二章・強者達の夢の競演編 -若きトレーナーの武者震い-

二章・強者達の夢の競演編

若きトレーナーの武者震い



トレインはホドモエシティに停まり、私達とを降ろしました。

シンゲンは制動距離のデーターを取ることができたので

そのままカナワタウンの車輌基地へトレインを走らせると言ってから

私達に声援を送るとトレインを発車させました。



「パーティまでまだ時間がある。先にホテルでチェックインして

それからと合流して、出かけた方が良いかもしんない。」



「クダリもノボリも着替える必要が無いから、その方が良いかもな。

俺もチェックイン済ませたら、とのんびり酒でも飲むか。」



ホテルまで距離がある為、クダリがアーケオスを、がカイリューと

トゲキッスをボールから出しました。

私は、空を飛ぶを使うポケモンを持ってきていないので

いつもの様にのトゲキッスに乗せてもらう事にいたしましょうか。



「トゲキッス、いつも乗せていただいてありがとうございます。

後でにオボンの実を渡しておきますので、食べてくださいまし。」



そう言って頭を撫でれば、嬉しそうに頬ずりして来る様に

思わず微笑んでしまいました。



「トゲキッスはノボリを乗せるのを喜んでるんだから

そんな気を使わなくても良いんだぞ?」



「気など使っておりません、私がしたいからやってるまででございます。」



「お前はポケモン相手にも義理堅いんだなぁ…」



が妙に感心しておりますが、私…何か変な事をしているのでしょうか?

単にトゲキッスに感謝しているだけでございますのに。



「ノボリのそーいう所がポケモン達にもわかるから、好かれる。

でもね、本人がそれをわかってない。」



クダリがアーケオスの背に乗り、肩をすくめながら申しておりますが

やはり意味がわかりません。はそれが私の良い所だと申しながら

カイリューに乗り込まれましたので、私もトゲキッスの背に乗りました。


人間を乗せ慣れているポケモン達は、バランスを崩すこと無く

目的地のホテルまで快適な飛行でございました。



「あ、ノボリさんとクダリさんとさん、お疲れ様です!

トウヤは先にホテルの部屋に入ってますよー。」



クダリとがポケモン達をボールに戻し終えた時に

背後からトウコ様が駆け寄ってこられました。



「トウコもお疲れ?トウヤ緊張してるんじゃないの?」



「あははー、その通りなんですよ!

周囲はすっごい人で大人ばかりでしょ?その中に自分がいていいのか?!

なーんて、今更グダグダしちゃって部屋の中で殻に篭るしちゃってます。」



からかい半分でクダリが言った言葉が、現実になっていたとは…

ですが、そうなっても仕方が無いのではないでしょうか?

なんといってもチャンピオンと同様にパートナーも凄腕のトレーナーで

尚且つ参加名簿から見ても、トウヤ様が一番若くていらっしゃいますしね。



「そうなっても仕方がない参加者ばかりでございますからねぇ…

トウコ様、トウヤ様にもご挨拶したいので部屋に案内していただけますか?」



「あ、ボクも行く!」



「二人共、まずは俺等もチェックインしなくちゃ駄目だろう。

でもトウコちゃん、その後で良ければ俺も顔を出しておきたいんだが?」



「皆さんに会ったらトウヤも少しは元に戻るかもですね!

チェックインの間待ってますんで、終わったら一緒に行きましょう!」



ホテルに入り、チェックインを済ませてからエレベーターに乗り込み

部屋のあるフロアに出て、トウヤ様の部屋の扉をノックしてから入ります。

トウヤ様はベッドに腰掛けたまま俯いておりました。



「ちょっとトウヤ、今更なにしてんのよ!

そんなんで、明日からのバトル大丈夫なの?しっかりしなさいよね!」



「わーってるよ!だけどな、今更ながらに凄い人逹ばかりで

自分でも情けない位緊張して、震えちゃって、どーしよーもないんだよ!

あ、ノボリさんとクダリさんとさん…」



トウコ様の激励に、自棄になった様に叫ばれたトウヤ様は

私達を見て、ちょっとバツの悪そうな顔をされました。

クダリがいつもの様に笑いながら、トウヤ様の隣に腰掛けます。



「あのね、トウヤが緊張するのも仕方が無い。

でも、これから始まるすっごいバトルに参加できるんだって考えて?

