-序章・すっごいヘッドハンティング-

序章

すっごいヘッドハンティング



修繕作業を完了させて着替え終わったは今、ノボリのデスクに座ってる。

カタカタと報告書を打ち込むキーボードの音が執務室に響いてる。

ってば書類作成早いな。ボクよりずっと早いかもしれない。

ノボリの視線が痛い、どーせボクもこの位出来れば良いのにとか思ってるんでしょ

でも、人には向き不向きがあるって事をちゃんとわかって欲しいな。



「これで良しっと、最初の修繕に関する書類は多分これで事足りると思うぞ。」



出来上がったばかりの書類にが直筆でサインをしてからボクに渡してくれた。



「うん、バッチリオッケー!」



すぐにボクがその下の確認責任者の欄にサインをする。

これでこの件は終了!次はの頼み事聞かなくちゃね。



、さっき言ってた頼み事って教えてくれる?

すぐに対応できるものなら良い、でも違ったら色々今から段取りしちゃいたい。」



横でノボリがメモとペンを準備している。こういう事はノボリにお任せ!



「まず一つ、これだけの量の仕事となると流石に俺一人だけじゃ手が足りない。

一人でやるとなると時間がかかりすぎるしな、そんな無駄は俺の流儀に反する。

だからもう一人シンオウからこっちに引っ張ってきたいんだ。」



が連れてきたい人ってどんな人かな?仕事の出来る人なんだろうな。



「仕事に関しては俺が保証するぜ?アイツは一切手抜きをしないし

なにより、さっき言ってた2級の熱絶縁施工技師の資格を持ってる。」



「それはヘッドハンティング…引き抜くという事でしょうか?」



ノボリの眉間の皺が深くなる。

そっか、それだけ仕事ができる人だったらきっと向こうでも

キチンと仕事してるんだろうな、ヘッドハンティングの費用は流石に

公費じゃ落とせない。最悪ボク達のポケットマネーでも使おうかな。

どーせ、バトルに必要な事で位しか使ってないんだから、こういう時に

使ってもいいよね?



「まぁ…ある意味凄ぇ所からのヘッドハンティングになるだろうなぁ…

一応いつ抜けても文句言うなとあっちの上の方には釘をさしてあるから

そんなに問題は起きないと思うが…最悪シンオウのポケモン協会を敵に

まわしちまう事になるんだよ。」



「え?それどういう事?専属契約してるって事?」



なんだかいきなり話が大きくなってビックリ!の言う人ってそんな凄い人なの?



「専属契約…かもな。まずは直接話をしないとどうしようもないな…。

ノボリ、このパソコンってライブチャット機能使えるか?」



「あ、使えますよ。こちらのアイコンをクリックして…はい、そうです。」



ノボリがでパソコンを操作してチャット画面を起動する。

がサインインしてから何処かにつなげ始めたらすぐに画面が変わった。



「お待たせ致しました。シンオウポケモンリーグ本部でございま…さん?!」



画面に綺麗な女の子が出てきたと思ったら見て驚いてた。

これってどー言う事?でも、横から口出せないから我慢して黙ってた。



「おー、まだ受付やってたんだ。元気だったか?早速で悪いんだが

…いや、その前に会長に繋いでくれ。」



画面に向けて手を振ってるところ見ると仲いいのかな?彼女だったり?

でも、いきなり会長呼び出しとか…いったいどう言う立場だったの?



「今でしたらそばにさんもいらっしゃると思いますよ。

早速繋ぎますけど…穏便に話を進めてくださいね?では少々お待ちください。」



「それはそっちの出方次第だな…っと、会長、お久しぶりですね。」



また画面が代わって年配の男の人が映る。この人がリーグ会長さんなんだ。

イッシュの会長さんより年上かな?その人が何か言ってるけどたら

バッサリ切り捨てたよ。うわー、怖い…怖いよ



「…ともかく、俺は何かあったらすぐに引き抜くから、体制変えるなり、

後続をしっかり育てるなりしろって、がチャンピオン代理になった時

言ったはずだよな? …そんな御託、聞く耳は持ち合わせてなんかいないんだよ。

なんだったら、話をでかくして国際警察経由で引き抜いたっていいんだぜ?」



ちょっと待って!引き抜くってシンオウのチャンピオン代理だったの?!

ボク、その人って、てっきり保温?の仕事で協会にいると思ってた。

これ、ボク達がヘッドハンティングとか言うようなレベルじゃない!

