11月22日は良い夫婦の日! 2014
Soul Mate
地図に書かれたとおりの場所に来てみれば私の家とよく似た外観の場所。
ドアをノックして待つ事しばし、目の前に現れた女性は外観は違えど
身にまとっている雰囲気が私の恋人と非常に似ておりました。
「Mr.インゴと…さんですね?うわーホントにインゴさんと似てる!
はじめまして、ようこそ別世界のユノーヴァへ!どうぞ入ってください。」
カントー系の顔立ちはよりも丸みを帯びており
癖の無い長い髪はビロードの様な光沢、そして瞳は黒曜石の様です。
幾分彼女の方が年が若いのかもしれませんが、落ち着いた雰囲気は
既婚者ゆえのものなのかもしれません。
出された紅茶を一口飲めば私の好む香りで自然と一息ついてしまいました。
「えっ、さんはそこの出身なんですか?近い、近いです!
それじゃあ地下鉄駅近くに北欧とかってありました?」
「パン屋さんでしょー?うわーい、職場がその近くでお昼のパンとか
休みの朝用のパンとかそこで買ってた!懐かしいなー。」
女性二人はすっかり意気投合した様子で話し込んでおります。
私の知らない単語ばかりですが彼女達は共に頷き合い笑っております。
これはしばらく二人きりで話をさせた方が良いのかもしれませんね。
窓から外を見れば庭にベンチが置かれてあり、タバコを吸うという口実で
私は二人から離れて外にでました。
ベンチに腰掛け目を閉じれば、木々を渡る風の音がして和みますね。
「インゴ様…こちらでございましたか。」
どれだけの時間が経ったのでしょう、いつのまにか眠っていた様ですね。
呼ばれた方に目を開けて見れば私服姿のこちらの私がおりました。
「失礼ですが隣に座っても?女性たちはまだ話し込んでおりますので
邪魔をするのもなんでございますので…」
「ここは貴方様の家、私に断る必要はございません。」
「確かに、では私達も少々話をいたしませんか?」
彼はそう言って自分と彼女が結婚するまでの経緯を話してくれました。
途中の内容はともかく遠距離での交際というのは共通してますね。
私もとの馴れ初めと現在に至るまでを話せば
「やはり様も恋愛を避けておりましたか…。
事情は違えどその状況は同じ、なかなか気苦労も多くて大変でしょう?」
私がタバコを差し出すと、自分は吸わないのだと断りを入れてから
私を見て、こちらの私は目元を細められました。
「気苦労の大部分は恋人同士に関係が変わってかなり減りました。
もう一度同じ事をやれと言われたら、言った輩を蹴り飛ばしますけれどもね。」
「ふふっ、私も同じでございます。インゴ様のお心は既に決まってるのですね。
後は様次第…ですが、逃がすつもりは無いのでしょう?」
獲物を狙う肉食獣の様な雰囲気に、やはり彼は私なのだと納得いたしました。
えぇ、一度手の内に入り込んだものを逃すつもりはございません。
「私の気持ちに区切りがついたら…全てはそれからでございます。」
「区切り?」
自分の父親の様な愛し方を多分私はにしてしまうでしょう。
今は恋人という立場だからこそ一歩離れた物言いができるのです。
夫婦になってしまえば、私の愛情はを縛り付けてしまう。
そして愛しく思う彼女の本質すら変えてしまいそうで怖いのです。
「共に有りたいと望んでも、恋愛と結婚は別でございます。」
そう言ってタバコに火をつけた私を彼は黙って見ておりましたが
ゆっくりと首を横に振って本当に?と聞き返してきました。
本当もなにも、大概世間ではそう言われているではありませんか。
「インゴ様ひとつお尋ねいたしますが、彼女の…様の居ない日々を
貴方様はこれから想像ができますか?平気でございますか?
肝心なのは、今後彼女なしで貴方様が生きていけるのかでございます。」
「それは…」
「もっとも根本的でかつ重要でございますよ?
