二章・東奔西走編 -平社員、貧乏くじを引く-

二章・東奔西走編

平社員、貧乏くじを引く



がバトルトレインの助っ人に頑張ってるから

そっちのお手伝いの出来ない私は自分の仕事を頑張るしかないよね!



「失礼しまっす!ボス達、いろんな場所からの書類もらってきましたよー。

後、出来上がった書類があったら持っていきますんで、ヨロシク!!」



前にから私の役職はパシリで良いんじゃね?って言われたけど

今は確かにそうかもしんないね。パシリ?上等だよ!



ゴメン、この書類を広報の部長さんに渡して。

後、こっちの書類は人事でメモに担当の人が書いてるから、その人に。

それとこれは車両点検班の主任に渡して。」



「申し訳ありません。こちらの書類を総務部長に、

後は経理の方にこの書類とこの書類を其々担当の方にお願いします。」



最初は私をパシリに使うのに抵抗していた両ボスも、この状況で

自分が動くのにも限界があるし、部下にばかり動いてもらっても

仕事の流れが悪くなるのがわかったみたいで、観念したっぽい。


書類を受け取って、ざっと上っ面だけ見るだけなんだけど、無駄が多い。

この決済なんてわざわざ両ボスがする事じゃないでしょう。

こっちの指示出しだって、ほぼ向こうの要望をまんま承認してるんだから

全面的に任せたって良いと思うんだよね。

もっと人を使えと言っても、やっぱりそんな簡単にはできないか…。

これは仕事の効率アップしないとボス達の負担が大きすぎる。

いつか…いや近いうちにぶっ倒れるでしょうよ。



「んじゃ、サクッと行ってきます!あと他に何か各部署に伝言とかは?

6個までなら頭に入るんで受け付けますよー。」



「んじゃ、3つ使って!人事にトレーナーの募集要項の部分を変更しないって

広報に広告用の原稿に誤字が多すぎ!ちゃんと校生してって、

後は車両点検班に怪我人が出たみたいだから、安全作業を徹底してって!」



「私は経理の方に自主退職の方の退職金は規定日で構わない事と

こちらから勧告した方々の退職金の上乗せ分の金額を報告して欲しい事、

総務部長にはこの状況が落ち着くまで、謹慎は保留とお伝え下さいまし!」



ぴったり6個ですか!ってツッコミはやめておこう。

それでは!と各部署へひた走る。行き先は頭の上のネイティにお任せです。


各部署にそれぞれの書類やら伝言やら頼まれた事を終わらせて

最後の場所として総務部へ行く。

失礼しますと言ってドアを開ければそこは戦場でした。

うわーと呆けている私を見つけた総務部長さんが手招きしてるんで

足元にまで散乱してる書類を踏まない様に気をつけて傍に行く。



「ボスからの書類だろう?今はこんな状態だからね、私が預かろう。

他に伝言もあるのなら私が聞いておくが、それで構わないかね?」



「この状態見て、それ以外他の事をする程鬼畜じゃないですよ。

やっぱり、結構あちこちに支障が出てますよねー。どうすっかなぁ…」



書類を渡して、伝言はメモに担当者も指定して書き込んでおく。

ふと視線を感じたので顔を上げると、部長さんがじっと見つめていた。

わー、部長さんの瞳って綺麗なアンバーなんだ…いやいや、そうじゃなくて



「部長さん、何か私に言いたい事があるならスパッとお願いしますよ。

回りくどいのはこの状況ではお断りします。」



「いや、この状況を改善する方法を君は既に考えてるのだなと思ってね。

何か良い方法があるのだろう?話によっては協力の余地もあるんだがね。」



やっぱりこっちの考えてる事はお見通しか、流石最古参は伊達じゃない。

でも、私もまだ完全に状況を把握してないからなぁ…



「目下、頭の中で練り上げてる最中ですね。

色々と各部署のトップのご意見も聞かなきゃなんですけど、

問題は私の様な下っ端が、そこまでしゃしゃり出て良いのかって事です。」



「その点については私がフォローしよう。君の処理能力については

今までの書類を見ても素晴らしいからね。

後、ここから先はオフレコで頼みたいんだが…」



部長が声を顰めたので、なんじゃらほいと顔を寄せれば、コソコソ話し出す。



「ユノーヴァのボス達から連絡が来てね、いつもの近況報告だったんだが

現在のギアステの混乱状況を正直に話したんだよ。

彼等が休日にでもまた来てくれて、仕事を手伝ってくれればと思ってね。」



あー、確かにあっちのお二人は無駄とか一切省いて徹底的に効率重視だし。

この状況を見たら下手するとブチ切れるんじゃないんでしょうかねぇ…。



「そうしたら、エメットボスから君に相談して業務改善をしろと

彼は現在のユノーヴァの業務の効率化と改善を徹底的にやった人物だ。

そんな彼が君なら色々なものを効率的に出来ると言っているんだ。」



なんて事を言いやがるんですかエメットさんは!

部長がすっごく期待してるよ、逃げたくてもかげふみされてるよ!

もう…いつもこうなんだよね。気がつかなきゃ良いのに、余計な所も見て

そんで首を突っ込んじゃう…でも見てらんないのも事実だから仕方が無い。



「…部長さんはこの後お時間ってありますか?

私、これから自分の作業に入るまでの間、待ち時間があるんですよねー。」



「奇遇だね、私も今は全ての部署に指示を出し終えて時間があるんだよ。」



うわーい、すっごい偶然…な訳がないでしょう!