凄い人逹のバトルを近くで見れるなんてラッキーでしょ?

その人逹とバトルも出来る。こんなチャンスもう無いかもしんない。

だからトウヤも、楽しんだら良いと思う。」



「クダリさん…はい、オレもずっとそう思ってたんですけど

今日になったら急に緊張したっていうか、なんていうか…

あー!こんなのオレらしくないってわかってるんだけど、それでも…

どーしても、緊張しちゃって震えが収まらないんです。」



クダリがトウヤ様の肩に手をかけて励ましたのですが

トウヤ様はそう言うと頭を抱え込んでしまわれました。

これは相当重症でございますねぇ…

クダリと二人顔を見合わせてしまいました。



「すげー面子で、今更ながらに緊張したってのがトウヤ君らしいよな。

だがクダリの言う通りだと思うぞ?

後な、そういう時はポケモン達と話をすれば良いんだよ。

トウヤ君の子達はどう思ってるのか?どうしたいのかってな。」



そう言っては目線を合わせるようにしゃがみ込むと

トウヤ様の頭を撫でながら笑いました。



「あ…」



の言葉は、今のトウヤ様には効果は抜群だったようでございますね。

トウヤ様がホルダーに手をかければ、それに応えるかのように

ボールが一斉に赤く点滅し、カタカタと揺れました。

その様子は言わずもがな、で、ございましょう。

私はクダリの反対隣に腰をかけ、トウヤ様の手を握ります。

その手は緊張からでございましょう、未だに微かに震えております。



「トウヤ様の子達は気合充分の様でございますよ?

トウヤ様はご自分のポケモン達を信じて差し上げる事ができませんか?」



「いえ、オレは他の参加者の人達よりは経験値が足りないかもですけど

ポケモン達との絆では誰にも負けない…負けたくないです。」



私の言葉にトウヤ様が首を振りながら、ホルダーのボールを撫でました。

尚も励ますかのように揺れるボールを見て、トウヤ様の瞳が弧を描きます。



「うし!オレの子達からパワーもらった!

バトルする前からウダウダしてたって仕方が無い、オレらしくない!」



「そうそう、それでこそトウヤ!」



「えぇ、トウヤ様が素晴らしいトレーナーである事は私達が知っております。

このエキシビジョンマッチに参加するに相応しい方でございますよ?」



「そんなに悩むとハゲるぞ?」



緊張から青ざめていた顔色も、元に戻った様で安心いたしました。

その様子に私達三人が笑みを深くすれば、下を向いてしまわれました。

これは…照れ隠しでございますね。耳が赤くなっております。


今までの様子を黙って見ていたトウコ様でございますが

トウヤ様が元通りに戻ったと感じたのでございましょう

安心した様に、ほっとため息をつきながら笑っております。



「ほーんと、トレーナーよりポケモン達の方がよっぽど

ドッシリ構えてて、これじゃあどっちがトレーナーって感じ?

トウヤがそんなんだったら、私が代わりに参加しちゃうんだからね!」



「うっせーよ!俺はトウコと違って繊細なんだ、デリケートなんだよ!

お前みたいな心臓がモンジャラしてる様な奴と一緒にするな!」



「乙女の純情ハートに向かってモンジャラですってぇええええ?!

アンタの心臓がバチュル並でプルプル震えてる癖に、人の事言うな!」



「トウコ、バチュルはプルプル震えてても怖いからってわけじゃない。

そんな事にバチュルを例えに出さないで?つーか、バチュルに謝って!」



「クダリ…お前がいくらバチュルが好きだからって、例え話だろ?

そこは大人なんだから、小さい事を言うもんじゃない。

トウヤ君もトウコちゃんは女の子なんだからな。

そんな事言うのは男としてどうかと思うんだが…。

後トウコちゃん、勇ましいのは決して悪いことじゃないが

そんなんだからトウヤ君に言われるんじゃないのか?」



「「「うっ…」」」



の情け容赦のないツッコミに、痴話喧嘩状態だった三人は

反論もできずに言葉に詰まってしまわれました。

この勝負、の一人勝ちでございますね。

なんにせよ、トウヤ様がすっかりいつもの様子を取り戻したようで

本当によろしゅうございました!