二章・初志貫徹編 -凄かった平社員-

二章・初志貫徹編

凄かった平社員



もう少しで午後休憩になるって時に、執務室にゲンナイとベロアが入ってきた。

二人が一緒に来るなんて珍しいから、何かあったのかな?



「失礼しまっす!えっとさん、ちょっといいっすか?」



ゲンナイがのデスクの前に行くと、胸ポケットからなんだか

小さな切符?みたいなのをに差し出した。



「…ギアステ食堂のスペシャルデザートセットの食券だね。

これがどうかしたのかな?」



「いやぁ、カミさんと二人分午後休憩用にって貰ったんすけど

オレ、甘いものが苦手なんすよー。でも勿体無いっすから。

確かさんは好きでしたよね?良かったら貰ってください。」



「それは…有り難く受け取るけど、午後休憩用って?

が二人にあげたって事なのかい?」



「いえ、姐さんの友人の…えーっと…そうだ!さん!!

さんがちょっと作業場でやりたい事があるからって

オレ達二人にこれをくれたんすよ。」



そういえば、今日はがシステムチェックに来てたんだ。

すっごく静かだったから忘れてたけど、やりたい事ってなんだろう。

ボク、嫌な予感しかしないんだけど。



「ちょっと待て、という事は午後休憩中は作業場に来るなって

二人共に追い出されたって事なのか?」



が眉間に皺を寄せて二人に聞いてるけど、その気持ちわかる。

二人同時になんだか困った顔しちゃってるし。



「オレ達は別にそう思ってはいないんすけど…

やっぱ午後休憩にこのデザートとかってのは不味いっすか?」



「いや、指導者のが許可を出したんだったら問題はないぞ。

そうだな、お前等が頑張ってるご褒美にくれたんだって事で

ゆっくり休憩してこい。」



の言葉にホッと安心した顔をして、二人は部屋を出ていった。

あ、腕組んで歩くとか凄く仲が良いんだな。ちょっと羨ましいかも。



「なんでございましょうか…私、が絡んでいるというだけで

嫌な予感しかしないのでございますが、気のせいじゃありませんよね?」



「黒ボスの予感は間違いじゃないと思うよ。

ちょっと、監視カメラで作業部屋の周囲を見てみるかい?」



の提案に、ノボリはモニターを操作して作業部屋前の映像を呼び込む。

映し出された作業部屋の前にいるのは…ネイティ?

そして、扉になにか書いた紙が貼り付けてある。



「ノボリ、もうちょっと拡大して。…暫く入室禁止だおー!って…

ちょっと待って、は中で何をしてるの?

外にいるネイティって、もしかして見張り番してるんじゃないの?」



「あいつは…なにをやってるんだ。

すみません、これからちょっと行って注意してきます。」



この状況に、が苦虫を噛み潰したような顔をして席を立つ。



「相手がなだけに、お二人だけに任せるわけにはまいりません。

なにか問題が起きた場合は素早い対応が必要になると思われますので

私達も参ります。クダリ、それでよろしゅうございますね?」



反対する理由なんてなあるわけないってば、これってがピンチ?

ってば、中で何をやってるんだろ?すっごく気になる!


執務室を出て、ホームは走れないから全力で急ぎ足で作業部屋に向かえば。

ボク達の姿を見て、ネイティがどうしたの?って感じで首を傾げる。



「ネイティ、そこをどけろ。俺等はが心配なんだ。」



「ネイティ、お願いでございます。そこをどいてくださいまし。」



とノボリがネイティの前に立ってお願いしてみる。

だけど、暫く考え込んだネイティはイヤイヤって繰り返した。

あ、ボクの方を見たけど、なんだか困ってる?これってもしかして…

ボクはネイティの前にしゃがみ込んで、そっと頭を撫でる。



「ねぇ、ネイティは言いつけを守らないとに怒られるって思ってる?」



ボクの質問にネイティは頷くと、なんだか一所懸命にボクに話しかけてきた。

それは、この見張りがホントは嫌なんだって言ってるみたいだった。



「あのね、ボク達ネイティが怒られないように守ってあげる。

ネイティもホントは見張りしたくないんだよね?大丈夫、ボク達に任せて?」



ネイティの前に両腕を広げて見せれば、飛び込んできて腕の中に擦り寄る。

うん、やっぱりネイティも見張り番なんてしたくなかったんだね。

ボク達4人は、いきなり部屋に入るのはまずいからってドアに耳をつける。

これって、誰かに見られたらすっごくビックリされちゃうだろうな。


この部屋は防音とかしてないから、結構はっきりと中の声が聞こえてきた。



『ちょっと待って!ちゃん無理!こんなの恥ずかしくて無理だってば!』



、なんだかすっごく困ってる?恥ずかしいとかってどーいう事なんだろ?



ちゃん、そこは慣れるのが一番なんだってば!

いやん、もう我慢できないかもしんない…ホラ、こことかすっごいしー!』



『ちょ、待ってー!お願い、せめて…せめて下をはかせてっ!』



これって、ナニをヤってるの?って、違うでしょー!

