11月15日は良いインゴの日! 2014 -Every cloud has a silver lining <br><br><small>※注意※<br> 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。</small><br>-

11月15日は良いインゴの日! 2014

Every cloud has a silver lining

※注意※
 現地での話の為ボス達の会話も視点語りも普段の表記とは異なっております。



「インゴボスって仕事以外でもエメットボスにはあぁなんですか?」



保全管理課に決済された書類とインゴの伝言をもって入った時に

ゲンナイから聞かれた言葉にボクは返事に困った。



「あぁって、どういう事を言ってるのかな?」



「えっとですね、俺が書類を持って執務室に行くと大抵がインゴボスってば

愚弟とか無駄口叩くなとか馬鹿は考えるだけ無駄とか言ってますよね?

エメットボスは怒ってる様子がないから普段でもあんな感じなのかなぁって…」



後ろで部下が何て事を聞いてるんだとか怖いもの知らずとか言ってるけど

ゲンナイには聞こえてないのかな?まるで今日の昼に何を食べるのかを

聞くみたいに普通に聞いてるし…悪気が無いって事だけはわかるけどね。



「うーん、言われてみれば確かに普段も仕事も変わらないかな?

ボクにとってはそれが日常的すぎて、もう怒る気にもならないけどね。」



「インゴボスの仕事とか凄いと思いますけど、エメットボスだって

それに負けない位凄いと思ってるんで、何を基準にしてるのかなぁって

なんだか不思議に思っちゃったんすよ。

後は今流行りのツンデレ?普段はツンツンしてても二人の時はデレデレとか?

俺、兄弟も親もいないしそういう関係がわかんないんすよねぇ…。」



まぁボクとインゴを見てたらお世辞にも仲良しとは言えないだろうし

普通の人間なら、あそこまで言われたら一緒に仕事はしてないと思う。



「それ、インゴの前で言わない方が良いよ?

そうだねー、インゴは昔からなんでも出来る人だったから

出来ない人の気持ちってのがわからないんだと思う。いわゆる天才って感じ?

ボクは普通のつもりでいても、インゴから見れば劣ってるわけだしね

色々言われても仕方がないのかなぁって感じだよ。」



ベロアがくれたコーヒーを受け取って、一口飲んで考えてみた。

バトルでも経営でも、ボクはインゴに勝る部分なんて全く無い。

自分ではそこそこ頑張ってると思うけど、その遥か先にインゴはいるんだ。

それにしてもインゴのツンデレかぁ…それは怖いから見たくないや。



「オレはインゴボスって苦手っす。あの冷たい目でじっと見られたら

なんだか生きててゴメンナサイ状態になっちまうんすよねー。」



「どんなミスも絶対見逃さねぇで容赦ねぇしな。

言ってる事は間違っちゃいねぇんだけど、言い方がキツすぎてよぅ…。」



「オイラ他の職員から聞いた事あるっす!

仕事のできねぇ奴は問答無用でインゴボスは切り捨てるって…おっかねぇよなー」



うわあ…インゴってば色々言われちゃってるよ。

でもこれはボク達がサブウェイボスになった時から言われ続けてた事だ。



「お前らなぁ…黙って聞いてりゃ色々言いやがってるけど

自分が悪くなかったらどう見られても気にする事じゃないだろうし

ミスした時点で何を言われても文句の言える立場じゃないだろうが!

それになぁ、仕事の出来ない奴を即切り捨ててるって話が本当だったら

俺達なんてとっくのとうに追い出されててもおかしくないんだぞ?」



ボクが困った顔して笑ってるのを見てゲンナイが部下達をたしなめた。

つまりゲンナイはインゴが苦手じゃないのかな?

それはそれである意味凄いと驚いちゃうし、奇特な人間だよ!



「言いたい事ははっきり言わなきゃわからない連中もいるからね。

それに仕事の出来ない人間に給料払うのは無駄だよ。

出来る部下にベースアップした方がずっと会社の為にもなる。

ミスはゲンナイの言う通り自分の落ち度だから言われて当然でしょ?」



エメットボスもキツイ!とか、ボクまで言われちゃったけど

事実ボクもそう思ってるし企業のトップをサポートしてる手前

それって極々当然の事だと思う。職場に馴れ合いなんて必要ないよ。

ゲンナイに書類を渡して、できれば期日より早めにして欲しいと伝えて

ボクは部屋を出て執務室に戻りながら考えた。


インゴが今のインゴになったのは父親が原因だ。

今は過去を乗り越えた感じだけど実際はどうだかわかんない。

元々なんでもできちゃう人だったけど、それでも人を見下す様な言い方とか

態度をとらないで、わかるまで、出来るまで教えてくれる人だった。



『エメット、ここには公式を使うと良いのですよ?

