二章・強者達の夢の競演編 -ポケモン達の本気-

二章・強者達の夢の競演編

ポケモン達の本気



5回戦目が終わったところでランチタイムになったから

ボクとノボリは協会が用意してくれたテーブルに座ってた。

正直言って、こーいう場所って好きじゃないんだけど仕方ないねって

二人で諦めてグラスに注がれたおいしい水を飲む。



「私達はこの後、ジョウト代表とバトルをして本日は終了でしたね。」



前菜のサーモンのカルパッチョを食べながら、ノボリが今後について話す。

今日は全員が3回バトルをする。全体のバトルで言えば9回戦?

今は丁度半分位終わった所なんだけど、ボクもノボリもまだ興奮気味。



「あの二人とは、きっとすっごいバトルになると思う。

終わった後、ポケモン達をちゃんと休ませなくちゃね。」



「えぇ、明日もバトルがございますからね。

連戦ではございませんが、それぞれのバトルが凄いですからねぇ

今日の疲れが残っては大変でございます。」



興奮気味なのはポケモン達も同じ。

皆、バトルが嬉しいっていつも以上に張り切ってる。

ボク達の話を聞いて、隣で冷菜をフォークでつついてたトウヤが呟く。



「そういえば、お二人のポケモンってノーマルの子達ですよね?

オレ、てっきりスーパーの子達で参加すると思ってました。」



「ノーマル?スーパー?」



「…?」



向かいに座ってたグリーンとレッドが不思議そうにこっちを見てる。

そっか、二人共バトルサブウェイのルールを知らないんだっけ。

ノボリが二人に説明してると、それを他の人達も聞いてたみたい。



「つまり、きみ達は本気を出してなかったのかい?」



「そして、そんな二人にわたし逹は負けたのですか?」



あ、ダイゴとミクリが怒ったみたいに言ってる。

ちょっと待って、誤解しないで欲しい。ボク達は本気でバトルをしてる。

どーしてこの子達をエントリーしたのかを説明しようとしたら

が口元をナプキンで拭って話し始めた。



「いっつもレベルフラットで、ホントはカンストしてるあの子達には

それこそ、手加減してもらってのバトルをいつもさせていたから…

ノボリさんもクダリさんも、本気のバトルをさせたかったんでしょ?」



?」



隣でシロナさんが不思議そうな顔してを見てる。

でも、それに気が付いてないのかな?は更に話を続けた。



「今回の様な形でなければ、あの子達は本気を出せませんしね。

そういう意味でエントリーしたんでしょう?

大体お二人がバトルで手を抜くなんて、有り得ません。

手加減無しがバトルサブウェイでの醍醐味ですし。モットーですしねー。」



そっか、ってばボク達の事を援護してるんだ。

前にもボク達がインゴ達に色々言われた時に、言い返したっけ。

今もその時と同じ顔をしてる。笑ってる様だけど、目が笑ってない。



「えぇ、バトル施設ですが娯楽施設とも言われてるのを知っております。

ですが、どの様な場合であっても、私達は常に本気でございます。

流石にノーマルでは規定がありますので、多々制限はございますが

その中で出来る、最大限のバトルを提供しているつもりでございます。」



「うん、ボク逹はスーパーで本気のバトルができるけど

この子達はそれが出来ない。だから、エントリーさせた。

思いっきりバトルを楽しんで欲しいってのもあるけど

ボク達が、この子逹と一緒に本気のバトルをしたかっただけ。」



「確かに、いっつもノーマルでバトルする時と全然違いますもんね。

うわー、昔のオレってばそれでもあの子達に勝つのに苦労してたし!

つーか今回も、本気の時でやっぱり負けたし!」



「…へぇ…」



「そっかー、おれ逹のポケモンはレベルフラット?規約?そんなの無いしな。

チャンピオンは常にトレーナーと全力でぶつかって当たり前だし?

バトル施設はそういう所が逆に大変そうだな。」



トウヤやグリーンの言葉に、皆も納得してくれたみたい。

の話がきっかけで、バトル施設とチャンピオンの違い?

