-悪戯心としっぺ返し 後編-

一章・孤軍奮闘編 番外

悪戯心としっぺ返し 後編




ノボリがドアを開けたらそこには絶対零度の目をしたがいた。



「ここでは何でございますので中に入ってくださいまし。」



は普通に中に入ったけど、は入ったと同時にノボリの後ろで

シャツを掴んでバチュルみたいにプルプル震えているの腕を掴んだ



「昼間散々心配かけておいて、すぐにこれか?良い度胸じゃねぇか…

ガッチリ、じっくり、躾し直してやるからな。」



すっごい低い声でを担ぎ上げたと思ったらそのまま出ていこうとする

マズイ、すっごくマズイ!ブチ切れてる。ちょっと待って!!



待って!だけが悪くない!!バッくれようって言ったのボク!

まだ本調子じゃないから!そんなに怒らないで!」



「クダリはちょーっと黙ってようか…の荷物頼むな。」



ボクがそれ以上言う隙なんてなかった。

はお手柔らかにな、なんてのんびり言ってるけど、大丈夫なの?

そのままは何か言ってるをすっぱり無視して出て行った。



「さてと…なんでこうなったのか、説明でもしてもらおうか?」



満面の笑みで指を鳴らすとかやめて欲しい。

すっごく怖いけど、今はボク達よりもが心配!

そして、それはノボリも同じだったみたい。

追いかけようとしたノボリの前にが通せんぼするみたいに立った。



、そこをどいてくださいまし。お二人の怒りも当然でしょうが

元はと言えば、あなた達がを放ったらかしたのが原因でしょう?

だけを責める事はできないはずでございます。」



「…それを言われれば確かにそうだがな。なんで二人共

こんな真似したんだ?見つけた時点で連絡くれれば良いだけの話だろ?」



ノボリとが腕を組みながらにらみ合ってる。

ボクも何か言おうと思うんだけど、とてもじゃないけど横から口出し出来る様な

雰囲気とちがうから黙ってた。でも、なにかあったらボクも本気で闘う!



「えぇ、その点に関しましては悪乗りしました私達の落ち度でございます。

しかし、私が見つけたときはそれはもう心細そうに途方にくれてたのですよ

今日ご出身のシンオウを離れて、色々不安な事もあるでしょうに

昼間は怒られ、今度は放置されるとかあんまりではございませんか!」



「いや、だからそれは悪かったけど「けどではございません!!」…あぁ」



ノボリ、ホントに怒ってるかもしんない。

なんでかな?には最初からノボリ態度がすっごく柔らかかった。

これはもしかして、ノボリに恋愛フラグとか立ってるのかな?



「こちらの無理を聞いて頂いてわずか4日でイッシュに来たのです

の立場であれば引き継ぎやその他の雑務だってあったでしょう。

睡眠不足、食事もろくに取れない等、当たり前でございます。

そして、急ぎの場所があるからと更にこられる日程を早めてまで

そうしてまでこられたをあなた達はなぜ労わらないのですかっ!」



「体調管理はどんな時だって基本だろ?それに飛行機乗ったすぐ後に

地下鉄乗るなんて無謀な事したのはあいつ自身だろうが!」



ギリギリとにらみ合って火花が散ってるみたいに見える。

当事者抜きでよくここまで言い合えるよね。



「本当は休んでから地下鉄に乗るはずだったとおっしゃってました。

ただ、地下鉄の場所がわからなくて通りかかったご婦人に聞いた所、

同じ方向だからと言われて案内されただけではなく

チケットまで買って頂いてホームに連れて行ってくれたのだと。

それで休むタイミングを失ってしまったそうでございます。」



え?ボクその話知らないよ?? ノボリいつから聞いたんだろ。

あ、ボクがに連絡した時かな?

あれから、ノボリすっごくの心配してたもんね。



「あの、お人好しが…」



「お人好しって悪い事?騙そうとする人より、ずっとボクは好き。

達が心配して怒ってるのはわかる。でもね、ちょっと怒り過ぎ。

昼間あんだけ具合が悪かったの今だって完全に治ってないはず。

それなのに、更に怒るとかちょっと酷すぎると思う。

達がそんな事するなら、ボク達連れ戻して

ここでゆっくり休んでもらう。疲れには寝るのが一番!」



達の気持ちもわかるけど、だからってやりすぎ!

