二章・強者達の夢の競演編
新参と古参の揃い踏み
イッシュのポケモン協会から届いた書類を見て、ボクとノボリは頭を抱えた。
例のエキシビジョンマッチの正式なスケジュールが公表されたんだけど
これはちょっと問題有りかもしんない。
「バトルの日程は問題ございませんが、その後の閉会式までは
頭に入れておりませんでしたねぇ…どういたしましょうか。」
「開会式は別に問題ないけど、どーして閉会式をバトルが終わった翌日に?
ねぇ、これって欠席するのはやっぱりマズイよね?」
そう、開会式から最後の組み合わせのバトルまでに2日間。
これは丁度トレインの一斉点検でボク達も休みだから良いんだけど
問題は閉会式、休み明けって結構チャレンジャーさんが多いから
ボク達が不在っていうのは営業的に大問題なんだよね。
書類を受け取ってからノボリと二人で色々解決案を考えてたんだけど
良い案なんて浮かび上がらなくて、とうとう二人で頭を抱えちゃったよ!
「閉会式が終わって、空を飛ぶを使って戻ってきても
午前中のトレインに乗車することは不可能でございましょう。」
「だよねー。うーん…そうだ!シングルとダブルはいつもの様に
とにお願いして、マルチは久しぶりにあの二人にお願いしよっか?」
「あぁ、それはよろしゅうございますね!
それでは早速、四人を呼んでお話してみましょうか。」
ボクの提案にノボリも賛成してくれた。
うん、正直言ってこの位しか打開策が思いつかないから仕方ないよね。
ノボリが書類をデスクの上においてから、インカムの通話をonにする。
「こちらノボリでございます。保全管理課の課長、主任
総務部門のジェイク統括部長、トレーナー部門のシンゲン統括部長
サブウェイマスターの執務室までいらしてくださいまし。」
ノボリの音声が流れてから、四人の了解って声がインカムから聞こえる。
暫く待ってたら、順次四人が執務室に入ってきた。
「失礼します、です。
この組み合わせで呼び出しなんて何か問題でも発生したのかな?」
「失礼します、ですが何かありましたか?」
「失礼するよ、ボス達が呼び出しをかけるなんて珍しいが問題でも?」
「失礼シマス。何カ トラブル発生デモ アリマシタカ?」
それぞれが、なんだかすっごく真剣な顔して入ってきた。
確かにこの面子を一緒に呼ぶなんて問題でも起きた時位しかないし
色々前例があったりするから、そんな顔をしても仕方がないかもしんない。
ボク逹は苦笑いして、首を横に振ってみせる。
「お忙しいところを急に呼び出しして申し訳ございません。
問題と言えば問題…なのでしょうね。これをご覧下さいまし。」
ノボリがさっきまで見てた書類をデスクに広げて四人に見せる。
日程を指差して、閉会式の部分を差した時点でそれぞれ納得したみたい。
こーいう所の飲み込みの早いのが四人とも凄いよね!
それぞれに、ボク達がどうして呼び出したのかって理解した感じで頷く。
「成程ね、エキシビジョンマッチの閉会式が終わって
ボス達が戻って来るまでの間の、ストッパー役になれって事でしょう?」
「シングルとダブルは誰ひとりとして、最終車両へ通す事はしませんので
俺とに任せてくれれば問題は有りませんが、マルチは無理です。」
「課長と主任、君達はそれほどのバトルの腕前なのに
マルチは駄目なのかね?何事もやってみなくてはわからない…
君達ならそう言うと思っていたんだがね。」
「休ミ明ケノ バトルトレイン運行ハ 通常ヨリ多イノデ
ポケモン達ノ負担ヲ考エテ…デハ無イノデスカ?」
総務部長さんとシンゲンが不思議そうな顔してとを見てる。
確かにトレイン内の、二人のバトルを知ってるならそう思うよね?
だけど、ボク達は二人のマルチを見てる。あれはマルチなんて言えない。
それぞれがシングルバトルしてるって感じ?ううん、それ以下?
が傍にいて、ポケモン達が可哀想だって言ってたけどその通りで
コンビネーションとか、そーいうの以前な位の駄目っぷりだった!