そんなのを皆がわかってくれたみたいで嬉しくなった。



「バトルサブウェイでは様々な規制が私達に設けられております。

この大会ではその様な事を気にする事なく、バトルができますので

とても楽しみにしておりました。

私達は閉鎖された空間でバトルをし続けておりますので

常々自分達の実力が、どこまで通用するのか知りたいと

そう思っていたのでございます。」



「ボクもノボリも、こーいった表舞台?ってホントはすっごく苦手。

だけど、これだけすっごい人逹とバトルする機会なんて

これを逃したら無いと思ったから、参加した。」



「成程な、きみ達二人は本当にバトルが好きなんだ。

午後からの対戦、楽しみにしてるよ。」



「あらワタル、バトルが好きなのはここにいる全員でしょう?」



「わはは!違いない!!バトルが好き、そしてポケモンが好きじゃなきゃ

この様な場にいるはずもないだろうて!」



アデクさんの言葉に全員が笑いながら頷いた。

うん、ここにいる人達は全員バトルだけじゃなくポケモンも大好きってわかる。

それじゃなかったら、あんな息のあったバトルはできない。

いつもはこういう形式ばった食事会ってつまんないけど、今日は違う。



「ノボリ、楽しいね。」



「えぇ、本当に。私、自分の視野の狭さを改めて痛感いたしました。

世界は広いですね。そして、素敵な事が沢山あるのですね。」



「うん!辛い事もあるけど、ハッピーになれる事も沢山ある。

ボク達はそーいうのをすっかり忘れてたのかもしんない。」



仕事絡みの食事会はつまんない。相手に言いたくもない事を話したり

聞かれたくもない事を聞かれてそれに嫌々答えたり、そんなのばっか。

でも、ここは違う。皆ボク達と一緒。ポケモンとバトルが好き。

そして、すっごく良い人ばっかり。だから楽しい。

メインディッシュのローストビーフを頬張りながら、ノボリと二人で笑う。


ランチタイムが終わって、ちょっと休憩をいれてからバトルが再会した。

ボク達は今日は残り1戦、いつも通り全力を出せば良い。

モニターに映る他の人達のバトルを見ながら、ギアステに戻ってから

トレインでのバトルに参考になりそうな部分をノボリと話し合う。

自分達が楽しむだけじゃなく、他の人にも楽しんでもらえるようにしたい。

ここでのバトルは、そういうヒントがいっぱいあるから勉強になる。



「間もなく7回戦目が終了になりそうですので、次のバトルの方々は

それぞれの場所へ移動して、待機をお願いします。」



進行役の人達が、ボク達の順番が近づいた事を教えてくれた。

ボクもノボリも、先導役の人の後について控え室を出る。

移動が終わった時に、丁度前のバトルが終わったみたい。

さぁ、次はボク達の番。準備は勿論オッケー!



「ギギギアル、出発進行でございます!」



「アイアイント、出発進行!」



相手はジョウト代表、正直言って相性はあんまり良くない。

だけど、そんな事関係ない。ボク達は全力でぶつかる、それだけ!











「カイリュー、戦闘不能!デンチュラ、戦闘不能!」



審判員の声がフィールドに響き渡る。

どれだけ指示を出したかな?どれだけ戦法を変えたかな?

ボク逹は出来る事を全部やってる。後はポケモン達を信じて任せるだけ。



「デンチュラ、いっぱい頑張ったね。お疲れ様、ゆっくり休んでね。」



デンチュラをボールに戻してから、ギュって抱きしめた。

デンチュラが頑張ったから急所に当たった。だからカイリューが倒れた。

フィールドに残ったのは、イブキのキングドラと、ノボリのダストダスだけ。

どっちもHPがすっごく少ないけど、分が悪いのはボク達の方。



「キングドラ、決めるわよ!げきりん!!」



「ダストダス、ベノムショックでございます!!」



どっちもタイプ一致で威力アップ。向こうは命中率が低い。

でもこっちは命中率は100%だけど威力が低い。

キングドラがどくどくで猛毒状態。威力は倍になるからこの指示しかない。

お互いの技が炸裂して、フィールドにすっごい爆音と爆風が巻き起こる。

ノボリは次の指示を出さないで、じっとバトルフィールドを見つめてた。


爆風で巻き起こった土埃が落ち着いて、見えてきたフィールドには

倒れたまんまのダストダスと、ギリギリで耐えたキングドラが立っていた。

だけど、次の瞬間にキングドラも倒れる。これは猛毒の追加効果のせい。

見た目は相討ちで引き分けだけど、バトルに引き分けなんかない。



「ダストダス、キングドラ、共に戦闘不能ですが、規定のルールに従って

このバトルは最後に倒れたキングドラの勝利とします。

よって、第8回戦の勝者はジョウト代表のワタルとイブキ!!」



「ダストダス!」



会場からすっごい歓声が聞こえたけど、ノボリには聞こえてないかもしんない。

クルクルと目を回して気絶してるのに、ダストダスの手が無意識に動いてる。

その姿はまだ戦うんだって言ってるみたいに見えた。

フィールド内に飛び出して、駆け寄ったノボリはダストダスの手を取ると、

自分の胸元に近づけてギュッと抱きしめた。



「ダストダス、お疲れ様でございました。バトルの決着はつきました。

よく頑張ってくださいましたね、素晴らしいバトルでございましたよ?

有難うございました、後はゆっくり休んでくださいまし。」



その声に安心したのかな?やっとダストダスの手の動きが止まった。

ダストダスを戻してから、ノボリはもう一度ボールを抱きしめる。

ボクも傍に寄って、お疲れ様ってボールを撫でた。



「二人共、素晴らしいバトルが出来て嬉しかった。

まさか相討ちになるとは思わなかったけどな。」



「えぇ、能力でも相性でも有利だったのに結果はこうだしね。

バトルには勝ったけど、二人とポケモンの絆には負けたわ。」



「あのね、それはポケモン達がボク達の気持ちに応えてくれたから!

確かに負けたのは悔しい。でも、悔いの無いバトルができたと思う。」



「この子達は、実力以上に素晴らしい力を出し切りました。

結果は残念でございますが、私逹はこのバトルに満足しております。」



ワタルとイブキ、それぞれとギュって固く握手をしたら

観客席からすっごい歓声と大きな拍手が沸き起こった。

ボク達4人は、それに応える為にスマイルで観客席に向かって手を振る。


すっごいバトルの後は、こーやってハッピーとスマイルがついてくる。

でもそれはボク達トレーナーだけじゃなく、見てる人達もだったら嬉しい。

そんなバトルをいつもしたいって、ボクもノボリもポケモン達も思ってる。