それにどうも達を見てると、が女の人だって忘れてるよね。



達はわらかないでしょうが、最初にをベンチで見た時は

ムウマ、ハピナス、ルカリオ達が癒し系の技を繰り出して

多少改善してたにしても本当に、すぐにでも救急車を呼ぼうかと

その位ひどい状態だったのですよ?」



「まぁ、確かに怒りすぎたとは思う。でも、マジでその位心配したんだ。

またどこかで倒れてるんじゃないかって、だからつい熱くなっちまった。」



「余計なご心配をかけさせてしまって申し訳ございませんでした。

ですが、あなた達はもっとを労わってあげてもいいのでは?

は正真正銘、間違いなく女性でございますよ?

抱きかかえて運んだ時など軽すぎて驚いてしまいました。」



うーん、よし!はノボリに任せた!ボクはすっごく怖いけど

の所に行って、を助けなくちゃ!

またすっごく怒られてるんだったら連れてきてこっちに泊める。

それじゃないと、が可愛そうだもん。

二人の横を通り抜けてボクはの部屋に向かった。


ドアチャイムを押せば、少しした後でが出てきた。



「クダリだけかな?まぁいいや、どうぞ。」



あれ?そんなに怒ってない?

ボク、すっごい覚悟してきたんだけどちょっと拍子抜け。


初めて入るの部屋はがコーディネイトしたとか信じらんない位

柔らかな色と暖かい雰囲気でに似合ってるかもしんない。



「ちょっと静かにしてくれよ。今寝たばっかりだから。」



リビングのソファを見てみれば可愛い部屋着に着替えた

ソファでリザードンに髪の毛を拭いてもらいながら寝ていた。

このコがトウヤ達の言ってたの色違いのリザードンかな?

すっごくよく育てられてる。そして何げに高個体値かもしんない。

が手招きしてるからキッチンのカウンターテーブルに座った。



「もうちょっとしたら爆睡するはずだからそれまで静かにね。

俺がまだ、を怒ってると思って心配して来てくれたんだろう?」



が笑ってボクにコーヒーを入れてくれた。

うんって頷いてから飲んだコーヒーはなんだか優しい味がする。



「おう、は…寝たのか?」



静かにドアが開いて荷物を持ったとノボリも入ってきた。

荷物を置いて二人共カウンターテーブルに座る。



「風呂も入ったか。んで、飯はどうだった?食えてたか?」



からビールをもらって一気飲みしてからに聞いた。

ちょっと待って、食えたかって…あ、そういえばお昼も

殆ど食べてない。ボク達の部屋に来てからもご飯はいらないって

そのままバルコニーに行っちゃったんだっけ。



、もしかしてご飯食べれなくなってる?」



ボクの言葉にビックリしてノボリがこっちを見てる。

うん、ボクもが言うまで気がつかなかった。



「おそらくは、あっちでの4日間殆ど固形物を口にしてなかった

せいぜい栄養ゼリーとかそんな感じの食事だったと思うよ。」



「私達が夕食を勧めてもタバコが吸いたいからと、すぐに

バルコニーに出てしまわれましたのは…もしかして…」



そっか、食べないじゃなくて食べられなかったんだ。

そんな身体に負担かけてまでとかホントにお人好しすぎるんじゃない?

確かに嫌いじゃないけど、自分を大切にしないのはダメだと思う!



「食べれなかったからと、体調悪いのを見せたくなかったからかな?」



「バルコニーではそんな素振りは全く見られなかったのですが…」



うん、普通にタバコを吸ってボク達と笑ってた。

顔色は確かに良くなかったけど、昼間の今なら仕方ないって思ってた。



の空元気とやせ我慢はマジですごいからな。

だから無理やりにでも飯食わせて風呂に入れて身体が疲れてるって

自覚させてやらないと眠って体力回復もできないんだ。」



がビールを一気飲みして苦笑いしてる。

そっか、ボク達余計な事しちゃってを休ませる時間減らしちゃった。



「クダリ、そんなに気を落とさないでほしいな。元はといえば

オレ達がを放置したのが原因なんだからさ。」



が笑って言ってくれるけど、でも…



「むしろ見つけてくれたのがお前たちで感謝してるよ。

下手したらどっかでまたぶっ倒れてたかもしれないからな。気にすんな。」



そう言って、がボクの頭を笑いながら撫でてくれた。

でもさ、二人のに対する気遣いってすっごくわかりにくいと思う。

普通に面倒見てあげればいいのに。



「もしかして、は素直に気遣いを受け取らない方なのでしょうか?

