二章・初志貫徹編 -不測の事態?に出発進行する上司達-

二章・初志貫徹編

不測の事態?に出発進行する上司達



スーパーマルチに乗車中、いつもと違う通信がインカムから流れました。



『こちらカズマサです!保全管理課のさんとさんに連絡です。

エントランスの往来が激しいのでルカリオに注意する様伝えて下さい。

対応できないようでしたら、応援に行きます!以上ですっ!』



『コチラ キャメロンダヨー。保全管理課ノ課長、仕事中悪イケド、

シンゲン部長ガ 頼ミタイ事ガアルッテ、ヨロシクネー。以上!』



私とクダリはお互いに顔を見合わせます。

確かに今日はマルチ、スーパーマルチ付近のエントランスが

いつもより人が多かった様に記憶しておりました。

はそちらで仕事をされているので、その為の連絡でしょう。

元々他の職場とも親しくされてらっしゃるようでございますが

特にトレーナー統括部とは個人的にも親交があるようですしね。

職員同士の仲が良いのは喜ばしい事でございます。



「今日はなんだか、マルチの乗車が多いみたい。」



「ですが、私達の元へいらっしゃる方はまだおりませんねぇ…」



クダリが少々ガッカリしてしまうのも、仕方がないでしょう。

確かにこうして、マルチでの待機が多いのでございますが

残念な事に未だ最終車両に来られる方がおりません。

皆様、是非とも勝利目指してひた走って欲しいですね。



「今のチャレンジャーさん達って、最近頑張ってマルチをしてるよね。

ボク、早くバトルしてみたい!」



「ポケモンと共に努力し、絆を深め合う姿は何より美しゅうございますしね。

そういえば、最近トウヤ様とトウコ様のお姿を拝見いたしませんね。」



ライモンシティにいらっしゃる間は、二日と開けずにこちらにいらっしゃる

元気な双子の姿を思い浮かべれば、自然と笑みが浮かび上がってしまいます。



「実家に帰るっていってた。幼馴染がジムリーダーに就任するんだって!

それでね、そこのジムはポケモンスクールの中にあるんだって言ってた!」



新しいジムという事なのでしょうか、そう言えばカミツレ様のジムも

そろそろ改修を終えそうだと、嬉しそうにおっしゃっておりました。

地上では数々の新しい風が吹いているのですね。



「周囲では色々と心躍る事が起きておりますね。

私達もより一層精進して、新しい風を取り込むと致しましょう。」



「うん!でもね、ボク達の周りにはもう新しい風が吹いてる。

達が来てから、すっごく周りが変わってきてる!

これって風なんてレベルじゃない。うーん…竜巻とか台風?」



確かに周囲を巻き込んでその中心にいるのですから、そうかもしれません。

上手い事を言いますねと、笑えばクダリも同じ様に笑っております。


いつもの様にオペレーション部門からの連絡を待てば、すぐに通話が入ります。

ですが、それはいつもの待機指令とは異なっておりました。



〈ボス達、そろそろチャレンジャーがそちらに向かいますので準備願います。

後、チャレンジャーが不審な行動をする場合は最悪バトルを中断して

即刻身柄の確保をお願いいたします。〉



なんとも驚くような内容で、私とクダリはインカムをオンにして

その理由を問いただそうとした時に、



『こちら保全管理課の。ターゲットロックオンですよー。

今、主任が対応に向かいました。トレーナー統括部の皆さん

課長、周囲への対応をお願いします。』



『こちら、了解すぐに向かう。』



『コチラ シンゲンデス。手スキノトレーナー 全員二告ギマス、

現場カラ近イ出口ノ封鎖ト 周囲ノ安全確保、関連人物ノ監視モシテ下サイ。

少シデモ オカシナ行動ガ見ラレタ場合ハ 身柄ノ確保モ オ願イシマス。』



一体何が起こっているのでしょうか?

ターゲット?包囲?なんとも物騒な言葉がインカムから流れてまいりました。



「こちらクダリ、あのね、エントランスで何が起きてるの?

それと、オペレーション部、さっきの話はどういう事なの?

ボク達にもちゃんと説明して欲しい。」



まもなくチャレンジャーがいらっしゃると言うのに

これは一体、何事が起きているのでしょうか?

