一章・共闘!ギアステ大掃除編
バトルじゃありません
大きな音を立てて開かれたドアに驚いて見れば、ボイラー責任者の方が
息を切らせて入ってまいりました。
「、こんな所で何のんびりとしてやがる!
お前ン所のお嬢が馬鹿な女どもにどっかに連れてかれたぞ!!」
昨日の今日とか信じられません!クダリがモニターを操作して
映像からを探し始めました。
「これ変だ!防犯カメラの一部が映像送信しないようにされてる!]
クダリがモニター画面を見ながら叫びました。
そういう所は用意周到とかどういうつもりなのでしょう。
ですが、これで関係者はそちらにもいる事がわかりました。
「安全管理課に連絡致します。至急全防犯カメラをチェックして
止められてる場所の映像を流すように!大至急調整してくださいまし!
課長は映像を止めた人物を確定して執務室へいらしてくださいまし。」
あぁ、がどの様な事になってるのか非常に心配でございます!
なのに、もも全く慌てた様子がございません。
それどころかボイラー責任者の方にコーヒーをお出ししております。
「お前さん、自分の部下が危ないって時になに呑気にしてんだ!」
えぇ、管理人の方のお怒りは正しいと思います。
「あぁ、心配させてすんません。でもあいつなら大丈夫ですよ。
おーい、。今どこにいるんだ?」
インカムに短い電子音が鳴った後にの声が聞こえました。
これはこのインカム専用の通信に切り替わったのでございますね。
しばらくして、爆音と共にからの返答がありました。
『喧嘩売られたんで買ってる最中だよー。
んとね、職員用のバトルフィールドで、ただ今無差別格闘中でっす!
ルカリオ、そっちに波動弾であっちに発勁よろしく!』
「バトルですって?!それはトウコ様がおっしゃられておりました
多数で襲いかかるものではないのですか?」
私もインカムを操作してと通話します。
遠くの方で何人かの声が一斉に手持ち達に指示する声が聞こえます。
『黒ボス、ビンゴです! それでトウコちゃんと連絡とれますか?
顔の確認して欲しいんですよね。
ムウマ、そっちに怪しい光ねー。ルカリオはハピナスに癒しの波動。』
やはりビンゴでございましたか…って、そうではございません!
ライブキャスターからトウコ様のアドレスを出してボタンを押します。
『ノボリさんから連絡なんてめずらしいですね!
今スーパーマルチのホームにいますから待っててくださいよ!』
後ろにはスーパーマルチのトレインが写っております。
あぁ、ご乗車される前で良かった!
「ご乗車はお待ちになっていただけませんか?
ただ今がバトルをしているのですが、どうも先日に
トウコ様がおっしゃってた相手ではないかと…
申し訳ありませんが、大至急、執務室までいらして頂けないでしょうか?」
私の言葉驚かれた様ですが、すぐに頷かれますと通話を切りました。
あの勢いでしたら、すぐにこちらにいらっしゃるでしょう。
「ノボリ映像復旧した!見つけた!!」
クダリの声に部屋にいた全員がモニターへ視線を向けました。
バトルフィールドでは頭の上にネイティを乗せたと
彼女の手持ちのハピナス、ルカリオ、ムウマが映し出され、
それぞれがの指示のもとバトル中でございました。
「なにコレ!こんなのバトルじゃない!!」
クダリがデスクに自分の手を叩きつけて叫びました。
の相手は4人、フィールドに出ているポケモンは…
8体!? いくらなんでも多勢に無勢でございます!
「シンゲン執務室まで来て!!後、ラムセスとクラウド!
二人も一緒に来て、大至急!!」
バトルトレーナーの管轄者を呼び出した後、クダリはモニターを操作して
画像の拡大を始めました。相手の顔がハッキリと映し出されます。
「ノボリさん!さんはどこですか?ってなにコレー!!
ちょ、さん危ないじゃないですか!場所教えてください!」
「トウコ様、は貴女様に相手の確認をして欲しいとしか
言っておりません。それにこれは私達が手を出す必要は無いかと…」
えぇ、数では圧倒的に不利であるはずなのに、バトルを有利に進め
流れを掴んでいるのは間違いなくでございます。
「ボス、3人トモ キマシタケド…コレハ バトルデスカ?喧嘩デスカ?」
「正規のバトルじゃないのさ、姿が見えないから予感はあったけど
これだけはっきり映ってたら言い訳しようがないのさ。」
「4対8とかマジか!ちゅうか、なんでは手持ち全部出さんのや!」
シンゲン、ラムセス、クラウドも到着してモニターをみて呆然としております
えぇ、しないほうがおかしいと思います。
「!なにのんびりしてんのや!部下のピンチやで!」
「クラウドよく見ろ、どこがピンチだって?
