2015 White Day
恋は戦争
仕事は順調に終わってボクとノボリは定時で家に帰った。
それぞれシャワーも浴びてポケモン達の体調チェックも終わらせたから
ボクはにメールを入れた。
「クダリ…私、やはりこの場にいない方が良いと思うのですけれど?
と言うか、全力で自室に戻っていたいのでございますが…」
ノボリがポケモン達をボールに戻しながら情けない顔してこっちを見てる。
確かにと二人で話したいけど、いきなり本題ってのもちょっとね…
「はノボリも一緒にって言った。もしノボリがいなかったら
それはそれでこっちが気まずくなるなら我慢して?
ご飯食べ終わった後でだったら好きにして構わないから。」
そんな話をしてたら、が容器をたくさん持ってやってきた。
リビングに通して、そこで3人でご飯を食べ始めたけど沈黙が辛い。
それはノボリもだったみたいで、珍しく色々話しかけているし…
いつもは凄く美味しいのご飯なんだけど味がしないよ!
ご飯を食べ終わった後、はタバコを吸いにバルコニーに向かう。
いつもはノボリも一緒に行くはずなのに、今日は食器を洗うとそのまま
ボク達に明日の仕事の準備があるって言うと部屋に帰っちゃった。
ココアの用意をしていたら、バルコニーからが戻ってきた。
マグカップに入れたそれを持ってリビングのテーブルに置くと
はソファーに座ってゆっくりとココアを飲み始める。
その顔はいつもとおんなじだけど何を考えてるのかさっぱりわかんない。
こんなんじゃダメだ、やっぱり切り出すのはボクからだよね?
「、達から聞いた。達の所じゃ今日ってホワイトデーって
バレンタインデーのお返しの日をする日なんだよね?これ…受け取って」
テーブルにラッピングされたのを2つ出せば、が小首をかしげる
「お返しをもらうためにやったわけじゃないけど、やっぱり嬉しいです。
ありがとうございます…んで、2つあるのはどうしてなんですか?」
「ボク、から2つもらった。だからそれぞれのお返し。」
さぁ、ボクから始めさせてもらう。この後でがどう出るのか…
それでボク達のこれからが決まる大事な局面。
不思議そうな顔をしながらラッピングをあけて中身をとりだす。
ひとつは可愛い小瓶に入った綺麗なキャンディ、これはクッキーのお返し。
んで、が苦笑いして指さしてるのは…ダイヤのプチネックレス。
ホントは指輪にしたかったけど、受け取ってもらえない可能性が高いからね
溜息をついて苦笑いしてる…その意味はどーいう事なんだろう…
でも、ここで先にボクが話をするべきじゃない。に聞いてもらわなきゃ!
「これの意味はわかりますけど、こっちがわかんないんですけど?
こんな凄い物がお礼なんて、クダリさんの金銭感覚が信じらんないですよ。」
「はどーしてボクに個別にトリュフをくれたの?
バレンタインデーのそっちの習慣は知ってる、言い訳は通じないから。」
「職場の上司としてと、友人としてって事だとは思わないんですか?」
「それじゃ聞くけど、ノボリはトリュフをもらってないよ?」
「………」
黙り込んだに考える暇なんてあげない。
そんな事をしたら色々考えてはもっとはぐらかそうとするにきまってる。
「ボクは…がボクだけにトリュフをくれて嬉しかった。
の中でボクは特別なんだって…ボクと同じ気持ちなのかなって思った。」
「クダリさん、待ってくださ…「待たない、ボクはが好き。」……」
「何度でも言う、ボクはが好き。」
「…私もクダリさんが好きですよ?だからマスコミ対策に協力してるでしょう?
それじゃなきゃこんなめんどくさい事につきあってませんよ。
いつか…いつかクダリさんが本当に好きな人を見つけるまではって我慢して
色々言われても反撃もしないでいるのは、クダリさんが大切だからですよ。
大切な友人をマスコミにオモチャにして欲しくないですからね。」
「に聞かないで勝手にマスコミに言った事はあやまる。
でも、周囲をウロウロされたくなくて、色々騒がれたくなくて言った事。」
「でも結局騒がれちゃってますよね?ウロウロされてますよね?
