-一章・共闘!ギアステ大掃除編:そして貫き通すもの-

一章・共闘!ギアステ大掃除編

そして貫き通すもの



執務室に戻る途中に構内にバトルトレイン運行再開の放送が流れた。

トウヤとトウコは今日こそ勝つ!なんて言ってたから

きっと、すぐにでもボク達の待機要請もくると思う。


達もワークウェアに着替えて今日の予定を確認しながら

何か色々と仕事の話をしている。

今までずっと気持ちがモヤモヤしてた原因が無くなって

すごくスッキリしてる。そしてそれはこれからずっとなんだって

そう思ったら自然と口元が上がるのが自分でもわかった。


が突然心配そうな顔をしたから、

どうしたのかなって思って、その視線の方向をみたら

インゴとエメットがノボリの所で、なんだか難しい顔をしてる。

ノボリも手にした書類をみて、思いっきり眉間に皺を寄せてる。



「ノボリ、すっごく怖い顔してる。その書類なに?」



声をかけるのも怖い位の雰囲気だったけど、頑張って聞いてみた。

そしたら、ノボリは怖い顔のままボクに持ってた書類を見せた。

なんだろと思って見てみたら、それは総務部長さんからの書類で

びっしりと名前と所属が書いてあって、その横に訓告とか依願とかって

文字がかかれてある。



「今回の件で表には出ておりませんでしたが、明らかに怪しい

もしくは、完全に黒と判定された方の名簿らしいのです。

横に予想される処分を書いてありますでしょう?

そして、その横にはチェック欄も設けられていて、全て印があります。」



「ちょっと待って、訓告とか依願とかって辞めさせる前提の処分。

これを総務部長さんが全部やったって事?」



確かに、そういう人達が残ってるのは後々また同じ事をしそうで

不安要素になるから、辞めて欲しいとは思ってた。

だけど、そんな事したら仕事が上手く回らないのも確か。

それをわかっててこういう事するって、どうして?



「元々、人事関連はジェイクの管轄ダカラネ。

これからの事、色々考レバこの処分は妥当と言えば妥当ダヨ。」



「オマエ達、ジェイクの行動が何を意味スルカ理解デキマスカ?」



別の書類には個別に処置に至った経過と結果について書いてあった。

パワハラが大多数だったけど、他の規約違反もかなりあって

これは、その処分が妥当だって思うしかない。

だけど、こんな一方的なやり方は、ボクは好きにはなれないし

多分ノボリもそう思ってる。だから怖い顔をしてたんだ。


これじゃ相手が可哀想だ。そう思って書類から顔を上げたら

達と目があった。いつもの優しい顔じゃない、仕事の時の顔をしてる。

それはこれからどうするのかって

バトルの時のチャレンジャーがボク達を探り合う時の顔と同じ。



「早速私達を試すとか…本当にあの方は容赦がございませんね。

ですが、私達は以前とは違うのだと実証する良い機会でもあるのでしょう?

そういう事での彼の働きだとすれば、この書類も理解できます。」



ため息をつきながらノボリは額に手を当てて首を振る。

そうだ、可哀想って言うのはボク個人が思ってる事なんだ。

これは、企業のトップとしての是否を聞いてるんだから意味が無い。



『我々には我々の掟があります。

それは何があっても守らねばならないものです。

そうしなければ、組織の秩序が乱れてしまいますからね』



の友達だって言ってたマフィアの人の言葉を思い出した。

それはギアステでも同じ。ルールーを守らなくちゃ安全運転は出来ない。



「ボク達が守るのはギアステとギアステで一緒に仕事をする仲間達。

お客さんだけじゃなく、職員全員がスマイルにならなきゃ意味が無い。」



「私達はサブウェイマスター、ここのトップでございます。

ルールを守らず秩序を乱す様な事を許すわけにはまいりません。

個人の感情は、この場合はなんの意味も持たないのでございましょう?」



ボク達はこれからどうしなくちゃいけないかって、もうわかってる。

だけど、それでも、もっと違うやり方はないのかな?

バトルだって、負けたら勝つまで頑張れば良い。

それってバトル以外でも同じ事なんじゃないのかな?



