一章・共闘!ギアステ大掃除編
阿鼻叫喚の巷に立つ
本来なら3人で片付ける予定だった雑魚どもを、気がつけば増えに増えて
7人なんて倍以上の人数で、あっという間に片付けちまった。
足りねぇ…全然っ、暴れ足りねぇ。
最近ちょいと頭使う事だけだったから、久々に身体が動かせると思ってたが
結果は準備運動にもなりやがらねぇとかやめてくれ。
俺達以外立っている人影の無い廃材置き場には、多くのうめき声が
地を這うように聞こえている。
ざっと見た感じでは過剰防衛にひっかかるような怪我をしてる奴もいない。
俺はこの連中のアタマの傍に寄ってしゃがみこんだ。
「てめぇは、喧嘩をする相手を間違えたんだ。
その無能さを悔やみながら臭い飯でも存分に食ってこいよ。
色々他の罪状ネタもあるからな、そう簡単に出れると思うなよ。」
「てめぇ…俺等をこんな目に合わせて、タダで済むと思うなよ。
俺等はマフィアだ、他のファミリーが黙っているワケが無い。」
すっかり怯え切った汚い面だが、まだ歯向かう気があるとはな。
「えーそれって、最初からずっとここに隠れてる人達でしょう?
挟み撃ちとか焦ったけど、全然動く気配もないし正直不気味なのよ。
えっと、いい加減に出てきてくれませんか?」
の声に廃材置き場の奥からざっと10人ほどの人影が現れる。
その中心には俺が電話で話してた人物の姿もあるわけで
つまり、俺等のやる事全部黙って見てたってワケか。
「マイケル、高みの見物とは随分良いご身分だな。
こいつがお前に助けて欲しいらしいが、てめぇはどうするんだ?」
俺の言葉に上司とその従兄弟達が素早く臨戦態勢に入る。
今日初めてこいつらのリアルバトルを見せてもらったが、いいね。
無駄な動きが無いし、従兄弟組はかなり場馴れしてやがる。
上司達もそこそこ実践を踏んでる様だがその域には到達してねぇ。
まぁ、基礎がしっかりしてるし度胸もあるから伸びしろは十分にある。
性根は擦れてねぇのに、こういう荒事も平気でこなせるんだからな。
「何もする気はねぇよ。ただ、馬鹿な弟分の最後を見に来ただけだ。
ジョージ、お前は俺の友人の妹分に手を出したんだよ。
元より、俺はそんな下衆な稼ぎをしろと教えた事はないんだがな…
そこのレディの言う通り、お前に誇りや流儀を口にする資格は無い。
そんな連中は俺の弟分でもなんでもない。ただのクズだ。」
ジョージと呼ばれた下っ端のアタマは絶望を貼り付けた瞳で呆然とする。
だから言っただろ?喧嘩をする相手を間違えたってな。
マイケルがゆっくりとの方へ近づいた。
それを見た上司と従兄弟達がかばう為に動くのを、俺とで止める。
「4人とも、マイケルは正真正銘の生粋のマフィアだ。
下衆な行いは奴の美学に反するらしいから、黙って見てろ。」
俺の言葉に困惑した表情を四人は浮かべていたが、ゆっくりと頷いた。
「レディ、妹分と言われるだけあって貴女はと同じで誇り高い。
そして、揺るがない信念とそれを貫き通す姿勢はとても美しかったです。
この度は私の家族…いえ、元家族が大変ご迷惑をおかけしました。」
そう言ってマイケルはにゆっくりと頭を下げた。
こいつが頭をさげるなんざ、明日は雪でも降るんじゃねぇのか?!
「たった一度の過ちで、家族と呼んでいた人達を切り捨てるんですか?
それが貴方のやり方?もう一度チャンスを与えないんですか?」
「優しい方ですね。ですが、我々には我々の掟があります。
それは何があっても守らねばならないものです。
そうしなければ、組織の秩序が乱れてしまいますからね。
ジョージはその掟の数々を守らなかったのです。それも何度もね。
本来なら死を持って償わなければならない程の罪なのです。」
驚いたが何かを言おうとするのをマイケルは手で制す。
「今回は貴女達もなにか目的がある様ですから、やめます。
ですから存分に利用してかまいません。
後、今後貴女を…の友人達に何かをする様な事は
私の名にかけて、させません。
何かお困りな事があればどうぞご連絡ください。
我らがファミリーの全員が貴女達に協力する事をお約束します。」
そう言っての手に、自分の連絡先の書いたメモを渡して
今度は俺の方に近づいてから、ニヤリと笑った。
「そういうわけだ。イッシュでお前達に手を出すバカはもういねぇ。
いい友人を持ってるな。流石は俺のダチだ。」
「てめぇがダチじゃなくても俺の仲間は最高なんだよ。
そろそろこっちにお前の大嫌いな連中が来る頃だ。
叩けばホコリが出る身体なんだから、さっさと行け。
俺はダチにまで臭い飯を食わせる気はねぇからな。」
俺とマイケルはハイタッチしてから握手を交わした。
ゴチルゼルに通路を開けさせるとマイケル達はイッシュの街中に
紛れるようにして帰っていった。
それを見て、がその場に座り込んだ。
「あの人がの友達でマジで良かったよ。
あそこにいた人達、絶対半端なく強いよ。相手しなくて助かったぁ。
どうやってボス達逃がそうかって、凄く考えちゃったんだからね!
とが絶対私を守ってくれるって信じてたけど、怖かった!
