いつものごとく親父たちのいる世界にハイリンクして、待つことしばし。
「ジューニアー! やほー!」
頭上を横切った影と陽気な声にそっちを向くのと、ゴルーグがずしんと音を立てて着地するのが一緒だった。
背中から飛び降りた、袖をまくったジャージ姿のクダリが笑って手を振る。
「クダリ」
「わたくしもおりますよ」
遅れて飛び降りたノボリも、サブウェイマスターのコートを着ていない。
というか、クダリと似たり寄ったりなTシャツに綿パンに黒キャップ。
ってことは、二人とも今日は非番か。つうか、この格好からして、あれだな、
点検運休日に時々開催される、バトルサブウェイ内草野球の日か。
俺は歩み寄りながら苦笑した。
「わざわざ二人とも来なくていいのによ」
「へへ、ちょうどベンチだったからねー」
「わたくし達だけではございませんよ」
ノボリが可笑しそうにかすかに微笑んで上を指差す。
指の先を見上げると、
「センセイ」
トンビのようにぐるりとゆっくり旋回する、俺のドラゴンがいた。
楽しげに風を切るセンセイの翼ごしに、これまた動きやすそうな格好の親父が手を振っている。
「あーあ、親父まで。大げさな」
「嬉しいくせにい」
肘で小突かれて、憮然と口をへの字にしたが、多分この笑い上戸の兄貴には俺の内心なんかおみとおしなんだろう。
降りてくるドラゴンと親父を見ながら小さく舌を打った時、ビュウと強く風が吹いた。
しかも、なんか妙に違和感のある、知らない匂いの風が。
「わっ。なになに?」
「この風、まさか」
驚いて振り向けば、橋の向こうが青白く輝いて、光の壁ができていた。
ノボリが目を丸くする。
「これは……もしやハイリンクの?」
「みてえだな。どこか別のイッシュへの道が開いたんだ」
「へー! 面白そう! ぼく行ってみようか……あ、あれ?」
のんきにはしゃいでいたクダリが、通路が開いてもまだどんどん強く大きくなる光に、後ずさる。
「あれ、ちょっと、これまずくない?」
「ああ、ちょっと普通じゃねえな……」
「一旦離れましょう。危険かもしれません」
ノボリに肩を掴まれて方向転換しようとした瞬間、音もなく、青白い光の壁が爆発するように広がった。
「うわ!」「ひゃあ!」「何が……っ」
光にのまれて目を開けていられない。
とっさに兄貴たちを捕まえて、せめて伏せようとしたが、その時にはもう地面の感覚がなかった。