二章・強者達の夢の競演編
Climax Battle!
レッド様逹と別れて控え室に戻る途中、喫煙室にを見つけました。
ガラス張りのそこへクダリと近づき、外からノックすれば
私達に気がついて目元を和らげます。
ドアを開けてクダリと入れば、換気システムの行き届いた室内は
思ったよりもタバコの臭いもせず、快適でございました。
小さなポーチからタバコとライターを私に差し出されたので
ありがたく1本拝借して火をつければ紫煙がゆっくりと換気口へ流れます。
「そういえば、クダリさんのデンチュラ大丈夫ですか?
バトルの最中にちょっとバランス崩してたじゃないですか。」
「あ、うん。回復させてからチェックしたけど大丈夫みたい。
でも流石に連戦じゃないけど、疲れは溜まってきてるかもしんない。
ってか、よく気がついたね!」
「普段からデンチュラ見てますから。でも疲労は溜まってきてますねー。
まぁ、楽しんでるみたいだから良いですけど、大会が終わったら
ゆっくり、のんびりさせてあげたいなって思ってます。」
「今はこの子達もバトルの高揚感に引きずられてテンションが高いですが
そのままバトルをさせれば怪我の元でございますからね。」
灰皿に灰を落としながら呟けば、新しいタバコに火をつけたも
そうですねと言っております。
お祭り騒ぎなのはポケモン達も感じているのでしょうね。
「どっちみち、私もお二人も次のバトルがラストですからねー。
短かった様な、長かった様な?楽しかったのは間違いないですけどね。」
「うん、ボク達も参加できて良かった!」
「そうですね、私達は地下鉄以外でのバトルをする事など殆どありませんし
対戦相手が、各地方のチャンピオンのバトルは最初で最後になるでしょうね。
沢山学ぶべき事が有り、非常に勉強になりました。」
たかが5戦と言われてしまうかもしれませんが、その全てが
私達にとって心躍る様なバトルでございました。
見てる観客の方も同じ気持ちになっていただけていたら、嬉しいですね。
「バトルの向上に終着駅はないですからねー。
最後のバトル、全力で頑張るのは当たり前ですが、楽しみましょうね!
さて、そろそろ控え室に戻っておきましょうか。」
灰皿にタバコを入れた後で、がポーチからタブレットケースを出し
中身を2粒程口に入れ、私の掌に同じ様に2粒出されます。
口に含めばミントの爽快感が口に広がり、ニコチンを取り去ります。
エチケットにも気を使うのはやはり女性ならでは、でございますね。
控え室に戻ればすぐに、次戦への待機の声が聞かれました。
私達とはお互いに拳を合わせて、それぞれ移動します。
待機場所で並んで座っても、今回は作戦を話し合う事はありませんでした。
お互いに何をすべきかを既に理解しておりますので、不要でございます。
「ノボリ、最後だね。」
「えぇ。」
「楽しかったね、楽しいね。ボク、この大会に参加できて良かった!」
ホルダーからボールを取り出し、抱きしめながらクダリは笑います。
その気持ち、私も良くわかりますとも。
どのバトルも素晴らしかった、どのトレーナー様も素晴らしかった!
地下鉄という閉鎖空間とは違い、開放感のあるフィールドは
バトルにおいても開放感を与えてくれた気がします。
「ボク、明日からのバトルが違う風にできるかもしんない。
今までよりも、もっとすっごい楽しいバトルに出来そうな気がする。」
「今回のバトルで得た物を、そうやってチャレンジャーの皆様へ
お返しできれば良いですね。いえ、お返しして行きましょう。」
「うん!」
審判員が私達をフィールドに呼ぶ声が聞こえたので
お互いに拳を合わせてから待機室を出ます。
私達とシンオウ代表の登場に、観客席からは歓声が沸き起こりました。
「デンチュラ、出発進行!」
「ダストダス、出発進行でございます!」
「ミカルゲ、行くわよっ!」
「トゲキッス、楽しんでおいでっ!」
審判員の声に、それぞれが指示を出してバトルスタートでございます!
デンチュラのでんじはの前にトゲキッスのしんそくがヒットしましたが
一撃で倒れる様な子ではございません。
畳み掛けるようにミカルゲのさいみんじゅつがデンチュラにヒットしてます。
ですが、私のダストダスのどくどくがミカルゲにもヒットしました。
バトル開始早々にポケモン達が麻痺、睡眠、猛毒状態という
波乱含みの展開に会場も色めきました。
「ミカルゲ、ダストダスにもさいみんじゅつ!」
「ダストダス、ミカルゲにベノムショックでございます!」
ダストダスのベノムショックは効果が上がっておりましたが
それでもミカルゲを倒すまでには至りませんでした。
ミカルゲの催眠がヒットして、ダストダスも睡眠状態になり
私達の子は攻撃する事が不可能になってしまいました。
「デンチュラ戻って!アイアント出発進行!」
「ダストダス、お戻り下さいまし!ギギギアル、出発進行でございます!」
「ミカルゲ、今のうちにかげぶんしん!」
ポケモンの入れ替えをしておりましたら、トゲキッスの麻痺が解除され
元気な声がフィールドに響き渡ります。
「トゲキッス、ギギギアルにしんそく!」
「ギギギアル、トゲキッスにギアソーサーでございます!」
「ミカルゲ、アイアントにさいみんじゅつ!」
「アイアント、いわなだれ!」
トゲキッスに私達の攻撃がヒットしましたが、倒すには至りませんでした。
ですが、トゲキッスを倒せば次のグレイシアはタイプでは有利になります。
ですがアイアントが睡眠状態になってしまい、動けるのは私のみ。
流石に一筋縄ではまいりませんね。
「トゲキッス、ちょっと休憩しようね。グレイシア、行っておいで!」
「ギギギアル、ミカルゲにギアソーサー!」
「ミカルゲ、ギギギアルも眠らせて!さいみんじゅつよ!」
命中率のそれ程高くないさいみんじゅつが、ここまでヒットするとは!
