-序章・上司予定の二人の暗躍-

序章

上司予定の二人の暗躍



「いやー、食った食った!味も量も大満足。どうも御馳走さん!」


 
ご飯食べて、執務室に戻ってきてが笑う。ウン、ボクも大満足!

レストランで沢山お話した。はすっごいトレーナーだった!

マスターランクのトレーナーなんて殆ど見たこと無いよ無い。

トレーナーカード見せてもらったらゴールドでまたビックリ!

カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウって制覇したけど、殿堂入りは

辞退したんだって、なんで?って聞いたら肩書き増えると色々面倒って。

それはあるよね?でも旅をしたわけじゃなく、仕事しながらとか凄い!

後ね、の友達の事も話してくれた、今は離れてるけど皆凄く強いんだって!

ボク会ってみたいな、バトルしてみたいな。



「ボクも美味しいご飯食べれてラッキー!」



「私もです。こちらこそ楽しい一時を有難うございました。」




ノボリが笑ってる!すっごく楽しそうにしてるの珍しい。

大抵いつも仏頂面、特に初対面の人だと更に仏頂面!だけど今日は違った。

ご飯の時も今も表情が柔らかい、後ね、口調がいつもの堅苦しいのと違う。

ご飯食べ終わってから、がライブキャスター欲しいって言うから

近くのショップに寄ったけど、そこでもノボリ、色々に話しかけてた。

この機種が使いやすいとか、こっちはいろんな機能がついてるとか

ショップの人そっちのけでに教えてた。

そして色々見てたけど、ノボリのおススメの機種に落ち着いたみたい。

黒を買ったのを見てノボリ嬉しそうだった。白もいいよって勧めたけど、

仕事の時も使うから、汚れが目立つのはダメなんだって…ちょっと残念。



買ってからが持ってたヤツ…ポケッチ?ポケギア??その中のデーターを

移し替えてたんだけど、その時にボクとノボリのアドレスも入れてくれた。

ボクが友達になってって言ったら、こちらこそって頭撫でられた。

ノボリが慌てて 私とも友達になってくださいまし!なんて言ってたの見て、

と二人で笑っちゃった。

後ね口調も堅苦しい感じから砕けた感じに変わってて、それがなんだかホントに

友達になったんだなぁって思えて嬉しかった。

歳を聞いたらボク達より上とか信じらんない!カントー系の人って若く見える。

でも、なんだかお兄ちゃんみたい、ボクの我儘も笑って聞いてくれるような

そんな感じのノボリより上の頼れるお兄ちゃん!ってのがシックリくる。

仕事上、ボク達頼られることの方が多いから何だか新鮮でくすぐったい。



執務室でコーヒー飲みながら、あのエビのカクテルが美味しかったとか

ハマグリのリングイネが珍しかったとか3人で話してたらノックが聞こえて

整備班の主任が色々持って入ってきた。

に作業服渡すと、着替えたいって言うから隣の仮眠室にノボリが案内した。

ちょっと待ったら着替え終わったが出てきて、ボク驚いた。

だってね、顔つきが変わってる。さっきまでの柔らかい雰囲気から

キリッとした感じ?これがの仕事モードなのかな?ちょっとカッコイイな。



早目に修繕用の材料が届いてたみたいで、が腰袋に色々道具を入れながら

主任から説明を聞いてる。ボクとノボリはそっちの話は全然わかんなかった。

なんか色々と聞いたことのない単語出まくりで、カミツレじゃないけど

違う意味でクラクラしちゃいそうだった。



でも、の作業服姿すっごくカッコイイ!バトルサブウェイの作業員専用の

オレンジに黒と白のラインが入ったツナギが似合ってる。

髪の毛を纏める感じで、もらったタオルで頭を覆ってるのがキマってる!

主任との話が落ち着いたみたいでがボク達の方を見た。



「んじゃ、これからサクッと片付けてくるな。終わったらこっちに来て

報告するって感じでいいよな?二人共」



「えぇ、構いません。ではよろしくお願いしますね。」



「美味い飯を食わせてもらったんでしっかり働かせてもらうぜ?」



グローブをつけて、ニヤリと笑った顔が頼もしいなって思った。



「すっごい仕事、期待してるよ?」



「おう、任せとけ!」



ボクとハイタッチしては主任の後に続いて執務室から出て行った。

ノボリがクスッと笑ったのが聞こえてちょっとビックリしてそっちを見た。



「…様、なんとも楽しくて不思議な雰囲気の方ですよね。 

私、初対面の方が苦手ですが、彼とはなんというか…最初から気を使わずに

普通にお話する事ができて自分でも驚いてしまいました。」



ノボリの口元が少し上がってる。これはノボリの機嫌がホントに良い時の顔。



「ボクもびっくりした。後ね、ボクの話にも全部ちゃんと答えてくれた。」



「貴方のマシンガントークは初めての方だとドン引きされるのですが、

確かにそんな素振りすら見せませんでしたねぇ…。」



「ノボリ酷い!」



ちょっとは自覚してたけど、そんなキッパリとドン引きとかボクでも傷つく!

