二章・初志貫徹編
人妻と男達の結託
ノックと共に開けられた執務室のドアの前で
大量の書類を持ったとその後ろの人物に私達は驚きました。
案の定、私が口を開くよりも先にクダリが嫌な顔を隠そうともせず
連中に向かって辛辣な言葉を投げつけております。
「えー、この忙しい時になんで来るかな?
来たからには書類の整理とかデーター入力とか手伝ってもらう。
言っておくけど、二人の相手なんてしてらんないからね。」
「ユノーヴァのバトルサブウェイはイッシュと違うんダヨ?
トラブルも無いし、こうやってキチンと休みも取れるしネ!
クダリ、その書類ボクに渡シテ。データー入力はボクの方が上デショ?」
「オマエ達は何をやっているのでゴザイマスカ!
にお会いシテ、何をしているのか聞きマシタラ
マダ、トラブルの元凶が残っているナド、職務怠慢でゴザイマス!!」
インゴの言うトラブルとは恐らくウィルスの件なのでしょうが…
いきなりやって来て宣戦布告とかいい度胸でございますね。
ユノーヴァのバトルサブウェイはそりゃあ問題とか無いでしょうとも。
ですが、この前の大掃除の原因以外は私達でもどうしようも出来ません。
それを横からギャーギャー騒がれてもいい迷惑でございます!
「そちらにつきましては、すでに本部に連絡済でございます。
流石に問題解決に時間がかかりますし、その間休業にもできないので
全力で取り組みながら、安全第一でやれとしか言われませんでしたし?」
「いやーん、イケメン同士の火花の散らし愛?萌えるよねん!
あ、マスターさん達にジャッキーたんから怨念のこもったラブレターだお。
全部しっかり読んで、バッチリサインしてちょ。
たん、病院からちゃんの診断書もらってきたからねん。
んで、傷の消毒とばっこー…抜鈎?それはこっちでオッケーだって。」
「了解、用事が済んだらさっさと中央管制室に戻りやがれ。
てめぇがいると話がややこしくなる。」
「そんなに邪険にしちゃいやん!でもやる事もてんこ盛りだから戻る。
ボスさん達、今度はライブチャットでラブラブしよーねん!」
「ボクは今ラブラブしても良いヨ?」
「愚弟はお黙りナサイ。、何かありましたらお願いシマス。」
はいつもの様に手を振りながら部屋を出て行きましたが
いつの間にインゴとエメットはと親しくなったのでしょう?
それを二人に問い詰めようと思ったのですが
エメットはクダリの隣でデーター入力を素晴らしい勢いでしていますし
インゴは私のデスクに山積みされた決済の書類を見ております。
いつもなら色々と口を出す男でございますが、書類を戻すと珍しい事に
そのままロッカーへと向かってしまいました。
「インゴが口を出さない位、コッチの部下逹も使える様になったんダネ!
書類の書式も統一出来テル、凄く作業効率も良くなっテル。」
「あのね、元々ここの職員達は出来る人逹ばかり。
作業効率もがアドバイスしてくれた以外にも、もっと進んでる。
手伝えとは言ったけど、そーいう事に口出せとは言ってないから黙れ。」
「ボクよりデーター入力が早くなっタラ、黙ってあげるヨ?」
「二人共、手を動かしながら喧嘩するのはおやめくださいまし。
エメットも手伝いに来たというのでしたら、先に着替えては?」
以前に比べれば二人の間に流れる険悪な雰囲気が減ってはおりますが
会う度にこうやって、いがみ合うのは勘弁していただきとうございます。
一つの書類のデーター入力を終えて、エメットがインゴと入れ替わる様に
ロッカーに向かいました。
「ノボリ、ワタクシはオマエの仕事を手伝う必要はアリマセン。
と仕事の話をしたいノデ、ドコにいるか教えナサイ。」
「相変わらずの上から目線もそろそろ飽きてまいりました…
は今、授乳スペースの物品配置の手伝いをされておりますが
仕事の邪魔をすると、彼の鉄拳が飛んできますよ?
まぁ、私は一向に構いませんが?むしろ、ヤッチマイナーでございます。」
…私もインゴとは、どうしてもこの様なやり取りになってまうので
あまり偉そうな事は言えませんね。
今は仕事を片付ける事に集中させていただきましょうか。
非常に皮肉というのか何と言うのか…言いたくはありませんが
仕事だけは無駄に出来るこの従兄弟達のおかげで
かなりの量の書類をさばく事ができて、事件後初めて定時で終わるとか…。
「んで?イケメンさん達はちゃんをどーしたいの?
ノボリさんは愛の告白したって聞いてるから、その辺も教えてちょ?」
「「What?」」
主不在のの部屋にいつものメンバーとが揃って
(が逆ハーしたいと言って、ギーマ様の許可を貰ったとか言いませんよ?)
食事を取りながら、色々と話をしていたのでございますが…
まさかこのタイミングで爆弾を投下されるとは思いませんでした。
「、言っとくけど愛の告白?って後ろにハテナマークつけてね。
ノボリはが好きだけど、友情か愛情かわかんないんだって。」
「何ソレ?いい年シテ、そんな事もわからないトカ馬鹿ナノ?」
「黙りやがれ!でございます!!
