二章・初志貫徹編 -落ち着き始めたその場所で-

二章・初志貫徹編

落ち着き始めたその場所で



予定よりもかなり遅れて、エントランスの破損箇所の修繕が終わった。

ボク達には何度もすみませんって謝ってたんだけど

他にも問題がたくさん見つかったから仕方がないのにね。



「それでも、予定通りに終わらないって事は問題なんです。

こんな事を何度も繰り返す様じゃ、信用問題に関わってきますからね。

まぁ、一応筋は通さないとならないでしょう?」



相変わらずのその職人気質?にボクもノボリも笑っちゃった。

でも、施設の保全管理は三人が来てくれてからかなり整ってきてる。

新しい修繕とか補修の要望の書類が格段に減ってきてるしね。



「そう言えば、ゲンナイとは試験が終わったのですよね?

改めて聞くのもなんでございますが、手応えはいかがでしたか?」



「あ、例の二級の試験だよね?

ふふっ、あのね、二人が試験に出かけた後にったらソワソワしてた!

それで、書類を読みながら歩いたりとかしてて、柱にぶつかってた!」



うん、目の前でバッチリ見ちゃったもんね。

凄い音がして、ノボリが慌ててに駆け寄ったんだけど

額と鼻のてっぺんが赤くなってて更に慌ててたっけ。



「あー、あいつは何をやってんだか…

実技試験については俺もゲンナイも完璧に出来たと思いますよ。

筆記試験については、が予想したヤマが大当たりしましたね。」



「…課長、それはヤマじゃないと思うよ?

は過去の試験問題を遡って、尚且つ資格として最低限覚える場所を

ピックアップして、更にそれらをまとめあげて教えてたんだからね。」



傍で書類を作ってたの名誉のためにって感じで口を挟んだ。

そうだよね、は絶対一発で合格させてみせるって頑張ってた。

エントランスの修繕で昼夜働いてるのに、その他にもこうやってたんだもん。

の為にもいい結果が出るといいな。



「まぁ、の予想では俺等の合格はほぼ決定じゃないかって。

主任、ベロアちゃんの方はどうなんだ?」



「課長は誰にモノを言ってるのかな?

全ての応用を叩き込ませてもらったよ。元々根が素直な分吸収も早かったし

俺が改めて教えた事といえば、トラブルに関する処理位かな?

いつニンバサシティに戻っても、直ぐに仕事を始める事ができるよ。」



そっか、ゲンナイの試験合格までって事で出向してたんだもんね。

二人共、凄く頑張ってたっけ。



「まぁ、これでの肩の荷がひとつおりたんだ。

残りのエントランスのダクトの改修も、そろそろ終わりそうだしな。

これでエキシビジョンマッチまでは少し余裕ができるだろう。」



「ボス達の方は?例の愛護団体は雲隠れしたって言ってますけど

保障の方は話がついたんですよね?」



「うん、総務部長が徹底的に向こうの弁護士をやり込めたみたい。

実被害の弁償と慰謝料を合わせたら結構な額でビックリした!

でも、他の部分…こっちにもう干渉しないで欲しいってのは

代表と連絡がとれなくって、そのまんまになってる。」



色々と少しずつトラブルが解決していってるんだけど

肝心のその部分が残ってるのが凄く気になるんだよね。

だけど、向こうが行方不明になってる?みたいだから、どーしようもない。



「まぁ、事実上その団体は解散した様なものらしいからね。

色々な過去のトラブルが発覚して、警察が介入したみたいですし?

その件は終わったと考えても良いのかもしれないね。」



「そんな感じなら、こっちに何かを仕掛ける事も無理だろう。

後は、マスコミがもうちょっと落ち着けば元通りになるんだろうな。」



「そっちの方も、新しい動きがないから落ち着いてきてる。

だいすきクラブの優良企業になる件がわかってからは、

そっちに殆ど流れてるみたいだし、トツカさんには感謝してる。」



最初は取材申し込みが凄い事になってたマスコミ方面だけど

トツカさんの機転で大部分がだいすきクラブの方に流れた。

それでも、未だに事件の収拾がついてないからって事で

何人かのマスコミの人が張り付いてるんだよね。

ここは一部だけど公共機関でもあるってのがわかってるみたいで

無理な取材をしてるわけじゃないから、ボク達も様子をみている。



「ただ今戻りました。」



「こんにちは!お久しぶりでっす!!」



「こんにちはー!皆さん元気そうで安心しました!」



シングルバトルを終わらせたノボリが腕の中にネイティを抱っこして

戻ってきたんだけど、その後ろにトウヤとトウコ達の姿があった。



「ノボリおかえり。うわー、二人共実家から戻ってきたの?

