二章・強者達の夢の競演編
小さな命を抱きしめる
とうとう全部のバトルが終わった。
もっともっとバトルをしたかったって思う。
でも、ポケモン達にこれ以上負担はかけらんない。
だって最終戦が終わった後、ボク達のポケモンの疲労はピーク。
明日からしばらくバトルはお休みさせて、しっかり休んでもらう。
ポケモンの回復が終わって控え室に戻れば、大会案内役の人逹がやってきた。
この後はチャンピオンさん逹向けに協会が観光案内をするみたい。
トウヤは参加するって言ってるけど、ボク達は遠慮した。
だって地元だし?マスコミも同行するみたいなんだもん。
部屋に戻ってから、シャワーを浴びて着替えてたらノボリがやってきた。
椅子に座っておいしい水を飲みながら、今後の予定を二人で考える。
「これから夕食までの時間、どうしましょうか?」
「部屋でのんびり?ってか、ちょっと来ないうちに街並とか変わってる!
マーケットをブラブラするのも良いかもしんない。」
「あぁ、それは宜しゅうございますね!
ではも誘いましょうか?彼女も部屋に残ってるはずでございます。」
それじゃ出発進行!って部屋を出たら、丁度も部屋から出てきた。
だけじゃなくて、もも一緒だからどこかに行くのかな?
「おう、バトルお疲れさん。優勝おめでとう。よくやったな!」
「てめぇらのバトルに観客席は釘付けだったぜ?
これでバトル施設への印象もガラリと変わってくれると良いな。」
笑いながらとの二人とハイタッチを交わす。
友達からこーやっておめでとうって言ってもらえると嬉しいな。
なんだか胸がくすぐったい様な感じになって、ボク逹も笑った。
「ありがとうございます。えぇ、私達も他の方と同じ
ただひたすらにポケモンとバトルが好きなトレーナーなのだと
ご理解いただけていれば嬉しゅうございますね。」
「この大会を見て、バトルサブウェイを好きになってくれる人が
増えてくれれば良いなって思ってる。達はこれからどこかへ行くの?
ボク達マーケットに一緒に行こうと思ってる。だから誘おうと思ってた!」
ボクの誘いにとはあーって顔をしてから後ろのを見た。
は地図をいつもみたいにクルクル回しながら真剣に見てた。
これって、やっぱりどこかへ行こうとしてたのかな?
「、地図を回しても場所の把握はできませんよ?
どこへ行くおつもりでございますか?」
「えっとですね、ここのジムリーダーのヤーコンさん?が
なんだか地底遺跡への道を掘ったらしいんですよね。
ちょっと興味があるので、覗いてみたいなって思ったんです。」
へー、地底に遺跡があるんだ。
でも、がそんなのに興味があるなんて知らなかった。
それじゃ一緒には行ってもらえないなって諦めようとしたんだけど
「三人とも、私達もご一緒しても構いませんか?
その様な遺跡があるとは、地元民の私逹も存じ上げませんでした。
もしかすると珍しいポケモンもいるかもしれませんね!」
ノボリがなんだか食いついたよ!
でも、珍しいポケモンがいるかもって言われたら、ボクも行きたくなった。
行きたいってお願いしたら、が困った顔をちょっとしたけど
すぐにオッケーって言ってくれた。
なんだろ、それがすっごくボク的にはひっかかったんだけど…。
「まぁ、行ってもどうやら中には入れなさそうなんだ。
がヤーコンさん?から聞いた話だと秘伝技が必要らしいし
まだ、工事中の部分もあったりするみたいだからな。」
「それでも、ちょっと惹かれるものがあったりするし
どんな場所かだけでも見たいんで、達にお願いしたんですよ。」
「ふーん、んで腕の中のネイティに道を覚えさせるって感じ?
、地図を回すのやめて?ネイティの目がクルクルってなってきてる。」
の頭の上で回ってる地図を必死に見てたんだろうな。
ネイティが目を回しかけてて、は慌てて地図を回すのをやめた。
うん、地図は回しても意味がないんだよ?
