二章・初志貫徹編 -空を見上げる四人の決意-

二章・初志貫徹編

空を見上げる四人の決意



なんだか色々と凄すぎる話を聞いちゃったけど

ボクは…ううん、ボクもノボリも、そしてインゴとエメットも

胸の中にあったモヤモヤした気持ちがなくなったと思う。


三人が何か秘密を抱えてるんだってのはわかってたから、ずっと聞きたかった。

でも、自分から聞くのが怖かった。聞いちゃってその後でどうなるの?って

聞く前とボク達への接し方が変わっちゃう位なら聞きたくない。

だから無理矢理そういう感じで自分の気持ちを納得させてたんだ。


でも、結果は…うん大丈夫、オッケー!変わってないと思う。

三人とも見た目よりもずっと大人なんだってわかって、逆に安心?した。

バトルにしても、他の事にしてもボク達の目指すずっと上にいるみたいで

置いて行かれてるようでちょっと悔しかったり寂しかったんだ。


ボクからネイティを受け取って、膝の上に抱っこしてるを見る。

三人の中で一番大変だったと思う。

過去の事だけど、ボク逹みたいに、人間関係で色々あったみたいで

仕事の時にはスマイルの仮面をつけてたって言ってたっけ。

今のがそんな事をしてないのは、乗り越えられたんだと思う。

だからボク達のやる事を見てらんなくなって、色々と助けてくれるんだろうな。


ノボリからビールを受け取って一気飲みしてるを見る。

すっごく仲間思いなのは前からなんだね。

そして、その仲間にボク達も入ってるのがすっごく嬉しかった。

口では色々言ってるけど、結局は見てらんなくて手を出しちゃう?

貧乏くじ引いて、色々動き回るを文句言いながらでも

結局はつきあって面倒みてるし、世話好きってホントだよね。


グラスに入れたビールを飲みながら、目を細めて笑うを見る。

どんな事があっても揺るがないで前をみて進めるって凄い。

仲間思いっていうのは他の二人と変わんないと思うけど

全部をひっくるめて守ろうとしてくれる人だと思う。

ちょっとの事じゃ動かないけど、ちゃんと見てくれてて

いざって時には助けてくれるんだって安心できちゃうんだ。


ノボリじゃないけど、ボクも神ポケモンに感謝する。

三人をこっちの世界に連れてきてくれた。そしてボク達と出会わせてくれた。

こうやって友達になって、大切な仲間になって、一緒にいる事は奇跡。

すっごい奇跡をありがとうって感謝する。



「さて、結構な時間になったから俺等は戻らせてもらうな。

インゴ、エメット、急に呼び出してオマケにこんな話に突き合わせてすまん。」



そう言ってがゆっくりと立ち上がった。

こういう時でも相手の事をちゃんと気遣えるってのは、やっぱり凄いな。



「謝る必要はアリマセン。ワタクシは自分のしたい事をしただけデス。」



「ウン、キミ達の話を聞けて良かったヨ。」



普段はすっごく高圧的で嫌味たっぷりな二人でさえ、の前だったら

こんな感じでいつもより素直っぽくなっちゃうんだからねー。



「色々と信じられない事を言ったのに、最後まで聞いてくださって

ありがとうございます…皆さんに話せて良かったです。」



すっかり熟睡しちゃってるネイティとムウマをボールに戻して

がボク達の方をみて笑ってる。

いつものスマイルとは違うけど、今のはその笑い方が似合ってる

儚いっぽい感じなんだけど、すっごく綺麗な笑い方。



、友人として学習能力の無い貴女には何度でも言います。

私は貴女が大事なんです。だからもっと自分を大切にしてくださいまし。」



ノボリがをハグしたんだけど、やっぱりはちょっと泣きそう。

だけど、前みたいに拒む事をしないで、ノボリの背中に手を回してるから

それだけでも、すっごい進歩なのかもしんない。



「てめぇら、使ったコップとか片付けろってんだ!

