二章・初志貫徹編
平社員、ため息をつく。
一難去ってまた一難、昔の人はうまい事を言ったと…思うわけないでしょー!
大体、なんでこう面倒事が次から次へと起きるかな?
呪われてるんだったら、全力でお祓いに行って祓ってもらうよ!
「んで、その愛護団体さんの動向は目下鋭意検索中って?
、あんまりちゃんを巻き込んじゃダメだよ!
それに今度はジャッキーさんまで…一般人を巻き込む駄目絶対!」
両ボスとが朝礼中に、が今起きている事を教えてくれた。
確かに、バトル施設とポケモン愛護団体の確執なんて腐る程ある。
そう言えば、カトレアちゃんとかクロツグさんもよく愚痴ってたっけ…。
「あちらさんがどう動くか、わかった方が良いに決まってるしな。
その後の対策さえ立ててれば問題じゃねぇだろ?
てめぇはあちこちに結構顔出してるみてぇだから
何かおかしな動きがあったら、黙って俺に連絡すれば良いんだよ。」
「うわーい、上から目線のドS発言キター!
その位はお安い御用だけどさ、そこまで心配する必要あるの?
周囲でグダグダ言ったって、現にバトル施設は世間には認められてるし
普通のチャレンジャーさんだけじゃなく、愛護団体のご本尊の
だいすきクラブまで利用してるんだからね。」
「そうか…だいすきクラブってのもあったな。それは俺が探るか…。」
が腕組みしながら、ニヤリと笑った。
こういう時は、色々と戦略だとか悪巧みだとかをしてる証拠。
だから策士だとか参謀だとか言われて、面倒事を引き受けるんだぞー。
んで、それに引っ掻き回され&引っ張り回されるんだからたまんないよ。
ため息を思い切りついて、今日の作業予定を確認する。
「おう、今日は仕事終わったらそっちに集まってもいいか?
3人揃ってちょいと色々打ち合わせをしてぇんだがな。」
「あ、今日はパス。つーか、今日は定時上がりさせてもらうから。」
いつも来るもの拒まずでオッケーしてたから、断られてびっくりしてるし
確かに、今日じゃなかったら良かったんだけどね。
「ホホホ!私、今日はアフターでデートがございます。
話があるっていうから、やっと嫁に来てくれるとか?なーんてね!」
「てめぇにそんな話をする相手がいるわけねぇ…「相手は誰?」…白ボス?」
いきなり両肩に重みが掛かったのは朝礼を終えておんぶおばけになった
白ボスがいたからで、ちょっと何気に重いよ、体重かけられてるよ!
んで、絶対零度の眼差しでフリーズさせそうな黒ボスも仁王立ちしてる。
「貴女がデートと言える、親密なお付き合いをしている方がいらしたとは
私ちっとも存じ上げませんでした。ですが、結婚ですって?
、私も同席させていただきます!その辺の馬の骨になど渡しません!」
「ボクも一緒に行く!のお婿さん?ボク達より弱い男に渡さない。」
うわーい、お母さんと、お父さんに反対されたよ!
黒ボス、馬の骨ってそれはなんの例えですか?
白ボスよりバトルが強い人なんて、そんなの探してたら嫁き遅れ決定ですよ?
「だが、断る!!」
「、反抗期良くない。ってなんだか変な男に引っかかりそう。
危なっかしくて見てらんない。」
「えぇ、貧乏くじを選んで引くような貴女ですので心配でございます。
私、そんな聞き分けのない子に育てた覚えはありませんよ?」
ノリノリで答える両ボスが凄すぎる。っていうか、私のポジションは子供?
ソコは妹にして欲しかった!こんなに弄られる妹なら勘弁だけどね。
とは肩を震わせながらそっぽむいてるしさー。
なんだか最近、私の待遇が酷くない?待遇改善を要求するぞー。
「人の恋路を邪魔するボス達はゼブライカに蹴られて痺れちゃえ!
、笑い転げてる所悪いんだけどさ、そーいう事だから
今日は何が何でも定時上がりさせてもらうかんね。
余計な仕事増やしても放置プレイでバッくれるんだからね?」
「お前がそうやって誰かと会ったり、出かけたいなんて言うのは珍しいからな
わかった、今日は定時で帰っていいぞ。なんだったら午後から有給使うか?」
両ボスがに向かってなんだか文句を言ってるけど、
そんなのはまるっと無視して笑うとか、相変わらずのマイペースだよね。
「いや、それはいいや。どっちみち休みは近々取らせてもらうけどね。
もそのうち、アララギ博士の所に行くんでしょ?
その時一緒に行っていいかな?
シンオウにいる時にもらった図鑑のお礼、直接会って言いたいんだよね。」
「お前は…そういう事はちゃんとやらないと駄目だろう。
まぁ、俺はそんなに急がないが、お礼を言うなら早い方が良いな。」
「お、そろそろ動き出すのか?最初の手持ちはいつも通りだろうが
ミジュマルは凄ぇ可愛いぞ!俺のツタージャには負けるけどな!」
アララギ博士、ミジュマル、ツタージャでボス達はピンときたらしい。
うん、ちょっと前からはジム巡りしたいって言ってたもんね。
私の話なんてすっかり忘れて、に食いついたよ。助かった!
「、ジム巡りするの?でも、仕事しながらだったら大変。
ボク達協力するから、なんでも言って欲しい。」
「これは自分でやらなければ意味がないし、筋が通らないでしょう?
