一章・孤軍奮闘編
大掃除の計画とその準備
バトルの呼び出しがこない限り、ボク達は殆ど執務室に篭る。
ノボリと2人の時は時々煮詰まってよく逃げ出しちゃったけど
今はそんな事しないよ?だってすっごく楽しいんだ!
書類から目を離せば、前の方のデスクでがパソコンに向かっていて
とが書類を手になにか話している。
誰かと一緒に仕事をするのって、久しぶりかもしんない。
ボク達がサブウェイマスターになってからは、初めてかな?
「よし、ちょっと総務部長の所に行って おいうち かけてくる。」
がプリントアウトされた書類の確認をしてから席を立った。
昨日の書類の量もビックリしたけど、今日の量もすごくない?
もも書類作るのすっごく早いよね。
「おう、ついでにの必要書類もらってきてくれ。
後、あんまり追い詰めないように。しっぺがえし 喰らうぞ?」
が笑いながらをハイタッチして見送る。
隣でもファイトーなんて言って笑ってる。こういう関係って良いよね。
ホントはここにのデスクも置くつもりだったんだけど、
達から、大掃除が終わってからにしますって言われて
のデスクは材料置き場に入れてある。
昼ご飯を食べながら、例の大掃除の内容を聞いてびっくりした。
ノボリとボクはの負担が大きすぎるからって反対したけど、
そうでもしないと尻尾が掴めないからって言われて納得…する事にした。
準備オッケー、後は向こうが行動を起こすのを待つだけ。
「ただ今戻りました。先程総務部へ寄りましたら、が部長と
再バトルしておりましたよ?私恐ろしくて、すぐ出てきてしまいました。」
うわぁ、なんとなく想像できるかも。
でも、一番最初に部長さんに喧嘩をふっかけたのは実はノボリなんだよね。
あの時はコテンパンにやられて、ノボリ、すっごく悔しがったの覚えてる。
「おかえりー、トレーナーの皆の反応はどうだった?」
ボクは席を立って、コーヒーサーバーに向かいながらノボリに聞いてみた。
ノボリ、ギアステ大掃除計画を鉄道員のトレーナーの皆に説明に行ってた。
大体の答えっていうか、反応はわかってるんだけど、一応ね?
「全面的にサポートすると言って頂けましたよ。
何か起こればすぐに私達に連絡が入るようになっております。ただ…」
ボク達の視線がノボリに集中する。
ノボリは少し言いにくそうしてから、口を開いた。
「デスクはやはりこちらにした方が良いだろうと言う事でございます。
仕事に必要なデーター類を改ざん、破損される可能性もあるだろうからと。」
「確かに、今までの前科みたら予想できる。うん、デスク移動しとこ?」
「それじゃ、私は先に行って移動の準備しておきますね。」
が執務室を出るのと同時にが入ってきた。
入口で今の説明をしてから出て行った彼女を見送ってから
ノボリがの傍に近づいていった。
「、トレーナーの方々はの安全を危惧しております。
あちらのやり方は陰惨で壮絶なのです。本当に大丈夫なのですか?」
うん、正直言って被害にあった人達の何人かは心が壊れた。
その度にボク達は全職員の前でその人達にも通じるようにって
一生懸命やめてってお願いしたけど、効果は全くなかった。
逆にやり方がもっと陰湿でひどいものになっちゃったんだ。
だから、話の通じる人達じゃないから、ボクもそれが心配。
「…確かに、俺やでできる事だったらとっくにやってます。
むしろ即効で叩き潰してます。それは無理だからに頼みました。
彼女は、恐らくされた事については真っ向から立ち向かうでしょう。
問題はその後の事であって、俺ももそっちを心配してます。
万が一、向こうが例え口先だけの謝罪であっても反省の色を見せれば
は許してしまう。でもそういう連中は結局、同じ事をする。
むしろそっちの方が彼女には堪えるんです。
何度裏切られても、それでも、もしかしたらと思って許してしまう。
とんだ甘ちゃんですが、はそう言う奴だから。
そのループだけは絶対避けたい。の傷を抉る真似はさせない。」
が難しい顔をして空になった紙コップを握りつぶした。
ノボリが何か言いたそうにしてたけど、結局言わなかった。
ボクもなんで?って聞きたかったけど、とてもじゃないけど
聞けるような雰囲気じゃなかった。
「大丈夫、あいつはそんな事では心を折りません。折らせません。
どっちみち、ここで仕事をする以上はターゲットロックオンだし
それを利用して大掃除をしようってだけの話ですから。
ボス達はラスボスらしく構えててください。」
がそう言ってノボリの肩を叩いた。
がデスク移動行ってくると言ったから、ボクもついていく。
「白ボス、仕事はいいのかい?後で泣いても助けないからね。」
「大丈夫!あの位の量すぐ終わるから。たまには部屋から出ないと
お尻に根っこが生えちゃう!」
一般の通路から奥にある職員以外立ち入り禁止区域にある場所に向かう。
が材料置き場のドアの前で何人かの女子職員と何か話してた。
嘘でしょ、もう戦闘開始なの?慌てて傍に行こうとした僕の肩を
が掴んで曲がり角に身を潜めた。達の話し声が小さいけど聞こえる。
「えー、そんなに人気があるんですか?
あ、もしかして皆さんも憧れちゃったりしてるとか?やっぱり?」
がすっごくのんびりした口調で笑ってる。
女子職員たちがそれについて何か言ってきてるけど、険悪な雰囲気では
今はないみたい。これは様子見って感じなのかな?
「でも、イッシュの人達って皆さん大人っぽくて素敵ですよねー
もうね、種族値から違うよって感じですよ。
あ、そうだ!どうせだったら会う機会作りましょうか?
