎむしり取りますよ?
大体子作りする気は無いんで、そんな事は有り得ませんから!
私はユノーヴァに仕事に行くんだ、いってらっしゃい位言え!畜生…」
とうとうやさぐれたをなだめると白ボスの後ろで
黒ボスが固まってるんだが…何度でも言うぞ、俺は構いたくねぇんだよ!
「それじゃいい加減行かせてもらうよ。課長、材料の在庫はかなりある。
それでも急ぎの発注が出た場合はよろしく頼む。
それ以外はこっちに帰ってきてやるから、放置で良いよ。」
「おう、元々一人でやるのには慣れてるから心配するな。
二人共、しっかりやってこいよ。」
それじゃ、行ってきますと言ってがネイティにテレポートの指示を出す。
今回は変な衝撃も無く、無事にテレポート出来たみてぇだな。
落下の衝撃に二人で体制を取って、無事にユノーヴァに到着する。
「Hello!二人共よく来たネ、待ってたヨ!」
「二人共、特には体調は大丈夫デスカ?」
執務室のデスクから俺等が到着した応接スペースに二人が来る。
握手で挨拶…と思ったら、こいつらはにハグと頬にキスしやがった。
「ぎゃー!お二人共前にも言ったでしょーが、普通に挨拶しやがれ!
こっちじゃそれが普通なんだろうけど、こっちは慣れてないんだ、この野郎!」
「Every country has its law…郷に入っては郷に従え…でゴザイマス。」
「ダカラも慣れてネ!」
「もうこの双子逹嫌だ…。仕事前から疲れさせんなってんだ、畜生…
えっと荷物はこちらに預けて良いですか?着替えて仕事をしたいんですが?」
死んだ魚みてぇな目をしてでも、仕事に話を持ってく根性は大したもんだ
エメットに案内されて、それぞれに着替えを終わらせてから
俺達はそのまま、ユノーヴァの施設設備保全管理課に向かった。
「Hello!ゲンナイ、イッシュからとが来たヨ!
このインカムを二人に貸与するから、業務中は装備しておく様二。
就業後に報告書を提出する以外、二人に任せるカラ。」
「「 了解 」」
それだけ言うとエメットは執務室に戻っていった。
いつも思うんだが、こいつらは俺達に全面的な信用を寄越してやがる。
だからももそれに見合うだけの仕事をしようとするんだろう。
人使いの点で言えばイッシュのボス逹より、かなり上じゃねぇか?
ユノーヴァの保全管理課の広さは俺達の作業部屋と在庫置き場に
ちょい足した位のワンフロアーをそれぞれ仕切って部屋を作ってる。
こっちの方が色々やりやすそうだな…向こうに帰ったらに提案するか…
事務スペースにいたゲンナイが情けない顔をして俺らを見る
「姐さん、さん、態々済みません。
一応、イッシュにいた時に教えてもらったのは良いんすけど…」
「はーい、ゲンナイ君そこまでだよ。
は君がイッシュにいる間何を教えてたか、それを思い出そうね?
私が教えるのは業務改善と効率アップ、後は仕事の出来のチェックだよ。
君は既に頭をはってやってる、それを忘れないようにしてくれないと困る。」
「うっ…そうっすね、スミマセン。」
泣き言を言おうとしたんだろうが、そんな事をがさせるわけがねぇ。
話を途中でブッタ切って、おまけに釘を刺すまでしやがるんだからな。
すっかりしょげかえったゲンナイだが、気を取り直して
作業場にいた連中を事務スペースに呼び集めた。
『お前等ちょっと集まってくれ、今日から暫く一緒に仕事をする
イッシュの保全管理課のさんとさんだ。二人共俺の師匠の仲間で
さんは事務関連、さんは作業関連でお世話になるからな。』
集まった作業員をざっと見れば、どいつもこいつもワケありってか?
まぁゲンナイはを見習いたいって言ってたから予想はついてたが
生半可な覚悟であいつの真似なんざできねぇんだがな。
『はじめまして、イッシュでは熱絶縁関係を一任されてますです。
ゲンナイ課長がイッシュに滞在中に指導をしていた関係で
本日より暫くの間こちらでお世話になりますので、よろしくお願いします。
仕事のやり方は人それぞれなので、そちらには口を出しませんが
中途半端な仕事であれば年齢性別関係なく指導させてもらいますので。』
先制攻撃とばかりに、不敵な笑みを浮かべてこっちの言葉で挨拶をしたから
連中がなんだか驚いてるようだが、まだまだ序の口なんだぜ?
さて、俺も負けてられねぇな
『はじめまして、イッシュでは事務関係を全てやってますです。
ベロア主任が滞在中に細々した処理等を指導していました。
こちらにはこちらのやり方があると思いますので、その辺を指導します。
本日より3日間ですが、お世話になりますのでよろしくお願いします。』
カントー系を代表するアルカイックスマイルを浮かべて挨拶すれば
全員がちょっと驚いてる。なんだと思えば俺が作業員だと思ったらしい
人を見かけで判断すると痛い目みるんだぜ?
