じゃない世界の訪問者達 

じゃない世界の訪問者達 



昼食が終わって、俺等は一番最初にいた場所に向かった。
ここの黒ボスは厨房の図面を取りに行っている。

「…と、言う事なんですよ。それで、うちの厨房もそうですが
食堂って、結構収入源で重要な場所じゃないですか。
なので、できる限り臨時休業とかにはさせたくないんですよ。
私達の場所では、厨房が全面休みになる時がありましたけど、
ここの厨房はどうなんでしょうか?」

戻ってきた黒ボスが図面を駅長に渡す。
と駅長は図面を見ながら更に話を続けている。
ここの黒ボスが、駅長とを見比べながら俺の傍に寄ってきた。

様、通常、この様なお話は部署のトップがするものでは?
彼女に任せっきりとか…大丈夫なのでございますか?」

あー、確かにこんな大事な打ち合わせを平社員にさせるとか
上司のくせに何考えてるんだって思われても仕方ないか。

「ぼくもノボリと同じで、ちょっと変だって思うんだけど。
役職長がいるんだから、まずは駅長と役職長のが話をして、
その補足をがするのが、常識なんじゃないのかな?」

その問いにうちの両ボスだけじゃなく、インゴとエメットまでもが
ほぼ同時に首を振るのをみて、ここの両ボスは互いに顔を見合わせていた。

「ここの黒ボスだけじゃなく、皆さんも覚えておいて欲しいんですが
常々保温関係の仕事に関しては、俺はあいつに全て一任させてます。
俺より上の資格保持者ですし、保温の仕事に関しては俺の方が下なんです。
勿論、期待以上の仕事をする事は上司として保証しますよ?」

そう言って、俺はここの両ボスを手招きして小声でこっそり打ち明けた。

「俺もですが、あいつは特に仕事に口を挟まれるのが嫌なんですよ。
だから、訳も分からず口を出す奴は問答無用で怒鳴られますよ?
なんせ、着任早々ちょっとしたトラブルがあって
うちの上司…両ボスと俺等の直属上司の総務部長を纏めて一喝
おまけに3人に頭を下げさせる事までしましたからね。」

俺の話の内容にここの両ボスが目を見開いて驚いていた。
それを、うちの両ボスが慌ててフォローにまわる。

「あのね、勘違いしないで。は何も悪く無い。
ボク達の考えとかやる事が甘かった。それでに迷惑かけただけ。」

「えぇ、彼女の話す内容は全て正論でございました。
落ち度は私達の方にございましたので、謝罪するのは当たり前。
尤も、その件で後からに凄い勢いで謝られましたが
その様な必要もない程、彼女は正しかったのでございます。」

「成程、そう言う職人気質って俺は好きだけどな。
それこそ、兄貴達がいつも言ってる自分の信念を貫き通してるって感じ?
二人の仕事って特殊だし、素人が早々口を出して良いモンじゃねぇよ。」

うちの両ボスの言葉にここの両ボスとジュニアさんは納得したようだ。
そんな話をしていたら、駅長との話は終わったみたいだ。

「課長ー、ここの厨房の全面休日はなんと半年に1回で1日のみです!
んで、ラッキーな事にその休日がニ日後です、頑張りましょうねー。」

余りにも出来すぎた偶然だと頷けば、は真剣な表情に変わった。

「仕事の話は決まったんで、もうひとつの話もここでしましょうか。
多分私が予想してる事と、課長が予想してることは同じだと思うんです。」

「俺等の帰れる方法だろ?多分、それで間違いないと思うぞ。」

俺の言葉にうちの両ボスとインゴとエメットの表情が明るくなる。
色々聞いてこようとするのを手で止めて、俺は話を続けた。

「俺等がこっちに来る時にきたこの材料…コレが鍵です。
普通なら、こんな荷物なんて一緒に飛ばされることは有り得ない。
あっちでは発送元のわからない、使う事の無い材料って事でしたが
こっちにあるのだとしたら、納得がいきます。ここでは必要な物で
ここの厨房の修繕に必要なものが完璧に揃ってるんです。」

