二章・強者達の夢の競演
出発進行!
いつも通りの業務をこなす日々を送っていたら
あっという間にエキシビジョンマッチの日が近づいた。
日にちが経つのが早く感じるのは年取った証拠だとか、が言うけど
それなら自分だって同じでしょ?って言い返したもんね!
トウヤからもらったタマゴから、無事にミジュマルが生まれて
今はの傍から離れない位の甘えっぷりを見せてる。
でも、のポカブも同じくらい甘えてるから
この二人が育てるポケモン達は、全員甘えん坊なんじゃないかって
思ったボクは間違ってないと思う。
「、作業場にはいらしておりますか?
今日の朝礼、にもぜひ参加していただきたいのでございますが…」
明日はバトルトレインの車両一斉点検、つまりエキシビジョンマッチ当日!
ボク達は職員の皆に頑張ってくるって言おうと思ってる。
だからにも朝礼に出て欲しいよねって、昨日話してたんだ。
そんなノボリの問いに、がパソコンの電源を入れながら答える。
「確かやっつけておきたい仕事があるって言ってたので、来てるかと
どっちみち朝礼前に、俺に渡す書類があるんで来ると思いますよ?」
「それならオッケー!は仕事の方は大丈夫なの?
今日はと午後から有給とってホドモエに行くんだけど。」
「それこそオッケーだよ。俺の仕事の方は昨日のうちに片付けました。
後は在庫の書類をもらってから、発注するくらいだからね。」
「は私達と一緒でよろしいのでございますか?
貴方も午後から有給を取っても構わないのですよ?」
「それをやったら職長として、筋が通らないでしょう?
もっとも仕事自体は昨日のうちに殆ど終わらせてるんですけどね。
早く行ったら行ったで、色々面倒な連中に会いそうなんで遠慮します。」
がホワイトボードの前に移動しながら苦笑いしてる。
そっか、もも各地方のリーグを制覇してるから
それぞれのチャンピオンとも面識があるんだよね。
特にホウエンのチャンピオンはデボンコーポレーションの社長で
こっちにきて水漏れ修理した時に話してたけど仲良さそうだったっけ。
それぞれに今日の仕事の準備を終わらせて、皆でコーヒーを飲んでたら
執務室のドアがノックされてが入ってきた。
「失礼しますー。皆さんおはようございまっす!
主任、これ作業部屋の在庫一覧です。ラインの引いてる所に
発注数書いてあるので今日中にお願いします。
課長、これが休み明けの業務計画書です。各地方の駅の点検について
順番を検討して何通りか用意したんで、どれにするか決めてください。」
もう作業用のツナギ姿でいるって事は仕事をしてたのかな?
書類を渡し終わったにノボリが紅茶の入った紙コップを手渡した。
「、今日の朝礼は貴女にも参加していただきたいのですが。」
「は?え、えーっと…私、また何かやらかしちゃいましたっけ?
アレかな?いやいや、アレは問題ないはずだし…アッチかな?」
「…そのアレとアッチの内容は後で聞かせていただきましょうか。
そうではなくて、明日から始まるエキシビジョンマッチの件で
職員の皆様に挨拶をしようと思ってるのでございますが?」
「あはは…墓穴掘っちゃったい!って、そっちですか!
私はチャンピオンのオマケみたいなもんですから、必要ないでしょう?
ここは、ボス達が盛大に行ってきますと言う所だと思いますよ?」
…ホントって表立った事が徹底して嫌いだよね。
よくこれでチャンピオン代理を受けてたと思う。
でも、ボク達もそうですかって引き下がるわけにはいかない。
コーヒーを飲み終わって、ゴミ箱にカップを投げ入れてから
ボクはに向かって指差ししちゃうもんね。
「あのね、すっごいこのバトルにギアステから三人も参加する。
それが大事で、オマケとか関係ない。もギアステの職員。
皆に行ってきますって言うのは当たり前の事だと思う。
だから問答無用で出発進行するからね。これは上司命令!」
「うわーい、最後通告キター!ですか?
特に言う事って無いんですけど、それでよければー。」
うん、言う事なんて別に関係ない。
皆に行ってくるよ、頑張ってくるよってだけで良いと思う。
きっと皆もボク達だけじゃなく、にも頑張れって言うはずだもん。
朝礼が始まって、最後にボクとノボリ、でエキシビジョンマッチに
行ってくるって言ったんだけど、ってば言う事無いとか言ってたのに
目指すは全勝の気持ちで頑張ってきます!なんて言うし。
勿論ボク達もその後で、負けるつもりは無いよって言ったけどね!
それを聞いて皆が既に頂上決戦開始?とか言って笑ってたし!
頑張れ!とか廃人魂を見せろ!バトル狂の凄さを知らしめろ!なんて
皆口々にすっごい事を言って応援してくれて嬉しかった!
朝礼が終わってからも、ボク達の傍に職員さん達が集まってきて
頑張ってくださいって応援してくれる。
なんでも会場の入場チケットはあっという間に完売になってて
誰もゲットできなかったとか、その分テレビで生放送されるみたいで
皆はそっちで応援しますって言ってくれた。
執務室に戻ってすぐには仕事が残ってるからって出ていった。
ものサポートに回るからって言ってその後を追って出て行って
部屋の中には三人だけになった。
「そう言えばももよく入場チケットが手に入りましたね。
が手配したのでございますか?」
「いや、が用意してくれたんだよ。
四天王は前列でかぶりつきで見るから、俺達もついでにって。
ホテルの手配も全部やってくれたから、文句は言えないんだけどね。
なんでチャンピオン達と同じフロアなのかと問い詰めたよ。」
「あー、だったらちゃっかりしてるからやりそう!