そんな事をして笑った後で、ボク逹はホテルの中庭に出てから
空を飛ぶを使って、その場所へ向かった。
場所はエキシビジョンマッチをやった会場からそんなに遠くなかった。
入口には関係者以外立ち入り禁止って書かれてるから、中には入れないな。
「あー、やっぱりまだ入れないんですねー。
でも場所は覚えたよね、ネイティ?って、ちょっと待って、どこ行くの?!
その中に入っちゃダメだよー!」
今までの頭の上で、が広げてた地図を見てたネイティが
急に周りをキョロキョロしたかと思ったら、いきなり中に入っちゃった!
うわー、ここって立ち入り禁止とかになってるのに…どーしよ?
「とりあえず、ネイティを連れ戻すぞ。
立ち入り禁止となってるが、やむを得ないって事で勘弁してもらおう。」
がバリケードみたいな柵を軽々と飛び越えて中に入っちゃった。
どっちみち、ネイティを置いてなんて行けないから
ボク達もその後に続いて中に入る。
これがヤーコンさんに見つかっちゃったら、すっごく怒られるかもしんない。
でも、緊急事態だから仕方がないよね?
「ネイティ、どこなの?返事をして!」
中に入れば照明が点いてないから殆ど真っ暗!
ネイティ、鳥ポケモンで暗い所だと見えないはずなのに大丈夫かな?
エスパータイプだから、そっちの力が働いてるのかな?
三人はポケットから小型のライトを取り出して、周囲を照らしてる。
用意周到って感じで、もしかしたら最初から中に入るつもりだったのかな?
ボクとノボリは逸れないように、三人の後ろをついていった。
しばらく歩いてたら、なんだか上の方からネイティの声が聞こえた。
三人が一斉に鳴き声のした方にライトを当てたら
崖っぽくなってる所に、ネイティはいるんだけど様子がおかしい。
ボク達を見下ろして、なんだか必死になって助けてって言ってる?
どこか怪我でもしたのかなって、ボク逹は慌てたんだけど
「ちょっと待て、あれを見ろ。」
がネイティのいる場所の奥の方をライトで照らした。
そこにあるのは…あれってもしかして卵?それも二つ?!
「ちょっと待って、あんな場所に卵があったって中から産まれっこない!
ってか、もしかして…もう中で死んじゃってる?」
「それなら、ネイティがあれ程必死に私達を呼ばないでしょう。
恐らく中の子は生きてる…ですが非常に危険な状態なのでは?
早く保護して、ポケモンセンターに連れて行かねば!」
ボクとノボリがそんな事を言ってたら、が崖を登り始めた。
それを、無理やりとが止めに入る。
「、離して!あの子達は中でまだ生きてる!
でも、急がないと死んでしまう!早く…早く助けなくちゃでしょう!!」
「落ち着け、この視界の悪さでそんな事をすれば
どうなるかがわからないお前じゃないだろう!
もっと別な、何か他に助ける手段を考えるんだ。」
「…てめぇはどうしてポケモンを相手にすると周りが見えねぇんだ?!
ネイティの技構成を思い出しやがれ!さっさと指示をしねぇなら
俺が代わりネイティに指示出しするぞ!!」
だから自分を犠牲にして欲しくないって、前にも言ったのに
どーしてはこうなのかな!でもの言葉の意味がわかったみたい。
あー!って顔をしてから、すぐに上にいるネイティに指示を出す。
「ネイティ、卵にテレキネシス!んで、そのままこっちに持ってきて!」
指示を受けたネイティの身体が暗闇の中でうっすら光始めた。
そして、うっすら光ってる卵と一緒に
下でライトを大きく振ってるの所に戻ってくる。
「あぁ、こんなに冷たくなって!苦しいよね?怖かったよね?
大丈夫だよ、絶対に助けるから頑張って!!」
は卵を抱きしめると、走り出した。
いつもは方向音痴で、目的地と反対の場所に行こうとするのに
今は嘘みたいに、足取りは正確に出口を目指してる。
「火事場の馬鹿力ってやつか?まともに戻ってるじゃねぇか!」
「いつも言ってる帰巣本能がまぐれ当たりで発動したかもしれないぞ?