「んで、殆ど休みにならない厨房がニ日後には休みになる…
これって、私達にここの修繕をやれと言ってるようなもんですよ。」

「でも、二人がここに仕事をする為に来たのは説明がつくけど、
そっちのぼくたちと、インゴとエメットはなんで来たのかな?」

ここの白ボスが疑問に思うのも仕方がないだろうな。
だけど、俺等には大いに心当たりがある。うちの両ボス達見れば
やっぱり同じ事を考えているらしくて、気まずそうな顔をしている。

「ボク達、ここに来る前にハイリンクの話をしてたんダヨ。
それで、話の流れで丁度ここの世界の話をシテ、面白そうダッテ。」

「そして、俺がからインカムでこの荷物の事を聞いたんで
雁首揃えて全員で作業部屋に向かったんですよ。
そうしたら飛ばされたんで、多分話した内容が原因かもしれませんね。」

「Hmm…ワタクシ達がコチラの世界に来る事が予定外ナノデ
ハイリンクになったと考えレバ、全て説明がつきマスネ。」

成程、どこの誰だか知らないが、随分と気を使ってくれたってか?
どうせだった、俺等だけ飛ばしてくれれば丸く済んだのにな。
いや、そんな事になってもこいつらが大騒ぎして、結局は
目も当てられない状態になるだろうから、どっちもどっちか。

「私達のとばっちりを食ったって考えもできますからねー。
ボス達はさっさと戻ったほうが良いってのは間違いないと思います。
という訳で、さっさとバトルしてくださいよ。
サブウェイマスター同士のバトルとか超レア物じゃないですか!」

バトルと聞いて、うちの4人とここのボス達の顔つきが変わった。
そう言う所は流石だよな。ある意味廃人の頂上対決だから見ものだぞ。

話の流れから、それじゃ善は急げってんで
全員でまたゾロゾロとバトルフィールドのある場所へ移動する。

「二人揃って戻れる様にマルチにした方が良いんじゃねぇか?」

ジュニアさんの提案にインゴとエメットが前に出る。

「それで良いヨ、最初はボク達で良いデショ?」

駅長さんの号令と共にフィールドにでたポケモン達はスーパーのだ。
そのバトルを、控えているうちのボス達が真剣に見ている。

「ここのサブウェイマスターはマルチが一番得意なんでな。
向こうには悪いが完全勝利するかもしれないぜ?」

駅長さんが正直な感想を話し、ジュニアさんもそれに頷く。
だが、一筋縄じゃ行かないだろう。あいつらの強みはここからだ。

それまでとは違う、臨機応変な動きをみせて相手を翻弄させながら
お互いをフォローしつつ勝機を伺う。勝利の為には手段を選ばない。
だが、完全勝利は防いだが僅差で負けてしまった。
その瞬間に二人を淡い光が包む。これが本当のハイリンクなのか?

