二章・初志貫徹編
確執と戸惑いと納得
もうちょっとで午後休憩って時に、シングルから戻ってきたノボリが
お客様を連れて執務室に戻ってきた。
「こちらが執務室になります。
まもなく午後休憩になりますので、もう少々お待ち頂けますでしょうか?」
手にもってる荷物はお客様のなんだろうな。
ノボリのバトルの相手はこの人だったのかな?
そうだったら、すっごく羨ましいんだけど!ボクもバトルしたい!
「えっと、間違ってたらゴメンナサイ。
シンオウのチャンピオンのシロナで良いんだよね?
どーしてイッシュっていうか、バトルサブウェイに来たの?」
ビックリしてるボクを見て笑う顔が大人で色っぽいな。
でも、ノボリは苦手かもしんない。顔が固まってるもん。
「えぇ、間違ってないわ。
初めまして、白のサブウェイマスターさん。
にちょっと用があるから、ここで待たせてもらうわね。」
「初めまして、ボク、クダリ。ダブルのサブウェイマスターしてる。
ノボリと来たって事はバトルした?ボクもバトルしたい!
そう言えば、はチャンピオン代理だったんだよね?
どんな感じだったの?」
「それは私も興味がございますね。シロナ様、あちらでのは
バトル以外の仕事もされていたと聞いております。
こちらでも、色々と業務改善に協力していただいておりまして
非常に頼もしいのですが、それはあちらでも同じでございましたか?」
うん、ボクもその辺を聞いてみたかった。
シンオウのポケモン協会は保守的ですごく大変だったって
前にが言ってたから、仕事ぶりを聞いてみたかったんだよね。
「あら、あの子ってばこっちでもそんな事をしてるの?
相変わらずっていうか、仕方無いって言うか…まぁ、あの子らしいわね。
そうね…毎日がバトルの連続っていった所かしら?
もちろん、ポケモンバトル以外ででもよ?
なんせ、あっちの協会は色々保守的だったり怠慢だったり?
そんな中最初はひとりで、暫くしてからは四天王を従えて
業務改革に走り回ってたわね。」
本当なら私がやるべき事なのだけどって言って、シロナは笑った。
うん、それは言えるよね。だってはあくまでも代理なんだもん。
「勿論、私もの主張に賛成だったから協力はしたわね。
あの子はまずチャンピオンを未成年から出さない事を主張していたわ
確かに、色々な雑務もあるんだからそれは当然なのでしょうけどね。
その他、各地方との連携や他の施設…バトル施設とかとの連携
各部署での書類の統一、仕事の分担の徹底…
今思えば、よく三年ちょっとでそこまでやったと感心するわ。」
うわー、それって凄い。だからきっとボク達の事を
黙って見てらんなかったんだろうな。
ボクとノボリは思わず顔を見合わせて笑っちゃった。
応接スペースにボクもノボリも移動して、シロナの話を聞く。
ボク達の知らないの事をもっと聞かせてもらおうっと。
あ、だけじゃなくてとかの事も知ってるのかな?
「そういえば、とかをシロナは知ってるの?」
「以前、そちらのポケモン協会とのライブチャットを見た限り
は会長と面識がある様でございますが、シロナ様とは?」
ボク達の質問に、シロナちょっと困った顔をした。
なんで?と思ったけど、話を聞いたら納得した。
「面識どころかあの3人には会長はじめ、全員頭があがらないのよ。
以前、伝説のポケモン絡みである組織と対決したんだけどね。
あの3人がいなかったら、今頃はとんでもない事になってたと思うわ。
正直、私ひとりの力じゃどうしようもなかったし
協力してくれた…っていうより、当事者になった子はまだまだ幼いし
そんな中で、あの3人が…ううん4人ね。急に現れて
あっという間に組織を殲滅させちゃったんだもの、ビックリしたわ。
…ところで、サブウェイマスターさん達は3人の手持ちについて
聞いているのかしら?」
あ、これは神様ポケモンの事かな?シロナも知ってるって事なのかな?
ボクとノボリが頷くと、シロナはなんだかため息をついちゃった。
「あっという間に壊滅どころか、神話のポケモン達が揃って
手持ちになっちゃうんだから、本当なら私はその時点で
チャンピオンを辞めたかったんだけどね。」
「3人ともリーグ制覇をされても、全て殿堂入りを拒否されておりますね。」
「うん、色々面倒だからって3人とも言ってた。
でも、がチャンピオン代理になったのはどうして?」
これはずっと不思議に思ってた事、だけどなんとなく理由はわかってる。
「一番頼みやすかったから…なんせ3連続で負けちゃったのよ?
だから、私はもうチャンピオンを辞めるって3人の前で言ったのよ。
そうしたら、殿堂入りをしないからこのバトルは無効とか言うし
私も頭にきたから、3人のうち誰かが代理をしてくれないと辞めるって
いじわるしちゃったのよね。そうしたらがやるって言ったのよ。
あの子、普段からは想像もつかないけど結構優しいところもあるしね。」
ちょっと待って、シロナの言葉にすっごく違和感を覚えた。
は優しいところもあるって言うよりは、全部優しい。
なのに、なんでシロナはそんな風に言うんだろ?
ボクの疑問はノボリも同じだったみたいですごく不思議な顔をしてた。
うん、ボク逹はが優しすぎて貧乏くじ引く所をよく見てるもんね。
その事を聞き返そうとしたら、ドアが開いて休憩にが入ってきた。
「両ボスお疲れ様で…シロナ?なんでここに貴女がいるんだ?」
あ、の周りの空気がなんとなくだけど張り詰めた。
こんな見た事ないから、ボクもノボリもびっくりした。
「あら、お久しぶりね。こっちでのエキシビジョンマッチの事で
に用があるからきたのよ。
貴方の勝手な都合であの子を取られて、こっちは大変だったのよ?」
「そんな事、俺は知りませんね。最初から言ってあったはずだ。
はいずれ引き抜くってな。3年いただけでも十分だろう。」
うわー、なんだかバトルモード?