!大体あってるが俺等の後を着いてこい、そっちは遠回りだ!」
慌ててボク達もの後を追う。
やっぱりって感じでとんでもない方向に行きそうになったを
がストップさせて合流して、ボク逹は出口目指して走り出した。
遺跡の入口に戻ってから大急ぎで空を飛ぶでを使って
ホドモエのポケモンセンターに向かった。
ポケモン達もわかってるのかな?すっごく急いでくれたから
行きの半分の時間で到着した。
ポケモンセンターに駆け込んで、は状況を説明して卵を渡す。
正直言って、卵に回復装置は殆ど効果が無い。
後は、あの子達の生命力にかけるしかない。頑張って、生き抜いて!!
そう祈りながらボク達は、そのままロビーで待ち続けた。
「お待たせいたしました。卵からの生命反応は、今は安定しました。
ですが、ちゃんと産まれてくるのかは…」
どれだけここで待ってたんだろう?って思う位時間が過ぎてから
ジョーイさんが卵を持ってきて、言いにくそうに話す。
どの位の時間あそこに置き去りにされっぱなしだったのかが
はっきりわかんないから、産まれるって保証は出来ないんだって。
でも可能性があるならって、は卵を受け取る。
それから、ホテルに戻ってそれぞれの部屋に別れたんだけど
ボクはちょっと気になる事があったから、ノボリの部屋にお邪魔した。
「クダリはあの卵の事を気にしているのでございましょう?
実は私もなのです。は手持ちを増やさないと申しておりました。
ですが、だからと言ってあの状態の卵を放置するわけはないでしょう。」
あー、やっぱりノボリもそれが気になってたんだよね。うん、ボクも!
はこれからジム巡りって言うか、ミッションの為に
手持ちを完璧に育成しなくちゃなんない。
「本気メンバーを育てるなら、あの子達を育てる余裕は無いはず。
でも、そこはだから色々無理してでも育てるんだろうな。」
「…えぇ、それで思ったのですが、私達がお預かりしては?
サブウェイマスターとしてでは無く、個人の手持ちとして。
勿論預けていただいた場合には、しっかりと育成はいたしますけどね。」
「ノボリ?」
ジャケットをクローゼットの中に入れて、振り返ったノボリは
なんだか色々考えてるみたい。眉間に皺が出来まくってるんだもん。
「今回のエキシビジョンマッチを体験して、旅をしてた時を思い出しました。
あの時は個体値など気にもせず、ひたすら手持ちの子達と必死になって
バトルに明け暮れておりましたよね?今思えばV無しばかりのメンバーで…
ですが、私達はジムリーダーや四天王を撃破出来ましたでしょう?
だからですね、私…もう一度初心に立ち返ろうかと思うのです。」
「あー、その気持ちわかるかもしんない!
どんなポケモンでだって、勝利を目指す事は出来る。
サブウェイマスターとしての手持ちにはできないけど、個人ならオッケー!
うん、ボクもあの時の気持ちに戻ってポケモン達との絆?
そーいうのを、もっとちゃんと考えてみたいかもしんない。」
バトルサブウェイではそんな甘い事は言ってらんない。
でも、ボク達個人としてのトレーナーとしての成長には
初心に戻るって事は絶対プラスになる事だと思う。
ボクとノボリはそのまんま、の部屋に向かった。
最初は、僕たちにそんな時間は取らせられないって言ってたけど
ボク達の考えを聞いて、そういう事ならってわかってくれた。
卵を抱えての部屋を出て、ノボリと別れてボクは自分の部屋に戻る。
ベッドに腰掛けてから、ボールからシャンデラを出して、卵を見せた。
シャンデラの特性は、ほのおのからだ。だから協力して欲しい。
「シャンデラ、お願いがある。この子…生まれてこれるか、わかんない。
でも、ボクはこの子に生まれてきて欲しいって思ってる。
だから、無事に産まれるようにシャンデラにも手伝って欲しい。」
「シャン?シャンシャン!デラッシャン!!」
シャンデラは卵にそっと触れてから、まるで任せろ!って言ってる?
ボクの前で揺れ動くと、これは孵化作業と違うって、わかってるのかな?
まるでお母さんみたいにボクから卵を預かって抱きしめた。
「うん、ボク達で頑張ってこの子を守ろうね!」
シャンデラの身体ごと抱きしめた卵はさっきよりも暖かった。
そして、シャンデラの身体もいつもよりも暖かい気がした。