インカムからの通話を待っていると、目の前のドアが開き

チャレンジャーが最終車両に入って参られました。

これはまずバトルに集中しなくてはなりません。


いつも通りの口上を述べ、バトルは開始になりました。

その間にも、私達のインカムへは色々な通信が入ってまいります。



『こちらクラウド、ボス達すんません!今マルチトレイン乗車場付近で

ポケモンを使って、施設破壊をやらかしよってる連中がおるんです。

保全管理課の主任とが対応しとるんですけど、

なんやエライ事になってしもうたわ!』



『こちらラムセス、なんだか結構な人数がギアステに手を出してるのさ。

こっちはそのうちの何人かの身柄をすでに確保してるけど、

肝心の大暴れしてる連中には手が出せなくて、傍観中。

ボス達、バトルが終わり次第、至急こっちに来て欲しいのさ。』



ポケモン達に指示を出しながら、部下の言葉に耳を傾ければ

とんでもない内容でございました。

これはチャレンジャーには申し訳ございませんが、即刻下車願いましょうか。



「ギガイアス まもる!」



「ズルズキン、てっぺきからのみきり!」



チャレンジャーの指示に私達は驚きました。

これは…そう簡単に下車願えないという事なのでしょうか?

おかしいです、この方たちはいつもであればとてもアグレッシブな戦法で

トレーナー達をねじ伏せるバトルスタイルだったはず…



『こちらオペレーション部部長です。

そのチャレンジャーとエントランスで騒ぎを起こしている連中はグルです。

ボス達にバトルの中断とチャレンジャーの身柄の確保を要請します。』



「なにそれ…なんでいきなりそんな事になってるの?」



チャレンジャーに届かぬ大きさの声でクダリが呟きます。

えぇ、私も同じ言葉しかございません。

いきなりこの様な事態が起こるとは…いきなり?本当にそうなのでしょうか?



「クダリ、いきなりではないかもしれません。

普段からトラブルの対応に慣れている職員達であってもこれ程、迅速に

事態に対応しきれるでしょうか?」



目の前のチャレンジャーは相変わらずでございます。

勝負は膠着状態でどう見ても、時間稼ぎをしているようにしか見えません。

目の前のチャレンジャーの不可解な行動、職員達の不思議な連絡

そして、今エントランスで起きている事、それらを考えていると

急にすべてのピースがピッタリとはまりました。



「この事態への対応はの指示では?」



クダリも同じ答えにたどり着いたのでしょう、頷いております。

その間も、私達は膠着状態の打破に向けて抜かりはございません。



「でもこんな重大な事、なんでボク達に報告がなかったのかな?」



クダリがシビルドンにほうでんの指示を出しながら首を傾げます。

私もドリュウズにどくづきの指示を出して、考え込んでしまいました。



「事の重大性を考えれば、事前に私達に報告があってもおかしくないはず。

それがされなかったと言う事はこれは不測の事態なのでは?

ですが、あのにその様な失態をするなど、想像がつきません。」



「ボクもそう思う。じゃあこれって、最初からボク達に内緒って

そうして皆で黙ってたって事?でもその理由がわかんない!」



バトルに対しては冷静に対応させていただいておりますが、

どうもこちらの状況にはその様な余裕などございません。

私もクダリも少々憤りすら感じております。



達から見れば、私達はまだまだな上司なのでしょうが

それとこれでは問題が違うでしょうに!

これは急いでバトルを終わらせて、問いたださねばなりません。」



「確かに急がなきゃなんない。でもボク逹はサブウェイマスター

目の前のバトルを自分から中断させる事なんて、絶対にしちゃいけない。」



「えぇ、そのとおりでございます!私達はサブウェイマスター

バトルを何より愛する者として、例えこのように理不尽なバトルでも

全力でお相手させていただきますとも!」



まず、私達は自分のすべき事を全うさせねば。

それは目の前のチャレンジャーに勝利する事、身柄の拘束などは

二の次でございましょうとも!



「ノボリ、ボクちょっとこのバトルに怒ってる。

こんな、誰かに言われてやってるバトルはポケモン達もボク達もつまらない。

ボク本気、ここからすっごい本気で、すっごい勝負にしてみせる!」



「私達ノボリとクダリの二両編成を、この様な事で停車させられると

その様に思ってらっしゃるとは…全く舐められたものでございますね。

それでは参りますよ?クダリ!」



「「出発進行!!」」



まずは目の前のバトルに集中させていただきましょうか。

ですが、このバトルが終わった後で私のする事はひとつ決まりました。

事態の収束ももちろんでございます、それは当然の事でございましょう。

そして、この状況を把握している主だった職員全員は正座付きで説教です。

えぇ、すっごい説教をさせていただきますとも。


そちらのほうでも出発進行!で、ございます!!