バトルを動かしてるのは向こうじゃない、だ。むしろ遊んでるぞ?」
画面に映るを見れば、映像で見たあの威圧感のある表情で
なおかつ口元には笑みすら浮かべております。
その姿はどこまでも誇り高く、高潔で見るものを魅了する様な…
これがシンオウのチャンピオン代理、そしてマスターランクの方の
実力なのでしょうか…あぁ、この様な状態でではなく
本当のバトルを是非とも見てみたい、戦ってみたい!
そう思ったのは、私だけでは無い様ですね。
クダリ、シンゲン、ラムセス、クラウド…そしてトウヤ様とトウコ様
バトルをする者であればそう思わずにはいられないでしょう。
「1体倒れた!あ、あっちでも倒れてる…なんで?!」
画面にはあちらの手持ちが2体戦闘不能になっておりました。
残すは6体ですが、そのどれもが体力的に限界が近い様に見えます。
「のハピナスはどくどく持ちだからね。特性も天の恵みだし。」
「オマケに特防、HPがハンパじゃないからな。
ボス達、そろそろ終わりそうだから大掃除にいきましょうか?」
とが席を立ちモニターの前に移動します。
「安全管理課の課長の対応は俺がしておくので、皆さんどうぞ。」
「りょーかい、スッキリきれいにしてくる!皆、行こう。」
クダリが職員と、トウヤ様、トウコ様を連れて先に部屋を出ました。
ボイラー管理人の方は安心された様で持ち場に帰ると言って戻られます。
私も帽子を被り、コートを来てフィールドへ急ぎました。
フィールドについて中に入った時には相手の手持ちは1体のみ
対するの手持ちはどれもそれ程ダメージは見受けられません。
「こんな事、あるはずない、あるはずない…あるはずない!
オノノクス、げきり「ネイティ、めんどくさいからテレキネシス」嘘?!」
信じられない指示を出したトレーナが指示を言い終わる前に
のネイティが動きました。
相手の手持ちが宙に浮き、は対戦していたトレーナー達へと
ゆっくりと近づいていきました。
その表情はバトル中と変わらず、相手は怯えている様子でございます。
「これ以上、ポケモンに非道な事をするような事はやめなさい。
わからないの?あなた達が指示を出すたびにこの子達が戸惑ってた。
自分の大好きなパートナーがどうしてこんな事をするの?させるの?って
ポケモンはトレーナーの指示には余程でない限り逆らえない。
だからパートナーであるトレーナーはポケモン達に対して
誠意ある態度を取らなければいけない。それを忘れることは許されない。」
が戦闘不能になっても彼女たちを守ろうと必死になっている
ポケモン達を右手で優しく撫でました。
彼らにはすでに戦意は見られません。ですがトレーナーである彼女達は
依然としてへの敵意をむき出しにしております。
急にの後ろにいた一人のトレーナーがへ向かい走り出しました。
その手には光る物が見え…まさかナイフ?!
そう思った瞬間、私はの元へ走り出していました。
もそれを確認したのでしょう、臨戦態勢に入りましたが
私のほうが早く、相手のナイフを持った手をつかみ捻り上げました。
ギャー!というおぞましい悲鳴など、聞きたくもございません!
「黒ボス、危ないですよ!私なら大丈夫なのに。あと力入れすぎです。
そのまま締め上げると関節はずれますから!」
こういう時まで人の心配するなど、どこまでお人好しでございますか!
には後程キッチリと申し上げるといたしましょう。
「ずっと言っておりましたでしょう?貴女をお守りしますと。
この位は私にさせてくださいまし。無茶をしすぎでございます!」
えぇ、少しでも貴女の負担を減らしたいのです。
私達の為にあえて囮になる様な真似をさせてしまっているのを
何程心苦しく思っているか、貴女は知らないのでしょうね。
「君達、もうどうしようもない。覚悟はできてるよね?
トウコ、見覚えのある顔ってある?」
「そっちの二人には以前とーってもお世話になりましたよ?