連中はしつこいですからねー、ここは私を振った事にしちゃって
しばらくは一緒に遊びに出かけたりしない方が良いと思います。
きっぱりとやらなきゃ駄目、そうじゃなきゃ連中は納得しませんからね。」
どうしてこんな事を言うの?ボクが君を振るなんて無理。
マスコミに格好つけてるけどの本音が見えてこない。
ぼくを好き、大切って気持ちは知ってるよ?でもボクの聞きたい好きじゃない。
ボクがここまで言ってるのに、そんな事しか言わないのは…ダメなんだろうか?
の顔が直視できなくて、下を向く。視線の先に固く握られたの手…
白くなるくらい強く握ってるなんて、どれだけなんだろう…
もボクの事を好きって思うのは読み間違いだったんだろうか?
今までを振り返ってもボクとノボリを分け隔てなく接してる事しか思い出せない
ボクはこのまま友達として、誰かがを攫ってくのを黙って見てるだけ?
「次にマスコミに会った時にフラレたって言っておきますから
その後、色々うるさいと思いますけど一時の事だからお互い我慢しましょう。」
何も言わなくなったボクを見ては笑ってソファーから立ち上がった。
こんな状況で帰したくない。今ここで帰しちゃったら取り返しがつかない
「それじゃ…おやすみなさい。」
「待って!ボクの話は終わってない!!」
部屋を出ていこうとするの手首を掴んでとめた。
ボクの方を見ないで話す事はもうないって言うけど…それは違うでしょう?
ボクは目の前の握ったの掌を開かせる。そこには痛そうに爪痕がついていた。
「うぎゃっ!クダリさん、何するんですかっ!!」
「何も、の掌、痛そうだと思って?
自分で気がついてないの?こんなにくっきりと爪痕ついてる。」
掌をいきなり舐められたらビックリするのも仕方がないけど、問題は別。
形勢逆転の大チャンスがきたかもしんない。ここで一気に行かないと逃げられる
のやせ我慢と空元気は手ごわいってのをすっかり忘れてた!
「あのね、普通に話してるならこんな風になるまで手を握ってる?
は何か言いたい事があるのに我慢してるんじゃないの?」
「……無いですよー。さっき好きって言われてビックリしたからですよ?」
「、言いたい事を我慢する時と自分の気持ちを隠す時はこうする。
今まで何回そーやって傷をつけたの見てると思ってるの?言い訳はきかない。」
「……別に私は何も隠してないですよ?気のせいですってば。」
ボクの手を振り解きたいんだろうけど、そうはさせない。
壁に追い詰めて、の足の間に自分の膝を入れて逃げ道を塞ぐ。
「、逃げようとしないで。ちゃんとボクの顔見て。」
いつものスマイルなんて今は欠片も見せてない。すっごく真剣。
ノボリじゃないけど、後はもう体当たりするしかなくなっちゃった。
俯いたまんまのの顎に手を添えて上を向かせたら、その顔はさっきとは違う
熱でもあるんじゃないかって位に真っ赤になってた。
「…どうしてそんなに顔を赤くしてるの?友達ならそんな風にならないよね?
ねぇ、は恋は秘め事って言った。でも言う時は言わなきゃでしょ?
ボクはを女性として好き、愛してる。は?」
額同士がくっつきそうなくらい近づいてボクはもう一度告白する。
とうとうも諦めたみたいで溜息をついてから、ボクの胸に手をあてて
「マスコミが五月蝿いから、カムフラージュしてたんじゃないんですか?」
「そっちが言い訳、だってそー言えば他の誰かがに言い寄ったりしない。
ボクが相手だってわかって張り合おうなんて男はいないと思うよ?」
「うわーい、その自意識過剰っぷりに呆れるぞー!策士過ぎでしょう!」
「戦略と先読みが得意なダブルのサブウェイマスターは伊達じゃないよ?」
うん、そーいうのも含めてのマスコミへの対応だったし?
