2014 Halloween 企画
悪魔が来たりてバトルする 2
いつも通りトウコと二人でギアステに通いつめてたある日
受付のお姉さんがそれぞれに黒に白のフチ取りの封筒をくれた。
「魔界への招待状?…」
「トウヤこの日付見てよ、これってハロウィンのイベントじゃない?」
中に入っていたのは招待状っぽい紙で日付が10月31日…
確かにハロウィンだけど、なんだか色々他にも書いてあった。
「えっと、ギアステーションが魔界になろうとしている。
タイムリミットは10月31日…この日、あなたは勇者になって
悪魔に取り憑かれたサブウェイマスターを助け出して欲しい。
途中、行く手を阻む悪魔が登場するが撃破して命のかけらを集めると
魔界のアイテム等が手に入るだろう…うわー、面白そうだな。」
「いつもの仮装も目の保養になって良かったけど、こっちも面白そうだよね!
魔界ってのがハロウィンのイベントにピッタリだし、悪魔とか強そうだし?
勇者とか格好良いし、これは参加するっきゃないでしょ!!」
招待状には当日変更になるルールみたいなのも書かれていて
スーパーとノーマルどっちでも参加が出来るってのが親切だよな。
イベントに参加しない人にはちゃんとBPくれるみたいだけど
命のかけら?の交換表をみると絶対こっちの方がお得になってる。
だけど、エントランスやホームを見渡してもいつもの風景で
こんだけ大掛かりなイベントなのに告知のポスターも貼ってなくて
それが逆にこの招待状が特別な感じになってる気がする。
いつも通りチャレンジしてノボリさん達にイベントの事を聞いたんだけど
「はて、その様なお話は私達は存じませんが…お二人はどこでそれを?」
「え?招待状をもらった?ちょっと見せて…ちっ、小賢しい人間どもめ…」
「「クダリさんっ?!」」
いつもどおりの二人だったのに、オレ達が招待状を見せた途端に
表情が禍々しい感じに変わってビックリした
それは一瞬で、元に戻ったんだけど…逆にすげー怪しいんじゃないのか?
「ん?どーしたの??」
クダリさんが小首を傾げて笑う…いわゆる天使のスマイルをしてるんだけど
さっきのドスの効いた声を聞いた後じゃ、それすらも怪しくて
オレ達は再チャレンジをするのをやめて帰ってきた。
「なぁ…クダリさんのアレって演出だよな?」
「それしかないだろうけどすっごく怖かった!
クダリさんってばあんな顔と声も出来るんだってビックリしちゃったよ。」
「そーだよな!何だかマジで取り憑かれてるんじゃって感じだけど
これもイベントの演出なら今年のハロウィンは相当力入ってんじゃね?」
「うんうん、それにこの交換表見てよ。一番上が????になってるよね。
これって怪しすぎだと思わない?ってか何なんだろうね。」
わからない事が多すぎの怪しさ満点なこのハロウィンのイベントを
オレもトウコも楽しむ気満々で当日を迎えた。
「「うわー…」」
朝一、ギアステの入口でオレ達はあんぐりと口を開けたままになった。
いつもの風景とは全く違って、ハロウィンの飾り付けなんてレベルじゃない
照明が少し落とされたその場所は魔界があるんだとしたらこんな感じ?って
そんなリアル感満載なおどろおどろしい雰囲気で溢れていた。
普段は塵一つない通路には蜘蛛の巣があったり古びた遮断機があって
その影にはなにかの骨や死骸っぽい何かが置いてあったりしていた。
そのまま受付に向かえばいつものお姉さんが体中に包帯を巻いてて
オレ達がイベントに参加する事を言えば
「あぁ、勇者様!どうか…どうかギアステを、ボス達を救ってください!」
いきなりのイベントモードに驚いたけど、色々と注意事項や変更事項と
イベントのルールをしっかり教えてくれるのは流石だと思う。
全部の説明が終わった後、お姉さんはオレ達に十字架と聖書の形をした箱を
それぞれに手渡して説明をしてくれた。
「この十字架は勇者様のピンチの時に使えば一度だけですが
相手の動きを1ターン止める事ができます。そしてこちらの聖書は
命のかけらを収める物となっておりますのでお受け取り下さい。」
使い込まれたっぽい加工のされたそのアイテムを受け取って
オレ達はスーパーマルチのホームに向かった。
「「うっわー…」」
ホームに到着したトレインを見て、オレ達はまたまた言葉が出てこなかった。
いつもの車体じゃない…いや、車体なのかな?には真っ赤な手型とか
ボディが破損してたり(近くで見たらすげーリアルなペイントだったけど)
モンスターみたいなのが描かれてたり(だけど立体感が半端ない!)
