二章・強者達の夢の競演編 -控え室にて戯れる-

二章・強者達の夢の競演編

控え室にて戯れる



エキシビジョンマッチ当日、雲ひとつない晴天に恵まれ

超満員の会場には一際大きな歓声が上がりました。



「ダイケンキ戦闘不能!この勝負、サブウェイマスターの勝利!!」



第一回戦は私達と、イッシュ代表…アデク様とトウヤ様でございました。

私もクダリも、旅をしていた頃はチャンピオンに勝利する事が出来ず

二人で悔し涙を流したものでございました。

あの頃からどれ程の時が流れたでしょう、私達も成長を続けましたが

未だにアデク様のバトルもご顕在であった事、嬉しく思いました。

この勝利は、ただの1勝以上の物を私達に与えた様な気がいたします。



「二人とも、素晴らしい成長ぶりだったぞ、天晴!

今日の戦いを、次へのステップにして進め!!」



「ノボリさん、クダリさん、やっぱり二人は俺の目標です!

負けたのは悔しいですけど、それだけじゃありません。

お二人とのバトルはいつだって、楽しくてワクワクしちゃいます。

でも、この次こそ絶対に勝ちますからね!!」



「旅をしてた時は、チャンピオンに勝てなくて悔しかった。

でも、すっごく楽しかったのを覚えてる。

あの時、すっごいバトルにはワクワクもスマイルもついてくるって知った。

だからボク逹はあの時からずっと走り続けてる。これからもずっと!」



「私とクダリも、お二人とのバトルはとても勉強になりました。

日々研鑽を積み重ねて、更なる高みを互いに目指してまいりましょう!」



それぞれと固く握手を交わして、共に控え室に戻れば

待機中の各地方の代表の方々から、労いの言葉を送っていただきました。

立場は違えど、バトルを愛し、そしてポケモンを愛する方々でございます

そのお言葉のどれも、とても暖かでございました。



「二人共、あの土埃の中、よく指示を出し続けたものだな。

目くらましのつもりだったが、逆手に取られるとは思わなんだ!」



バトル中、アデク様のウルガモスが放った、はかいこうせんの爆風で

フィールドでの視界が奪われた場面をおっしゃられてるのでしょう。

進行役から差し出されたおいしい水を一口飲みながら、感心された様に

私たちに向かって申しております。



「ボク達、いっつも狭いトレインの中でバトルをしてる。

トレインの中じゃ自分達のポケモンが大きいと視界がそれだけ効かない。

だからボクもノボリも目で見てない。相手の動きとか気配を感じてる。」



「えぇ、私達は特殊な場にてのバトルをしております。

ですから、目に見えるものだけではなく、そういうものが重要になるのです。

自分達のポケモンの位置、相手のポケモンの位置と状態等は

今では見る事が出来なくても、大体把握する事が可能でございます。」



バトル後のポケモン達の体調をチェックしながら、クダリと二人でお答えすれば

周囲にいらっしゃった方々からも感心されてしまいました。

ですが、これは私達が必要に駆られて習得した物で、必然だったのです。



「そういうのが、サブウェイクオリティって嘘みたいな命中率になるんですね!

オレ、運なのかって思ってたけど根っこから間違ってました。」



「トウヤ、それだけじゃないぞ。ポケモンだって視界が効かない。

だが二人を信じているからこそ、できる芸当だと思わんか?」



「あ、そうですよね!ポケモン達が絶対的な信頼をお二人に寄せてるから

指示に躊躇する事無く、動くんだ…うわー、ますます燃えてきた!

オレとポケモン達だって、信頼関係ってか絆じゃ負けてませんからね。

いつか絶対、トウコと二人でスーパーマルチを撃破させてもらいまっす!」



「ボク達とポケモン達だって、信頼関係とか絆は誰にも負けない。

あのね、ポケモン達がトレーナーを好きって気持ちはすっごく素敵!

ボク達は、そういう気持ちがいっぱいのバトルをするのが大好き!」



体調チェックを終えたポケモン達をボールへ戻して

クダリが満面の笑みで二人と話しております。

その時、会場の方で一際大きな歓声が上がりました。

備え付けてあるモニターを見れば、第二回戦が終わった様でございますね。



「ほう…今大会、優勝最有力候補が最早敗れたとは…」



アデク様が驚き呟かれた言葉は、この場にいる全員が思っていた事でしょう。

今大会にて、マスコミが優勝の最有力候補にあげられたのはジョウト代表です。

ドラゴンタイプはどのバトルにおいても驚異でございます。

ましてやトレーナーが二人共ドラゴン使いなのですから当然でございましょう。



トウヤ様が大会の進行表を見て、対戦相手をチェックしております。

そして、それぞれの名前を見るとガッツポーズをされました。

私もこの様な場所でなければ、スーパーブラボー!と叫んでいたでしょう。



「えーっと、二回戦って…ジョウト代表とシンオウ代表?!

ドラゴンタイプ撃破するとか、さんてば、何を出したんだろ?