現にボクが宣言してから、色々とを誘ってた男達の影はなくなったしね。
ちょっと得意気にそう言ったら、が目の前でピッピみたいに指を振った。
「でもこれだけは言っておきますよ、私はそのせいで随分悩んだんですからね?
クダリさんが私を好きかもってのは結構前から気がついてたんですよ。」
「うん、ギアステ職員の殆どが知ってる位だし?それで?」
「凄く嬉しかったんです。でもクダリさんはカムフラージュって言ってたし?
敵を騙すにはまず味方からって言葉もありますからねー、そうなのかな?って…
それじゃあ私の気持ちなんて迷惑になっちゃうから、合わせてたんです。」
マスコミへのカムフラージュってのに随分こだわるも不安だったって事?
ちゃんと言ってくれればすぐに答えたのに!あ、そんな事する子じゃなもんね。
「ボクもが無理して合わせてくれてるんだと思ってた。
ボクの気持ちを知っててもそんな素振り見せてくんなかったし?」
「それが恋は秘め事ってヤツなんですよー。
まぁバレンタインにトリュフを渡したのは賭けだったんですけどね。」
「え?」
「どーせ情報は辺りから流れてくるだろうし?
何の反応も無いならもう諦めようと思ってたんですよ。だからギリギリセーフ?
我ながら大博打したなと自分で自分を褒めてあげたいですよ。」
ちょっと待って、つまりボクも皆もの計画に乗せられたって事?
ビックリしてるボクを見て、はニヤリと笑った。
「戦略と先読みと相手の動きを読んでその先を動かなきゃならない
マルチバトルを得意な私を舐めんなってんですよ。」
やられた!マルチじゃにかなわないもん。
でも悔しいって気持ちより、今は嬉しいって気持ちで胸がいっぱいかもしんない
「うん、舐めてたボクを許して?後、不安にさせてゴメンネ。
これからはそんな事無い様にいっぱい好きだって言う。大好き!!」
抱きしめたら、おずおずと背中に手をまわすが可愛くてしかたない。
二人共おんなじ気持ちだったのに色々先読みしすぎて遠回りしてたのかと思うと
すっごく時間を無駄にしちゃって勿体無い事してたよね!
「んじゃ、マスコミへの対応はこのまんまで良いですね?
後は仕事中は今までと同じ様にして欲しいんですけど、大丈夫ですか?」
「りょーかい、恋は秘め事…でしょ?でも二人の時は別だよね。」
「程々になら?ぶっちゃけこっから先は未知の領域なんでー。」
「その領域はボクが教えるからオッケー!」
それも怖い!と言って、ボクの頬にキスをしては戻っていった。
部屋に入ってからどっと疲れてソファーにダイビングする。
ホント疲れた!でもこれでと両思いだと思うと嬉しくて仕方がない。
「あー、キス位しておけば良かったかもしんない。」
帰ってから気が付くとか、どれだけ余裕がなかったんだろ。
ってか、逆にの方が開き直った?後は余裕たっぷりっぽかったよね。
勝負をかけたのはボクだったけど、そう仕向けたのはだ。
念願の両思いになれたけど、ボクが動かなかったらそうはならなかったって事?
「ボクは良いようにに動かされたって事?」
駄目だ…考えれば考えるだけ負けた気がする。
結果はオッケーでもなんだかすっごく悔しいかもしんない。
モヤモヤしたまま、ノボリの部屋に言ったらももやっぱり来てて
今の出来事を報告したら、大笑いされながらだけどおめでとうって言われた。
「恋は秘め事…がそういう駆け引きが出来るとは思いませんでした。」
「俺等の地方じゃ察して動けるのが当たり前だからな。
言われて動くようじゃ使い物にならないって良く言ったモンだぞ。」
「ホワイトデーの情報を俺達がテメェに流すのもわかってたってか?
それもムカつくが、今回ばかりはの方が上手だったみてぇだな。」
「まぁね、なんだか目的は果たせたんだけど何かに負けた気がする…」
女ってのはそんなモンだ!なんてもも言ってるけどその通りかも?
でもやられっぱなしじゃいられない、ボクだって負けてらんないもん。
今度はがボクのお嫁さんになる様に出発進行するよ!