二章・初志貫徹編
泊まり込み中な人達の話
エントランスの事件があって以来、色々とゴタゴタしちゃってて
ボクとノボリは家に帰らないでずっと執務室に泊まっていた。
これって最近じゃ珍しいけど、昔はよく5徹とかしてたんだよね。
仮眠時間が5分とか、バカな事をやってたと今なら思う。
就業時間が終わって、ゲンナイが作業日報を届けに執務室に来た。
事件以来、が夜間業務をメインにしてるから
こうやって代わりに届けてくれるようになったんだ。
「失礼します!アニキ、これ今日の作業日報っす。
こっちが明日の分の作業工程表で、こっちが姐さんからの宿題っす!」
「おう、全部もらうな。
明日の作業工程は、お前にメインでやってもらうからそのつもりでいてくれ。
後、ダクトクリップの在庫を把握したいんだが、はまだ仮眠中か?」
は夜間業務にまわってるけれど昼間も仕事をしてる。
もう、家に帰るのがめんどくさいからって言って
ボク達と同じ様に作業部屋で寝泊りしてるみたいなんだよね。
でもさ、それって女の人としてどーなの?って思うんだけど。
「姐さんなら、30分仮眠をとった後で車両整備班の所に行きました。
ダクトクリップの在庫が無いから、作ってくるとか言ってたっす!」
「…そうか、あぁ今日はもう帰って良いぞ。ご苦労さん。」
「了解っした!それでは皆さん、お先に失礼します!」
そう言って、ゲンナイはボク達に向かって一礼すると部屋を出ていった。
が受け取った書類にサインをして、処理済みのボックスに入れる。
その隣で、がテンキーを叩きながら苦笑いしてた。
「貫徹じゃないだけマシなんだろうが、そろそろ寝かせねぇとだな。
、てめぇの睡眠時間は大丈夫なんだろうな?」
「俺はしっかり3時間寝るようにしてるから、問題ないぞ。
それ以上でも以下でも、仕事にならなくなるのは知ってるだろう?」
これはがここのソファーで寝泊りする様になって聞いた事なんだけど
中途半端な時間寝ると仕事にならなくなるみたい。
長年の経験?そんなのから、3時間睡眠を取れば普段通りにできるとか…
んで、は1時間半の睡眠か30分の仮眠を何回か取ればオッケーらしい。
それって、凄いと思うのはボクだけじゃないよね?
「修繕作業を急いで欲しいとは言いましたが
結構順調に作業が進んでる様でございますし、一度自宅でしっかり睡眠をとり
体調を回復された方が良いのではございませんか?」
「うん、二人共ボク達が仮眠室使えって言ってるけど、使ってないよね?
そんな事じゃキチンと体が休まらない。」
ボク達がにそう言ってたら、厨房の人達が晩御飯を持ってきてくれた。
ボクとノボリとと、4人がギアステに寝泊まりしてるって聞いて
こうやって、御飯を作ってくれる様になったんだよね。
全員でありがとうと言えば、気にしないでって笑って部屋を出ていった。
そして、すれ違うようにしてが執務室に入ってくる。
「失礼しまっす!課長、ダクトクリップは使う分補充しときましたよー。
んで主任、それに使うボルトとナットの発注頼みます。」
パッと見は結構元気そうだけど、も顔色がちょっと悪い。
はそんな事ないけど、それはやっぱり男女の違い?
「明日の朝一で発注しておく。それじゃあ俺は帰らせてもらうよ。」
そう言ってがカバンを持って部屋を出た。
ちょっと前までは残業してたけど、今はその必要がないからって帰ってる。
三人共、そういう所はキッチリしてるよね。
ボク逹は応接スペースに移動して、御飯を食べ始めた。
この時間は部下とか上司とか関係なく、友達として普通に話をしてる。
ボクもノボリもこの時間が凄く好きなんだ。
「、少々顔色が優れませんが大丈夫ですか?
ゲンナイが今日は30分しか仮眠を取ってないといっておりました。
あまり無茶をすると、こちらに来た時の様に倒れてしまいますよ?」
「今日はちょっとバタバタしちゃってましたからねー。
でも夜に何回か仮眠を取るつもりでいますから、大丈夫ですよー。」
「二人共徹夜とか結構慣れてるよねー。ボク達も昔はそうだった!
バトルが終わっても書類の方の仕事が終わらないとかあってさー。」
「ノボリもクダリも企業経営とバトルの両立だから大変だったろう?
俺達はこういう状況は割とよくあるんでな、慣れてるんだよ。
どっちみち終わりが見えてきたから、2、3日中にはケリが付くだろうよ。」
栄養バランスも考えられた、厨房スタッフ特性ご飯はボリュームも結構ある。
は半分食べた所で手を止めたんだけど、それをノボリが見逃さなかった。
「、いつもなら全部食べるのにどうしました?」
「今日はちょっと寝不足なんで、お腹いっぱいにすると睡魔が暴れそう?