ボク達が黙ったのを見て、インゴは首を振るし、エメットは肩をすくめる。

これじゃ前と変わんない。同じ事を繰り返すだけだって思ってるんでしょ?

だけど、やり直すチャンスだってあげたい。

どうしよう…そうするにはボク達で何ができるんだろう。



「こちら施設設備保全管理課のです。総務部長、いらっしゃいましたら

事務室まできていただけませんか?よろしくお願いします。」



突然インカムから流れた、の言葉にびっくりしていたら、

達は苦笑いをしながらボク達を見てた。

やっぱり呆れられちゃったのかな、幻滅、失望されちゃった?



「ボス達ー、学習能力が無いですよ。いっそ学習装置持ちますか?

私は、前にボス達になんて言いましたか?忘れたとは言わせませんよ。」



それって、がノボリに言われてる事でしょ!って思ったけど

そうだった、自分で動けない時はどうするかって方法があった!

あーもう、ホントにボク達も学習装置持った方がいいかもしんない。



「失礼するよ、何の用か聞くのはにではないのだろう?

さて、ボス達は私に何を聞きたい、何をさせたいのかな?」



部長さんもやっぱり苦笑いしてる。でも、ボク達は自分を貫きたい。



「あのね、部長さんがくれた書類の事。処分についてはそれでも良い。

でも、何かこの人達にもう一度チャンスをあげるって事は無理?」



「これらの件で反省されてない方は問題外でございますが、

少しでも、仕事をしていてギアステを好きであったと

他の職員の方々と共に良い仕事をされようとした方がいるのなら

私達はもう一度、共に仕事をしたいと思っております。

それは、貴方の目からみて可能でございましょうか?」



しばらく黙った後で部長さんは持っていたファイルを出した。

そこには、さっきの人達からもらっただろう退職届とそれ以外に

何かの書類の束が挟まれている。



「今までに受け付けた退職届がこれだ。これらの人物は百害あって一利も無い。

当然の処分と言えるだろう。しかし、こちらの書類を見てもらえるかね。」



辞表とは別にあった書類を受け取って目を通せば、反省文付きの嘆願書だった。

自分のやった事を謝って、これからは頑張るとか、今まではそうだったけど、

これからは真面目にやりますとか、そんな感じの文章が書かれてある。



「部長、これらの方を処分を和らげて対応する事は可能でしょうか?」



「ノボリ待って、部長さんに聞きたい事がある。

この人達のこの嘆願を部長さんはどう思う?どうするつもり?

この書類は本物だって思える?文章だけ、口先だけならボクはいらない。」



ノボリはその文章をみて、この人達を辞めさせたくないって思ってる。

元々ノボリは凄く優しい。だから簡単に許して、裏切られて傷つくんだ。

だからボクが守らなきゃダメ。もう誰も傷つけたくない。



「ふむ…さっきの言葉は嘘では無かったようだね。

二人共多少なりともトップとして成長したらしい、喜ばしい事だ。

その書類を提出した人物の過去の言動、勤務態度については

徹底して調べさせてもらったよ。

以前、厨房に元探偵の職員がいると言っていただろう?

彼に頼んで、身辺を調査してもらった。書類の右端を見て欲しい。」



部長さんに言われて書類を見ると、右端に赤と青のチェックがついてる。



「赤のチェックについては問題外だ。これから面談する予定だが

はっきり言って、その時間さえ無駄だよ。

そして、青のチェックについては考え直す余地が無いわけでは無い。

勤務態度的にも問題は処置を取る程でも無いし、何名かについては

同僚が私の元に来て、私の判断が不当だと抗議に来た者もいる。

彼等には再調査をすると言って置いてはあるが、その必要もないだろう。」



やっぱりちゃんと確認して良かった。

どうせ部長さんの事だから、この先どうするかなんてもう考えてるはず。

でも、それを言わせるつもりはボクには無いよ。



「部長さん、この青チェックの人達の調査した報告書?書類は?

