Joyeux Noel  後編 -2013 X'mas in ユノーヴァ <br><br><small>※注意※<br> 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。<br>許せない、ダメだわー、と言う方はブラウザを閉じてお戻りください。</small>-

Joyeux Noel  後編

2013 X'mas in ユノーヴァ

※注意※
 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。
許せない、ダメだわー、と言う方はブラウザを閉じてお戻りください。



その後場所をダイニングからリビングに移して

チーズとクラッカーを肴に、モールドワインやリキュールを楽しみます。

途中で、エメットが用意したクリスマスクラッカーにが驚いて

そして中に入っていた紙の王冠を私に乗せて大笑いしております。



『あー、楽しい!こんなに大笑いするとか久しぶりですよ!

結構酔っ払ってもきてるんで、先にお二人にプレゼントを渡しますね。』



『それじゃ、ボク達もプレゼントを渡すよ。』



『そうですね、今回はの意志を尊重して一人にひとつでしたが

来年はこちらの風習に合わせていただきますよ?』



ユノーヴァでは、プレゼントは一人にいくつ渡しても良いのです。

私もそのつもりでおりましたが、が一つにして欲しいと言うので

渋々ではございますが、了承したのでございます。



『インゴって結構プレゼントとか好きだよね!

カフリンクスでも、このデザインは凄くお洒落だよね。うん、ありがと!』



『そういうお前もイベントやプレゼントは好きでございましょう?

サスペンダーとアームガーターのセットとはお前にしては上出来ですね。』



『二人共好きだという事でいいんじゃないですか?

センス良いですよね!このバレッタ、ハンドメイドでしょう?

細かな細工と色使いが凄く綺麗…エメットさん有難うございます!

こっちのピアスは…インゴさん、これってオーダーメイドじゃ?

何気にエンゲージリングと対っぽいんですけど、このピアス…』



にプレゼントするなら、世界で一つしかない物じゃなきゃね。

ちょっと着けてみてよ、…うん、やっぱり良く似合ってるよ!』



『今つけているアクアマリンも似合っておりますが、

やはりそこは、私の瞳の色と同じ物をつけるべきでございましょう?

同じデザイナーに頼んで作ってもらいました。』



エメットの選んだバレッタも確かにに似合っておりますが

私の選んだピアスも柔らかな彼女の雰囲気を壊すことなく馴染んでいて

とても似合っておりました。



『うわー、こんな素敵な物に見合うプレゼントじゃないですよー。

いや、気持ちだけは負けないんですけど…ねぇ…。』



少々、しょんぼりしてしまったに私とエメットは顔を見合わせます。

からのプレゼントは何やら柔らかく、そして少々大きい袋入りで

二人同時に開けてみて、一瞬言葉を失いました。



、これって市販品じゃないよね?が編んだの?!

ちょっと待って、これって凄くデザインとか凝りまくってるでしょう!

それにかなり良い毛糸使ってるでしょ?うわ、色もボク好み!