ともかく魔界を走行してる電車のイメージなんだろうけどピッタリだ。
恐る恐る車両に入れば、内側はいつもと同じで安心した。
トレーナーさん達はいつものハロウィン通り仮装してるんだけど
強くなってる気がするのは気のせいだろうか…違うなマジ強いよ!
トレーナーさんを倒す度に命のかけらをもらえるんだけど
タイムボーナス?みたいなのがあって、一定時間内に勝利すると
もらえる数が増えるのはちょっと嬉しいかもしれない。
やっと最終車両にたどり着いたは良いんだけど…
「「うわわ…」」
もう、ちょっとやそっとでは驚かないと思ったんだけどなー
それでもこれは違う意味で驚いたんだよ!
「あらためまして 挨拶を。私サブウェイマスターのノボリ…だった
アスタロトと申します!さて、今更ここまでいらしたあなた様に何も言う事は
ございません。今までにない史上最高の戦いを早速始めましょう!
ではクダリ…いえ、ベルゼブブ…何かございましたらどうぞ!」
「やる事言う事いつでもおんなじ。ルールを守って安全運転!
ダイヤを守って皆さんスマイル!指差し確認、準備オッケー!
目指すは勝利!出発進行!」
そーいえば悪魔に取り憑かれたって言ってたっけ?
アスタロトとかベルゼブブとかなんだかすげー強そうなんだけど!
ってか、その衣装もやっぱりその悪魔のイメージだったりするのかな…
ノボリさんが黒ずくめなのは通常運行だけど、クダリさんの黒はレアだよ!
それでもレースとか色んな部分に白が使われてるのがやっぱりって感じ?
んで、ノボリさんの背中にはズバットみたいな羽がついてるし
クダリさんの背中にもスピアみたいな羽がついててマジ怖ぇえええ!
「ちょ、トウヤ!ぼーっとしてたら瞬殺コースだよ!
何これ…今までのトレーナーさん達もだけど、いつも以上に強すぎ!」
「私達は常に強さを求め、研鑽の日々を送ってまいりました。
…と、ノボリは申しております。そこで私は少々提案したのでございます。
真の強さが欲しいのなら、私の手を取りなさい。とね…。」
「ボクもおんなじ!クダリの方はちょっと考えてたけど結果は変わんない
二人共強くなりたいって欲望には勝てなかった!」
すげー容赦ない攻撃の合間に、二人がとんでもない事を言ったし。
でも真の強さってなんだ?バトルでの強さなんて今更って感じだろー!
強さってバトルだけじゃないはずだ、大事なのは気持ちなんじゃないのか?
「バトルが強くたって心が弱いとかそれじゃダメじゃないんですか?」
やっぱりトウコもおんなじ事考えてたみたいで、二人に叫んだけど
「あのね、心の内側なんて他人にはわかんない。
本当の二人の何をキミ達は知ってるって言うの?あはは、笑っちゃう!」
「ふふっ、所詮は人の子でございます。」
あ、すげーカチンときたぞ?これがイベントとか関係無いぞ
お二人の演技?が迫真モン…つーか、バトルに夢中ですっかり忘れてたし!
「そんなの誰だって同じだろ!弱さがあって当たり前だって
その弱さを認めて、向き合う事が大事だってノボリさんは言ってた!」
「クダリさんっ!どんな時にも自分を見つめて何がしたいのか考えろって
いつも言ってたじゃないですか!これが望んだ事?違いますよね!!」
戦況は未だ拮抗した状態で、先に一撃喰らった方が倒れる…
オレもトウコも二人に先制する事は不可能…それならやる事はひとつ…だ。
「本当ならこんなモン使わないで正々堂々バトルで勝利したかったけど
今はそんな事言ってらんねー、いくら強くたって今のお二人は嫌いです。」
「バトルが強いからサブウェイマスターに憧れてたわけじゃない!