なので、分割して食べようと思ってるんですよ。
いやー、流石にちょっと疲れる。栄養ドリンクとか飲みたくなってきたよ!」
やっぱり結構疲れてるんだ。でも仕事中は全然そう見えないってのは
二人の言う職人気質?プロ意識がそうさせてるんだろうな。
ボク達もそうだけど、徹夜は久しぶりだからちょっとフラフラしてる。
とはフラフラっていうよりはヘロヘロって感じ?
「そういえば、こっちの世界ではタウリンとかリゾチウムとかは
ポケモンにしか効果がないんですよねー。」
がボク達にコーヒーを手渡して、自分は紅茶の入った紙コップを持って
そんな事をボソッと呟いた。
「え?逹のいた世界では人間にも効果があったの?」
「あぁ、ファイトー!一発ー!!ってコマーシャルが有名だったよな。
タウリンは滋養強壮剤として有名で、普通に使われてたぞ?」
「そうそう、ポケモン用のドーピングアイテムのうちマックスアップ以外は
向こうの世界では、普通に人間にも使われてましたよー。
リゾチウムとブロムヘキシンは咳止め、インドメタシンは痛み止めでした。」
「なんと!私達は以前、連日の徹夜に疲れきって思わずタウリンと
げんきのかけらを口にした事がございますが、結果は…」
「うん、二人仲良く倒れちゃった!もう、あの感覚は味わいたくない。」
「えぇ、あの時は地下で一生を送らなければならないのでは?と
真剣に思う程、仕事が山積みでございましたねぇ…」
使ったの?って驚かれたんだけど、使ったんだよ!
その位切羽詰ってたって言うか、疲れきっちゃってたんだよね。
結局その後寝不足と過労で倒れて、二人仲良く仮眠室に放り込まれたし。
ボク達の話にもも大笑いしてるけどさ、本当に大変だったんだよ!
「だから二人共、そろそろ家に帰ってちゃんと寝て?
仮眠室使わないから、身体が休まってないと思うんだけど。」
「クダリさん、それは逆効果なんですよー。
今この状態でベッドで身体を休めると、起きた時に疲れるんです。」
の言葉にも頷いてるけど、やっぱり心配。
ほら、ノボリが眉間にシワ寄せちゃったよ!
「ノボリ、眉間に皺を寄せると跡が取れなくなるぞ?
こういう仕事のやり方は今回が初めてじゃないんだから、心配するな。
忙しい時はそれ相応に動いて、暇な時はその分休養を取る。
これが俺等の仕事のやり方なんだ。」
「そうそう後、ここはシャワールームもあるから助かりますよ。
泊まり込みで一番困るのはそれなんですよねぇ…いやー良い職場だわ。」
「お客様相手の仕事でございますから、その辺は当然でございます。
お二人共、仕事が一段落ついたらしっかり休養を取ってくださいまし。」
ノボリの言葉にが答えた言葉は、ここの職員達も良く言ってる。
でも、暇な時ってここでは滅多にないんだけどね!
このゴタゴタが落ち着いたら、また皆でご飯でも食べたいな。
そう思ってたら、から提案が出たし。
「今はまだゴタゴタしてるが、落ち着いたらまた一緒に飯でも食うか。
どこかで食べても良いし、家で集まって食べても良いし
俺等は別にどっちでも構わないから、ノボリとクダリで決めてくれ。」
「ボクも今言おうと思ってた!
どーせなら、ご飯食べた後泊まっていけばいい。
朝までってわけにはいかないけど、色々と話したりしたい!」
「それはよろしゅうございますね!
そうですねぇ、ここはやはり家で食事をしましょうか。
その方が食後にゆっくりできますものね!」
「んー、私はパスしても良いですかねー?
家に帰ったら、多分そのままベッドにダイビングかましてしまいそう。
エキシビジョンマッチが近づいてますからね。
お肌のお手入れとかしとかないと、シロナさんの隣に立つ身としては辛い!」
睡眠不足はお肌の大敵!なんていってるけど
ちょっと見た感じではあんまり変わってない様な気がするんだけどな。
でも、そういう所はやっぱり女の子だよね。
「えー、せめて一緒にご飯食べようよ!
皆で食べて、それから寝たほうがお肌にもいいと思うんだけど?」
「えぇ、私が美容に良さそうなメニューを作りますから
是非ともご一緒してくださいまし。
食事は大勢で食べた方が美味しゅうございますから。ね?」
「…観念しろ、飯を食わなかったらが何をするかわからんぞ?
それよりは皆で飯だけでも食って、それから寝た方が良いだろうよ。」
ボクとノボリとの言葉に、はちょっと考え込んじゃった。
でも、の名前が出た途端観念したみたい。
「…あー、に怒られるのは勘弁したいかなー?
んじゃ、ご飯だけ一緒って事で…それだったら大丈夫…かな?
まぁ、まずは今のこの状況をさっさと終わらせてー、それからですけどね!」
食べ終わった食器を一纏めにして、ボク逹はそれぞれに仕事を始めた。
終わりは見えてきてるんだから、後は全速前進あるのみ!
目指すは皆でご飯!出発進行!!って感じかな?