お気持ちだけ有り難く受け取っておきます。
イッシュもジム巡りとリーグ参加の規定は、他地方と変わらないんですか?」
「他地方の規定は存じませんが、イッシュでゲットしたポケモン使用で
その他の地方でゲットしたポケモンは使用不可となっております。
は既にこちらでポケモンをゲットされているのでございますか?」
やっぱり、規定はあるんだ。まぁ、それじゃないとつまんないよね。
ジム巡りか…今回は私は出来ないから育成の手伝いでもしようかな。
時間は誰にでも平等に流れるのは当たり前の事なんだけど、
出来ることなら…少しでもゆっくり進んで欲しいな。
「こっちのポケモンはまだゲットしてませんよ。
旅立ちのポケモンをゲットして、まずはそれからでしょう?
俺等は確かに他地方でリーグ制覇してますけれど、それとこれは別問題で
そういう部分はキチンとセオリー通りにやってますよ。」
「ボク、のそういう所って凄いと思う。
は?3人はジム巡りが趣味みたいだってが言ってたけど。」
「私はその予定は無いですね。リーグ制覇は無理ですから。
カミツレさんのジムでしたっけ?あそこは私には撃破できません。」
だってさ、ジェットコースターに何回も乗るってが言ってた。
それは私にはバトル以前に大きな障害っていうか撃破出来ない問題だし
駄目だ、想像しただけで具合が悪くなりそう。
「おや、ご存知…あるはずがございませんでしたね。
ライモンジムは今改修中でございまして、ジェットコースターでの挑戦は
既に廃止されているのでございますよ?」
おーっと、そうきましたか!でも、私はチャレンジするつもりは無いよ。
それぞれにコーヒーを手渡しながら、ポカブが可愛かったのを思い出した。
ちょっとグラグラと決心が揺れ動くけど、ここは我慢、ひたすら我慢。
「それだったらイケそう…いやいやダメです。
私はと違って、仕事しながらなんて無理なんですよ。
だからリーグ制覇を目指すなら、今の仕事を全部片付けちゃって
ここを辞めてからって感じになりますね。」
私は器用じゃないから、ジム巡りとかと仕事を両立はできない。
中途半端な事だけは絶対にしたくないからね。
との視線が痛いけど…うん、嘘は言ってない。
「ちょっと待って!ボクそんな話知らない。
はここを辞めちゃうつもりでいるの?ずっと仕事してくれないの?」
両ボスが呆然とした顔で私を見ている。ホントはこんな顔させたくない。
でも、言わなきゃなんない事でもあるなら、早い方がいいかもしれない。
実際に私自身、この仕事を引き受けたのを少し後悔してはいる。
イッシュにきたら、色々と動こうと思っていたから…でもそれができない。
それが凄くもどかしかったりするのも事実なんだよね。
それでも、ボス達と知り合えた事まで、後悔はしない…絶対にしない。
「今すぐじゃないですよ?でも、そのつもりで…辞めるつもりでいます。
勿論、辞めるからって半端な仕事はしないので安心してください。
それに、今の状況で私が抜けれる訳ないじゃないですか。
私がいなくなったら、管理課は部署として継続できなくなりますよ?」
その言葉を聞いて白ボスは納得してくれたみたいで安心した。
ホッとして、紅茶を一口飲んでいたら視線を感じてそっちを見れば
黒ボスが何も言わないで私を見ていた。
正直言って、黒ボスのこの視線は苦手だ。
一切の嘘偽りを許さないような、全てを見透かすようなグレーの瞳は
いつか、私の全てを暴いてしまいそうで怖い。
「黒ボス、そんな疑う様な目で見ちゃ嫌ですよー。
私の仕事に対する情熱は、ボス達のバトルにかける情熱と同じなんですから
やる事は全力でやらせてもらいます。過保護な親は子供に嫌われますよ?」
黒ボスから視線を外さないようにして、指をピッピの様に振って言えば
逆に視線を逸らされちゃった。これは何か考えてるんだろうな。
でも、後半部分の言葉を思い出したみたいで眉間に皺を寄せ始めた。
やばい、私また余計な事を言っちゃった?
「…貴女は…
いえ、仕事での姿勢は十分に存じております、心配は一切しておりません。
それよりも、誰が親でございますか!
私、貴女の様な破天荒な娘を持った覚えなどございませんよ!」
「えー、さっき私の事を育てた云々って言ってたじゃないですか
でも、黒ボスが子育てしたら過保護になりそうですよね。
ヤブクロンと一緒の所を見て確信しましたよ。
でもまぁ、可愛いからその気持ちは凄くわかりますけどー。
つーか、ポケモン達は全部可愛すぎて悶え死にしそうになりますよね。」
「えぇ、その気持ち良くわかりますとも!
全てのポケモンは素晴らしく、尚且つ愛すべき存在でございます!」
「うん、ボクもノボリと同じ気持ち!
ポケモンはすっごい。優しくて一途で可愛くて…全部大好き!」
うわーい、執務室のど真ん中でポケモン愛を叫んでるよ。
そして、私が地雷を踏んだ事も忘れてるっぽいよ、ラッキー!
それにしても、二人のポケモンへの愛情は凄いよね。
さっきに頼まれた時はめんどくさかったけど、気が変わった。
全力でパシリに甘んじてやろうじゃないの。
あーあ、結局はこうやってめんどくさい事に首を突っ込んじゃうし…
これは私自身が変わらないと変えられないのかもしんないなぁ。
すっかり冷め切った紅茶を飲む気になれなくて、紙コップをデスクに置く。
自分の周りで、もうこれ以上面倒事が起きない様にって祈るけどさ
神様ってドSだから絶対この祈りは通じないよね!