俺は優しくないから、そんな事を教えてやるつもりはねぇがな。
『それではゲンナイ課長、保全管理課設立に関する書類から見せて下さい
後は現在使用している書類の書式見本全部と、今迄の業務計画書と報告書
それが終わったら、各部署から寄せられてる嘆願書、依頼書に移ります。』
『ベロア主任は在庫チェックの状況と確認表、それから発注書と受注書
それぞれの職員の勤務時間表とタイムカード、給与明細書の書式見本
後は各税金や雇用保険、安全対策や経費の一覧と使用状況の報告書
もし、トラブルに関する書類もある様なら見せてもらおうかな。』
事務スペースの一角に俺達のデスクが用意されていたんで
俺はベロアちゃんの近く、はゲンナイの近くのデスクに座った。
カバンからノートパソコンを立ち上げて、こっちのネット環境に接続して
まずは戦闘準備が完了だ。
目の前に膨大な量の書類が山積みされて、こっちの職員が驚いてるが
この位じゃ俺ももビクともしねぇんだよ。
二人で書類を手にして、気になる部分に付箋を貼り付けて読み進める。
それを職員達がぼーっと見てたんで、早速の一喝が飛んだ。
『こちらは私達のやる仕事ですので、皆さんは業務に戻って下さいね。
何か質問等がありましたら、すみませんが休憩時間の時にお願いします。』
用はないんだとばかりに満面の笑みで言われて、こっちの連中は
それじゃあ…って感じで持ち場に向かった。
「姐さん…」
「何も言わないで良いよ、それについてもこれから考えよう?
まずは皆に仕事をしやすい環境にしなくちゃ何も話は出来ないと思う。
ゲンナイ君には申し訳ないけど、目処が立つまで就業後残ってもらうから。」
がゲンナイの肩を叩いて笑ってるんだが、どうやらこの職場は
職員同士の連帯があるとはお世辞にも言えねぇらしいな。
「すみません、オレが不甲斐ないばっかりに…」
「ゲンナイ君…うんにゃ、ゲンナイ課長だね。
私は今来たばかりだから何もわからないけど、聞かないからね?
仕事場の現状、雰囲気、職員への判断は自分自身が見て決める。
他人がどうこう言おうが、それは本当の評価にはならない…でしょ?」
「そうでした。すんません、オレちょっと色々とテンパってて…」
「それだけの若さで、こんな大きな企業の専属になった事を誇ろうよ。
あの上司にはコネなんて一切通用しない、実力を見てしか判断しないんだ
君はいつも通りの仕事をして、部下達にも同じ事をさせれば良いだけ。
さぁ、現場の仕事とかあるんでしょう?頑張ってね。」
「はい、んじゃいってきまっす!」
自信の無い時に、誰かが自分のやってきた事を認めてくれるってのは
当人にとってすげぇ励みになる。はこういう風に人を使うのが上手い。
俺ももそんな真似なんざ、まだるっこしくてやってられねぇ。
「相変わらずのアメとムチだな、おい。」
しょげてたゲンナイが張り切って現場に向かったのをみて笑ってるに
書類から目を離さずに言えば、苦笑いしながら書類を見始める。
「独立して、人を使うのって凄く大変な事でしょう?
まして、下の者が全員曲者とかさー。も昔そうだったなぁ…ってね。
なにも自分から苦労しなくても良いのに、律儀というか何というか…」
「確かに…違いねぇや。
ゲンナイはアイツと違って単純っつーか、良い意味でこっちの人間だしな。
だがそれだけじゃあ、仕事で上に立ってはいられねぇ…そうだろ?」
「そうそう、だからアフターケアしてるんでしょうが。
それにしても相変わらず書類関係がグダグダで殴りたくなってきた…
後さー、チラッと作業部屋と在庫置き場が見えたんだけど…
あの状態で仕事をしてるんだったら、全員正座で説教かますよ?」
この分だと滞在期間はあっという間に過ぎそうだと肩を竦めてるが
どこか楽しそうだと思ったのは間違いじゃねぇだろう。
引き籠もりで社畜なんざ笑えねぇんだがな。
「やる事が無くて暇より良いだろうが、こっちも少々問題ありだ。
ベロアちゃんには似合わねぇが、経理の抜け道裏道でも教えるとするか。
そっちものんびりしてられねぇだろう?さっさと今日中に書類終わらせるぞ。」
座ったまんま、書類からも目を離さずにお互いに拳を合わせる。
ユノーヴァの保全管理課が今後どうなるのか?
それはこれからの俺達の働きと上にいるゲンナイの采配次第だ。
だがな、俺達がヘマをやらかすワケがねぇんだ
問題はあいつらがついて来れるか否かにかかってるだろうよ。