二章・東奔西走編 -上司と部下の答え合わせ-

二章・東奔西走編

上司と部下の答え合わせ



マメパト達の声で目が覚めてカーテンを開ければ外は快晴!

大きく伸びを一つして、ベッドから降りて身支度をする。



「みんな、おはよー!」



それぞれに合わせたポケモンフードを専用の皿に用意してから皆を出す。

食事をしてる様子を見ながら体調をチェックして、全員をひと撫でする。

今日も問題なく元気そうだから安心した!


洗面所に行って顔を洗ったり寝癖を直したりしてから出て

食事の終わった子達をボールに戻してから、リビングにある扉を開ける。



「お早うございます。今日は早起きできたのでございますね。」



「おはよー、ボクだってたまにはそう言う事ある。」



着替え終わったノボリがキッチンで朝食とお弁当の準備をしていた。

ボクも傍に置いてあったエプロンをつけて、キッチンに立つ。

其々に分担して作るからあっという間にできちゃった!

テーブルについて朝食と食後のコーヒーを飲み終われば、準備オッケー!



「一応多めには作りましたが、足りるでしょうか…」



「皆、結構食べるから心配なのはわかる。でもこれだけあれば十分!」



ホント、ノボリってば心配性。

ハッキリ言って、このお弁当の量は5人分には見えない。

逆に余るんじゃないかって方が心配なんだけどな。


ギアステに着いて、執務室の鍵を開けようとしたんだけど、もうあいてる?

が来てるのかと思ってドアを開けたんだけど

部屋の中は電気がついてなくて暗くなっていた。



「…ってば施錠を忘れるとか珍しい。」



「クダリ、少々お待ちくださいまし。」



ボクが電気を付けようとスイッチに伸ばした手を、ノボリが止めた。

なんだろ?ってノボリを見れば、足音を立てない様に静かに

応接セットのソファーへ近づく。

ボクもノボリの後に続いてソファーに近づいてみて、ビックリした。

仮眠用の毛布を被ったが、ネイティを抱っこしたまんま寝てる。

ちょっと待って、今日から突貫…つまり徹夜するっては聞いてる。

でも、昨日も泊まり込むなんて聞いてないよ!


一度ソファーから離れて、ボクとノボリはロッカーに入る。

休日でも、仕事は仕事。着替えるのは仕方ない。



「もしかして、は泊まったのかな?

でも、どーして?仕事で何かトラブルでもあったのかな?」



達の仕事については私はよく知らないので何とも…

しかし、あの様子ではかなり遅くに眠りについたのでは?」



バトルをするわけじゃないから、コートは着ないで帽子だけをかぶる。

クリーニングしたての手袋を装着してからロッカーを出てみたけど

は全然起きる気配がなくて、ボクはもう一度静かにの傍に近づいた。

うわー、結構まつ毛長いんだ。眠ってるとちょっと幼い感じ?

それにしても、ホントによく眠ってるよね。

起こすのも可哀想だから、もうちょっとだけ寝かせといてあげようっと。


ノボリがのデスクの前で書類を手にして眉間に皺をよせてるから

どうしたのかな?って覗き込んで驚いた。

これって、要望書の書式見本?こっちは企画案立件の書類見本っぽい。

プリントアウトされた用紙には細かく色々と補足みたいな感じで

箇条書きにされた文章がびっしりと書かれている。

デスクの上を見てみたら、いつも各部署から届けられる書類の書式見本が

いくつも置いてあって、それにも同じ様な感じでメモ書きが沢山してある。



「これって、全部昨日のうちにがやったって事?

保全管理課の報告書とか要望書って、既に書式が統一されてるのに。」



コソコソとノボリに聞けば、ノボリは何か考え込んでいた。

書類を一旦戻して、自分のデスクの未処理のボックスから書類を出すと

なんだか頷いているし。ボクにも教えてよって言おうとした時に

急に部屋の電気がついたから、ビックリしてドアの方を見れば

作業服姿のが同じ様にびっくりした顔をして立っていた。



「こんな暗がりで二人共何をしてるんです?っと、おはようございます。」



それでもちゃんと挨拶するのがらしいな。

うわ、今のでが起きちゃ…ってないし、どんだけ爆睡してるんだろ。

ノボリが人差し指を口に当てて見せるから、ボクが応接セットを指差す。

がソファーの上の毛布に気がついて、苦笑いしてた。



「やっぱり泊まり込んだのか…って、ボス達は今日は休みでは?

今は色々忙しいとは思いますが、休める時は休まないと駄目でしょう。」



がボク達を見て、何だかちょっと怖い顔をしてる。

あ、もしかして中途半端な書類整理の為に出てきたって思ってるのかな?

昨日の事はもう聞いてると思うから、それでちょっと怒ってるのかな?