強くて、優しくて、暖かくて…そんなお二人だから憧れてたんです。
私の大好きなお二人は、今のお二人じゃありません!!」
首にかけた十字架を取ると、トウコも同じ様に十字架を持った。
「次のターン、十字架を使いまっす!ミジュマル、ハイドロカノン!!」
「同じく十字架を使います!ウルガモス、オーバーヒート!!」
「「!!」」
オレ達の攻撃がヒットしてこのバトルはオレ達の勝利になった。
その瞬間に、目の前の二人がその場に座り込んだ。
慌てて駆け寄ると、そこにはいつも見るノボリさんとクダリさんがいた。
「二人共、すっごく強かった!ボク達を助けてくれてありがとう!!
ボク クダリ。また君たちに負けちゃった。だけど納得、キミ達強すぎる!
君自身が持つ強さ、ポケモンへの信頼、尽きぬ応援!
うん!最高におもしろかった!また遊びに来てよ!」
「えぇ、お二人はバトルだけではなく、心もお強いのですね。
ブラボー!心の奥底からブラボーです!!
あなた方とポケモンの類まれなるコンビネーション。非常にすばらしいです。
そう!自分と自分以外の組み合わせは自分が備えている以上の
エネルギーを生み出す最高のエンジン!
よろしければまた新しい組み合わせで、私どもに挑んで下さる様お願いします。
」
あー、このセリフが聞きたくて頑張ってたんだけど今は嬉しくない。
アイテム使っての勝利だし?つーか、その他色々に腹が立ってるし?
「こんなの本当の勝利じゃないです。つーか、やりすぎですってば!」
「アイテム使ってとか、いつもと違うルールだし?
本当に取り憑かれたんじゃって…私、マジで心配したんですよ?!」
「あははゴメンね?でも、演技ってわけじゃなかったかもしんない。
ちょっと前のボク達なら、強くなるなら悪魔も頼ったかも?」
「クダリ、まだイベント中でございますのでネタばらしはおやめなさいまし。
えぇ、心の強さというものは大人だから持ってる訳ではございません。
むしろ非常に脆く、危ういのは大人なのかもしれませんねぇ…」
ホームに戻る間、いつもの様にお二人と話をしてる。
その衣装がさっきは似合ってると思ったんだけど
普段の二人だとちょっと雰囲気が違いすぎて違和感を覚える。
クダリさんはいつもの様にオレ達にカボチャの形の飴をくれて笑った。
「そうだ!これ、命のかけら。ボク達に勝利したから倍あげる。」
「おー、すげー太っ腹!」
「ふふっ、イベント中でございますので大盤振る舞いでございます。
お二人共、各トレーナーを時間内で撃破しておられるのでしたね。
命のかけらはいくつ集まっておりますか?」
「えーっと…ちょうど聖書の入れ物がいっぱいになりました。
トウヤもだよね?何に交換しようかなー、楽しみです!」
そう、一応サブウェイマスター(に取り付いた悪魔?)を倒したから
ちょうど聖書の入れ物がいっぱいになったんだよな。
「流石でございますね!ですがイベントはこれが終着駅ではございません。
更なる高み…隠しイベントというものが存在しております。」
「あのね、悪魔に取り憑かれたのはボク達だけじゃない。
詳しい事は景品交換所に行って?そこで説明してくれると思う。」
これだけでもすげー大掛かりなイベントなのに更に上があるのか
今年のイベントはマジですげーな。
トレインがホームに到着して、サブウェイマスターに見送られて
オレ達は景品交換所に行って、命のかけらでいっぱいの聖書を渡した。
「あなたこそ真の勇者様!
更なるお願いが…永久凍土に封印された魔王が花嫁を迎えようとしてます
婚姻が成立してしまえば魔王が復活し、世界が悪魔のものになるのです。
どうか、花嫁を救い出して下さい。お願いします!!」
受付のお姉さんと同じ様に包帯でグルグル巻になってる交換所のお姉さんは
そう言うと、オレ達にカンテラと小さな鈴を手渡した。
「これを持ってエントランスに向かい、鈴を鳴らして下さい。
そうすれば永久凍土への案内人がお二人の前に表れるでしょう。ご武運を!」
なんだかよくわかんないけど、乗りかかったトレインだし?
オレとトウコは顔を見合わせて頷くと、エントランスへ向かって歩きだした。