後ね、、国際警察とか何そのコネクション!

マスターランクの人って皆そんな繋がり持ってるの?いや違うよね??



「ともかく、もそこにいるんだろ?あんたへの用事は終わった。

さっさと変わってくれないか?つーか、変わりやがれ。」



画面から会長さん?がガックリと肩を落として姿を消して今度は女の人が映る。

この人がチャンピオン代理?あれ、どっかで見たことあるような気がするけど

あんまり強そうに見えないな。の髪の毛を腰まで伸ばしたらこんな感じって

いう癖のあるロングヘアーと穏やかそうな黒い瞳が印象的な優しそうな子。



ちょっとアルトの柔らかい声がスピーカーから流れる。ちょっと待って、

の引き抜きたい人って女の子だったの?もう色々ツッコミ所多すぎ!

横でノボリもビックリしてた。うん、その反応間違ってないと思う。



「おう、元気そうだな。いやそっちじゃない。そっちはまだだ。

俺さ、イッシュで就職したんだけどな、お前の保温屋の腕が欲しいんだわ。

…おう、色々ツッコミどころありすぎて、なんて説明していいかわかんねぇけど

急がないとヤバイ所も多々あるんだよ。んでここ、結構でかい企業でさ…

そう、話が早くて助かる。したらいつこっちこれる?シンオウからなら

直通便あったべ、…それは却下だ。気合で乗り切れ!ん?そっか助かる。

住む所とかはこっちで何とかする。後は事前になにか必要な事とかあるか?

…あぁ、ダイゴん所が取引先だからそれは大丈夫だと思うぞ?

…一応チェックはしとくわ。ついたらライモンシティのギアステーションに

俺の名前言ってくれ。おう、んじゃさっさと荷物まとめろよ、じゃあな。」



アイコンをクリックしてが画面を閉じる。所々訛り?あったから

全部聞き取れなかったけど、5日後にはこっちに来てくれるみたい。

でも、チャンピオン代理がいきなり抜けて大丈夫なのかな?

…じゃなくてが言いたい事がすぐわかったみたいで

対応が凄く早かった。この子、がご飯の時に話してくれた友達の一人みたい。

でも、これで問題解決が早くなりそうでちょっと安心した!



「よし、これで取り敢えず引き抜きオッケーだ。一応俺の社員って事で

入ってもらうつもりだから、必要経費云々は全部俺が請け負った分の

金額から出すから問題なしだ。後は住む所なんだが…近くでマンスリー契約が

出来るような物件ってあるか?って、ノボリ…どうした?」



あれ、ノボリあれからずーっと固まっちゃってる。そう思ったら今度は

に詰め寄ってる。どーしちゃったのノボリ?



様が引き抜きたい方とはシンオウのチャンピオン代理だったのですか!

実は、トレインのお客様で私達と親しくして頂いている方がいらっしゃいまして

その方がシンオウに武者修行に出られた時にとてもお世話になったのだと

私達に色々と話して頂いたことがございましてですね。

その時にバトルもされた様なのですが、私その時のバトルレコーダーを

拝見しましたがスーパーブラボーな戦いだったので記憶しておりました!」



「あ、どっかで見た事あると思った!トウヤの言ってた子だったんだ!」



イッシュの英雄トウヤ達がシンオウに行ってチャンピオン不在だったから、

代理の人と対戦して3タテくらったって悔しがってたの覚えてる。

そのバトルを見せてもらったんだ。前言撤回する、すっごく強い人!

トリッキーで意表をついた戦術で見てる人を楽しませる様なバトルだった。

こっちに来たら、ボクもバトルしたい!確かシングルよりもダブル…マルチが

得意なんだってトウヤから聞いた。きっとすっごい楽しい勝負できるはず!



「トウヤってイッシュの英雄様だったか?後クダリ、は子って

付けるほど若くないんだがな。」



「あれ、…イッシュの英雄は知ってるんだ。でも突っ込む所はそこなの?

確かにトウヤはまだ未成年だけど、ちょっと上位にしかみえない。」



シンオウでもイッシュの英雄は有名なんだ。トウヤってやっぱり凄い!

でもギアステーションが知られてない。それは凄く残念で悔しい!