「とのマルチを拝見いたしましたが、ストッパーは無理でございます。
それに、シンゲンの言う通りポケモン達にも負担がかかります。
ですから、今の体制前にマルチのストッパー役を担当されていたお二人に
今回はお願いしたいのでございます。」
ノボリの言葉に、とが驚いた感じで目を開いて部長さん達を見た。
シンゲンはバトル部門の統括部長をしてるから予想はついてたっぽい?
確かに総務部長さんがバトルをするなんて思わないかもだけど
シングルだってダブルだって、トレインに乗ってても不思議じゃない位だし
特にシンゲンとのマルチバトルは、油断するとボク達でも負けそうになる。
「もも知らなくて当然。
部長さん逹がストッパーをやってたのは結構前の事。
あのね、久しぶりで腕が鈍ってるとかそんな事は…二人共無いよね?」
「白ボス、それは愚問でしかないだろう?
私達はギアステの職員、つまり全員がポケモンとバトルが好きだという前提で
ここで仕事をしているのだからね、どんな時でも鍛錬は怠るわけがない。」
「ソノ通リデス。ボク達ノコンビガ ソウ簡単二撃破サレルトデモ?」
あはは、二人共そーいう所は前から変わってない。
いっつも冷静な二人なんだけど、マルチバトルではすっごいアグレッシブ。
でも強引ってわけじゃなくて、ちゃんとマルチの意味を理解してるから
コンビネーションもすっごくて息もピッタリなんだよね!
「それを聞いて安心いたしました。
では、私達がエキシビジョンマッチから戻るまでの間
それぞれにチャレンジャー様方のストッパー役としてお願いいたします。
通常の体制では四人とポケモン達の負担が大きくなってしまいますので
今回は特例として、途中のバトルトレーナー様方もスーパーに関しましては
手加減は一切無用で構いません。存分に暴れてくださいまし。」
「うん、チャレンジャーさん達には申し訳ないけど
たまにはバトルトレーナーの皆も思い切りバトルをしても良いと思う。
ボク達もあっちが終わったら大急ぎで帰ってくる。
だから、それまでの間トレインの事は四人に全権を預ける。好きにして?」
デスクに広げられた書類を片付けてから、ボクとノボリが四人にそう言えば
それぞれがすっごい顔で笑ってるし、その顔みただけでもチャレンジャーは
途中下車しそうだって、ちょっと思っちゃった!
でも、流石はここの職員?って感じで頼もしいなっても思った。
「ボス達の許可も出たんだったら、思い切り暴れさせてもらおうかな?
まぁ、トラウマにならない程度に遊ばせてもらいます。」
「、それは色々と問題になるから一応加減はしろ。
ノーマルについては、ある程度いつも通りに手加減はさせてもらいます。
スーパーに関しては、いつもよりも少々バトル時間を短縮させてもらいます。
そうじゃないと、ポケモン達にも負担がかかりますんで。」
が本気出したらチャレンジャーが絶対再起不能になるってば!
一番初めにチャレンジャーとして乗り込んで来た時なんか
トレーナーさん達はしばらくの間自信喪失して大変だったんだからね。
うん、ボクも最短で撃破されてへこんだからその気持ちはわかる。
も手加減とか言ってるし、トレインで本気になった事って
ないのかもしんない。本気のバトルを見てみたいって思うけど
それをやると、ホントにチャレンジャーが来なくなるかもしんない。
「今ではマルチバトル優先が通例になっているから
私達の出番は無くなってしまったが、以前と同じ様にやらせてもらうよ。
勿論手加減なんて論外だね、バトルトレインでは手加減無しが礼儀だろう?」
「勿論デス。デハ部署二戻ッテ 部下逹二コノ件ヲ 話シマス。
キット全員張リ切ッテ チャレンジャーノ方逹ノ相手ヲ スルデショウ。」
不敵な笑いで部長さんとシンゲンがサラッと怖い事言ってから
この話はこれで終わりって感じで部屋を出ていった。
「クダリ…この状態を招いた私達は何も言う事は出来ないのでしょうが
この人選に多少の不安を感じるのは、気のせいでございましょうか?」
ノボリがコッソリとボクに耳打ちしてきたんだけど、ボクも同じ事を思った!