あぁ、あちらの話がおわったようでございますのでこの話は終わりにしますが
インゴ様、私の言葉をよく考えて自分の心に素直におなりなさいまし。」
そういって私の隣から立ち上がり彼は家の中に入りました。
がすれ違いざまに彼と何か話してから私の元にやってきて
「いやーすっかり話し込んじゃいました。
インゴさんは気を利かせて離れてくれたんでしょう?お待たせしました。」
「お前が満足したらそれで…?!」
構いません、そう言おうとした私にが抱きついてきました。
非常に羞恥心の強い彼女がこの様な行動をとったのははじめてです。
「えっとですね、こっちのインゴさんの奥様と色々話をしてて
私もちょっと思うところがありまして?柄じゃないんですけどねー
今はインゴさんにギュッってしたくなっちゃいました。」
「奇遇でございますね、私もこちらの私と話をして考える事がありました。
お待ちなさい、離れる事は許しません。このままでいなさい。」
恥ずかしい!と言って離そうとした身体を今度は私が抱きしめて
今のインゴ様の言葉を思い浮かべます。
あぁ、やはり私の中で答えは既に出ております。
「なんだか初々しいですねー。うちらもあんな時がありましたよね。」
「あちらの世界の貴女も非常に恥ずかしがり屋の様ですね。
お二人共、せっかくの二人きりの休日。はやく元の世界へお戻りなさいまし。」
私達のやり取りを、こちらの二人は寄り添い、笑いながら眺めておりました。
ぎゃー!という色気の無いいつもの叫び声をあげて、慌ててが離れます。
戻って二人きりになりたいのも事実ですが、それよりも互いに何を話したか
それを話しあう必要がありそうです。
4人で近くの公園に向かい、隣接しているバトルフィールドに立ちました。
バトル形式は共に帰る事のできるマルチバトル。
どんな勝負であれ私は負けるつもりはございません。
「オノノクス戦闘不能!このバトルインゴ様と様の勝利にございます。」
マルチが苦手というこちらの私とその奥方様相手に負けるはずもありません
ポケモンをボールに戻した瞬間に私との周囲に光の玉が現れました。
ミッションコンプリート、元の世界へ戻されるようでございます。
「さん、自分の気持ちに正直になってね?」
「インゴ様、様、お二人が私達の様に幸せになる事を願います。」
「お二人共ありがとうございました、いつまでもお幸せに、お元気で!」
「ありがとうございました。」
の肩に手を伸ばした時、光がはじけて一瞬のうちに世界が変わりました。
どうやら無事に元の世界に戻れた様でございます。
時間もハイリンク後2時間程で、二人で安堵の息をもらしました。
それから家に戻り夕食の後に互いに話した事について話し合いました。
その内容はは私の気持ちに確実な変化を起こさせるには十分でございます。
いずれそうなれば…そう思って夢見ていた事をあちらの私は既に成したのです。
彼に出来て私に出来ない、そんな事はないはずでございます。
夜も更けて恋人同士になっても清らかな関係のままの私達の寝室は別で
今日もお休みのキスをしてそれぞれ眠りにつきました。
次の日は家でのんびりと互いに本を読んだりポケモン達と遊んだり
いつもと変わらぬ時間を過ごします。
「次の勤務予定ができたらお知らせしますね。」
イッシュに戻る時間が来て、リグレーを手にが私に笑いかけました。
しばしの別れのキスをした後、私達はどちらからともなく抱き合いました。
今生の別れではないのに、心がちぎれる様に痛むのは気のせいではありません。
躊躇する理由もないのなら、後は動けば良いだけなのですから。
「、これを渡します。」
そう言ってに向かって投げたそれを条件反射で受け取ってから見て
の目が驚きで見開かれるのを見逃しませんでした。
「インゴさん、ちょ、これって?!」
「それが何を意味するかは自分で答えを出しなさい。
私の心は決まってるのでお前もハッキリさせなさい。返事は次で結構です。」
「うわーい最終宣告?でもまぁ…私の答えも決まってますよ?
インゴさんがそのつもりなら、次に会う時までには色々ハッキリさせちゃいますね。」
「…お前は」
「返事はこの次、ですよね?リグレー、テレポート!」
そう言って私が渡したそれ…の誕生石をあしらったリングを
自分の左薬指につけてから、私を見てニヤリと笑うとその姿が消えました。
「男前…その言葉がピッタリすぎでしょう。」
すでに答えをもらえたのですが、やはり直接彼女の口から聞きたいですね。
恥ずかしがり屋の彼女が何と言ってくれるのか、今から楽しみでございます。