キリ番777 -受け継がれるもの-

キリ番777

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  受け継がれるもの  



扇型の車庫からゆっくりと電車が出てきて回転台の上に乗る
その光景を目にした時、私は涙が止まらなかった。


「失礼ですが、お客様…ご気分が優れないのでございますか?」


「どこか痛い?苦しい?大丈夫??」


いきなり後ろから声をかけられてびっくりして振り向けば
色違いの制服?を来た駅員さんぽい人が私の後ろに立っていた。
うわ、泣き顔見られるとか恥ずかしい!


「いえ、違うんです!ちょっと下の光景に感動したっていうか…」


慌てて涙をビデオを持っていない方の手で涙を拭えば
黒い制服の人に擦ってはいけませんとハンカチを渡された。


「キミ、地下鉄とか電車好き?あのね、ここの転車台って
すっごく古い!今でも現役で一生懸命働いてる。珍しい!!」


白い制服の人が笑顔で私の両手を取ってブンブン振るのに
ビックリして涙も引っ込んじゃった。
あ、この瞳はよく知ってる。
好きな物、大切な物を話すときのキラキラした、あの人と同じ眼。


「クダリ、お客様に失礼でございます。大変失礼したしました。
私、サブウェイマスターのノボリと申します。
そして、そちらが双子で同じくサブウェイマスターをしております
クダリと申します。お客様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


マスターって付くくらいだから偉い人なのかな?
双子って言われてよく見れば雰囲気は違うけど同じ顔をしてる。


「あ、すみません!私はって言います。」


…うん、覚えた!でも、どーしては泣いてたの?」


首を傾げて私に聞いてくる仕草のせいか私より歳上のはずの
この人…クダリさんだっけ?が凄く可愛らしく見えて笑ってしまった。


今度は笑ってる!どーしたの?」


「あぁ、なんでもありません。すみません。
実は私の祖父がこの転車台と向こうの車庫を作るのに携わった人なんです。
祖父が造った物が、こうやってまだ頑張ってるのを見たら感動しちゃって…」


「なんと!様のお爺様はギアステ創立の関係者でございましたか!
えぇ、私共は電車もその設備も大切に使わせていただいておりますので」


ノボリさん…?がスーパーブラボー!と叫んで私の手をとった。
落ち着いた人かなって思ったら違ったみたい。
でも、大好きな物の話をするあの人…おじいちゃんも同じだったな。


のおじいちゃんが一生懸命作ったもの!ギアステの宝物!!
だから大事に大事にしてる!」


クダリさんとノボリさんが笑いながら頷いた。
おじいちゃん、あなたの大切にしていた物は今でも次の世代の人達が
大切に受け継いでくれてるよ?早く帰って見せてあげたいな。


「おじいちゃん、その後整備を担当するって残ったらしくて
電車を好きな仲間達と一緒に仕事が出来て楽しかった、幸せだったって
今でもその時のお話をしてくれるんです。
もう、ベッドから出る事もできないけど、これを見たら喜ぶと思います。」


私は車両台の上でゆっくり回転をする電車をビデオ撮影を始めた。
おんなじ速度でゆっくりと回る電車が向きを変えて止まった。
それを待っていたかの様に二人が私に声をかけてきた。


「失礼ですが、様さえよければ車両基地をご覧になりませんか?
中の様子も撮影されればお爺様も喜ばれると思いますよ?」


「うんうん、後ね昔からいる人達もいっぱい仕事してる!
だからおじいちゃんのお話も聞けるかもしんない。行こう、!」


クダリさんが私の手を引いて車両基地への道へ歩き出した。
途中でヘルメットを渡されて被って中に入るとそこは
大きな電車が沢山並んでいて、その周りを整備の人かな?が
忙しそうに動き回っていた。


