Joyeux Noel  前編 -2013 Xmas in ユノーヴァ <br><br><small>※注意※<br> 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。<br>許せない、ダメだわー、と言う方はブラウザを閉じてお戻りください。</small>-

Joyeux Noel  前編

2013 X'mas in ユノーヴァ

※注意※
 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。
許せない、ダメだわー、と言う方はブラウザを閉じてお戻りください。



『ねぇ、ホントに良いの?』



愚弟のこのセリフはもう何度目でしょうか?

いい加減同じ事を答えるのにも飽きてきたので無視すれば

後ろでブツブツとなにやら言っております。



『そりゃ、クリスマスパーティは家族揃ってがセオリーだろうけど

ボクとインゴは今までそんな事やってないでしょ?

まして新婚夫婦の家に泊まり込むなんて、やっぱりマズイよ。』



えぇ、本音を言えば私だって夫婦水いらずで初めてのクリスマスを

過ごしたいとも思いました。ですが、そういうわけにもいかないでしょう。



『エメット、はっきり言いますが私は別にお前が来なくても

全く問題はございません。ですが、にとっては初めての

ユノーヴァでのクリスマス、風習で言えば家族で過ごすものでしょう?

彼女に家族はおりません。私達にもです。』



ここまで話して、愚弟は私の言いたい事を理解したようですね。

えぇ、に家族とのひと時をプレゼントしたいのでございます。



『そっか、ってハイリンクみたいな感じでこっちに来て

そして、戻れなくなったんだっけ?』



『えぇ…本来、別な世界には家族はキチンといらっしゃるのです。

しかし、こちらの世界では家族と呼べるのは私とお前だけ。

この意味、お前でも理解できるでしょう?』



両親を亡くした私達と違い、の両親は健在なのに会う事が出来ない。

それが何程の寂しさなのか、私には計る術を持ち合わせておりません。

甘える事が苦手だというのも、恐らくはその辺が関係しているのでしょう。



って結構寂しがりっぽいから、それは辛かっただろうね。

うん、そう言う事だったら遠慮なくお邪魔させてもらうよ。

楽しいクリスマスにして、に楽しんでもらわなきゃね!』



やっと理解した愚弟に、内心で感謝の意を述べつつ

仕事を定時で終わらせて、帰り支度を始めます。


家路の途中の花屋でエメットが足を止めたので

私も釣られてそちらを見れば何かを注文しているようですね。

店員から受け取った鉢植は、タイムリーな物と言えましょう。



『クリスマスフラワーなんて、ボクが買う事無いと思ってたよ。

でも、この花言葉は好きで覚えてたんだよね。』



愚弟がその様な少女趣味な発言をするとは考えた事もなかったですね。

それにしても、花言葉は…



『インゴ、勘違いしないでね。確かに“私の心は燃えている”もある。

でも、別な花言葉をに送りたいんだ。』



私の考えている事がわかったのでしょう、慌てて空いている手を振ります。

別な花言葉…思い出せないというより、それ以外にもあったでしょうか?



『あのね、別な花言葉は“聖なる願い”と“祝福”なんだ。

二人が笑ってるのを見ると、ボクまで幸せな気持ちになるんだ。

だから、とインゴにはいつも笑い合っていて欲しいんだよね。』



少々照れているのでしょう、空を見上げて足早になっておりますね。

確かに彼女の笑顔には裏がありませんから、お前の気持ちもわかります。


一番初めに、をエメットに会わせた時は不安がありました。

この愚弟は女性関係が派手でございましたので、仕方がないでしょう。

ですが、とエメットは男女という枠を超えて友情を育んだ様でした。

それは私の目から見ても、恋愛とは別物で、そして本当の兄妹の様でもあり

安堵したのを覚えております。


自宅前についたと同時に玄関の扉が開き、愛妻が私達を出迎えます。



『インゴさんおかえりなさい、エメットさんもいらっしゃい!

外は寒かったでしょう?早く中に入っちゃって下さいね。』



今では言葉の壁も全く感じさせない彼女の声に、目を細めていると

隣でエメットが先ほど買った鉢植えを渡しておりました。



『今日はお招きありがとう!これね、帰り道の花屋で見つけて

思わず買っちゃったんだ。タイムリーだけど、ボクじゃ世話できないし

に育ててもらえたらなって思って…受け取ってくれる?』



『うわ、ポインセチアなんてホントにタイムリーですね!