「ちょっとじゃなくてもっと上だ。はお前達2人より少し下位だ。」



「えー!ボク未成年だと思った!」



「失礼ですが、私もそう思っておりました。」



ボクもノボリも2人でビックリしちゃった。カントー系?の顔立ちって幼く見える。



「それ、会った時にでも直接いってやれ。凄ぇ喜ぶから。」



「女性はいくつになっても若く見られたいものだと聞きますからねぇ…

様、マンスリー契約の出来る住居と申しましたが、そこでの条件は?」



流石ノボリ、固まりながらでも話はちゃんと聞いてたみたい。

でも、女の人だったらもっとちゃんとした所の方が良いんじゃないかな?



「第一にセキュリティがしっかりしていて、通勤が徒歩圏内である事。

あいつ乗り物酔いが酷いんでバスとか地下鉄使うのは無理なんだよ。

んで、それなりの広さと部屋数も欲しいかな?これは単に俺とかダチが

集まって泊まれる所を確保したいってだけだからどうしてもって訳じゃない。」



泊まれる所の確保って…2人は友達じゃなくて恋人なのかな?

あ、ノボリもボクと同じ事考えたみたい。顔が赤くなってる。

でもさ、いい歳した大人がその位で赤面するとか、どんだけ初心なのかな!

ボク、ノボリが将来結婚できるのかすっごく心配。



「あ…言っとくけどな。俺とはそんな仲じゃないからな

シンオウでもよく集まって皆で雑魚寝したとかよくあったんでな。

それが出来る位の広さが欲しいんだよ。」



「あ、そうなのでしたか…でもその様な条件になりますとマンスリーよりは

普通のマンションにしてはどうですか?様は女性なのですから。」



「ボクもノボリに賛成!後ね、普通の賃貸だったらその条件に心当たりある。

ボク達のマンション、下の方の階が賃貸契約の物件になってたはず。」



うん、思い出した。ボク達のマンションは上のほうが分譲で下が賃貸。

徒歩圏内だし、部屋も幾つかあってそれぞれに広さもちゃんとある。

なにより、セキュリティーが凄くしっかりしてる!



「確かに、あそこでしたら様の全ての条件に当てはまりますね。

あぁ、ここでございます。丁度空き室があるみたいですよ?」



「おー、確かに広さも部屋数も場所も問題ないな。家賃もこの位なら

半分位は負担してやれるかな。後は、通勤路の周囲の治安ってどうなんだ?」



「夜中にひとり歩きしない限りはオッケー!1階がコンビニですっごく便利!」



ノボリがパソコンから不動産情報を開いてに見せる。

間取り図とか、通勤路とかセキュリティとか色々チェックしてたけど、

ここに決定するみたいで早速不動産業者に連絡をとりだした。

色々とが相手と話してたみたいだけど、途中でノボリが代わった。

うわー、ギアステーションとサブウェイマスター出して交渉はじめた。

ノボリの本気見せてもらった。ボクも本気で協力したい!



「よし!会社兼住居って事で借りれたから諸経費である程度の割合は落とせる。

これだったらあいつに家賃負担させなくて良いから助かったよ。

口添えサンキューなノボリ。」



「いえいえ、使えるものはどんどん使えばよろしいのでございます!

他に何か私でお力になれる事がございましたらどうぞおっしゃって下さいまし。」



不動産屋と契約する事に話がまとまった2人はハイタッチしながら笑ってる。

僕だけちょっと仲間はずれっぽくてつまんない!



「ノボリもも大事な事忘れてる。契約書にキチンとサインして?

後ね、の住む所、社員寮が使えるけどどうする?

そこだと、家具とかパソコンとか備え付けで置いてあるから身体一つで

すぐ生活できる。嫌だったら探せばいい。その時は家賃の1/4負担する。」



2人とも、しまった!って同じ顔しててちょっといい気味!

は慌てて契約書にサインを記入して。ノボリは社員寮の詳細が書いてある

書類を戸棚から取り出して、の横で説明し始めた。



「では、こちらが社員寮使用の書類になりますのでサインをお願いします。

はい、これで使用可能になりましたので今日から入居出来ますよ。

これで、ご一緒に仕事ができますね。よろしくお願いします、様!」



「ギアステーションへようこそ!これからヨロシクね!」



「俺の方こそ色々助けてもらってホント感謝してる。

2人の期待以上の仕事をするつもりだから、こっちこそヨロシクな!」



お互いに挨拶して、それから3人でコーヒーで乾杯した。

いつもと同じコーヒーのはずなのに、すっごく美味しかった!