こういう事は、私にもちゃんと事前に教えてよ!」
俺とが両脇からの腕を掴んで立ち上がらせる。
ホント、こいつはマジで良くやりやがったよ。
「色々と裏工作してたら、てめぇにも秘密で動いた方が良くなったんだよ。
安心しろ、これでお前を危険な目に合わせる必要はもう無い。
ノボリとクダリの周りのドロドロしたモンは一掃できたんだ。
主犯格も身柄は確保してあるって、連絡もさっきもらった。」
「これで全部終わったんだ、お疲れさんだったな。
お前が色々と背負い込んでくれなかったら、こうはいかなかっただろう。
色々と辛い目に合わせて悪かったが、もう大丈夫だからな。
これでやっと、ゆっくり仕事に専念できるってもんだ。」
俺達はお互いに顔を見合わせて笑った。
向こうがロクに考えもしねぇで動いてくれたおかげで
こっちも少しばかり強引だったり、急遽予定を変更しても
叩き潰すだけの余裕があったのは何より良かった。
振り返れば上司とその従兄弟達がこっちを見て同じ様に笑っている。
俺達はそれぞれに親指を立ててそれに答えた。
「、、…貴方達のお蔭でずっと解決できなかった問題が
こうして片付ける事ができました。有難うございました。
これからは同様な事はもう起きませんし起こりません。」
「皆、色々と迷惑かけてごめんなさい。そしてありがとう。
ボク達はもう前のボク達と違う。
本当に守るって事、大切な物を無くさないにはどうすれば良いかって事
全部わかった。大丈夫、もう迷わないし躊躇わない。」
両ボスがサングラスを外して胸ポケットにしまった。
その顔はスッキリして色々と吹っ切れたんだなって思えた。
優しさと甘さは違うんだ。この二人には良い経験になったろうさ。
その後ろではインゴとエメットがただ頷いている。
もしこいつらが二人と同じ立場だったなら、俺達の出番は無かっただろう。
従兄弟達には随分と優しい、いや、懐に入れた奴には優しいんだろう。
それ以外はどうなろうが関係なく徹底的にやり込める。
そんな線引きがしっかりできているのは単に年上ってだけじゃなさそうだ。
「失礼します、こちらで乱闘が起きていると通報がありまして
この状況についてお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?」
背後から聞き慣れた声がして振り返れば、が立っていた。
つーか、来るのが遅ぇんだよ。
仕事モードのこいつに合わせて俺達も口調を改める。
「構いませんよ。先日襲われて被害届を出すために警察に向かっていた
友人が再度襲われたんです。今回のも含めて被害届を出させてもらうので
そのまま警察でお話をしてもよろしいでしょうか?」
の言葉にが頷くと、傍にいた他の警官が一斉に
未だに地面と仲良くなってる連中をしょっぴいて行く。
「ここから向こうの通りに薬莢とか銃弾とかが散らばってると思うので
全ての回収を警察の方にお願いします。
使用された拳銃や武器はあそこの…ネイティのいるコンテナの中にあるので
それで銃との照合が出来ると思いますから、そちらもお願いします。」
相変わらずのやる事には無駄がねぇよな。
俺もそこまでは考えなかったが、これで連中の罪状が更に増えたって事だ。
周囲の警察官がそれぞれの仕事に散らばった後で、
一人その場に残ったが、こっそりと俺達に耳打ちした。
「それにしても、相変わらずいい腕してるよな!
この分だと過剰防衛にもならねーだろうし?何も問題ないと思うぜ。」
「ったりめぇだろ。俺が全部計画したんだ、問題があってたまるか。」
俺の言葉に今度は笑い出してるし…
遅れてきてなにしてやがるって後で説教かましてやるからな。
「のその自信も相変わらずだよなー。
そっちの四人には悪ィけどさ、この場にいたって事で話を聞かせてくれよ
別に、これがおおっぴらになるわけじゃないから安心していいぜ。
ただ、めんどくせー書類を作るのに必要になるだけだからな。」
一応立場的に色々と不味い四人だが、この事件が表沙汰になる事は無い。
めんどくせぇから一緒に行って事情徴収してもらうとするか。
「駄目だよ!ボス達は仕事「良いのですよ、行きましょう。」…え?」
の言葉をノボリがぶち切った。
その返事を聞いた後では先に行ってると警察署に戻って行き。
クダリが可笑しそうにして、にウィンクをしている。
「ボク達がここに来る事は、バトル職員には言ってある。
向こうは皆が頑張ってくれてるから、全然オッケー!
だからキチンと全部終わらせる。」
「部下に迷惑かけちゃ駄目ですよ!
ただでさえ、ボス達の仕事の負担を減らそうと頑張ってるのに
もっと皆さんを労わってあげて下さい。」
「は以前私達に言ったではありませんか。
『自分で動けない時は人を頼るのも有りなんですよ。』と。
ですからその言葉の通りにしたまででございます。
むしろ皆さん、やっと頼りにしてくれたかと逆に喜んでおられました。」
ノボリがニヤリと笑いながら言うのを聞いてが肩を落とす。
あの連中がどれだけ二人を敬愛して尊敬しているかなんざ
わかりきった事じゃねぇか。
「も、諦めろ。職員のボス好きはわかりきってるだろう?
今出来る事は、さっさと事情徴収を終わらせる事だろうし。
その後は多分時間も時間だから、皆で昼飯でも食いに行くとするか?」
「ホントはと二人きりが良かったケド、そっちも楽しそうダネ!」
「のお勧めの店がドノ様なモノなのか、楽しみでゴザイマス。」
の提案にエメットもインゴも、他の面子も反対なんかしねぇ。
完全勝利を祝って一番高いものを奢ってもらうか。
警察官達が忙しなく動いている横を、悠々とした足取りで俺達は歩き出した。