正直言って、お礼をしたいんですけど、今この状態でやるなんて
空気を読まない真似はしません。さっさと片付けちゃって下さい。」
クダリの問いにトウコ様が嫌悪感を隠さずおっしゃられます。
いつも快活な方にこの様なドロドロした場面は見せたくはありませんでした。
恐らくそれはも同じだったのでしょうね。
「シンゲン、トレーナー部門の統括部長のご意見は?」
「ソンナ決マリキッタ事ヲ 聞カナイデクダサイ。
トレーナーノ資格モナイヨウナ人ハ ギアステニハ不要デス。」
シンゲンの答えにラムセスもクラウドも頷きます。
これで彼女達の処分は決定いたしました。
「貴女達はギアステの誇りを汚したその責任を噛み締めてくださいまし。」
私の言葉に全員が泣き出しましたがその様な涙すら見たくもございません。
シンゲン達は彼女達を引き連れて部署へと戻っていきました。
「さん、怪我は?!!無茶しすぎです!だから心配だったんですよ!」
「そーです!私の分もちょっとは残しておいて欲しかったです!
でも、無事で良かった!ノボリさんグッジョブです!!」
トウコ様が私に向かって親指を立てられました。いつもならそれに
お応えするのですが、流石に今はその様な気分にはなれませんね。
「さてと、私は仕事の残りを片付けてきますので失礼しますね。
トウヤ君とトウコちゃんもこの後チャレンジするんでしょ?」
だけがいつもと変わらず先程までの雰囲気を一変させて
笑いながらお二人に話しかけます。
なぜはこれ程までに危険な場面に慣れているのでしょうか?
私はそれが気になって仕方がありません。
「勿論です!でももう仕事とかホントに大丈夫なんですか?
俺、なんにも出来ないけど、心配です。」
「ありがとね、それだけでも勇気をもらえるよ。
私は大丈夫だから、二人とも、気を引き締めて頑張ってね。」
の笑顔に安心したのかお二人も私達にチャレンジするべく
受付へと戻っていかれました。
「両ボス、この子達を回復させる場所ってここにはありますか?
早く疲れを取ってあげたいんですけど。」
「回復装置はある。これから先も必要になるかもしんないから案内する。」
が右手で自分のポケモン達を撫でながら聞いてきましたので
クダリが答え、の手を取ろうとした時にがその前に立ちました。
「ボールに戻せ、俺が代わりに行ってくる。、の手当頼む。」
「おう、このバカ野郎が。こう言うのを自傷行為っつーんだぞ!」
の声に私達が驚いているとがの手首を掴みあげました。
安全管理課の方への対応が終わり、こちらにいらしてたのですね。
掴まれたの左手は血で赤く染まっておりました。
「!あなたそれは…!あぁ、その様に暴れないでくださいまし。
なんですかこの掌は!爪が食い込んで深く傷ついてるではありませんか!」
彼女の掌には爪痕が付き、その皮膚が裂けて未だに出血しております。
どれだけの力で握り締めたらこの様な傷が出来るのか想像すらつきません。
「黒ボス、説教は後で二人でキッチリする事にして、今は手当が先かな?
おっと、逃げようとするなんざ、いい度胸だなおい」
がの手を握る力を強めると、諦めたのか大人しくなられました。
「えーっと、仕事の続きに行きたいんだけどなぁ…なんて思ったり?」
…諦めてはいらっしゃらないようでございますね。
私達の怒りを知ってて尚、この期に及んでいい度胸でございます。
「その様な事をおっしゃるのでしたら…よろしいでしょう。
執務室までの道を、私が抱き上げてお連れして差し上げましょうか?」
「ゴメンナサイ、スミマセン。もそこで抱き上げようとしない!」
えぇ、この際には反省の意味も込めて
多少の羞恥プレイも有りではないでしょうか、有りでございましょうとも。
「、構いません、ヤッチマイナー!でございます。」
「問答無用だ、うりゃっと! おし黒ボス準備オッケーですよ。」
がを荷物のように担ぎ上げます…いえ、もう何も言いますまい。
「了解いたしました。目指すは説教部屋という執務室でございます。」
「「出発進行!」」
がの肩の上で何か言っておりますが、
私もも全く聞く耳を持っておりませんし、持つつもりもございません。
あしからずでございます!