三章・旅は道連れ先駆け編 -花嫁と居候-

三章・旅は道連れ先駆け編

花嫁と居候



ライモンシティの夜景を堪能するにはちょっと寒いなーなんて

バルコニーで一服しながらそんな事を考えてたらメールが来た。

なんじゃらほいとライブキャスターを見ればノボリさんからで



『夜風は体によくありませんので暖かくしてくださいましヽ(`Д´)ノ』



うん、確かにちょっとこの部屋着じゃ寒いと思ってたよ。

だけど何故ノボリさんがそんな事をわかってるんだろうと考えてたら。

目の前に紫色の明かりが見えた。



「シャンデラたんってばいつ見ても美人さんだねぇ…え?上を見ろ??」



シャンデラたんが私に上を見ろみたいなジェスチャーをしたので

言われた通りに顔を上げたら、そこにはノボリさんが手を振っていた。

そしてすぐにメールが届く。



『こんばんは、はまだお休みにならないのでございますか?(-_-)゜』



…メールでも丁寧語は変わらないのがノボリさんらしいなって笑ってから

私もメールを返信した。



『今ちょっと家の中に入れてもらえない状況なんですよ(泣)』



『どうなさいましたか?(゚Д゚≡゚Д゚)?』



『家の中でうちの子達が勢揃いして家族会議中なんです。

んで、私はちょっと席を外せと言わんばかりにバルコニーに追い立てられて…』



『おや、あの子達は抜きで何を話してるのでしょう?(-ω-)』



『ジム巡りの時に誰が私と一緒に行くかを揉めてるんです。』



丁寧な口調はいつもだから良いんだけど、文末の絵文字はやめようよ

どのツラ下げて文章打ち込んでるの!ってツッコミを入れたいぞー。



『成程、それは大変重要な問題でございますね!(゚Д゚)ノ』



そろそろ動きが出てきたって、っちからの連絡があったから

私もも張り切ってジムに行くぜ!状態だったんだけどねー。

の子達はあっさりと決まったみたいだけど、私の子達が揉めてるし…

特にネイティとリグレーとムウマが絶対ついていくと言って困ってる。

に相談したんだけど、あの子達ってば二人を無視したし!


流石に風呂上りに部屋の外で1時間以上もいたら体も冷えちゃうよね。

くしゃみを3連発しながらそんな事を考えてたら、ベランダが開いて



、風邪をひいてしまいますので早くお入りくださいまし。」



「ノボリさん?!…とクダリさん?」



「なんだか大変そうだってノボリに言われたから来た!」



この部屋の主は私なんだけど?つーかどうして二人がここにいるの?!

軽くテンパってたら、二人共普通に玄関から入ったらしい。

リザードンが入れてくれた!ってクダリさんが教えてくれた。



「あぁ、こんなに冷え切ってしまって寒かったでしょう?

あなた達、が風邪をひいてしまったらどうするつもりでございますっ!」



「冷蔵庫開けさせてもらった。ホットミルク飲めるよね?どーぞ!」



「…ありがとうございま…ぶぇっくしょい!」



くしゃみをしたら、オヤジみたい!とクダリさんに笑われちゃったよ!

マグカップで暖をとり、中身を一口飲むと身体がほわっと暖かくなる。



「それで、はジム巡りにはどの子を同行させるのでございますか?」



リザードンから受け取ったカーディガンを私に羽織らせて

ノボリさんが聞いてきたから、この際ぶっちゃけちゃおうかな?



「メインポケモンはポカブとキバゴとメリープが確定してます。

秘伝要員も兼ねたシンボラーで決まり!にしたいんで…うぐっ!」



私が言った途端にリグレーとネイティがすごい勢いで突っ込んできた。

ちょ、鳩尾に決まったんだけど!地味に効果があって痛いってば!!

蹲っちゃった私から慌てて二人が二匹を引き剥がしてくれた。



「そっか、ネイティ達は置いていかれるのが嫌だって言ってるんだ。」



「この子達は特別に懐いてらっしゃいますしねぇ…」



「そうなんですよ、んで後はムウマもなんですけど…ムウマ?」



いつもなら二匹に負けない位、私の傍でベッタリしてるムウマがいなくて

どこにいるのかと思ったら、ノボリさんのシャンデラに抱えられてるけど…



「おやぁ…」



「おやおや、これはなんだか…」



「うん、とっても…」



「「「イイ感じ?」」」



そう、シャンデラたんってばムウマを抱きしめてるんだけど

それがなんて言うのか恋人同士みたいな感じで目のやり場に困った。



「あなたはヒトモシの頃からムウマが大好きでございましたものねぇ…

それにムウマも満更ではなさそうでございますね。

…嫁に来てもらってもよろしいでございましょうか?」



「へ?」



「ノボリ、それってわざとやってる?

あのね、シャンデラのお嫁さんに来て欲しいって!どーする??」



ずっと向こうの世界から一緒にいるムウマと離れるのは嫌だけど

この子の為を思えば、ここは我慢しなくちゃ…なんだろうな。

それにしてもお姉さんだと思ってたシャンデラたんがお兄さんだったなんて

色っぽすぎてわかんなかったのは仕方がないよね?

私はシャンデラに抱きしめられて泣いてるムウマのそばに近づいて



「ムウマ、ノボリさんがシャンデラたんのお嫁さんに来て欲しいんだって。

シャンデラたんとムウマがどうしたいのか私に教えてくれるかな?」



「シャン?シャシャーン!…デラッシャーン!!」



おー、シャンデラたんが炎を大きくしてムウマの周りをクルクル回ってる。

それを見てるムウマの顔がちょっと赤くなった気がするんだけど?



