二章・初志貫徹編
英雄とその仲間達の旅立ち
カノコタウンに久しぶりに戻ってのんびり過ごしていたオレとトウコは
今日はチェレンと一緒にベルに会いにアララギ博士の家に来ていた。
そこで、テレビから流れた映像を見てマジで驚いたんだけど!
「ちょ、トウヤ!このギアステの映像って生放送だし!」
「んな事は、見ればわかるだろうが!
ノボリさんもクダリさんも何マスコミに頭下げてんですか!
一体何が起きたんだ?エントランスが酷い事になってるし!」
「二人共、落ち着いて。あぁ、愛護団体との確執?
ありきたりすぎてニュースにする必要性なんて、あるのかな?」
「えーっ!ねぇねぇ、ポケモンと人がバトルして人が勝ったとか言ってる!
そんな事ってあるの?っていうかー、その人達って凄すぎ?」
4人でテレビに釘付けになってる後ろから、アララギ博士が入ってきたけど
やっぱりこのニュースを見て凄く驚いてる。
だよなー、ポケモンと人がバトルして勝つとか有り得ないってば。
あ、ちょーっと待てよ…可能性のある人達に心当たりが有りすぎるんだけど!
「なぁトウコ、このバトルった人間ってさ…」
「やだ、トウヤも同じ事考えてる?男女って言ってるから一人は確定…だよね?
ってか、さんってば何やってるんですかー!」
「あ、トウヤの初恋の人だったっけ?
ねぇねぇ、どんな人なのお?今、テレビに映ってたりする?」
ベルはどうでもいい事をよく覚えてるよな!ま、事実だけど。
ざっと映像に映ってる人達を見渡しても、それらしい顔がなくてホッとする。
マスコミになんて顔が出ない方が絶対良い。これはオレが痛感した事だ。
「いや、ここには映ってないかな?どうやらノボリさんもクダリさんも
さん達をマスコミに出すつもりは無いみたいだし。」
「さんも、さんも、さんも色々な意味で凄い人だからねー。
うん、ノボリさん達グッジョブ!ってか、友達って言ってるから当然?」
ノボリさん達はすっごく優しい人達だから、友達を騒ぎに巻き込みたくないって
そう考えているんだろうな。だから頭下げるとかしてるんだろう。
うわー、大人って大変ってか、めんどくせぇえええ!
「あららー…ねぇトウコちゃん、って人は、ついこの間リーグ制覇したのに
殿堂入りを辞退しちゃった大人のトレーナーさん?
後、さんってもしかして、シンオウのチャンピオン代理の人かしら?」
「アララギ博士、二人を知ってるんですか?!」
博士の言葉にトウコだけじゃない、俺も驚いたしなんでかチェレンも驚いてる。
あ、こいつは殿堂入りを辞退したさんに驚いてるのか?」
「って人にはここで、旅立ちのポケモン…ツタージャを渡したのよ。
他地方から、それも成人したトレーナーさんなんて珍しいじゃない?
だから私も覚えていたのよねー。
さんは、以前シンオウからイッシュの完成された全国図鑑が欲しいって
依頼があって、勉強熱心な人なんだなぁって名前だけだけど覚えてたのよ。」
「トウコもトウヤも、聞いてもいいかな?その二人ってどんな人なのさ?
大体殿堂入りを辞退とか、普通じゃ考えられないし。
そんな人とチャンピオン代理の人が作業員?ちょっと信じられないな。」
チェレンの疑問ももっともだよなー。
普通だったらバトルトレーナーでガンガン暴れてるのを想像する。
まぁ、さんは臨時でガンガン暴れて連勝記録更新中らしいけどな!
「二人共マスターランクのすげぇトレーナーだよ。
さんは時々ドクターになってバトルトレインに乗ってる。
しかも無敗で、多分今でも連勝街道突き進みまくってる?」
「そうそう!んで、さんは事情があってトレインに乗れないけど
普通のフィールドでマルチバトルじゃ、サブウェイマスター二人が
多分未だに勝ち越せてないんじゃないかな?って位凄い人!