エメットさんの代わりに、全力でお世話させてもらいますよ?』



そんなやり取りを微笑ましく見ながら家の中に入れば

暖炉の炎が暖かく私達を迎えてくれます。

それぞれのコートをが受け取り、ハンガーにかけている間に

シャワーを浴びて着替えてからリビングに戻れば、

エメットがソファーに座りキッチンの方を目を細めながら見ておりました。

視線の先にはが夕食の仕上げに取り掛かっている様で、忙しなく

キッチンを移動しております。その光景に私も同じ様に目を細めました。



『なんだか、久しぶりにこういう光景を見た気がするよ。

母様も、いつも楽しそうにキッチンで動き回っていたよね。』



『そうでしたね、料理上手でいつも笑顔でいる点で言えば

も同じでございますから、私もよく思い出します。』



『うん、やっぱりがインゴと結婚して大正解だと思うよ。

インゴ、仕事でも凄く人当たりが柔らかくなったでしょ?

バトルも絶好調だし、良い事ばかりじゃない。』



暖炉に薪をくべながら、どこか嬉しそうに、そして羨ましそうに

愚弟が言うので、私も軽口を叩いて返します。



『羨ましかったら、お前も早くそういう相手を見つけて

全力で手に入れる事でございますね。』 



を手に入れるのに、すっごく苦労してたもんね。

でも、それだけの価値は彼女には十分にあると思う。

インゴの直感はホント凄いよ。ボクも頑張らなきゃね!』



私との経緯の殆どを知っているからこそ、そう言えるのでしょう。

同じ様な真似は二度と出来ないし、したくもございませんからね。

その位、彼女の心を得るまでは苦労いたしました。



『お待たせしました、食事の準備が出来たので、どうぞー!』



エメットに肩を叩かれてダイニングに向かえば

昔よく見た、クリスマスディナーの品々がテーブルに広がっております。

野菜のたっぷり入ったコンソメスープとメルバトーストとディップ類。

そしてメインディッシュとしてチキンの丸焼き。



『本当ならターキーなんでしょうけど、あの大きさは余っちゃいますんで

チキンにさせてもらいました。でも、味は頑張ったので保証しますよ?』



確かにターキーの丸焼きになれば7〜8kgございますからね。

3人では食べきれないでしょう。



の料理が美味しいのは知ってるから問題ないよ。

どれも本格的だからびっくりしちゃったよ!大変だったでしょ?』



『全然と言えば嘘になりますけど、楽しかったですよ!

作ってる時からお先にワクワク感を味わえたので、特した気分でした。』



『ではそのワクワクした料理を私達も早速味わうといたしましょう。』



誰も無神論者なのですが、ここはセオリー通りにお祈りをしてから

食事を始める事にいたします。

がそれぞれの取り皿に料理を取り分けて渡します。



『ソースはオーソドックスな物の他にちょっとアレンジしたものも

用意してみましたので、其々お好みでどうぞ!』



『このグレイビーソース、レストランでも十分通用するよ!

こっちのオニオンソース?これもさっぱりとして美味しいね。』



『チキンもしっかりとハーブの味がついていて、このままでも

大変美味しいですね。そしてスープもあっさりしていて好ましいです。』



『そんなにたくさん褒められても、後出てくるのはクリスマスプディングと

モールドワイン位ですよ?お二人共そろそろデザート食べますか?』



料理を堪能した後で、明かりを落とし、テーブルに出されたプディングを前に

がヒイラギの枝を飾り付けてから、熱したブランデーをかけます。

そして火をつけると淡い青色の炎が揺れて、ダイニングを柔らかく灯します。

その後渡されたそれは、甘いものが苦手な私でも美味しくいただけました。



『インゴさんは甘いものが苦手でしょう?

なので、プディング本体の甘味をちょっと抑えてみました。

甘いのが好きなエメットさんは、クリームとかソースを用意してるので

それと一緒に食べると大丈夫だと思いますよ?』



のそう言う気配りって凄いよね!

インゴがプディングをこんなに食べてるのを初めて見たよ。

旦那様の好みをちゃんと理解してるなんて、いい奥さんしてるよね。

インゴもそう思うでしょ?』



『当たり前でしょう?私の妻は全てにおいて素晴らしいのですからね。』



ご馳走様!と言って笑うエメットに、も少々頬を赤らめておりますが

笑って応えておりました。恥ずかしがり屋もかなり改善された様ですね。

そうでなくては、私の我慢にも限度がございますので助かりました。