ねぇねぇ、今日のパーティが終わったら部屋に行っても良い?」
「私も行ってもよろしいでしょうか?
恐らくは身近にチャンピオンを見た興奮で早めに眠るのは無理でございます。
それなら、を誘って5人で集まるのもよろしいかと…どうでしょう?」
「…5人で済めば良いんだけどね。俺達は一向に構わないと思うよ。
ただし、酒は飲ませませんけど、それでも良いのかな?」
ボク達が頷いた時に、トレインの待機要請がインカムから流れる。
さて、ボク達も今日の分、しっかり仕事をやらなきゃね!
午前中のバトルが終わった時に、丁度出かけるとに会ったから
気をつけていってらっしゃいって言ってから
ボク逹は午後の仕事に取り掛かった。
食事は食堂で摂る暇がなくって、久しぶりにトレインの待機室で食べた。
忙しいけど、しっかりと仕事はやらなくちゃ駄目。
今はバトルが一段落して、今日の分の書類に目を通して決済をしてる。
今日は思ったより書類が少なくて助かった!
この分だと就業時間終わったらすぐに出発できるかもしんないな。
ノボリと二人で書類を見ながらサインをしていたらドアがノックされて
シンゲンが書類を持って中に入ってきた。
「シンゲン、トレインに何か問題でも発生しましたか?」
「ハイ、少々問題ガ…。ブレーキシステムチェックノ要請ガ
車両点検班カラキマシタ。コレガ ソノ書類デス。
トレーナー統括部長トシテ、コノ要請ヲ 受ケヨウト思ッテマス。」
「あー、制動距離が微妙に伸びてる!
うん、こんなんじゃ安全運転出来ないから仕方ない。
シンゲン、各車両のチャレンジャーの受付状態は?」
「現段階デハ 受付ハアリマセンノデ 問題アリマセン。
ソレデデスネ、ボス達ハ本日ノ業務ハ モウ終ワリソウデスカ?」
「えぇ、貴方の持ってきたこの書類に承認のサインをすれば
今日の分の書類は全て終わりになりますが?」
「各シングル、ダブル、マルチノ制動距離ハ出テイルノデスガ
カナワタウン行車両ノ 制動距離データーガ マダデスノデ
コレカラ ボクガ運転シテ確認スル予定ナンデス。
ホドモエヲ通リマスノデ、ツイデニ会場ヘオ送リシマス。
マモナク発車予定デスノデ、準備シテクダサイ。」
ボク達はビックリしてシンゲンの顔をまじまじと見ちゃったよ!
シンゲンってば、すました顔してるけど目がいたずらっ子みたいに
キラキラ光ってるし…これって最初から計画されてたとか言わないよね?
でも制動距離の延長は事実だから、好意に甘えさせてもらおうかな?
「ふふっ、そう言う事でしたらお言葉に甘えましょうか。」
「あはは!うん、急いで準備する。後、も呼ばなきゃ!
こちらクダリだよ!保全管理課の課長、仕事を終わらせてすぐ来て!」
ボクがインカムでに連絡を入れてる間に、シンゲンは準備するからって
執務室から出ていった。
ボク逹はパーティ会場でもこの服装だから、着替えなくてもオッケー。
ボクがデスク周りを片付けている間に
ノボリがロッカーに行って二人分の荷物を持ってきてくれた。
「失礼します、流石はボス達の部下って感じですね。
整備班の作業場で仕事をしてたら、後はやるから戻って着替えろって…
どういう事かって聞けば、こんな粋な事をしてくれるんだから。」
着替え終わって荷物を持ったが、ニヤニヤした顔で入ってきた。
うん、ホントに流石って感じだよね!
皆の気持ちが嬉しくって、ボクもノボリもきっとと同じ顔してる。
それじゃって、カナワタウン行のホームに向かえば職員達が大勢集まってた。
「ボス達、健闘を祈るよ。
これはバトル施設に関わる者なら全員が思っている事だからね。
お二人には是非とも、全勝目指して頑張って欲しい。」
「私達はサブウェイマスター、常勝する事が当然とされる立場でございます。
それは例え相手がチャンピオンであろうとも変わりはございません。」
「うん、やる事はいつでもどこでもおんなじ。勝利目指してひた走る!」
ボクとノボリが拳を上げて、皆の気持ちに応えたら一斉に歓声が上がった。
それと同時に発車のベルがホームに鳴り響いてドアが閉まる。
沢山の職員達が、ずっと手を振っていてくれる光景を見て
ボクはなんだか胸が熱くなってきて何も言えなくなって、下を向いちゃった。
「いい部下を持ちましたね。」
がボク達の隣に座って笑いながら話しかけてきたんだけど
ボクもノボリもすぐに返事ができなかった。
「ボク達ハ ボス達ノ頑張リヲ ズット見テキテイマス。
ダカラ、イツデモオ役二立チタイッテ 思ッテルンデス。」
シンゲンは運転席に座って、ボク達の代わりにに答えてくれたんだけど
その言葉にもボク逹は嬉しくって、ホント泣きそうなんだけど!
すっごく素敵な部下に恵まれてボク達は幸せ!
皆が応援してくれてるこのバトル、無様な真似だけは絶対に見せらんない。
目指すはいつも通り勝利!すっごいバトルを皆に見せる!
ボク達の決意を乗せて、トレインは目的地に向かって走り続けた。