ったく、キッチンに戻すだけになっちまうがすまねぇな。」



ビールの空き缶や三人分のコップを持って立ち上がって

キッチンに向かいながら二人を怒ってるだけど、目が笑ってるし。



「オッケー、後で洗っておくからそのまま置いてくれれば良い。」



ボクもテーブルに残ってる空き缶を持ってキッチンに一緒に行く。

口は悪いけど、のこういう所ってお母さんっぽくて笑っちゃう。


それぞれにまた明日なんて言って三人が出て行くのを見送って

リビングに戻ればそこには誰もいなかった。

バルコニーの方を見れば、並んでタバコを吸ってるみたい。

タバコの煙とか匂いは嫌いだけど、なんだか仲間はずれっぽいのが嫌で

ボクもバルコニーに出た。



「クダリがココに来るって珍しいネ。」



「どうせ一人取り残された気がしたのでショウ?相変わらずデスネ。」



相変わらずの二人の言い方にムッっとしたけど我慢した。

今はそんな事でグダグダ文句を言う気分じゃない。



「揃ってタバコなんて珍しくもないけど、三人とも上を見てた。」



うん、ボクが入ってきた時には揃って目を閉じて上を向いてたんだよね。

その雰囲気がいつもと違ってて気になったんだ。



「あぁ、二人にあの空にある目の話をしたのですよ。

今日の話を聞けば、達がその様に言っていた事も成程と思いまして…」



の向こうの世界デノ子供時代の話を聞いていたノデ、納得しまスネ。」



そんな事をいつ聞いたの?ってボクもノボリも驚いていたら

エメットもインゴから聞いたって話を教えてくれた。

そっか、両親を事故でいっぺんに亡くして、引き取られた所で

残してくれたお金を使われたんだったらそんな感じになると思う。

でも、今のしか知らないボクには相手を半殺し?にしちゃった

ちょっと想像できないかもしんない。



「ネェ、こんな感じデサ情報交換しないカナ?

ボク達が気になってる事、キミ達が気になってる事、多分あると思うケド?」



それってどういう意味なんだろ?ってボクとノボリが首を傾げたら

インゴが2本目のタバコに火をつけながら口を開いた。



「カレ等にはまだ秘密があるデショウ。

彼等のホルダーについているボールは6個装着されてオリマス。

ワタクシ達が神ポケモンを見たのは5番目でゴザイマス…」



「ウン、それはボクも気がついてた。

5番目がそんなすっごいポケモンなら、6番目のポケモンは?って…」



これは全員が思っている事だと思う。

今回の話で、その事も話してくれるのかなって思ったけど違った。



「それにつきましては…少々思う事がございます。」



ボク逹の視線を浴びながら、ノボリはゆっくりとタバコを携帯灰皿へ入れた。

そして、腕を組んでなんだか難しい顔をしながら話してくれた。



達とトウヤ様達が初めてお会いになった時に

トウヤ様の6番目のボールが、点滅しながら揺れて騒いでいたのですが…。」



「Ahー、トウヤってイッシュの英雄になったコだったヨネ?

そのコの6番目って…建国伝説のドラゴンポケモンって事カナ?」



あ、それはボクも知ってる。暫く騒いでたけどがボールに手を翳したら

元に戻ったんだよね。は落ち着かせるのに気?を使ったって…



「えぇ…ホームでその状態になった時に、がすぐに執務室へと言いました。

そして彼はに図面を取りに行かせましたよね?

その時にの6番目のボールが、赤く点滅しているのを見たのです。」



「え?ちょっと待って!それってつまり…」



「お互いのポケモンがリンクした可能性がゴザイマスネ。

デハ、の6番目はイッシュの伝説ポケモン…可能性は高いデスネ。」



「確か建国伝説のドラゴンポケモンってマダ1体いたヨネ?

ソッチはが持っているって事になるのカナ?」



随分あっさりとエメットは言うけど、それって凄い事じゃないのかな?

でも、その仮説だと辻褄が合わない部分もある。



「それでも、伝説のポケモンは2体。

じゃあ、残りの…のどちらかの6番目は?」



ボクの疑問に全員が黙り込んじゃった。

今ボク達の知る限りのポケモンで、伝説のドラゴンと同じ位の

神様っぽいポケモンなんて知らない。



「Hmm…イッシュの歴史を詳しく調べる必要がゴザイマスネ。

ワタクシ達の知らない、歴史に埋もれたポケモンが存在するかもデショウ?」



「で、ございますね。ですがあまり表立って調べる事も難しいでしょう。

6番目の話が今日でなかったという事は、三人ともこの件に関して

私達を介入させたくないと思ってるのかもしれません。ですが…」



「ボクは介入する気満々ダヨ。キミ達もデショ?」



エメットの言葉に全員が頷いた。

ここまで話を聞いておいて、ただ黙ってこれから起こる事を見てるだけ?

そんなの無理、ボク達に出来る事だって絶対なにかあるはず。


空を見上げれば、夜でも明るいライモンシティだから

星すら見えないけど、もっと上の方を見る。

ボクに出来る事、ボク達がやらなければいけない事、それを見つけてみせる。


ボクにつられる様に他の三人も空を見上げる。

一人よりも二人、二人のよりも三人、四人の方がもっと出来る事が増える。

ボク逹はそれを見つけてやり遂げてみせる。