ってかすげー!マルチが一番得意とか言ってたのはホントだったんだ!」



モニターをみればハイライトシーンが映し出されております。

これは…シロナ様がミカルゲで、さいみんじゅつ からの ゆめくい

がトゲキッスで、エアスラッシュの連発でございますね。

私達とのマルチバトルでは一度も出さなかったポケモンでございますが

流石と言いましょうか、大変良く育てられております。



もトゲキッス持ってたんだ。

ってか、このトゲキッスは注意しなくちゃ駄目かもしんない。

すっごく怯みが連発して起きてる。特性は、てんのめぐみ?」



「怯みの効果が無いカイリューは、シロナ様が担当しているのも注意ですね。

お二人は、マルチを組んでいた事があるのでございましょうか?

この様なコンビネーション、そう簡単に出来るものでは無いでしょうに。」



モニターに映るトゲキッスは技を放った後、の指示を待たずに

すぐに臨戦態勢に入られます。は仕事をしてる時とは違い

以前、トウヤ様のバトルレコーダーで拝見した表情を浮かべておりました。



さんが、チャンピオン代理としてバトルする時の手持ちって

シロナさんのポケモン達と同じらしいですよ?

そうじゃないと、トレーナーさん達を混乱させるからって言ってました。

確か、能力値とか技構成も全部同じだったんじゃないかな?」



「あくまでも代理として、自分の仕事を全うしたと言う事か。

それにしても、何故これだけ優秀で凄腕のトレーナーが

噂にあがる事もなく埋もれておったのか、不思議でならんわ。

そう言えば、二人の職場での部下…だったか?」



アデク様はシロナ様とは何度かお会いした事があると言っておりました。

バトルも何度かされた事があるようでございますね。

ですが、シンオウのチャンピオン代理のの事は知らなかったと見え

少し前に起きた愛護団体と当施設のトラブルの際の報道で初めて

その存在自体を知ったと申されました。



「はい、アデク様がご存知無かったのも仕方がございませんが

実力はマスターランクでございますよ?

近々、イッシュでもジム巡りを始めるのでお世話になると思います。」



「うん、辞退してるから記録には残ってないけど殿堂入りしてる。

きっとアデクさんともバトルする事になると思う。」



「それ程の腕前なら楽しみだ!と、言いたいところだが

残念だな…チャンピオンとしてバトルする事はないだろう。」



エキシビジョンマッチが終わったら、チャンピオンを引退するのだと

アデク様の言葉に、私とクダリだけでなくトウヤ様も驚きました。

トウヤ様が勿体無いと言っておりますが、私達も同じ気持ちでございます。

ですが、アデク様の気持ちは変わらない様でとても残念です。



「あ、皆さんお疲れ様でした!さん、トゲキッスの鬼畜っぷりは

あの時から全然変わってなくて、オレ、笑っちゃいましたよ?」



バトルフィールドから戻られた皆様から、を見つけて

トウヤ様が近づいて興奮気味に話しかけられました。

昨日とは違い、は視線を和らげたままトウヤ様に微笑みます。

その様子に、傍にいたシロナ様とイブキ様、ワタル様が驚かれてました。



「あははー、それトゲキッスには言わないでね?

トウヤ君も良いバトルだったよねー。私、待機場所から見てて

負けるな、超頑張れ!って応援してたんだよ。」



「えー、それってボク達に負けろって意味?酷い!」



「クダリ、結果としては私達が勝利したのですから。

ですがは、私とクダリを応援してくれなかったのですよね?」



「うわわ、二人共落ち着いて!ってか、私の応援が無くったって

二人が負けるわけないでしょう?」



さん、それってオレが負けるって思ってたって事ですかー!」



「ぎゃー!私の馬鹿ー!!」 



いつも通りのやり取りをしておりましたら、シロナ様が吹き出します。

その後ろを見れば、イブキ様もワタル様も肩を震わせて笑いを堪えてました。



「やだ、貴女ってばそういう性格だったの?

シンオウじゃ極寒のユキメノコなんて言われてたのに…ククっ…!」



シロナ様に声を掛けられて、今の状況を把握した様ですね。

流石にチョロネコを背負い直す事は無理だと思ったのでしょう。

は私達といる時と同じ様にシロナ様にも接し始めました。



「シロナさん…笑いすぎるとシワになりますよ?

ってか、あそこで私がヘラヘラしてたら舐められまくりでしょ?

怠けグセのついた協会のオッサン相手に愛想なんていらないしー。」



「あはは!その通りよね。貴女今の方が全然良いわ!」



「…そりゃどーも。あーもう、ノボリさんとクダリさんのせいですよ?

私のクールなイメージ、ぶち壊しじゃないですか!」



「ボク達、がクールなんて思った事無い。」



「えぇ、初対面の時から色々やらかした方が何をおっしゃいますか。」



「あ、その話聞きたいです!

さんってば、イッシュに来てからイメージが違いますよね?」



「良いよトウヤ。あのね、ってば最初からノボリに怒られてた!」



「ちょ、クダリさん!これ以上私のイメージを崩さないでー!」



「イメージとは壊すために存在するものでございます。」



私達のやりとりに、控え室が笑いに包まれました。

はその変化に戸惑ってらっしゃる様でございますが、昨日よりはマシ

本来の貴女を知ってもらう絶好の機会でございましょう。



どの様な場合でも自分から独りになろうなど、私逹が許しません。

こうやって、少しずつでも誰かと親しくなられて友情を育んで欲しいですね

ですが、仲間の座はどなたにもお譲りはいたしませんよ?