隣を見ればノボリが口元を手で押さえてるんだけど、耳まで真っ赤!

んで、多分ボクもおんなじだと思う。これって、中に入ってもいいの?


そんな感じで中に入るのをボク達は躊躇っちゃったんだけど、達は違った。

ドアから離れたがドアノブに手をかけるとが足でドアを蹴り開けたよ!

ちょっと待って!いつも二人共備品は大切に使えって言ってなかったっけ?!



「てめぇら!中で何をやってやがる…って、…ソレは何だ?」



、これはお前が持ってきたのか?仕事中は駄目だと言ってるだろう!」



え?突っ込む所ってソコなの?ソコでいいの?

あー、もう二人共それは絶対違うと思う。正しい反応は…うん、ノボリが正解。



…この姿は?あぁ、隠さなくてもよろしゅうございます。

とても…とても良く似合っておいでですよ?ですがどうして?」



赤い顔はそのままだけど、今にもノボリってばスーパーブラボー!とか

叫び出しそうな感じだし。でも、それにはボクも賛成するかもしんない。



「ぎゃー!どうしてボス達がここにきてるんですか?!

ちょ、待って!無理無理!もう無理ぃいいいい!!」



胸元を抑えて、はボク達に背を向けてしゃがみこんじゃった。

でも、ホントにすっごく似合ってると思う。


ホルターネックの真っ赤なドレスは裾の方が黒になってる。

セクシーっていうだけじゃなくて、なんだろう凄く格好良い。

胸元とか脇腹、背中も露出されていて、黒のインナーみたいなもの?を

ちゃんと中に着てるみたいだけど、谷間がくっきり見えちゃってた。

そして、片側のスリットがかなり深くて太ももがバッチリ見えてるし。

極めつけ?ってか、そんな感じで足元は真っ赤なハイヒールとか

こんな初めて見た!んで、ってやっぱりスタイルが良い!



ちゃん、そこは胸を張ってポーズでしょー!

やっぱり似合うと思いますよねん?ヒカリちゃんってばグッジョブだお!」



「ヒカリ様…とおっしゃいますと、もしやこれはエキシビジョン用の衣装?」



うわぁ、こんなの着てバトルとかヒカリって子は何考えてるの?

ボク的にはって言うか、男としては凄く目の保養になるけど、でも…ねぇ?



「そうだおー、バトルの時は流石にこれじゃまずいから下にスラックス

装備しちゃうんだけどねん、それ以外はドレスとして着てちょーだって!

シロナさんがちゃんと色が反転した衣装っぽ。

二人共エッチな身体してるから、皆ハァハァしちゃうかもねん。」



「…女性チャンピオンってシンオウだけですから、

客寄せっぽくなるとは思って、ある程度は覚悟はしてたましたけどねー。

こんな感じで道連れとかマジで勘弁して欲しいです…」



あ、ってばノボリのコート借りて着てるし。

確かに露出は減ったけどさ、これって別な意味で色々問題。



「きゃーん!ちゃんってば、彼シャツじゃなくて彼コート?

ノボリさんグッジョブですおー!これはこれでエッチぃ感じでおk!」



「んなっ!…、私は決してその様なつもりではございません!

あぁ、もそこで固まらないでくださいまし!」



「でもね、衣装はちゃんにすっごく似合ってるっぽ。

ロングな手袋で傷も見えないし、バトルではスラックス着用だし?」



あ、そっか。の腕には傷があって結構目立つもんね。

そういう所はちゃんと考えてくれてるとか、ちょっと見直しちゃったかも。



「まぁ、ある意味お祭りみたいなもんだからな。

、いい加減あきらめろ。別におかしくないと思うぞ?」



「シロナと並ぶと、ある意味凄ぇ事になるんじゃねぇか?

これは色々と騒がれるかもしんねぇな。この衣装なら化粧もガッチリして

口紅もアイラインもハッキリした方が良いんじゃねぇか?」



「あ、ファンデとかコスメは任せてちょ!

ちゃんに似合うメイクをしてあげるからねん?」



「あーもう!色々めんどくさくなったんで、どうでもいいですよー

畜生、こうなったら徹底的に客寄せに貢献してやろうじゃない!」



女は度胸で勝負だー!って叫んでるけどさ。それ、違うと思う。



「ボクこんな衣装のトレーナーと、バトルしたくないかも。」



「正直申し上げれば、かなり心理的に動揺いたしますでしょうね。

これはしっかりと見て、耐性をつけておいた方が良いのでしょうか?」



うん、それもありかもしんない。はなんともないみたいだけど

そっちの方が絶対おかしいと思う。


にこっち向いてとかいって写メを撮ってる。

も自棄になってるんだろうな、すっごい笑顔でポーズとってるし…

で、はポーズに駄目出ししたり、指導したり?


ボク達も勿論写メは撮ったよ?だってホントに凄いんだから!