これで、私達のポケモン全てが睡眠状態になってしまいました。
「ミカルゲ戻って!ガブリアス行くわよっ!!」
「グレイシア、アイアントにシャドーボール!」
ここで、アイアントが催眠状態から目覚めました。
「アイアント、いわなだれ!」
「ガブリアス、アイアントにだいもんじ!」
「グレイシア、アイアントにシャドーボール!」
特防の下げられたアイアントに、効果抜群のだいもんじがヒットして
アイアントがフィールドに倒れました。
労りの声をかけ、クダリがボールに戻します。
「デンチュラ、頑張ろうね!出発進行!!」
フィールドには未だ睡眠状態のデンチュラが出されました。
ですが、ここでギギギアルが目を覚まします。
「ギギギアル、グレイシアにギガインパクトでございます!」
「ガブリアス、ギギギアルにだいもんじ!」
ギギギアルのギガインパクトが急所にあたり、尚且つ効果も抜群で
グレイシアが倒れました。
「グレイシア、ゆっくり休んでね。トゲキッス、頑張ろうね!」
「催眠が解けた!デンチュラ、ガブリアスにでんじは!」
「抜けるわよ、ガブリアス!ギギギアルにだいもんじ!!」
技の反動で行動できないギギギアルにだいもんじがヒット。
流石に効果は抜群を2発くらってしまったので、倒れてしまいました。
私達の手持ちはこれで1体ずつですが、勝負はこれからでございます!
「ギギギアル、お疲れ様でした。ダストダス行きますよ!出発進行!!」
「トゲキッス、デンチュラにはどうだん!」
「デンチュラ、ガブリアスにクロスポイズン!」
デンチュラのクロスポイズンが急所に当たり、尚且つ毒状態になりました。
これで勝負の流れはわからなくなりました。
「デンチュラいまのうちにトゲキッスにもクロスポイズン!」
「やっぱりそうきましたね!でもやられっぱなしでは倒れません!
トゲキッス、デンチュラにしんそく!」
「私を忘れないでくださいまし。ダストダス、目が覚めましたね?
ガブリアスにベノムショックでございます!」
トゲキッスのしんそくはデンチュラにダメージを与えはしましたが
クロスポイズンがヒットして倒れます。
これでお互いの手持ちは2体ですが、の手持ちは全て倒れたので
フィールドにはシロナ様のポケモン1体のみ、チャンスでございます!
「デンチュラ、ガブリアスにクロスポイズン!」
「ダストダス、ベノムショックで決めましょう!!」
「やられっぱなしにはさせないわ!ガブリアス、じしん!!」
クロスポイズンが急所に当たり、ベノムショックも威力アップの為
ガブリアスが倒れます。ですが、じしんでデンチュラも倒れてしまいました。
これで手持ちは1体ずつ、ダストダスとミカルゲの一騎打ちでございます。
「デンチュラお疲れ様!ノボリ、あとは任せた、頑張って!!」
「えぇ、言われなくてもでございます!ダストダス、ベノムショック!!」
「ミカルゲ、これで決めるわよ!シャドーボール!!」
全力を出した技がヒットするも、お互いにまだ倒れてはおりません。
次の指示を出そうとした時、シロナ様のミカルゲがフィールドに倒れました。
毒の追加効果が発動したのでございます。
「ミカルゲ戦闘不能!サブウェイマスターの勝利!!」
審判の声に、観客席総立ちの歓声がフィールドに響き渡りました。
「ノボリ!!」
ダストダスを戻したボールを抱きしめて、感極まってると
クダリが私に飛びついてきました。
「すっごいバトルだった!最後まで参加できなくてごめんね?」
「クダリ、貴方のフォローが無ければこの勝利はありませんでした。
このバトルの勝利は二人で掴んだものでございますよ?」
ハイタッチを交わしていると、シロナ様とが近づいてきました。
その顔はどちらも晴れやかで、二人共微笑まれております。
「いやー、トゲキッスの相性の良いデンチュラとアイアントをなんとか
しよーかなって思ったけど、素早さで負けてるから悩みましたよ!
でもうちの子達、結構頑張ったでしょ?」
「お互いに相性の良いのと悪いのがいたから悩んだわよね。
でも、とても良いバトルが出来て楽しかったわ!」
「ボクも!すっごいバトルにワクワクが止まんなかった!!」
「えぇ、素晴らしいバトルをありがとうございました。」
それぞれに固く握手をする私達に、一層の歓声と拍手が沸き起こりました。
この勝負、どちらが勝っても不思議ではございませんでした。
やりきった爽快感が心地よい疲労感を伴い全身を包みます。
4人で観客席に向かい手を振り、私達は並んでフィールドを後にしました。