友達がジムリーダーになったって言ってたけど、もういいの?」



「あっちでギアステが大変な事になってるのを知ったんで

すっ飛んできたんですよー。でも、もうなんだか落ち着いた?

そんな感じで拍子抜けしちゃいましたよ!」



「そうそう、結局今回も私達を置いてきぼりにするとか!

でも、マスコミがまだウロウロしてるんで終わってはいないんですよね?」



あー、トウヤは英雄だからマスコミにも顔が知れてるもんね。

何かされなかったか心配になって聞いたんだけど、それは大丈夫だったみたい。

ネイティはボクの姿を見つけて、頭の上に向かって飛んできた。

の傍をこうやって離れる時は大抵が寝てる時。

って事は仮眠中なんだろうな。



「私が傍におりましたので、そうそう軽率な行動はとらせませんよ?

もっとも、お二人はそれを狙ってたようでございますが…ねぇ?」



「大人のめんどくさい事はオレ達の知った事じゃないですし?

大事な人達のピンチに動かないでどーすんですかって感じですよ。」



「そうそう、それにあっちの用事はもう終わっちゃいました…

うーん、終わらせました?そんな感じで向こうにいる必要も無くなったし

こっちに戻って、またまたバトル三昧の日々しますよー!」



「あはは!ホントキミ達見てるとこっちまでスマイルになるよね!

うん、すっごいバトルを期待して待ってるからね?」



「えぇ、お二人はこれからスーパーマルチの申し込みをされるのでしょう?

私達は最終車両にてお待ちしておりますので、途中下車などなさらない様に

頑張ってくださいましね?」



久しぶりに楽しいバトルができそうで、ボクもノボリも嬉しくなった。

最近じゃバトル以外の仕事が多くって、それを知ってる職員達が

気をきかせてっていうのか、張り切ってっていうのか知らないけど

なかなか最終車両までチャレンジャーがこなかったんだよね。

二人だったら、そんなの全部蹴散らしてでも来るだろうから楽しみ!


ネイティを膝の上におろして撫でてやれば、気持ちよさそうにしてる。

そんな光景を見て、二人が凄く羨ましそうにした。



「クダリさんにはネイティ慣れてるんですねー。

オレ、ちょっと撫でようと思ったら威嚇されちゃいましたよ。」



「トウヤ、それはノボリさんが説明してくれたでしょーが!

辛い目にあったんだからそれは仕方がないよ。悪いのはネイティじゃない。

焦んないで、ゆっくり仲良くなっていけば良い事でしょ?」



「ボクとネイティ友達!この前までボク達もここで寝てたんだけど

その時も一緒に寝たりしてた。」



うわー、羨ましい!とか言われちゃって、なんだか嬉しくなった。

今じゃあなんかよりも、ボクの方がネイティと仲良しだしね。

こうやって撫でてあげて気持ちよさそうにされると、すっごく嬉しい!



「やっぱりクダリさん達ってバトルだけじゃなくて育成も凄いし

なんて言うんだろ、ポケモンが好きって気持ちも凄いですよね!

オレも好きって気持ちじゃ負けてないと思うけど、まだまだなのかなぁ。」



「トウヤってば、何を弱気になってんのさ!

そこは強気で攻めまくらなきゃでしょ?今日の私はいつもと違いますよ?

結局出番なしのこの怒りも全部ひっくるめてバトルにぶつける!

んで、今日こそお二人から勝利をもぎ取ってみせますからね!!」



「おう、そうだな!ノボリさんもクダリさんも直ぐに行きますからね!!」



それじゃあ受付してくるって言って、二人は部屋を出ていった。

いつも通りのそんな光景に、ボクもノボリも笑うしかなかった。



それからしばらくしたら、スーパーマルチの待機要請がインカムに入る。

うわー、ホントに二人共張り切ってるし。



「ふふっ、お二人の相変わらずの様子を見ていると

こちらまでなんだか気持ちが明るくなってまいりますね。」



「いつもと同じってつまんないって思った時もあるけど

こうやってゴタゴタしてると、それって凄く大切な事だって思った。

ボク逹が安心してチャレンジャーを迎え撃てるのは皆のおかげだね。」



「えぇ、職員の皆様の為にも恥ずかしくないバトルをせねば。

では行きましょうか、クダリ。」



「うん、すっごいバトルをしようね!」



いつもと同じ様に、ノボリがボクに声をかけて、それに答える。

いつもと同じ様に、ハイタッチをしてボク逹はトレインへ向かう。


いつもと同じ、だけどそれはすっごく幸せな事。

いつもと同じ、それは凄く大切な事、守らなきゃならない事なんだ。