二人共ってか、もう一人二人の幼馴染のさんも含めて
凄く強くて、だけど優しくて、そんで不思議な人達なんだよねー。」
「うわー、ベルも会ってみたいよお!バトル…は下手っぴだから無理だけど
色々とイッシュにいないポケモンの事とか聞いてみたいよお!」
「ぼくは是非ともバトルをしてみたいな。
サブウェイマスターが勝ち越せない人とバトルしても勝つのは難しいけど
それでも、きっと得るものは色々ありそうだよね。」
「昔だったらすぐにメンドーとかいってたチェレンがそんな事言うとか!
やっぱりスクールの先生兼ジムリーダーになると変わっちゃったねー。」
「オレは今のチェレンも好きだな。なんて言うか、丸くなった?」
「二人共、人を年寄りみたいに言うのはやめてよね。
ぼくはジムリーダーって言っても、トレーナーになりたての人達を相手にする
全然下っ端の方なんだからね。」
あー?こいつってば何言ってるんだか。
ジムリーダーになる事自体がすげぇのに、そういうのがわかってないとか…
その辺は昔と変わってないっつーか?
「ちょっとチェレンってば何言ってるの?ジムリーダーに上下なんてないよ!
さんがよく言ってる言葉なんだけど、仕事に必要の無いものとか
無駄なものってのは絶対にないんだって。
どんな仕事でも、それぞれに役割があるんだからどんな事も疎かにしちゃダメ!
だから、そういう考えはダメ!!…うん、我ながら決まったかもしんない!」
「トウコちゃんの言う通り…と、いうよりさんの言う通り?
でも、凄く良い事言う人なのね。私も直接会ってみたくなったわ。」
アララギ博士がテーブルの上にミックスオレとお菓子を出してくれたんで
遠慮なく手を伸ばさせてもらう。うん、このクッキー美味いな!
トウコもクッキーを頬張りながらモゴモゴと話してるんだが
お前、食うか話すかどっちかにしろよな!
「今度、さんがお仕事休みの時にでも連れてきたいなー。
私達、一緒にご飯しようって約束やぶっちゃったしね、トウヤ。」
「おう、その埋め合わせは戻ったら絶対しような!
ってか、ギアステが大変な事になってるんだったら、オレ達になにか出来る事
つーか、手伝える事ってないかな?」
「それだったら、トウヤは嫌がるかもしんないけど
バトルサブウェイでチャレンジするだけでも良い宣伝効果になるんじゃない?」
「あぁ、英雄も通い詰める施設って事でかい?
でも、それはトウヤが一番嫌いな事だから無理だと思うよ、ベル。」
ベルもチェレンも、オレがイッシュの英雄なんて言われる様になって
色々悩んだり、苦しんだりしてたのを知ってるからなー。
気遣ってくれてそう言ってるんだろうけど、今のオレは昔と違うんだ。
「…トウヤ、あんたはその辺どう思ってるの?
もし動かないんだったら、私一人でもライモンシティに行くからね!
この間の大掃除の時みたいに、気がついたら置いてきぼりくらったとか
もう絶対に嫌なんだから!今回は何を言われても首突っ込む!」
「…トウコ、オレが動かないわけないだろうが!
さんにはシンオウで凄くお世話になったんだからな。
オレの英雄って肩書きが使えるんだったら、喜んで行くに決まってるだろ!」
立ち上がって、お互いにハイタッチをしているオレとトウコを
アララギ博士がなんだか嬉しそうに見つめるけど、なんでだ?
「うふふ、二人共っていうか皆それぞれに成長したのねぇ。
なんだか私、すごく年をとった気分になっちゃったわよ。
でも、誰かの為にって気持ちはとても凄い力を持ってるんだから
それだけ大切な人だったら、尚更助けになるんじゃないかしら?」
「元々、ぼくとベルの為に戻ってきてくれたんだろう?
もうその気持ちは十分に受け取ったから、二人共もう行きなよ。
トウヤ、トウコ…ヒオウギシティに行く前に、こうやって話せて嬉しかった。
向こうでボクも頑張ってポケモンスクールの先生として、
そして、ヒオウギシティのジムリーダーとして精一杯頑張るよ。」
「うんうん、恩人さん?が困ってるなら助けに行かなくちゃ!