それを見せて欲しい。赤チェックの人達は部長さんに一任する。

だけど、他の人達はその書類を見てからボク達で決める。」



「えぇ、この様な重い役割を負担させて申し訳ありませんでした。

ご苦労様でございました。この先は私達が引き継ぎます。」



ボク達の言葉に部長さんが凄く優しい顔して微笑んだ。



「トップとしての重責は計り知れないものだ。だが、忘れないで欲しい

いつでも、私達がいるのだと。ボス達の力に成り得る人物が沢山いるのだよ?

これからもこの様に部下を上手く使いたまえ。」



後から書類を持ってくると言って、部長さんは戻っていった。

なんだかすごく疲れたなって思ったら、エメットがコーヒーをくれた。

インゴもノボリに同じ様にコーヒーを手渡している。



「結局、二人共優し過ぎるんダヨネ。デモキミ達らしいヨ。」



「ナニがあっても、信念を貫く姿勢は素晴らしいデスガ、

何にデモでは馬鹿のやる事でゴザイマス。エゴにならぬ様にシナサイ。」



そうだね、二人の言う通りかもしんない。ボク達は今まで意地になってた。

それは意志を貫いてたんじゃない。エゴだったんだよね。

ボク達が頷くのを見て、全員が満足そうに頷いた。


サブウェイマスターってだけじゃない、ギアステのトップとしての

自覚って言うのか、そういう意味がやっとわかった気がする。

部長さんが言った様に、成長したんだって自分でも思えて嬉しい。

そんな事を考えていたら、インカムからスーパーマルチの待機要請がきた。

ボク達は残りのコーヒーを一気に飲み干して、準備を始める。



「もう、そこまで来てるとか、トウヤ君達も張り切ってますねー。

ボス達、うかうかしてると負けちゃうかもしれませんよ?」



「そう簡単に敗北するつもりは毛頭ございません。」



「うん、すっごいバトルしてくる!」



ボク達がそう言ってドアを開ければ、後ろから応援の声が聞こえた。

それがバトルにだけじゃない応援に聞こたのは気のせいじゃないと思う。




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──その後の執務室にて──



「アノ名簿はがジェイクに渡したのデショウ?」



「そうだよ、あの部長ならその先は勝手に動くでしょう?」



「ジェイクが処分を覆すトカ、今までダッタラ有り得ないんダケド。」



「あ、それは私が提案しましたよー。甘すぎるかなとも思ったんですが

どーせ、ボス達がウジウジと悩むのなんて目に見えてましたしね。

そしたらやっぱりでしょー?まぁ、そこがボス達らしいんですけどね。

部長さんも予想してたみたいで苦笑いしてたし。」



「いやー、でもこれで部長が辞める必要もなくなって、ひと安心したぞ。」



「「…ドウ言う事(でゴザイマスカ)?」」



「これだけの人数を処分するんだ、当然上にも責任問題が発生するよね?」



「全部を部長さん一人でやりきって、責任取るつもりだったらしいですよ?」



「おう、総務部行って部長と話してた時にたまたま退職届を見つけたんだよ

どう言う意味ですかって問い詰めたら、渋々白状したんでな。

逃げるなんて許しませんよって目の前でその辞表を破り捨ててやったぞ?」



「Wow!のソノ笑顔が凄く怖いヨ!怖すぎダヨ!!」



「Bravo!ヤハリ、オマエ達は面白いデスネ。

ワタクシ達も、これで安心してユノーヴァへ帰れマス。」



「今からですか?ボス達に挨拶とかしなくても良いんですか?」



「最近のアレ等はワタクシ達に感謝シタリ、謝罪シタリと

非常に気持ちが悪いのでゴザイマス。あの雰囲気は勘弁して欲しいデス。」



「全くソノ通りダヨネ!ソレってツンデレって言うんデショ?

ボク達は前と変わらないノニ、勝手に勘違いして困るんダヨ。」



「ナノデ、コレで失礼シマス。アレ等に宜しくお伝え下サイ。」



「ボク達、君達に会えて楽しかったヨ。それじゃ、Good Bye!」



「気をつけてな…って、行ったか。しかし、随分慌ただしかったな。」



「だな、あいつらが言ってたツンデレは使い方ちげぇよ。」



「うんうん、むしろボス達じゃなくてあっちの方がさー」



「「「ツンデレ(じゃねぇか)(だよな)(でしょうが)!」」」