そう、それからは大丈夫でございますね?えぇ、よく出来ました。』



スクール時代、苦手な数学の宿題に頭を抱えてたりすると

いつも隣に座って最後まで面倒見てくれてたっけ…



「それが今じゃ愚弟呼ばわりだもんねー。」



執務室に入ればインゴはトレインにいるのか不在で、デスクの上には

決済が終わった書類が山積みされている。

これってボクに各部署に振り分けろって事だろうなー。



書類を確認すれば、各部署ごと分類されていて付箋にメモまでしてある。

このやり方はイッシュに行ったときにの書類を見てから始めた事

自分の才能に驕る事をしないで良いものは取り入れるってのが凄いと思う。


書類を各部署に配ったり、トレインに乗ったりしていたら

あっという間に終業時刻が過ぎていた。最後の書類を配り終わって戻れば

インゴはもう仕事を終わらせて帰った後で、ボクのデスクに書類が置いてある。

これは今日の分の諸々のデーター入力が必要な書類で、ボクの仕事だ。


溜息をつきながらコーヒーサーバーを片付ける前に自分の分を用意して

チビチビ飲みながらデスクに向かって入力作業をする。

途中インゴから仕事が終わる時間を教えろってメールが入った。

大体の時間を予想して返信して、入力作業を終わらせて急いで帰る。



「ただいまー!」



「…5分の遅刻です。食事の用意が終わってるのでさっさと席に着きなさい。」



5分遅れただけでこうだよ?!時間を遅めに連絡しておいて良かった。

30分とか遅れたりしたら、自分のペースも読めないのかって言われるしね!


コートをハンガーにかけてテーブルに付けば目の前には美味しそうな食事。

以前は全くの別行動だったんだけど、最近こうやって夕食を作ってくれる。



「あー、マッシュルームのポタージュ?」



「菌糸類には免疫効果を上げる作用があるので残さず食べなさい。」



キノコが苦手なボクの嗜好なんて無視だし。

スプーンを手に我慢して一口飲めばハーブの香りが強めだけど飲みやすかった。



「あ、これなら大丈夫かも…ってか美味しいよ!」



「バジルを大目に使って生クリームだけを使いました。

チーズも加えておりますので、これならお前でも食べる事ができるでしょう?」



「うん!このサーモンも下味がついてて美味しい!

これは…ジンジャーが入ってるのかな?甘めのソースが良いね。」



から教えてもらったのだとノボリからレシピをもらいました。

このソースは魚だけではなく肉にも合うそうなので次はチキンに使います。」



肉の苦手なボクでもチキンなら大丈夫かな?

そうやって言ってるって事は最初に魚で試したんだろうな…

インゴはどっちかって言うと魚より肉の方が好きなのにね!



「ふふっ、楽しみにしてるよ!」



「他にもお前でも好みそうなレシピをいくつかもらっております。

近いうちに作ってみるので、問題がないか後で教えるように…良いですね?」



「了解!」



ユノーヴァの食事が合わなかったのと父親の事があって

ボクは摂食障害を起こした事があるから、インゴは食事にはすごくうるさい。

別々に食事をしていた時は朝は食べず、昼は携帯食、夜はクッキーや甘味類か

フルーツなんかで適当に済ませるのが通常だった。



「ごちそうさま!今日もすっごく美味しかったよ、ありがとう。」



「…片付けは結構、これをもってさっさと家に帰って寝なさい。」



「え?」



「…帰ってから自分の顔を鏡で見なさい。」



大きめの容器をボクに押し付けて、インゴはさっさと席を立った。

こーなったらボクが何を言っても無駄だから言われた通りにするしかない。


家に帰って容器の中身を確認すればポリッジで、トッピング用のナッツや

ドライフルーツ、蜂蜜なんかも一緒に添えられていた。

朝が弱いボクだから、温めるだけに用意されたそれを見ていると

すっごく幸せな気持ちになる。そのまま視線を鏡に向けてからボクは驚いた。



「うわー、すっごいクマが出来てるし!そっか、だからインゴはあんな事…」



確かに最近はちょっと忙しくて睡眠時間も激減しちゃってたしなー。

まさかそんな事までインゴが知ってるとは思わなかったからビックリだよ!

インゴに言われた通りに今日はシャワーを浴びて早めにベッドに潜り込む。


愚弟だ馬鹿だと言われて、確かにムカつく事もあるけど

こうやってちょっとした事だけど優しくされちゃったら怒れないでしょ。

…まぁ最初から怒る気もないんだけどね。これがインゴなんだもん。


ブランケットにくるまって目を閉じれば



『エメット、好き嫌いはいけません。これならあなたも食べれるでしょう?

肉も食べなくてはいけませんよ?チキンなら大丈夫ですよね?』



小さい時のインゴがさっきの言葉を繰り返してる。



『今日は片付けはしなくてよろしいですよ?これを差し上げます。

あなたは早く家に帰って休んでくださいまし。』



これは夢なのかな?小さなインゴがボクの頭を撫でてくれる。

夢でも良いや、夢でも現実でもインゴが優しいのは事実なんだしね…



「ありがとう、インゴ…おやすみ…」



『おやすみなさいまし、良い夢を…』



大きくなったインゴが笑いながらそう言った様な気がした。