だから頬杖をついて苦笑いしながら、ボクもコッソリとノボリに言ってみる。
「チャレンジャーさん頑張れ!超頑張れ!!って思っても仕方が無い。
だってこの四人が本気出したら、ボク達の出番なんて絶対無いもん。
だけど、すっごく心強いのも確か。
四人に任せておけば、安心してエキシビジョンマッチに専念できる!」
お互いに顔を見合わせて、それでも頼もしいよねって笑ってたら
が近づいてきて、デスクの上の書類を手にした。
「ボス達、これ開会式の前…前日にお互いの顔合わせ兼マスコミ向けの
立食パーティもあるみたいですが、それはどうするんですか?」
日程のその部分を指差して聞いてきたんだけど、答えはもう出てる。
だって、ボク逹はバトルをする為に参加するんであって
別にマスコミ向けとか、そんなのはどーでもいいもん。
「協会に確認をとりました所、そちらのパーティは任意だそうなので、
一応参加はいたしますが、遅れると連絡をいれてございます。」
「うん、最初から参加しなくてもオッケーって言ってた!
他のチャンピオンの人達とかはスケジュールをちゃんと組めるかもしんないけど
ボク達は仕事を二の次にするつもりは無い。」
は成程って納得したみたいだけど、がなんだか難しい顔をしてる。
ボク達は別に間違った事してないと思うけど、どーしてなんだろ?
不思議に思ったから、聞いてみた。
「あぁ、別にボス達はそれで構わないと思います。
でものヤツ、何もこの件をこっちに言ってこないんですよ。
これはパーティと閉会式を欠席するつもりなんじゃないかって…」
「「あ…」」
の言葉にボクもノボリも顔を見合わせた。
そうだったも参加するけど、どーするんだろ?
ボク達とじゃちょっと立ち位置が違うから、欠席は駄目じゃないのかな?
があーって顔してからため息をついた。
「ったく、あいつはバトル以外を不参加にするつもりなんだろうが
それじゃあ色々と筋が通らないから駄目だろう。
、このパーティの日…休前日になるが特に忙しくはないよな?
午後休をやるから、お前はを連れて会場に行ってくれ。」
「仕事の方は午前中に全部やってしまうから
午後一でここを出れば余裕でパーティには間に合うから、そうするべきだね。
俺達も見物に行くつもりでいたから、問題は無いよ。」
は公の場所に出る事を徹底的に嫌うって言ってたけど
今回はの言う通り、それは絶対駄目だと思う。
色々と面倒なんだろうけど、筋は通さなきゃ?って事だよね!
後から、この事をがに言ったら
何勝手に決めてるんですか!って怒ってたんだけど、それは違うでしょ?
そんな感じでボクとノボリ、とが逆に何言ってるの!って言ったら
あーとかうーとか言って逃げようとしてたんだけど、やっと諦めたみたい。
「あー、今から既に面倒なんですけどー。
もういっその事、参加自体を取りやめにしたくなってきたしー。
どーしてこーなった?責任者出てこい!って感じかもしんない…」
「、人間諦めが肝心でございますよ?」
「貧乏くじを引くのは今に始まった事じゃないでしょ?」
のデスクの前でがっくりと肩を落としてつぶやいてるのを見て
ボクもノボリも思わず笑っちゃった。
だって、今更そんな事言ったって仕方がないと思う。
「…ボス達、それって全くフォローにすらなってませんから!
畜生…こーなったら、この怒りを全部バトルにぶつけてやる…
ふっふっふー、目指すは全勝で出発進行してやるからなぁあああ!」
「おや奇遇でございますね、私達も全勝を目指しておりますよ?」
「うん、ボクとノボリの二両編成。目指すは勝利しか考えてない。」
開き直ったって感じで両手を握り締めて叫ぶだけど
その言葉には、ボク達も黙ってなんかいられなかった。
ボク逹はサブウェイマスター。勝利目指して全速前進が通常運行だもん。
その先に何があるのかって考えるだけでもワクワクする。
バトルは楽しまなきゃ駄目、楽しんで勝利ができたらすっごくハッピーだよね!