二章・強者達の夢の競演編
勝利への執着
一夜明けて、今日はエキシビジョンマッチ二日目、最終日!
昨日とおんなじ、お天気も良くって会場も超満員。
ボク逹は四回戦目と最終の六回戦目に出るから
ポケモン達の疲れをきちんと取ってあげなきゃなんないな。
控え室に入れば、二回戦目のカントーとシンオウ代表以外の人逹がいて
モニターの前に集まってる。皆、これから始まるバトルに注目してる。
「開始していきなりすげー力技の応酬とか!レッドさんってば容赦無い!
でも、グリーンさんも昨日と動きが違う?」
「トウヤ様、一流のトレーナーと呼ばれる方々はバトル毎に成長します。
昨日のバトルから、お二人はそれぞれに沢山学ばれたのでございましょう。
流石はマスターランクのトレーナー様逹でございます!」
いきなりすっごいバトルになってて、トウヤもノボリも興奮気味?
ううん、二人だけじゃない。皆目をキラキラさせながらモニターを見てる。
フィールドではトゲキッスがエアスラッシュを連発してるし
ミカルゲのさいみんじゅつもしっかり決まって、ゆめくいを連発してる。
このトゲキッスは素早さ全振りかもしんないな。
このまんまだとシンオウの勝利かなって思ったけど、レッドとグリーンは
全然バトルを諦めてなんかいなかった。
「グリーンのプテラの方が素早さが上だからな。
催眠が解けた段階での一撃がかなり強いから、ほら流れが変わってるだろ?」
「あ、レッドさんのリザードンが倒れた!次は…ピカチュウですよね?
さんも交代して…グレイシア?!相性悪いじゃないですか!」
「トウヤよく見て?のグレイシアがプテラの相手をしてる。
んで、ダメージは凄いけど頑張ってるミカルゲがピカチュウの相手。」
グレイシアのれいとうビームが決まって、プテラが氷状態になる。
その間に、バリアーを使って防御を上げて次のバトルの準備をするのかな?
ミカルゲも、さいみんからのかげぶんしんで回避率がかなり上がってる。
「あぁ、でもミカルゲはもう無理かもしれないですね。
ボルテッカーを受けて、麻痺状態になってしまいました。」
「そして、ターゲットをグレイシアに変更したね。
相性的にはレッドが有利になったから、このバトル先が見えないな。」
「でも、グリーンのプテラも倒れちゃったわよ?」
「イブキ、グリーンの次のギャラドスはじしんを使うのを忘れたのか?」
「ふむ…となると、ピカチュウも無傷ではいられまい。
この勝負、どちらが勝つか全くわからなくなってきおったわ!」
グリーンの出したギャラドスは、じしんじゃなくてたきのぼりを使った。
麻痺状態のミカルゲはどうする事もできなくて、徐々に体力が削られていく。
のグレイシアはピカチュウのアイアンテールで防御を下げられてる。
あ、とうとうグレイシアとミカルゲが倒れちゃった。
「これでどちらも残りのポケモンは1体ずつでございますね。」
シロナがガブリアスを、がトゲキッスをフィールドに出す。
だけど、どっちもグリーンとレッドのポケモンと相性が悪い。
「やっぱりのトゲキッスがギャラドスを相手にしたね。
ガブリアスは…じしんか…、これはピカチュウにはダメージが大きいな。」
「ダイゴ、グリーンのギャラドスはこおりのキバを持ってます。
ドラゴンタイプのガブリアスと対峙するには十分だと思いませんか?」
のトゲキッスがギャラドスにエアスラッシュを出して
怯ませてるんだけど、ピカチュウのボルテッカーの集中攻撃を浴びてる。
バトルの流れはグリーンとレッドを後押ししてるかもしんない。
「あ、ガブリアスがげきりん?これは一か八かって感じなんですかね?
って、危ない!!」
トウヤが画面を見て、叫んだ。
げきりんで吹き飛ばされたピカチュウがシロナめがけて飛んできてる。
『シロナさん!!』
がシロナを呼ぶ声と同時に、画面が土埃で見えなくなった。
少しして土埃が無くなると、モニターにはしゃがみこんでるシロナと
ピカチュウを抱えて倒れてるが映し出された。
「なっ…!これはどういう事でございますか?!」
全員がビックリしてモニターに釘付けになった。
の腕の中には戦闘不能になったピカチュウがいた。
これはげきりんを食らった時に、もうなってたんだろうな。
そのままは起き上がろうとしたんだけど、すぐにまた倒れ込んだ。
審判が慌ててに駆け寄った後で、フィールドの外に向かって叫ぶ。
『ドクターを至急こちらへ!!』
その声に会場がどよめいた。レッドもグリーンも
そして、のトゲキッスもがの傍に近づこうとしたんだけど
『来ちゃ駄目です!まだバトルは終わってません!』
『だけど、貴女今の状態がわかってるの?!