「こりゃー!お前達はまた油を売っとるのか!!
毎度毎度、暇さえあればここに来おって、真面目に仕事せんか!」


作業服を来たおじいちゃんよりは若いおじいさんが
私達を…って言うよりノボリさんとクダリさんをみて大声をあげる。


「おじいさん、ボク達仕事してる!
あのね、この子って言うの。のおじいちゃんは
回転台と扇形庫作った人でその後も整備でここで仕事してたって!!」


「そうでございます。様、こちらの方もギアステ初期から
整備として勤めておりますのでお爺様をご存知かもしれません。
様のお爺様のお名前はなんとおっしゃるのですか?」


私が祖父の名前を言うと、おじいさんは驚いていた。


「知っとるもなにも、ワシにここの整備のいろはを教えてくれた師匠じゃ!
そうか!師匠のお孫さんじゃったか。師匠はお元気かの?」


「ここ一年位体力が衰えてしまってベッドの上ですけど元気です。
おじいちゃん、ここでの話をする時はいつも楽しそうなんですよ。」


骨の浮き出た手を組んで話す姿を思い出す。
おじいちゃんには、ここでの思い出は大切な宝物なんだってずっと思ってた。


「そうか、ワシも歳をとったからのぅ…ちょっと待っとれ
確かギアステ設立当初の写真が、事務室にあったはずじゃから。
師匠も一緒に写っとったから見せてやろう。」


「ボクも見たい!後ねおじいちゃん、回転台のビデオ撮って
のおじいちゃんに見せるんだって。」


「私にもその写真を是非見せてくださいまし!
それで、できればこちらの車庫などの撮影も許可願えないでしょうか?
きっと様のお爺様も喜んでくれると思います。」


「おうおう、師匠の教えは全部ワシが引き継いでおる。
今はそれを若いもんが引き継いで守っとる所を是非見てくれ。」


事務室についておじいさんは一枚の大きな写真を見せてくれた。


「ホレ、これが師匠じゃ。その横がまだ見習いじゃったワシでな
師匠と仲の良かったのがこっちとこっちとこっちと…
師匠は皆に好かれておったから全員と仲が良かったんじゃ。」


セピア色の写真の中でお父さんによく似た人が優しい顔で笑ってる。
その顔は私にここでの話をしてくれる時と全く同じ。


「ちょっと待っとれ、どうせじゃったらこの写真…を渡す事は
できんが、コピーしてやるから持って行くといい。
今、準備をするからその間そこの2人、中を見せてやれ。」


「わかりました。様、扇形庫の方に行ってみましょう。
あそこも一部は改良を加えておりますが、ほぼ当時のままでございます。」


「中の点検区域とか整備区域とかも見て。おじいちゃんも喜ぶ、元気になる!」


こうして、私は二人に手を引かれておじいちゃんの造った物が
今でも現役で活躍している様子だけじゃなく、中で働いてる人達の
様子も見せてもらう事ができた。
おじいちゃん、喜んでくれるだろうな。少しでも元気になって欲しいな。


様、ご覧くださいまし!こちらの扇形庫内は当時の広さのまま
この場所ではそれを活かして整備班の皆様が最終整備をされます。」


、こっちこっち!ここからだと転車台の操作とかよく見える。
あのね、この転車台はねEinall地方の転車台の設計図を基にした。
イッシュ産の貴重な物!ここの操作とかも凄く考えられてる。」


行く先々で私のおじいちゃんがここで仕事をしていたと言えば
整備をしてる人達が見に来てくれて嬉しいと、とても喜んでくれた。
そして、おじいちゃんが残した物は自分達が大切にしてますって
伝えて欲しい、見て欲しいと口々に私に話してくれた。
その顔笑顔はおじいちゃんの笑顔と同じだった。

かなりの時間ビデオをまわして、沢山の映像を撮った。
滞在期間はまだ残っているけど、早く帰っておじいちゃんに見せたいな。
おじいさんからの呼び出しに3人で戻ればコピーされた写真が
大きめの封筒に入れられて渡された。