「うわー、シャンデラってばムウマをお嫁さんにする気満々!」



「流石は私のシャンデラ、求愛行動もスーパーブラボー!でございます!」



「あれってそーなんですか?あ、ムウマが動いた…これはOK…なのかな?」



ムウマが恥ずかしそうにしながら、シャンデラの手?を取って回りだす。

シャンデラが嬉しそうにムウマを抱きしめて…うわわ、キスした?!



「シャンデラ積極的!」



「うちのムウマが穢された!」



「それは大変シャンデラに失礼でございますっ!!

どうやらこれは婚姻成立でございますね。よろしいでしょうか?」



よろしいも何も、本人同士がすっかりソノ気なんだし?

これで駄目だっていう程鬼畜でもないし、二人の邪魔をする気もないし?



「私は良いけど、シャンデラたんは孵化作業もするでしょ?

うちの子6Vじゃないし、嫁=交配相手じゃないなら辛いと思うんだけど。」



「私とてその様な鬼の所業をいたしません!想い合っている同士のタマゴは

例えV無しであっても大変素晴らしい子に育つケースが多いのですよ?」



「うん、それにのムウマ4Vでしょ?性格も考えれば充分!

ってか、シャンデラのお嫁さんにピッタリ!どっちもハッピーでオッケー!」



それを聞いてちょっと安心したかも。

トレーナーの意思で、この子達の気持ちを踏み躙りたく無いし

できればずっと添い遂げて欲しいって思うから。

ノボリさんがトレーナーでそのシャンデラだったら…うん、申し分ない。

私は安心して、大切な子…ムウマを渡す事が出来る。


ムウマの入ってたボールをノボリさんに渡すと、凄くビックリされたけど

これはいつもやってる事。自分の立場があやふやだからこそ

ちゃんとした人に貰われて欲しい、そして幸せになって欲しいから。



「この子は向こうの世界からずっと一緒だったんです。

だから、この子が死ぬ時は何も残りません。タマゴも生まれるかわかりません。

それでも…それでも、その時が来るまで大切にしてくれますか?」



「…当たり前の事を聞かないでくださいまし。大切なシャンデラの伴侶です。

そして大事な友人の子でございますよ?幸せにしてみせますとも!」



「よかった…ムウマ、シャンデラたんとずっと仲良くしてね?

シャンデラたん、うちの子…ムウマをよろしくね…。」



シャンデラたんとムウマが私のそばでクルクル回る。

それが大丈夫だよって言われてるみたいで、私は何も言えなくなった。



泣かないで、寂しい?あのね、ボールをノボリに渡さなくても

あの子達はずっと一緒にいられるよ?無理しなくても良いんだよ?」



私ってばいつの間にか泣いてたんだ。だけど寂しいからだけじゃない。

大好きな子が幸せになれそうだから、安心と嬉しさも混ざってる。

クダリさんに抱きしめられて…なんだか最近抱きしめられるのが多いなぁ…

その事を言えば、クスクス笑い声が上から聞こえる。



ってばホントにムウマのお母さんみたい!」



「…実際の母親がどーなのかは知りませんが、自覚はありますよー。」



、もうひとつ提案が…貴女がジム巡りに出かけて不在の間

リグレーを私に預けてはいただけないでしょうか?」



「あ、それボクも言いたかった!あのね、ジム巡りの時ネイティを預かりたい!

ボクの子達とも仲良しだし、ボクもネイティとゆっくり遊びたい!」



ノボリさんはリグレーを、クダリさんはネイティを抱っこして聞いてきた。

あー、うちの子達もなんだかそれでも良いかもって思ってるみたいだけど



「それはお二人の負担になっちゃいますからダメですよ。」



サブウェイマスターの二人は、休日でも色々ポケモン達の調整とか

やる事が沢山あって忙しそうだもん。そこまでは流石にに甘えられない。



「負担になどなりません。私が友人としてリグレーと共に過ごしたいのです。

リグレー、がジム巡りに出かけている間でよろしいので来ませんか?」



「うん、ボクもネイティが大好きだから一緒にいたいだけ。

ネイティ、ボクと一緒にお留守番しての帰りを待ってようよ。」



ネイティとリグレーが首を傾げて…それから擦り寄って甘えたのを見て

ノボリさんとクダリさんが私に向かって笑いながら頷いた。



「なんだろう…すっごく助かるのはわかってるけどモヤモヤする。」



「あはは、ってばボク達にヤキモチ焼いちゃってる?」



「ふふっ、この子達にとって一番はマスターであるでございます。

それは私達も十分理解しておりますのでご安心くださいまし。」



「当たり前ですよー、それでは申し訳ありませんがお願いします。」



「オッケー!」



「了解いたしましたが…はジム巡りをそろそろ始めるのですか?」



「はい、仕事の方も目処がついてきたので始めるつもりです。」



それは嘘じゃない。というよりも、そろそろ始まると思ってたから

出来る時にって仕事をガンガン進めてたんだ。

これから先、仕事をしながらなんて今迄やった事がないけれど

限られた時間でやる事は全部やらなくちゃならないからね。



「そっか…頑張ってね?」



と貴女の旅が無事に終わる事を祈っております。

決して無理はなさらないでくださいまし。それだけは約束してくださいまし。」



「…はい。」



頑張りますとも約束しますとも言えない自分が情けない。

これだけ心配してくれる人達の為にも、私は出来る事は全部しなくちゃ…


そして、最後の最後まで諦めないで頑張ってみよう。