「えぇ…重々理解してはおりますが、休み明けの朝礼後に

各部署の長を集めて、色々とご相談したい事が出来ましたので

その前に、準備をするつもりで出勤してきたのです。」



「うん、明日はちゃんと休む。

あのね、はどーして泊まり込んだの?

今日だってこれから徹夜なのに、はそれを許可したの?」



「やっぱり、ボス達はちゃんとわかったみたいですね。

俺はには、キリの良い所で帰れって言ったんですけどね。

どうせ、面倒になって泊まったんでしょう…って起きたか。」



ノボリと応接セットの方を見れば、こっちを見てると目があった。

寝乱れた髪の毛とか寝起きの表情が、さっきとは違って凄く大人っぽくて

ボクはちょっとドキドキしちゃった。



「おーい、目を開けたまま寝るのはやめろよ。

もう少しでダクト洗浄にとりかかるからな。その前に顔でも洗ってこい。」



が近づいて抱っこされてるネイティをひと撫でしてから

毛布を剥ぎ取れば、うーとか言いながらは伸びをして立ち上がった。



「いやー、このソファー寝心地良すぎだわ。って、もうそんな時間?!

うわわ、ゴメン!急いで顔洗ってくるから待っててね。」



そう言うとネイティを抱っこしたまま慌てて部屋を出て行った。

多分ボク達がいた事なんて、全然気がついてないんじゃないかな。



のやっていた書類は全部署の書式を統一する為でしょう?

しかし何故、彼女がそれをしなくてはならないのですか?」



うん、これはの仕事じゃない。それぞれの部署でする事のはず。



の言おうとした事を、理解してるという前提で話しますが

既に各部署のトップは、総務部長を筆頭にお二人の指示待ち状態です。

そうする様に部長に進言したのはあいつですからね。

その後で、ついでにって感じで書式の統一も提案したらしいですよ。

そうしたら、見本を出して欲しいと言われたらしいんです。」



がため息混じりに肩をすくめながら説明してくれた。

総務部長さんは保全管理課の書式をすごく評価してたっけ。

確かにに任せたら、すごい書式ができる。それは効率化にもなる。

それはギアステには凄く助かる事。なんだけど、なんだかなぁって感じ?



「全く…つくづく色々な意味で余計な事を言ってしまうのですね。

断る事も出来るのに、結局は引き受けてしまったのでしょう?

らしいといえばそれまでなんでしょうね。」



ノボリも苦笑いしてる。うん、貧乏くじひきまくりって感じ!

ボク達の事を散々甘いとか言ってるけど、も人の事言えないと思う。



お待たせ!って、両ボス?おはよーございますですが、なんで?

お二人共今日は休みですよね?もしかして…書類整理にきたんですか?

…貴方達はこんな事をいつまでするつもり「ちょっと待って!」って?」



部屋に入ってきてボク達を見てがビックリしてたけど、

目がスっと細まってから口調も変わっちゃったから、慌てて口を挟む。

だって、のド正論なんて昨日で十分、お腹いっぱい!



が昨日言ってくれた事は、ちゃんとわかった。

ボク達は休み明けで、各部署のトップの人に相談したい事があるから

その為に今ここにある書類を把握したくて出てきただけ。」



「えぇ、色々とお願いしたい事がございますので。

何度も同じ事を繰り返す私達を見て、貴女はさぞかし呆れたでしょう?

私達も自分の事ながら何をやってるのだと情けなくなりましたからね。」



ボク達の話を聞いて、凄く安心した様な顔をした後に

は、なんだか凄く深刻な顔になっちゃった。



「え?いやいやちょっと待って下さい。

正直言って、あんな事を私が言うこと自体がおかしいんですってば。

ホント、色々と生意気言っちゃってすみません。」



「ボク達そんな事気にしてない。むしろ嬉しかった。

あれはボク達の事を真剣に考えてくれてるからでしょ?

ボク達は最高責任者なんてしてるけど、だからって偉い訳じゃない。」



「えぇ、皆様が助けてくれるから、私達も頑張れるのです。

ですが、今まではお互いにおかしな方向での助け合いだったのです。

これからはもっと皆様を信じて、お互いに助け合いたいと思います。

貴女の言葉でそれがわかったのです。感謝していますよ?」



「…やっぱりお二人はトップとして相応しい方達ですね。

ボス達もそれがわかったのなら、私達をもっと沢山使わないと駄目ですよー。

ギアステの為なら、出来る事は全力でやらせていただきます。」



の言葉にも笑いながら頷いている。

良かった、ボク達の出した答えは間違いじゃなかったんだ。


効率重視とかが企業に必要なのはわかってるけど

ボク達は働く人達が、自分の職場を好きじゃなきゃ駄目だと思ってる。

そういう風に思ってもらえる様にするのは、トップのボク達の仕事。

勿論、ボク達だってすっごくギアステが大好きだよ!