「ありがとうございます、沢山ビデオも撮れてその上写真まで頂いて
きっとおじいちゃんも喜んでくれると思います。」


よくできたお孫さんじゃ、さすが師匠と頷いておじいさんは
彫り込まれた皺を更に深くして笑いながらコーヒーを手渡してくれた。


は電車好き?地下鉄好き?あのね、ここは車両基地
ボク達はここから離れたライモンシティでバトル車両と一般車両を
管理…ううん、守ってる。だからにそっちも見て欲しい。」


「それはよろしゅうございます!。様、時間がおありでしたら
お爺様の意思を受け継いた場所で整備点検された車両が走る様を
是非ともご覧になって下さいまし!」


二人があんまりにもおじいちゃんと同じキラキラした顔をしてるから
私は頷く事しか出来なかった。


「やった!ボクねダブルトレインの中を見せたげる!」


「私もシングルトレインをご案内させてくださいまし!
その前に、ここからライモンシティへ向かう専用車両も設立初期から
運行している数少ない車体でございますのでそちらも是非!」


「お前たちもさっさと自分の仕事にもどらんと、部下にどやされるぞ!」


「あはは、行こう!」


二人に案内されてギアステーションでも沢山ビデオを撮った。
ここでもおじいちゃんと同じ笑顔で皆働いていた。
沢山のビデオを撮って、最後まで案内をしてくれた二人にお礼を言って
私はおじいちゃんの元へ沢山の宝物を持ってギアステーションを後にした。




*********


─ 後日談 カナワタウン車両基地にて ─




「こりゃぁああ!またお前達は毎度毎度油を売りに来おって!!」


「油なんて売らない!今日はボク達、郵便屋さん!!
あのね、覚えてる?うん、師匠のお孫さん。
それでね、お礼の手紙もらった!おじいちゃんにもヨロシクって!」


「そして、様のお爺様より貴方へと荷物を預かっております。
なにやら大変重いのでお気を付けて受け取ってくださいまし。」


「フン!これしきで重いなど抜かすお前達と一緒にするでないわ!
…こ、これは…!!」


「え、ナニナニ?これって工具?でもすっごく古い。おじいちゃんみたい。」


「クダリ、その様にはっきり申すのは失礼ですよ?
確かに古い物ではございますが、どれも大変手入れが行き届いております。」


「当たり前じゃ!これは師匠が長年ここで愛用しておった工具じゃ!
ホレ、ここを見ろ。握った時にピッタリくるようになっとるじゃろ?
これは、それ程変形するまで使われたからそうなるんじゃ。」


「成程、どれも手に吸い付くように馴染みますね。
きっと様のお爺様は、ずっと大切にされていたのでしょう。」


「見ただけでわかる。おじいちゃん良かったね、これすっごい宝物!
のおじいちゃん、弟子が頑張ってるご褒美にってくれた。」


「し、師匠ー!!ワシはまだまだ頑張って師匠の守ってきた物を
守り通してみせますぞぉおおおお!!
オラ、邪魔じゃ!ワシはこれからこの工具を持って転車台に行く!
お前達も用が済んだら、さっさと仕事に戻らんか!」


「ハーイ、おじいちゃん良かったね!」


「本当にによろしゅうございましたね。これからもその工具と共に
ギアステの安全の為に全速前進して下さいまし!」









初のキリ番ゲットは焼き栗様でした。おめでとうございます!
そして、当サイトにお越しくださってありがとうございます!
更に!こちらの手違いで遅れてしまい申し訳ありませんでした!!
『サブマスにサブウェイ(職場)をわいわい案内される平凡女主』との事で
職場案をいただき場所をカナワタウンにさせていただきました。
そしてクダリと手をつなぐ所とありましたので入れてみましたが
×手をつなぐ ○手を引く って感じになっちゃいました。スミマセン(滝涙)
お持ち帰り、返品、は焼き栗様のみ可能でございます。
また返品の際には別な話をご用意させていただきますので
どうぞ、遠慮なく申し付けてくださいませ。


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