起き上がる事も出来ないのに、バトルの指示が出せるわけないじゃない!』
の言葉に皆がビックリして動くのをやめちゃった。
シロナがを止めようとしてるけど、聞く耳はないみたい。
『私のこの症状は命に別状はありません。持病みたいなものなんです。
だから、バトルは続行してください。』
何度か起き上がろうとしてたんだけど、最後には諦めたみたいで
フィールドの方に倒れたままで身体を向けた。
これって、ピカチュウを受け止めた衝撃で眩暈の持病が出ちゃったんだ。
『ですが、この状態でバトルなど前例が…』
『無ければ作れば良いんです。寝たままでも指示は出せます。
トゲキッス、大丈夫よね?まだいけるでしょう?』
が声をかけると、トゲキッスはちょっと不安そうにしてたけど
すぐに元気よく返事をした。
フィールドの外では審判と大会主催者の協会の人逹が集まって話をしてる。
「こんな状態じゃバトルなんて無理でしょう。
即中止して、を病院に連れて行くべきなのではないですか?」
「そうよね、ってかもあんな状態でバトルができるわけ無いのに…」
フィールドの状況を、あれこれ皆は言っているんだけど
隣にいるトウヤは何も言わないでモニターを見続けてた。
その手が真っ白になる位、強く握られてるのをボクは気がついた。
すっごく心配で言葉も出ないって感じなんだろうな。
「トウヤ、よく見てて?どんな時にもバトルを諦めないって気持ち。
トレーナーが諦めてないからポケモンも諦めてない。」
「クダリさん、だけど!」
「トウヤ様、私達はのこの持病を一度見た事がございます。
本当に命に別状はないのでございますから、安心してくださいまし。
以前も、少し休憩したらすっかり回復されて仕事に復帰しておりました。
あぁ、試合は続行される様でございますね。」
「ふむ…本人が望んでいるのだから、続行になったのだろう。
…と言ったか?まるで、プラズマ団と戦った時のトウヤの様だな。」
「オレと?」
「あの時、地面に倒れても尚、ポケモン達に指示を出し続けただろう?
立つ事が出来なくなって、起き上がる事もままならぬ状態で…
はあの時のトウヤと同じ気持ちでバトルをしてるのだろうて。」
「だって、あの時はプラズマ団の馬鹿げた事を止めなかったら
イッシュが滅茶苦茶にされるってわかってたから、そんなの嫌だから
絶対にそんな事させるもんかって、負けられないって、だからオレ!」
「理由は違えど、もそうなのだろう。負けたくない…とな。」
「あ…」
そんなすごい状態と例えられて、トウヤ自身戸惑ってる?
だけど、アデクさんの言いたい事、言おうとしてる事はボクにもわかった。
「あのね、は目の前のバトルしか見てない。
トレーナーにとって、棄権するなんて考えたくない事。
ボクもの状態になったら、多分同じ事をすると思う。」
「えぇ、立てなければ座れば良いのです。
それが無理なら、倒れたままだって全く構わないのでございます。
バトルを出来るポケモンが1体でも残っているのなら
勝利の可能性がゼロでないのなら、トレーナーとして指示を出し続けます。」
「それにホラ、トゲキッスがピカチュウのボルテッカーで麻痺なのに
あっという間に状態異常が取れてる。の気持ちに応えてるんだと思う。」
モニターには麻痺状態がまだ続くはずのトゲキッスがギャラドスに向かって
エアスラッシュをする所が映ってた。
ポケモン達は時々こういう事をする。
それは、トレーナーが大好きで一緒に勝ちたいって強く願ってるから。
もトゲキッスも全くバトルを諦めてないから起きた奇跡だと思う。
「ガブリアスがやられたか…グリーンのギャラドスは攻撃ベタ振りだからな。」
「そして素早さもね。だけど、最初のダメージが大きかったから
倒れちゃったわね…これでトゲキッスとピカチュウの勝負だけど…」
「ピカチュウの特性はせいでんき…トゲキッスは手が出せません。」
「だけどミクリ、見てごらんよ。あのトゲキッス、なりふり構わず
絶対に勝つんだって感じでバトルを諦めてないよ?」
のトゲキッスはシャドーボールで応戦してるけど、
タイプ一致技じゃないから、威力が低くなってる。
必死に頑張ってたけど、とうとうピカチュウのボルテッカーで
戦闘不能になっちゃった。
『トゲキッス、戦闘不能!このバトル、カントー代表の勝利!!』
審判の声に、レッドとグリーンがの傍に駆け寄った。
はトゲキッスをボールに戻した後、二人に手を差し出してる。
あ、これって握手かな?そうだよね、バトルの後は握手って決まってる。
会場がスタンディングオベーションですっごい拍手の音が聞こえる。
会場に担架が運び込まれて、がゆっくりと乗せられる。
そのそばにいるのはドクター…ってか?!
ノボリも気がついたみたいで、すっごくビックリした顔してる。
「会場内は関係者以外立ち入り禁止でございますのに、なぜが?
ですが、の状態を一番良く把握してる彼がついてるなら安心ですね。」
「うん、だけどどーしてこんな事になったか気になる。
ボク達の番はまだだから、ちょっと行ってみようか。」
「そうでございますね、私…には今一度自分を大切にしろと
説教する必要があると思います。」
「えー、その前によく頑張ったね!でしょ?」
こんな場所に来てまで、もノボリの説教なんて聞きたくないと思う。
だからボクはそう言ったんだけど、効果は今ひとつかもしんない。
ノボリってばすっごい顔して立ち上がって歩き出したし!
あー、これって最悪正座付きの説教コースになるかもしんない。
、ゴメンネ?ボクじゃノボリは止めらんないよ!