凄い、凄いよ!母様以外の人からもらえるなんて思わなかったよ!』



『…、貴女はこの由来をご存知なのでございますか?』



私とエメットが彼女からプレゼントされた物は手編みのセーターでした。

ですが、普通のセーターとは違います。

ユノーヴァ地方に古くから伝わる手法で編まれた伝統のある物で

主に母親や妻が、家族の為にだけ編む物でございます。

エメットにはクリームベージュ、私にはブルーグレーの毛糸で

細かな模様が何種類も入れられたそれは、彼女のオリジナルなのでしょう。



『色々調べたので、知っています。ホント驚きましたよ。

私のいた場所の違う地方でも同じ様なセーターが作られていたんです。

その家々によって模様が違うとか、同じ模様は1着も無いとか…

その理由も知ってます。フィッシャーマンズセーターと言う呼び方も同じ』



そう言って、彼女は目を閉じて薄く笑みを浮かべました。

この仕草は彼女が故郷を思っている時の表情で、いつも寂しそうなのです。



『向こうでも家族にこうやって手編みの物をプレゼントしていたんです。

母にはカーディガン、父にはセーター、弟にはマフラーと帽子って感じで…

こっちに来て、一人になってしまってからは二度とそんな事は出来ないって

そう思ってました。編み物すらするつもりもありませんでした。

でも…今、こうやってまた家族へプレゼントする事が出来ました。』



私とエメットは黙っての話の続きを待ちました。

彼女の口から家族の話を聞いたのはこれで2度目、エメットは初めてです。

その時は涙が幾筋も彼女の頬を伝い流れておりましたが、今日は違いました。

ゆっくりと目を開けてから私達を交互に見つめて、柔らかく笑います。



『インゴさんと、エメットさんが私の家族になってくれた。

今はこの奇跡に感謝しています。

もう、会うことの無い家族にも自慢したいですよ。

素敵な人が私の旦那様になって、そして素敵な年上の弟も出来たんだよって。』



…』



エメットがをハグしました。

本来であれば蹴り飛ばしている所でございますが、今回は大目にみます。



『ボクもインゴも、もう自分の家族とかっていないんだよ。

唯一親戚って呼べる人は、従兄弟のノボリとクダリだけだしね。

だからこうやって、暖かなクリスマスなんて凄く久しぶり。

ボク逹は不思議なめぐり合わせで、こうやって家族になったよね?

が家族になってくれて、インゴにも感謝してる。

キミは自慢のボクの義姉さんだよ!』



エメットがから離れたので、今度は私が彼女を抱きしめます。



『インゴさん…私…』



『何も言わなくてもよろしいですよ?

は私にとって最高の妻で、愚弟には勿体無い義姉でございます。

きっと私達の両親も素敵な娘が出来たと喜んでいるでしょう。

あの二人は娘が欲しかったと、ずっと言っていましたからね。』



『うん、言ってたよね。

だから小さい時には女の子の服を着せられたりしたっけ。

父様も母様も喜んでたから、ボク達も笑ってたけどさ

今考えたら、とんでもない事だよ。ホント、酷い話だよね!』



エメットが冷えたシェリー酒の入ったグラスを私達に渡しながら

思い出したように笑っておりますが、そんな事も確かにありましたね。



『ありがとうございます。って、それ凄く見たかったかも!

あ、お二人なら今でも女装しても美人さんだと思いますよ?

見たい見たい!今度是否見せてくださいよ!』



リビングのソファーに座り直して、其々につまみを適当に口に入れながら

再び軽口を言い合います。

明日も通常以上の業務がございますが、今は忘れてしまいましょう。

どうせ、この位のアルコールなど水の様な物でございます。



『あ、雪が降ってきましたよ!ホワイトクリスマスとかベタすぎ!

でも、一生の記念になる日になりましたからこの位の演出があっても

それはそれで、きっとアリなんでしょうね。』



『今日だけが記念日とは寂しいでしょう?

これから毎年、こうやって楽しい時を過ごせば良いだけの話です。』



『フフッ、そうですね。

来年にはエメットさんも素敵な人をゲットしましょうよ。

家族が増えるのは大歓迎ですから、頑張ってくださいね?』



『それって、インゴのプロポーズに何年も答えなかった人の言うセリフ?

それに、家族をもっと簡単に増やす方法があるでしょ?』



エメットがニヤニヤしながら言った言葉の意味を

私は直ぐに理解できましたが、はまだピンときていないようですね。



『インゴ、来年のクリスマスならまだ間に合うよ?

ボク、甥っ子か姪っ子に沢山プレゼントをあげたいんだけどな?』



『ふむ…お前の言葉に乗せられると言うのは不愉快ではございますが、

その提案には私も賛成いたします。、どうでしょうか?』



『え?あの…ですね、その件についてはー…うん、私も賛成したい…かも?』



いつもの様に恥ずかしがって逃げ回ると思っておりましたが、違いました。

アルコールのせいだけではない、その頬の赤みと恥じ入る姿の前には

私の理性など無いに等しいも同然でございます。



『ちょ、インゴさんストップ!その手の動きは怖いですってば

今日はエメットさんもいるんですよ?何考えてるんですか!』



『って事はさ、明日からなら良いんだ?

インゴ、明日から定時で帰っていいよ。すっごいバトル、期待してる!』



『了解いたしました、お前は来年のクリスマスに向けて

今からプレゼントリストを作っておきなさい。

では、明日からはいつも以上に愛して差し上げますので

夜に向けて体力を温存しておく様にしなさい。』



エメットがモールドワインの入ったグラスを私に向けて掲げているので

それに応えるように、シェリー酒のグラスを掲げます。

来年は今以上に、素敵なクリスマスを迎える事でございましょう。