それじゃないと、トウヤ君とトウコちゃんらしくないでしょお?
あたしも、アララギ博士の助手としてヒオウギシティで大切な役目を
頼まれたんだから、頑張る。だから、二人も頑張ってよお!」
4人で旅に出たのがついこの間の様な気がしていたけど
今じゃ、ベルもチェレンも自分の道を見つけてこうして進もうとしてる。
それじゃあオレとトウコはこれから先、どこへ進むんだろう?
行き先は未だ未定、だがそれもまた良しでも構わないよな!
「色々グダグダと振り返るのは年を取ってからやれば良いんだ。
これは、これから行くギアステにいる人が言ってた言葉なんだけど
二人に送らせてもらう。オレ、この言葉にすっごく救われたんだ!」
「そうそう、後ね困難な事とかチェレンがの昔の口癖のメンドーな事も
全部楽しんじゃえば良いんだって!
自分が何をしたいのか、何をしなきゃいけないのか、自分に出来る事をやれば
勝手に結果はついてくるから後ろを振り向く必要無いんだって!
全部、今から行くギアステにいるさん、さん、さんが言った言葉
私達が憧れてる人達が、私達に言ってくれた言葉なんだけど
これから新天地に行って、頑張る二人にはピッタリだと思うから…
だから、私もいっぱい勇気をもらったこの言葉を送らせてもらうね!」
あぁ、チェレンとベルに送るにピッタリな言葉だと思う。
やっぱり、三人共凄いなって改めて感じる。
オレ達の言葉に、二人が凄く嬉しそうな顔をしてくれた。
「ホント、今の二人…ううん、これからのキミ達にはぴったりの言葉ね!
そう言ってくれる人に、出会えてトウヤ君もトウコちゃんも良かったわね。」
アララギ博士が腕組みをして感心してるけど、その通りだよなー。
オレもトウコも、旅をしてそして色々悩んで動いてなければ
この出会いはなかったんだから。
「イッシュの建国伝説のドラゴンをなぞった様なな事も言ってくれたんです。
えっと…理想を持った時に、現実という名の真実が目の前に見えてくるから
理想を叶える為に動いて、その理想が叶ったら次の理想を見つければ良い。
そうすれば、また新しく真実が見えてくるんだって。」
「あー、シンオウでトウヤにさんが言ってくれた言葉だよね?
そうやって繰り返して前に進めば良いだけなんだよって…
ホント、カッコ良い言葉だよねー!」
「すっごい!格好良い言葉だよお!!あたしもその人達に会ってみたいなー。」
「ぼくも会ってみたくなったよ。ねぇベル、ヒオウギシティに行く途中に
ライモンシティに寄ってみようか?もしかしたら会えるかもしれないよね。」
二人共、さん達にすっかり興味津々?
でも、あれだけ凄い人達に会ってもらいたい。そしてそこから二人が
何かを感じて、そして新しい場所でも頑張って欲しいな。
「そういう事なら、ライモンシティに来た時に連絡くれよな!
三人共バトルトレーナーじゃないから、普通に行っても会えないかもだし。」
「うん、チェレンにもベルにも紹介したい!
ホント素敵な人達で、私もあんな大人になりたいって思ってるんだ。
よし、そうと決まれば家に帰って準備して、すぐに行くよトウヤ!」
「おう!二人共絶対にライモンシティに来いよ!!
アララギ博士、なんだがバタバタしちゃったけど俺達はこれで失礼します。」
オレもトウコもすぐにでも出発したいけどそうはいかない。
まずは家に帰って両親に話をして、それからにしなくちゃな!
「はいはーい、そんなの気にしない!若者は突っ走る事が仕事よ?
皆、素敵な人達との出会いはね、ポケモン達との出会いと同じ位
とっても貴重な事なんだから、そういう経験を沢山しなさいね!」
三人に見送られて、オレとトウコはアララギ研究所を後にした。
家に帰ったら、色々と準備を急いでやらなきゃならないから忙しいぞー。
目指すはギアステーション。準備オッケーになったら、すぐに出発進行だ!