普通に言っただけでは大丈夫とか言ってごまかしてしまうような…。」



あ、そう言う事だったら納得するかもしんない。

でもノボリよく気がついたね。



「うん、手を差し伸べただけだと絶対その手を掴まないね。

大丈夫だよ、なんでもないよって言って。」



「だから、無理やりにでもとっ捕まえて実力行使するしかないんだよ。

てか、ノボリお前よく気がついたな。」



二人がノボリを不思議そうに見ている。ノボリはクスッと笑って僕を見た。

え?何がどしたんだろ。ボク何もしてないよ?



「そう言う所はクダリとそっくりでございます。

ギリギリまで無理をして、いくら手を差し伸べても大丈夫、オッケー!と

成程、私がどうしてが気になるかわかりました。

クダリと同じ様で他人とは思えないからなのででございましょう。

そういう事でしたら、私も協力させてくださいまし。」



「えー、ボクこんなに自分を大事にしない事ない。無理もしない!」



そこで、どうして三人とも首を振るのかな?ボク倒れたことなんかないよ!

あ、でもいつもギリギリの所でノボリがストップかけてくれてる…

ボクとってやっぱり似てるのかな?って不安になってきた。



「無自覚って一番厄介なんだけどな。」



「そんな所までにそっくりとか、ノボリも大変だったな。」



「えぇ、クダリは男なだけにかなり骨が折れますが

は女性ですので楽勝だと思いますから協力は惜しみません。」



「あ、ボクも協力するよ!結構そう言うの見抜くの得意だから

危なくなりそうだったら実力行使しちゃう!」



ボクがそういったら、自分のことを考えろとか皆に言われちゃった。

うーん、よくわかんないけど気をつけてみようっと。


ボク達がそんな事を言って笑ってたら、リザードンが小さく吠えた。

全員でそっちへ行ってみれば、がグッスリと眠ってる。



「ようやく爆睡モードに入ったか。お騒がせ娘が。

んじゃ、俺はベッドに寝かせてくるからこっち頼むな。」



が壊れ物を扱うみたいにを抱え上げた。

うん、二人共の事がすっごく大事なんだってよくわかった。



のあの部屋着可愛いね!ちょっと露出多いけどスタイル良いから

すっごく似合ってた。」



ボクがそう言ったら、顔を赤くしたノボリに怒られた。

自分だって胸の谷間とか太ももだとかガン見してた癖にひどい!



「あれは俺のチョイスなんだ。褒めてくれて嬉しいな。」



「「えっ?」」



を二人同時に振り返ってみたら、すっごく満足そうな顔してた。



「最初に見せた時は凄く嫌がってたんだけどね。問答無用でひん剥くよって

言ったら泣きながら着てくれたよ。うんうん買った甲斐があったね。」



「確かにとても可愛らしくてその…良くお似合いでございましたが

なにも泣くほど嫌な物を着せなくてもよろしいでしょうに。」



ノボリがまだ赤い顔してボソボソと言ってるけど

それって、全然説得力ないと思う。でも、ノボリもやっぱり男だったね

そういうの見ても反応しなかったらどうしようと思った。



「これだけ心配させたんだから、そのくらいの罰は受けて当然だよ?」



うわー、やっぱり怖いよ!その笑顔がすっごく怖い!!



「…私達はせめてもう少し穏便にを労わりましょうね、クダリ。」



ノボリがボクの肩に手を置いて真顔で言ってきた。

うん、ボクもにはもうちょっと優しくしてあげようと思った。

ボクもノボリの肩に手を置いて真顔で頷いた。

、大変だと思うけど頑張れ!超頑張れ!!