ふたりの間に火花が散ってるのが見えるのは気のせいじゃないよね?
止めた方がいいのかなって思ってたら、今度はが戻ってきた。
「…客だと思っていたら、貴女とはね。
それで、ここに来たって事はに用があるからだよね?
今呼び出すから、用件が終わり次第、速やかにお引取り願いたいね。」
「ももシロナ様に失礼でございますよ。
彼女はお客様としてこちらにいらして、私が案内したのです。
なにか意見がおありでしたら、私がお聞きします。」
の辛辣な言葉は職員としては駄目な事。だから、ノボリが注意した。
だけじゃなく、もバトルモードとか勘弁して欲しい。
でも、どーして二人共シロナにそんな態度をとるんだろ?
「…申し訳ありません。
そうですね、俺等の客ではありませんので少々席を外します。
何かあったら、インカムで連絡を下さい。失礼します。」
「そうだね、俺達は関係ないから席を外させてもらうかな。
両ボス、インカムでを呼んだから直ぐに来ると思うよ。
それではお客様、ごゆっくりどうぞ。失礼しました。」
そう言って二人共執務室から出ていった。
後に残されたボクとノボリは二人の態度にビックリしてたんだけど
シロナは相変わらずねって笑ってた。
「失礼します。シロナさん、お久しぶりですね。
今日は私に用という事ですが、どの様な事ですか?」
入れ違うようにして、が執務室に入ってきた。
だけど、とと同じでなんだかいつもと雰囲気が全然違う。
「お久しぶり…貴女がバトルから離れてるなんて信じられなかったけど
その格好を見ると本当だったのね。元気だったかしら?」
「えぇ、私はここではバトルができませんので。
それにその為にこちらに来たわけじゃありませんから。
シロナさんは例のエキシビジョンマッチの件でいらしたんですよね?」
「えぇ、当日というか開催期間中の衣装を持ってきたのよ。
ヒカリちゃんが貴女に絶対似合うからって選んだのよ。」
ヒカリって子の名前が出て、の雰囲気がちょっと戻った。
だけど、こんな見た事ない。
いや違う、トウヤのバトルレコードに映ってた時と同じだ。
ってば、シンオウにいる時はいつもこんな感じだったのかな?
「そうですか、確かに受け取りました。態々ありがとうございました。
それでは申し訳ないんですが、仕事が詰まってますのでこれで…」
そう言っては荷物を受け取ると直ぐに出て行っちゃった。
後に残ったシロナはため息をついて、苦笑いした。
「やっぱり、三人とも相変わらずなのね。」
「シロナ様、それは違います。
私達は正直言って、今のあの三人の態度に驚いております。」
「うん、三人とも凄く面倒見が良くて優しい。
ボク達もだけど、ここバトルサブウェイを色々助けてもらってる。」
ボク達の言葉にシロナはビックリしてたけど、直ぐに俯いて首を振った。
これは何かシンオウにいた時にあったのかな?
「まぁ、はシンオウのポケモン協会と色々確執があったしね。
それに、それぞれが手持ちにしたポケモン絡みで色々とあったから
そうよね、本当の三人はきっと貴方達が知ってる姿なのよね。」
「三人の手持ちって神様ポケモン?」
「えぇ、いきなり現れた三人が貴重なポケモンを手持ちにしたでしょ?
組織と関係してるとか、悪用するんじゃないかって話がでちゃってね。
三人に開放するように協会が通達したのよ。
開放した後は協会が管理するって話になって、いざその時になったら
そのポケモン達が大暴れしてそれを拒んだのよねぇ…。
洗脳された可能性もあるって嫌疑で色々取り調べとか受けたりしたわ。
それ以来、あの三人はずっとあんな感じよ。」
「なんですかそれは…」
あ、ノボリがすっごく怒ってる。うん、ボクも同じ。ふざけないで欲しい。
あの三人の話を聞いて、ボク逹は神様ポケモン達との絆を知ってるから
そんな事を聞いちゃったら、怒っても仕方がないと思う。
「正直言って、こうやって離れた場所にあのポケモン達を同行させるのも
協会としては未だに意見が別れている所なのよ。
学者達の間でも貴重な研究ができる機会を失ってしまって
色々と抗議している機関もあるしね。」
「そんなの、そっちの勝手でしょ?
あのね、神様ポケモンなんだから人間なんか比べ物になんない位
頭も良いし、すっごい存在。それを騙されてるとか。言う方が失礼。」
「えぇ、彼等の絆の深さは私達も見習いたいと思う程でございます。
それを洗脳?研究?抗議?いい加減になさいまし!」
「えぇ、私もそう思うわ。
あの三人がどれだけポケモンを大切に思ってるかなんて
ちょっと見ればわかる事なのは一部の人間ではあるけど、わかってるわ。」
だから、余り責めないで欲しいって、シロナは言うけど
それすらもなんだか、やりきれないって思っちゃった。
三人があんな態度を取るのはその仕打ちに怒ってるだけじゃない。
ポケモン達をそういう風にしか見れない人達から守ろうとしてるんだ。
そう考えたらあの態度に納得した。ボクでもそうなるかもしんない。
時々思う。ホント人間って自分勝手な人が多すぎる。
ポケモン達と人間の繋がりって、どっちかが優位って事じゃないのに。
どうしてちゃんと目を向けないんだろう。わからないんだろう。