、アチラでマタ食事を一緒に致しマショウ。
オマエ達、今ので理解出来マシタネ?勝利以外認めマセン。」

「ソウだね。二人なら勝てると思うヨ!
…絶対戻って来てネ!絶対ダヨ!!」

二人の姿が光に完全に包まれた後に消えて、その場所にうちのボス達が立つ。

「クダリ、このバトル是が非でも勝たねば、あの連中がうるさいでしょう。
私、出発進行と同時に全速前進いたしますが、よろしいですか?」

「準備オッケー、目指すは勝利!ノボリ、すっごいバトルにしようね!」

そう言いながら、お互いに拳を合わせて笑い合ううちのボスたちの前で
回復を終えたボールをセットし直しながら、ここのボス達が不敵に笑う。

「わたくしとクダリはマルチが一番得意でございます。
この二両編成、簡単に打ち破られるとは思わないでいただきましょうか。」

「目指すは勝利しか考えられない。ぼくたちはサブウェイマスターだから。」

駅長さんの号令と共にフィールドにポケモンが出される。

「ボク達もマルチが得意!コンビネーションなら負けない。」

「えぇ、私達もサブウェイマスターでございますから!」

案の定、バトルは初っ端なら熱戦を繰り広げた。

「手持ちもレベルもほぼ互角、技構成も全く同じ。面白いな。
しかし、そっちのサブウェイマスターもマルチが得意とはな。」

「親父、審判するよりもバトルしたかったんじゃね?」

ジュニアさんがニヤニヤと駅長を見ているが、駅長はすぐに首を振る。

「ジュニア、俺はマルチが正直苦手なんだよ。
下手をするとパートナーを巻き添えにするとかしちまうからな。」

あ、俺もそうなんだよね。がパートナーだとこいつが色々と
先回りして考えて動くから良いが、他の相手だと目も当てられない。

「それ、うちの課長もよくやります。
下手すると相手のポケモンの前にパートナーのポケモン潰しますからね。」

ジュニアさんが、あーって顔して俺を見ているが、事実なんだよ。
駅長さんは頷いてるから、もしかして、同じ事をやったのか?

「俺はシングル以外は苦手なんだよ。それにしても良いバトルだな。
さて、マルチの勝利の女神はどっちに微笑むんだろうな。」

「すげーせめぎ合いで、どっちが勝ってもおかしくないけどさ、
俺としてはやっぱり兄貴達だと思うな。親父は?」

「贔屓目に見るわけじゃないが、やっぱりあいつらだろ?
ホンの僅かだが、こっちが押してきているからな。」

「んー、多分と言うかこの勝負、うちのボス達が勝ちますよ?
インゴさん達同様、ここからギアチェンジするでしょうからね。
ホント、最初からやってればもっと楽に勝てるって知ってるのに
バトルスタイルに拘りたがるんだから、頑固も困りもんですよ。」

の言葉通り、うちのボス達の動きが変わった。
そしてさっきのインゴ達以上にここのボス達を翻弄し始める。
そうしているうちにあっという間に流れが変わった。

「うわー、マジでギアチェンジ?この状態から更に加速とか
そっちのサブマスはバケモンか?!」

「これだけの余力があるなら、最初から出せば楽だろうが。
うちの息子達も舐められたモンだな。」

あー、ちょっとやばいぞ、二人が剣呑な雰囲気になってるし。

「いや、舐めてないんだ。っていうかバトルを舐めてるんですよ。
自分のバトルスタイルを貫き通したい、でも勝利はしたいってね。」

「そうそう、よっぽどじゃないとギアチェンジなんてしないんですけど
ここのボス達相手にそんな甘い考えは通用する訳もないんですよ。
だからインゴさんも教えてくれてたのに…」

「あぁ、そういうわけか。確かにその気持ちはわからなくもないぜ。
あれだな、そっちのサブマスはまだまだ発展途上って感じだな。」

さすが、父親ってのは伊達じゃないみたいだな。
そんな事を話していたら、ホントにすげー僅差でうちのボス達が勝った。

「なんとか勝てて安心いたしました。私、途中で
絶対零度の視線を受けたときにはこの世の終わりかと思いました。」

「うん、お説教は二人が戻ってくるまでお預けにしてね!
そして、ボク達にまたバトルで色々教えてほしい。待ってるからね!」

インゴ達と同じ様に光が二人を包み始めた。
そして、うちのクダリの言葉にここの白ボスが反応した。

「え?バトルを教えるってどういう意味?」

「私達はこの二人…正確には三人でございますが、
未だに勝ち越す事が出来ないのでございます。
のバトルは非常に参考に、勉強になりますよ?
…私達は二人のお早いお帰りを待ち続けます。
必ず、必ず、戻ってきてくださいまし!」

余計な事言うな!と怒鳴れば、二人はニヤリと笑って光の中に姿を消した。
残された俺等に、ここの両ボスの視線が突き刺さる。ブスブスと突き刺さる。

「あのね、。ぼくとバト…「だが断る!」…えー。」

ここの4人に色々と詰め寄られて、そして、色んな事がありすぎて
ぶっちゃけ俺等のHPはすでに真っ赤になりつつある。
そこにおきみやげされて、追い打ちかけられる身にもなれってんだ!
畜生、あの2人…戻った時に覚えていろよ!