二章・東奔西走編
天衣無縫な挑戦者
マルチバトルを終わらせて、執務室に戻ったは良いんだけど…
ボク達は目の前の光景に一瞬何も言えなくなったんだ。
なんだか執務室から泣き声が聞こえて、ノボリと二人でびっくりして
ドアを開けたら、とが赤ちゃんを抱っこしてあやしていた。
はサーバーの所でなんだかゴソゴソやってるし、どう言う事?
「…ただ今戻りましたが、これはどういう状況でございましょうか?」
僕より早く我に返ったノボリが、との方に近づいて
抱っこされてる子供の方に近付いていった。
「両ボス、おかえりなさいですよー。
ちょっと子供を預かりまして、今はお腹を空かせて泣いてるんです。」
「ったく、久々の外出でひゃっほいとかいい加減にしやがれってんだ。
、ミルクは人肌に冷やせよ!腕の内側の柔らかい所で温度を計れ。」
「わーってる、出来たぞ。」
そう言って哺乳瓶を2本持ってとに渡した。
二人はそれぞれにミルクの温度を確かめてから赤ちゃんにあげだした。
三人とも、すごく慣れてると思うのはボクの気のせいじゃないよね?
「とてもよく似たお子様と言う事は、双子でございましょうか?」
子供が苦手なノボリが珍しく興味津々だ。
あ、そうか!赤ちゃんにだったら泣かれないもんね。
ノボリ仏頂面だから、迷子の子供の相手をしてもよく泣かれてた。
だから、子供が苦手になってるけど、嫌いじゃないんだよね。
「黒髪って事はカントー系?でも顔立ちがちょっと違うかも?
でも、可愛いねー!ほっぺたフニフニ!」
ボクも傍に近づいて、が抱っこしてる赤ちゃんのほっぺたを触った。
うわー、ホント可愛い、可愛い!
の方が先に飲ませ終わったみたいで、赤ちゃんの頭を背中に乗せて
トントンと軽くたたき出せば、ちっちゃなゲップが聞こえてきた。
続いてが同じ様にやってるけど、苦労してるっぽい。
「…、少々力が強すぎでは?私にやらせていただけませんか?」
ノボリの眼がキラキラしてて、別人だよ!
どーしたの?ってビックしてるボクを他所に、ノボリが赤ちゃんの背中を
軽く叩けば、ちっちゃなゲップが聞こえてきた。
「黒ボスは赤ん坊慣れしてるね、実は隠し子でもいるんじゃないのかい?」
「んなっ!!、冗談でもやめてくださいまし!
ただ、なんとなくこうした方が良いような気がしただけでございます!」
「黒ボス、赤ちゃんの耳元で叫ぶのは駄目ですよー。
そして、そろそろ呼び出しが来ると思うので頑張ってくださいねー。」
の言葉とほぼ同時に、インカムからシングルの待機要請が入る。
この赤ちゃん達の親がチャレンジしてるって事なのかな?
「もしや、この子達の親とは…様でございますか?
そう言えば、ギーマ様によく似ていらっしゃいますね。」
「あぁ、いきなりこっちに来たのは良いが、久しぶりの外出で
浮かれまくっちまって、子供を預けてバトルに挑戦してます。
あいつのネタパーティは強烈ですからね、油断大敵ですよ。」
「ねぇ、もマスターランクのトレーナーなの?」
そう言えば、とのトレーナーとしての話って聞いた事が無い。
でも、この3人の仲間なんだから普通のトレーナーじゃないんだろうな。
ノボリがバトルに向かうんで、赤ちゃんをボクに渡したけど、
ちっちゃすぎて、どーしていいのかわかんないってば!
いきなりで慌てたボクに笑いながらが傍に寄ってきた。
「白ボス慌てちゃ駄目ですよ。肘の上に頭を乗せて…反対の手を…うん
もう、首が据わってるから神経質にならなくても大丈夫ですから。
ちゃんはカントー、ジョウト、でチャンピオンには勝ってないけど
四天王は撃破してますよー。」
へぇ、それって結構凄い事だと思うんだけど。
そう言えば、ギーマさんがすっごいバトルをしてプロポーズしたんだっけ。
一番結婚しなさそうな人っぽかったから、マスコミが騒ぎ立ててたんだよね。
なんとか、赤ちゃんを抱っこする事に成功したボクは聞いてみた。
「ねぇねぇ、って結婚する時すっごいバトルしたんでしょ?
それってどういうバトルだったの?」
「あれは、バトルと言うよりもイカサマ以外の何物でもないと思うよ?