ムッとしてノボリを睨んだけど効果はなかったっぽい。



「事実でしょう?あの懐の広さは私も見習いたいものです。」



書類入力の作業を再開しながらノボリが感心したみたいに呟いた。

懐の広いってどんなのかよくわかんないけど、が一緒だと仕事も楽しそう。



「ねぇ、ノボリ。このままここで働かないかな?」



うん、一緒に仕事したいな。そしてバトルもしてみたいな。

マスタークラスの人とのバトルなんて考えただけでもワクワクする。

そんな人と友達になれたなんて幸せ。だからもっともっと一緒にいたいな。



「クダリ、手が留守になっておりますよ。きちんと仕事はして下さいまし。

でも、確かに様と一緒に仕事をすれば毎日楽しそうですねぇ。」



ノボリに軽く睨まれたから慌てて書類入力をする。ノボリの黒い眼差しは

ボクには効果バツグンだ!



、仕事しながら暫くイッシュにいるつもりだって言ってた。

でも、こっちに来たばかりで仕事決まってない。住む所も決まってない。」



ボクは席を立って後ろの鍵付きの戸棚から色々と雇用及び契約規約とか書いた

書類が入った持ち出し厳禁と書かれたファイルを出してノボリに持っていった。



「正式な社員にするには公正に募集かけて色々試験とか必要になるけど、

ここ見て、請負業者との契約なら面倒な試験とかいらない。

正規な契約だったら社員寮とかも使える。待遇も正職員と変わんない。」



「ふむ…何より決定権が,私達の一存でも問題ないと言うのも好都合ですね。」



ページを捲りながらノボリが賛成してくれる。よしもうひと押しかな?

交渉とかに関してだったらボクの方が上手、ノボリに負けない。



更に追い討ちかける!書類の山からいくつか束を持ってきてノボリの前に置く。

施設の改修と補修に関する物だけど、こうして見ると結構あるからビックリ。



「各部署からの改修、補修なんかの要望と嘆願の書類だけでもこれだけある。

これ全部外注するとすっごい費用がかさむ。そんな無駄な経費無い。」



「…これだけの箇所ですと、確かに結構な金額になりますね。

確か様は色々と資格をお持ちになっておられましたよね?」



食事の時に色々聞いた話の中での仕事の話も出て、そこで

建築設備の仕事を主にやってたって聞いた。ボク達が知ってる資格の他に

聞いたこともない様な名称の資格も持ってた。シンオウにいた頃は、

人を使って仕事もしてたから資格は絶対必要だったんだって。



「うん、これ全部多分がいれば何とかなると思う。も仕事につけるし

ボク達も助かる、どっちもハッピーでラッキー!」



「確かに、様に引き受けて頂けるなら、こちらの利にもなりますね。

それにしても、相変わらず貴方の立ち回りはブラボーで素早いですね。

それを少しは書類にも向けて頂ければもっと素晴らしいのですが。」



ノボリが書類を閉じて頷く。交渉成功!後はゲットに出発進行すればいい。

後ねノボリ、人には向き不向きってあるんだから、ボクに書類処理の効率を

求めるの、もう諦めて欲しいな?



が戻ってきたら早速交渉してみる。すっごい勧誘始める!」



「私も助力は惜しみません。様ゲットに向けてひた走って下さいまし!」



書類の入力をノボリに任せて、との契約に必要な書類を作り始める。

はお金とかにはあんまり興味なさそうだから(それってどうなのって思う

ボクは間違ってないはず!)色々と他の福利厚生とか盛り沢山に詰め込んでみる。



なら大丈夫だと思うけど、寮生活って苦手な人もいるから、

住宅費の一部負担割合とかも規約書にそって盛り込んでみようっと。



後は、食事かな?

結構グルメっぽい、ギアステーションの食堂は他の会社からもランチとか

休憩とかに来る人がいる位充実してるから問題ないと思うけど、食費の補助も

しっかり盛り込んじゃおうっと!



、契約してくれるといいな。ううん、絶対契約してもらう!


ノボリが珍しいポケモンを見つけた時みたいな顔してこっち見てるけど、

そんなの構ってなんかいられないもんね!










…クダリがバトル以外でこうも真剣になる事は非常に珍しいですね。

彼は人あたりは良いのですが、ある一定以上関わるという事は稀でございます。

言い方は問題ありましょうが、広く浅くの付き合いしかしようとしないのです。

勿論その事を気づかせる様な事なく立ち回りますので、私以外で気付く人は

いないでしょうから何も問題が無いと言えばそれまでなのですが。



兄としては以前から少し…いえ、かなり気にはなっておりました。

しかし、人に言われてどうにかなる問題でもないので静観してましたけど。



まぁ…斯く言う私もお世辞にも人付き合いが良いとは言えませんが、様とは

畏まったり、構えたりせず、クダリに対する時と同じように自然に話したり

接したりする事ができます。これは正直自分でも驚いておりました。

様の持つ人徳とでもいう物でしょうか?そう考えると妙に納得できます。



私共はサブウェイマスターとしてだけでなく、バトルサブウェイの管理者として

様々な人と関わって参りましたが、様の様な方は初めてでございます。

容姿は確かにこのイッシュでは珍しいのですが、それ以上に纏う雰囲気が

他の方とは違うのです。それは彼がマスタークラスのトレーナーだからなのか、

それ以外の何かなのかはこの短い付き合いの中ではわかりません。

しかし彼がいれば何か自分たちに新しい風が吹く…例えるなら強いトレーナーを

待っている時の様な高揚感がある事は確かでございます。



クダリの交渉術は恐らく、ここ、ギアステーションではトップクラスですので

様が契約を断る心配は不要でしょう…契約書にもぬかりはないでしょうし。

ならば私のする事は、挑戦者が来るまでの間ひたすら書類入力をして片付けて

様の交渉の時に後方で援護が出来る様にするだけでございます。

クダリの交渉に負けないブラボーな援護ができる様、ひた走りましょうとも!