私、これからこの荷物を持って執務室に移動なんですけど、
一緒に持っていったら会えますよ?後は皆さん頑張って下さいね。」
ちょっと待ってー!何ボク達をダシにして手伝わせようとしてるのさ!
その笑顔すっごく怖い、女の人ってやっぱり怖いよ怖い!
隣のをみれば、笑いを堪えるのに必死になってるし!
いいよもう、ダシにでもなんでもなってあげるよ!
「ー、と一緒にデスク移動の手伝いにきた!
あれ、もう他の人達と仲良くなってるの?
皆、こっちは新しい部署で働く。今日シンオウから来たばかり
色々とわからない事とか教えて仲良くしてあげてね?」
うわー、わざとらしい。でもニッコリスマイル付きで言ったら
キャーとかいう言葉の後に、はぁい!なんて媚まくってる返事が来る。
がそんな子達に向かって、早速ラッキーでしたねなんて言って
ニコニコしてるし、これってホントに仲良くなってるのかな?
沢山のお供つきで執務室に戻ってきたら、ノボリが固まっちゃった。
うん、ボクもその気持ちすっごくよくわかるけど、さっさと戻ってきて。
部屋に残っていたと、を改めてその子達に紹介した。
とは今まで見た事ない甘い笑顔で宜しくお願いしますって
握手しながら名前とか聞いちゃってるし。
横でがこの2人は節操なしだから気をつけた方が良いですよ
なんて言って女の子達に耳打ちして笑ってるし。
ボク達はこんな態度取れないよ!それだけ3人が大人って事なのかな?
無理やり貼り付けたスマイルも引きつっちゃいそうなんだけど!
デスクの配置とかやってる間にその子達は色々とボク達に話してくる。
でも、いつもの様に適当にあしらって放置する。
全部終わったあとにたちがその子達にお礼を言ってたから
ボク達も取ってつけたようにご苦労さまとだけ言っておいた。
それだけでキャーとか言われるとか、正直やめて欲しいな。
が何かあったらまた来てくださいねって言って見送った。
いや、疲れるから、もう来ないで欲しいんだけど。
「取り敢えずは様子見の先発部隊って感じかな?」
がドアをしめて振り返りながらつぶやいた。
それにしても、こっちの女の人って綺麗ですよねなんて言ってるけど
ボクはそう思った事一度もないんだよね。中身は綺麗じゃないもん。
「首謀者はあそこにはいないっぽかったな。しっかしまだ正式に
職員にもなってないのに行動が早いな。情報元は総務辺りか?」
がパソコンのセッティングをしながら女子職員の名前をあげる。
ちょっと待って、もうそんな把握までしてるの?!
ノボリがに何かされませんでしたか?と聞いてるけど
に逆に荷物持ち頼みましたよって笑いながら言われて
ちょっとホッとしたみたい。
「先発部隊や実行部隊になりそうなのは受付、景品交換、
後は鉄道員じゃないトレーナーと常連のチャレンジャーだね。」
がパソコンのテンキーをすごい速さで叩いて書類の数字を
埋めながら、ボクに数字が間違ってるからやり直しって言ってる。
えー、すっごく頑張ったのに、確認してみたら一段ずつずれてた。
原本のデーターを呼び出して修正してから渡した。
「でも、できれば穏便に済ませたいからこっちに戦意は無いって
ノボリさんにもクダリさんにも…じゃなくて両ボスには興味ないって
意思表示はしてみたから、後は私の肩書きをフルに使いましょうかね」
「元シンオウチャンピオン代理ってのはバトル関係でけしかけてくる
連中には良いブレーキ材料になるだろうしな。
腕ずく、力技で来る奴にはリアルバトルを見せればいいだろうから
休み時間とかと組手の練習とかすればいいだろう。」
うわー、準備万端いつでも全速前進オッケーとか怖いかもしんない。
横でノボリを見てみればリアルバトルでしたら私もお相手いたします!
とか言ってるし、バトル馬鹿なのはボクもだけどやめて欲しいな。
「あとはキャリアだけど、設備管理なんて女の人には想像つかないだろうから
他の書類面とか企画で見せつければいいさ。
明日のオリエンテーションと新人教育の時のネタは仕込んでるよね?」
「うん、文章の要約はさっきに教えてもらってバッチリ!
後は施設の問題点はちょっと気がついた事があるからそれを取り上げて見る。」
がデスクから書類のコピーを取り出してに見せてる。
もしかして、も部長さんとバトルするつもりなのかな?
とがの話を聞いて頷いてお互いにハイタッチしてるから
なんだろ、負ける気がしないんだけど!
っていうか、保全課職員全員がダークライ撃破とか伝説になりそう。
「クダリ、私部長を応援したくなったのですが間違っているでしょうか?」
「ううん、ボクも部長さん頑張れ!超頑張れ!!って思った。」
でもきっと部長さんは、負けてもいつも通り笑うんだ。
だって、仕事の出来る人大好きだもん。
あの人にしごかれた人達は今じゃギアステの中堅でバリバリ仕事してる。
皆ここが好きで仕事に誇りを持ってる人ばかり。
だからそんな人達の為にも、ここをもっと素敵な場所にしたい。
さっきの女子職員とのやり取り見てて、は大丈夫だって思った。
なんだろ、すっごくそういう事に慣れてる?あしらい方が凄く上手!
ボクとノボリはここイッシュのバトルサブウェイで
はシンオウのチャンピオン代理としてだけど
お互いに一番上に立って人を使ってるから周りを見る目が同じ。
むしろ、ボク達なんかよりもずっと冷静に状況把握してるかも。
ボクもノボリもずっとできなかった事。
でも、達が来たからどんな形にでも変えられる様な気がする。
きっとギアステの大掃除は大成功する。うん、すっごくワクワクしてきた!