事実ギーマさんは、公式の手持ちじゃないド本気メンバーだったし。」
「惚れた女が子種は欲しいけど、本人はいらないって言えばキレるだろう?
尤も、ギーマさんの立場を考えての事だったから仕方がないんだがな。」
イカサマとか子種とか、どこから突っ込めばいいか悩むんだけど!
達と知り合ってから、ツッコミ所満載の人達が多くて今更って感じ?
いつの間にか眠っちゃった赤ちゃんを起こさない様にデスクに座って
モニターを操作してシングルトレインの映像を呼び込む。
あ、丁度バトルが始まったみたい…って、ノボリが固まってるよ!
ライブチャットで見た時と同じショートボブの可愛い感じのが
指示をだしてるのは…ゴンベ?いや、ゆびをふるって何?
「うわーい、地割れが当たるとか相変わらずの運の良さだよねー。
ノボリさん頑張れ、超頑張れ!」
うん、ゴンベのゆびをふるで地割れが来てダストダスは一撃で倒れた。
次のギギギアルがボルトチェンジを使って、の手持ちが変わったんだけど
今度はピンプクって、ふざけてるの?
でも、これでノボリの所まで来たんだから実力はあるって事なんだけど
なんだろ、すっごく納得しきれないっていうか困るかもしんない。
「白ボス、対戦しなくて良かったね。今回ののネタパーティは
べビィポケモンでゆびをふる縛りだからね。」
うわー、ホントにボクが対戦しなくて良かったかも。
これで負けたらしばらく立ち直れないよ。
そうしてるうちに、ノボリの手持ちは1体、相手のも…あ、1体だ。
ノボリ、すっごくバトルしずらそうだけど頑張ってるかもしんない。
そうだよね、色んな縛りパーティ見てきたけどこれはちょっとだよ。
「あー、流石はサブウェイマスターですね!
ノボリさんの勝利だけど、この絵面はどっちかって言うと弱い者虐め?」
モニターには残り1体のピィが倒れた所が映し出された。
の言う通りだよ!だってもノボリも倒れたピィを見て、
あーって顔してるもんね。ボクもそんな顔になっちゃうと思う。
きっとノボリは落ち込んでるだろうから、後で慰めようっと。
赤ちゃんの顔をよく見ると、ギーマさんにも似てるけど
にも似てるかもしんない。
どっちも食わせ者っぽい人が親の、この子達の将来が凄く怖いよ!
眠ってる顔は天使みたいに可愛いから、このままで育って欲しいとか
ボクが親ってワケじゃないのに思っちゃった。
「…ただ今戻りました…。」
「やほー!負けたけど楽しかったよーん!
噂のサブウェイマスターは、噂以上にイケメンでテンション上がりまくり!」
しばらくして、どんよりしてるノボリとスッキリしてるが入ってきた。
はそのままボクの腕の中で気持ちよさそうに眠ってる赤ちゃんを見て
一層笑顔になった。
「いやーん、イケメンに抱っこされたうちの子マジ天使!!
クダリさん、写メ撮らせてくださいねー。シキミちゃんに自慢するんだー!」
ボクが返事をする前にライブキャスターでしっかり撮られちゃったよ。
前から思ってたけど、っていつもテンション高いよね!
「ちゃん駄目だよ。フラッシュは子供に良くないんだからね。
でも、結構いい勝負だったんじゃない?お疲れー。」
、注意する所はそこだけじゃないと思うんだけど。
ずっとどんよりしてるノボリに同情する!だからお疲れって声をかけた。
「クダリ…私、勝利致しましたが罪悪感が半端ねぇ!でございます。
あの様なパーティの相手は金輪際、いたしたくありません。」
「うん、ノボリには悪いと思ったけど、ボクが対戦してなくて良かった。
そう思うくらい、ダメージの大きいバトルだったよね。ノボリ頑張った!」
眠った赤ちゃんを、お母さんのに渡してから
ノボリの肩を叩いて慰めたけど、効果はいまいちっぽい。
うん、その気持ち良くわかるけど、早く立ち直って欲しいな。
ボクの言葉を聞いてが頬っぺた膨らませてブーイングしはじめる。
こんな表情みてると、とてもお母さんには見えないよね。
「えー、これからダブルにチャレンジしようと思ってるんですけど?
よし!クダリさんが喜ぶような子達でチャレンジしよう、そうしよう!」
え?これからダブルもチャレンジするつもりでいたの?
いや、ちょっと待って、ボクが喜ぶような子達って意味がわかんない!
普通ならすっごく喜ぶ所なんだけど、今日は遠慮したい、すっごくしたい!
ノボリが頑張れって言ってきたけど、絶対、断固として阻止したいってば!