既に、やる気満々だって顔に書いてありますよ、凄い怖い笑顔ですよ。

もうヤケだ、こん畜生!徹底的にやってやろーじゃないの。



「了解しました。では一度ボス達の所に預かった書類を渡してきます。

総務の書類は…うわーい、テンコ盛りですね!預かります。

その後で、こちらの…そうですね、研修に使ったミーティングルームで

色々とお話なんかをさせて頂いても宜しいでしょうか?」



「あぁ、構わないよ。ではその様に手配をしておくから、すぐ来なさい。」



「了解しました!」



猛ダッシュで事務室に戻って、再び書類をボス達に渡す。

ボス達はこれからスーパーマルチの待機らしくて凄く晴れやかな顔してる。

確かに事務仕事ばかりじゃ、バトル狂には辛いもんね。

私は自分のデスクの引き出しから、書きかけだけど書類の束を取り出す。



「あれ、はどこかに行くの?」



「えぇ、ちょーっと職場デートでもしてきますよ。」



「…個人の恋愛に口を出すつもりはありませんが、弁えて下さいまし。」



「本気にしないで下さいよ、総務部長さんと色々と仕事の事で

対決という名のデートです。すっごいデートしてきますよー?」



そう言って、何か他にも言いたそうだった両ボスをまるっと無視して

部屋を出て、とんぼ返りで総務部へ戻る。

ミーティングルームに入れば、総務部長さんが既に待機していた。



「お待たせしました、早速色々な問題点についてお話を聞きたいんですよ。

部長さん、総務内で結構ですが、各部署の処理能力は把握してますよね?」



「勿論、全ての部署の処理能力、個人の能力も把握しているつもりだよ」



それなら話が早い。私は無地のコピー用紙を使って色々な項目を書き上げ

それぞれでのボス達の仕事での対処の仕方を書き込む。



「この件についてなんですけど、現在ボス達はそちらからの書類を見て、

そのまま了承してサインする形をとってます。このやり方を変えませんか?

どっちみち、これをやりましたって書類もボスに渡るんですから

全部終わった後に報告書としての形式に変えて提出すればと思うんです。」



「確かに二度手間でしかないね。ふむ、これは検討してみよう。」



「検討じゃ駄目です。むしろ総務の担当部署からボスへ話してください。

そして、了承させてください。出来ない部署、職員達じゃないでしょう?」



検討だなんだと言ってたら時間の無駄だって言うの。

こういう事は効率あげる為にしてるから、決めるのに時間かけちゃ駄目。



「後は、こちらの項目についてもそうですね。

この決済はボス達じゃないと無理なんですか?そんな事ないでしょう?

この位の決済できないなら、給料泥棒でしょう。

そんな部下を部長さんが育ててる訳もないでしょう?ボス達に頼りすぎです。

ボス達が全てに関わりたいと言ってるのかもしれませんが、無理です。

その辺のラインをキッチリしておかないと駄目だと思いませんか?」



私が話終わったあとも部長さんは黙ったまま何か考えていた。

私の言ってる事は間違ってはいないはず。書類を届けたり預かったりして

その職場の人達の動きを見てたけど、皆それなりのスキルは持ってる。

でも、ボス達に頼りきってる感が否めない。宝の持ち腐れでしょうが。



「私の管轄している総務だけでもこれだけ無駄があるのなら、

他の部署でも同じ様な感じなのだろう?

これは早急に改善しなくては、ボス達の負担が大きすぎるね。」



「えぇ、今は特に人がいない状態で大変だとは思いますが、

だからこそ、お互いをフォローし合って一致団結して欲しいです。

そうする事で個々のスキルもアップするでしょうし、仕事に対する自覚も

より明確になるでしょう。いいチャンスでもあると思うんですよ。」



「了解した。この件は私の方で各部署に持ちかける事にしよう。

だがね、私達がボスに言うのは簡単だが、それもどうかと思わないかね?」



やっぱりそうきましたか。部長さんは、ボス達が部下を頼らないのなら

結局は同じだと言いたいんですよね。それもわかりますよ。



「ボスの方は私がお話してみましょうかね。

元々、余りにも抱え込みすぎてる状態なんで、私も課長も主任も

ボス達にもうちょっと視野を広げろと思ってたんで、丁度良いです。

その後でボス達が部長さん達にアクションを起こしてくれれば良いし

何もしないで意地になるようだったら、この話はこれでやめます。」



「それも随分と手厳しいね。」



部長さんが驚いているけど、当たり前だと思うんだけどな。

二人はあくまでも上司なんだし、上に立つ人間はその位出来なきゃでしょ?



「できないって言うなら、その程度の人間だって事なんです。

そんな人間に周りであれこれ言ったって、それこそ時間の無駄です。

まぁ、あのボス達に限ってそうはならないと思いますけどね。」



「私が指導した人物で、彼等以上にここのトップに相応しい人間はいない。

それが私の、いやギアステ職員全員が思っている事で答えになるだろう。」



「奇遇ですね、私もそう思いますよ。」



お互いに笑い合って、私は書類を片付けた。

そろそろ自分の仕事に戻らなくちゃならないから、この話はこれで終了。



「近日中にボス達が各部署のトップを呼び出す事を期待してて下さい。

では、私は自分の仕事に戻ります。各部署へはお願いしますね。」



「その件は任せたまえ、白ボスじゃないが、すっごい改善をしよう。」



やだ、部長さんてば結構お茶目なんだから!思わず吹き出しちゃったよ。

そのまま一礼してから部屋を出る。


さて、自分の仕事もさる事ながらこの件についてはどうしようかな…

一応たちにも相談してみましょうかね。

あの二人がどんな反応をするかなんて、大体は想像がつくけど

私はパシリだから、上司の判断ってやつ?を仰いでみましょうか。