わからないものをわからないと言って何が悪いのでございますか!」
「開き直るトハ見苦しいのでやめなサイ。
今回の話を聞いて思ったのデスガ、の言っている方法が一番
ニハ効果があるのだと思いマス。」
「インゴさんも思った?うん、私も確信したっぽ。
ちゃんにはどんな時も傍にいてくれる人が必要なんだお!」
「エメット、傷口に塩を擦り付けるのは楽しそうだがやめてやれ。
インゴとは二人で納得しないで俺等にもちゃんと説明してくれ。」
「てめぇらだけで話を進めて、俺達をおいていくとかいい度胸じゃねぇか
実際にそんな事してみろよ?タダじゃ済まさねぇからな。」
私が見舞いに行った時の話を説明した後で、それぞれが勝手に話をし始め
収集がつかなくなりそうでしたが、ドスの効いたの声に
全員が黙り込んでしまいました。その位、彼の苛立ちが凄かったのです。
「たん、そのベビーフェイスで睨むとギャップ萌えになるお?
って、冗談じゃないけどその話は置いといてー
本題に入っちゃう?入れちゃう?ってか突っ込んじゃうよん。
あのね、ちゃんは独りになるのが怖いんだと思う。」
先程からビールをまるでジュースか何かの様に飲まれておりますが
顔色ひとつ変えずにいらっしゃる様子は流石達の仲間でございますね。
エメットからビールをついでもらい、さらにそれを一気に飲んでから
が言葉を続けました。
「私達があんな形でこっちにきて、ちゃんは取り残されちゃったでそ?
記憶をなくしたまんまだったら良かったのに、途中で戻っちゃって
現実問題で取り残されて、そしておかしくなっちゃったよね?
んで、あんな事があった後にこっちに来たは良いけどさ
いつかは独りになるんだって、気がついちゃったんだと思う。
どんな時でも心は一緒とか言ってもさ、それって気持ちの持ち方であって
ちゃんはそれすら拠り所に出来なくなってるんだお。」
「…つまりは俺等が向こうからいなくなったのが原因だって言うのか?
不可抗力をどうこう言っても仕方がないだろう?
それに俺等はを独りにしないと再三あいつに言ってるぞ。」
「捨てられたポケモンを救う時ニハ何を言っても効果はアリマセン。
コチラも傷つく覚悟でバトルをしなければゲットする事はデキマセン。
ソレハにも言える事なのデハ?そういう事でゴザイマス。」
「つまりはノボリのやった事が一番の解決法だったって事か…
ノボリ、俺達が全面協力してやるからあいつゲットに全速前進しやがれ。」
いきなり矛先が自分に向かったので驚いても仕方がないでしょうが
全面協力と言われても、私がにとる行動は既に決まっております。
言われなくても…という事でございますのにね。
「That's unfair!、不公平ダヨ!」
テーブルを叩いて、エメットが抗議する様に叫びました。
私達が驚いてそちらを見れば、インゴがエメットの頭を蹴っているとか…
それにも驚きましたが、一体どういう事なのでしょうか?
「愚弟はお黙りナサイ。
オマエ達はオマエ達で動けばよろしいデショウ。ワタクシも動きマス。
ノボリ、オマエのやり方は性急過ぎでゴザイマス。
は戸惑って、オマエを避けるのが目に見える様デスネ。」
「インゴ酷いヨ!アノネ、ボク達ものFriendなんだからネ。
忘れないで欲しいナ。」
「きゃーん!一気にちゃんにモテ期来た、キタ――(゚∀゚)――!!
それって、恋愛フラグが立ったって事でおkなんだおね?」
の言葉に誰も返答できないという状況もどうかと思うのですが
実際に私だけではなく全員がはっきりと出来ない状況の様でございますね。
部屋に広がった微妙な沈黙の中、の溜息が妙に響きました。
「沈黙は肯定とみなす所だが、そうじゃねぇみたいだな。
てめぇら、いい年ぶっこいて何考えてやがるんだ?」
「容赦ないヨネ!インゴはずっとソッチとは無関係の生活してたんだヨ。
そんなハードル上げたら可哀想デショ?勿論、ボクも色々動くしネ!」
「あのね、ノボリはムッツリだけど純情とかややこしい。
だから、そこは生暖かく見守って欲しい。
んで、ボクだって黙って見てるとか無理。動かせてもらう。」
それぞれに自分の弟の頭を小突いた(インゴは思い切り殴っておりましたね…)
私とインゴはお互いに顔を見合わせてしまいました。
お互いに考えている事は同じ、に傍にいて欲しい…という事
状況的にいえば、ここはお互いに協力するべきなのでございましょう。
「なーんだ、美しい友情って感じとか?それはそれで萌えるけどー。
堂々巡りの膠着状態をブッタ斬るんだったら、なんでもしてちょ。
私はちゃんが幸せになって、こっちに残ってくれればおk!」
「やり方はともかく、目的が俺等と同じだしな。
そういう事だったら、もう一気に攻めたって問題ないだろう?」
「てめぇはせっかちすぎるって言ってるだろうが!
まぁ、俺も今まで通りに動く。てめぇら、情報は逐一報告してもらうからな。
あいつの空元気と鉄壁を撃破するのは半端ねぇんだからな、覚悟しろ。」
「「「「了解」」」」
の事情を知ってから、私達はなんとかしたいと思っていたのです。
やり方は違えど、目標は同じなのです。
「ちゃんゲット目指して出発進行とか、なんて俺得!
皆、頑張ってねん!ついでに恋愛フラグも立てれば良いと思うお!!」
妙にはしゃぐにとが両側から背中を叩くとは…
二人共、女性相手にも容赦ないのですね。
ですが、やるべき事は最初から同じで、気持ちに変化はございません。
後はただひたすらに、貫き通せば良いのでございます。